1Q92

広島戦フェーズ2:個の力に頼る攻撃では、組織的守備は崩せない

このエントリーをはてなブックマークに追加

試合開始早々に失点を許したエスパルス。 しかし、その後はボールを支配し、攻勢を強めていく。

これは、数少ない評価できるポイントであったと思う。 鹿島戦や川崎戦では、先制された後も攻撃に転じることは、あまりできなかったからだ。

ただし、その攻撃の内容がマズかった。 言うならば、その攻め方は「拙攻」であった。

チアゴ・アウベスの攻撃能力は、紛れもなく高い。

シザーズを交えたドリブルスキル、タメをつくるキープ力、一瞬で前を向くターン、そして強力かつ多彩な左足のキック。

どれも一級品で、素晴らしい武器だ。 いわゆるチームに違いをもたらす選手。

今のメンバーでは、鄭大世を除けば、彼の攻撃力は頭一つ二つ抜けていると言っていい。

しかし、この試合の多くは、独りよがりのプレーだった。

ボールを持ち過ぎる。 そして、周りを活かすことよりも、無理にでも自らシュートを打つ。 あまりにもそういったシーンが目立った。

FWたるもの、時として強引さは必要だが、その頻度が多くなれば、ただの空回りとなる。

故障前のチアゴ・アウベスは、そういった選手ではなかったはずだ。

彼が長期離脱をしている間に、チームは低迷したことから、おそらく「自分がやらなければ」という強い責任感を感じ、それがこうしたプレーに繋がってしまっているのだと思う。

確かに、チアゴ・アウベスにボールを集めることが、ゴールという点では最も可能性を感じる。

ただし、チームとしてそれで良いかどうかは別問題だ。

強力な助っ人外国人FWの独力に、攻撃の全権を任せるというのは、Jリーグ創成期に見られたやり方だ。 まるでその頃のようだと思った。

Jリーグのレベルも上がった今、そうした前時代的なやり方は通用しない。

まして広島は、ヤン・ヨンソン監督が欧州式の守備ブロックを持ち込んだ、戦術的に堅守のチームだ。

「組織対個」の様相を呈した試合内容では、個の力に頼ったエスパルスの力ずくの攻撃が、成就することはなかった。

この試合、小林監督は75分にチアゴ・アウベスを交代させている。

まだ故障明けであり、無理はさせたくないということが、もちろんあったと思う。 ただし、追いかける展開であったことを鑑みれば、点を取るために無理してでもピッチに置いておくという選択肢もあった。

しかし、そうしなかったのは、チアゴ・アウベスをあえて下げることで、偏っていた攻撃のバランスを整えたいという意図もあったのではないか。

川崎戦の際にも、チアゴ・アウベスのプレーについて小林監督は、「11人でやるスポーツなので、シンプルに叩くところ、守備をするところを、もう少しやらなくてはいけない」と苦言を呈している。

実際にこの後、チームの攻撃のバランスは改善され、ピッチ全体を使って広くボールを展開できるようになった。

そして2トップのコンビ、北川がサイドに流れてクロスを供給したところを、鄭大世が頭で見事に決めている。

その後は、引き分けで良しとするのか、あくまで勝ちに行くのかで、今度は攻守のバランスが崩れた。

そして、全体が間延びし、チームが分断されてしまった結果、カウンターから決勝点を食らったのは、痛恨の極みだった。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
コラム
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

災難として割り切るしかない~川崎vs清水(09月20日)観戦の周辺をウロウロと…【4thDayMarketCenter】

岐阜1-2福岡【吉塚FC日記+】

【鹿島】 vs G大阪。激闘を制し価値ある勝利【常勝紅鹿】

広島戦フェーズ1:ミスの修正を怠ったことで、高い代償を払うことに【1Q92】

【17/9/23:清水対広島】精神的ダメージが大きい敗戦【1Q92】

希望を魅せろ!!U-17W杯、メンバー発表!!【スポーツ大好き聖人−燃え上がれ東北魂−】

(今節プレビュー:広島戦)謎の不振に喘ぐ広島と、摩訶不思議なJリーグ【1Q92】

天皇杯(17/9/20:川崎戦)の雑感【1Q92】

ブロガープロフィール

profile-iconflowersforfootball

清水育ち、都内在住のオレンジサポーター。
エスパルス関連コラムと、試合の戦術分析などを徒然なるままに。
  • 昨日のページビュー:0
  • 累計のページビュー:151537

(10月22日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. なぜ川崎にここまで圧倒的にポゼッションされてしまったのか
  2. 【17/10/14:清水対磐田】みっともない惨敗ダービー
  3. 【17/8/27:清水対浦和】依然、厳しい戦いが続く…
  4. (今節プレビュー:広島戦)謎の不振に喘ぐ広島と、摩訶不思議なJリーグ
  5. 【17/9/23:清水対広島】精神的ダメージが大きい敗戦
  6. 【17/9/16:清水対川崎】完全支配された前半、この敗北は割り切るしかない
  7. 【17/9/30:大宮対清水】勝ち切れなかったことで、降格圏が迫る事態に
  8. 残留争いの行方と、下降線のエスパルスと、前向きな心
  9. 2トップの補完性、チアゴ・アウベスの取扱説明書
  10. ブラジル人に滅法弱いエスパルスの、今の守備課題

月別アーカイブ

2017
10
09
08

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年10月22日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss