MLB 戦いの原理を求めて

ラストに圧巻のピッチングをみせた田中は、ほんとうに給料泥棒なのか

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7回15K0BBで締めくくったヤンキースの田中ですが、2017年のfWARは2.8で締めくくりました。1WARは800万ドルであり、2200万ドルの仕事をしたとセイバーメトリクスのファングラフスというサイトでは算定されています。つまりどれだけ印象が悪かろうが、セイバー的には給料相応の仕事を田中はしたと判定されています。

ところがこれまた出鱈目な記事が出ていました。あるスポーツライターは1WARは400万ドルなどと10年以上前の数値を持ち出し、事実無根の数値を出したばかりか、fWARも最終戦の直前の2.2で試算し、田中は給料の半分くらいの仕事しかしていないと悪しき印象操作をしようとしているのです。

記事を見た瞬間に、「この出鱈目な試算は何なのか」あ然としたのですが、MLBではインフレが進行中であり、現在、1WARは800万ドル相当であるのは常識です。こんな常識レベルのことも知らない人がセイバーメトリクスを持ち出して出鱈目な記事を書いている以上、やはりリテラシーが重要となる。

つまりリテラシーはないと記事の印象操作にまんまと嵌るが、リテラシーがあればすぐに記事の嘘が見抜ける。先日も大谷がダイヤモンドバックス入り有力というこれまたすぐに考えればわかる出鱈目な記事もありましたが、リテラシーが低いとアクセス稼ぎの飛ばし記事等にだまされるのは案外、簡単である。

たしかに田中はfWARでは給料通りの仕事をしたと判定される一方、rWARは1.2という評価であり、リファレンスというセイバーメトリクスサイトでは田中は2017年に限り給料泥棒と判定されるのも事実です。投手のサイヤングを決定するにも、この一年限定ではfWARよりもrWARで評価する方がどちらか言えば適切ですが、その分、2016年ではrWARは田中は5.4という評価を受けているのに対して、fWARでは4.6となっています。rWARが5.4から1.2へと評価のふり幅が大きいのに対して、fWARでは4.6から2.8と評価のふり幅が小さくなっていることに注目してください

いずれにしても、キャリア全体ではfWARrWARも評価の調整もそれぞれの指標に応じて効いている。

rWARという評価軸がそれだけ目先の結果重視であり、まるでニューヨークのメディアのようにジェットコースターの如く、常に上がり下がりの振幅も大きいものと言えます。それに対してfWARの方が標準偏差も小さく、運を排除し田中の実力について評価する設計となっています。

2017年

田中 ERA 4.74 FIP 4.34 xFIP3.44

これらの数字からもわかるように、田中は運に見放されたシーズンであったことがわかります。特にFIPとxFIPがこれだけかい離しているケースは極めてレアであり、今ざっと見た限り、スターターの中ではメジャーで最もかい離の激しい投手でした。つまり田中はメジャーで最も運がなかったスタータであると判定することも十分に可能です。

結論

客観的にセイバーメトリクスの算定で見る限り、キャリア通算において田中は決して給料泥棒などではない。少なくともfWARを基準にした時、セイバー的には2017年の田中は相応の仕事をしたと言える。出鱈目なセイバー記事や飛ばし記事も数多いために、読者はリテラシーを高める必要がある。

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この記事へのコメントコメント一覧

ラストに圧巻のピッチングをみせた田中は、ほんとうに給料泥棒なのか

アホ多いな...
この人は別に1WAR = 800万ドルの評価基準が現在のMLBの現実に即して絶対的に正しいものだ!とかそういうことをいってるわけじゃないでしょ...通説としてそうだよと述べているだけ。

上に書いている人もいるけど、この人が言いたいことは、過去の1WAR = 400万ドルという嘘の情報をベースに田中の働きを評価していることがおかしいことだよ、という部分なわけで。

1WAR = 800万ドルの通説に納得いかない人間は、この人じゃなくてMLBの現場でセイバー扱ってる人間に文句言えばいいだけのこと。本当に読解力ないやつばっかで著者さんが可哀想になるわw

「ラストに圧巻のピッチングをみせた田中は、ほんとうに給料泥棒なのか」へのコメント

ズレたコメントをしている人がいるね。10年前のfWARによる年俸評価を基準に田中を給料泥棒と断じた記事に対して、「fWARを判断材料にするならば」、現在の基準で評価すべきであるというのがブログの意見でしょ。そもそもfWARによる年俸評価が信頼が置けるか否かは本来ここでの論点じゃない。別にWARが絶対だとは思わないから様々な意見があってもいいと思うが、WARを使う以上、正しい現在の基準を使わなければならないのは当たり前。

ラストに圧巻のピッチングをみせた田中は、ほんとうに給料泥棒なのか

>少し調べればわかることですが、現在1WARはおよそ800万ドルと定義されています

ブログ主は「fWARの基準であれば田中は2200万ドル相当の働きをしたと言える」と評してるわけだけど、auaua氏はそもそもその定義に疑問を呈しているわけで、それはズレた返事じゃないかね?

>セイバー的には給料相応の仕事を田中はしたと判定されています。

それは全然現実的な判定じゃないよね。
だってfWARの基準は現実と乖離しているから。

WARマイナスの選手は「球団に金を払うべきだ」と言う判定になるわけだけど、現実にはむしろ球団が金を払わなきゃいけない。
だからその分調整されて、WARプラスの選手は「WAR通りの給料を受け取れない」のが現実。
ところが田中は「WAR通りの給料を受け取っている」。

したがって、田中はWARマイナスの選手の補填を他の選手にさせて、自分は給料を全額受け取っているわけで実質「給料泥棒」なんだよね。


それともブログ主は
セベリーノはfWARで今季4500万ドル分の働きをしてる。ということになっているが
「彼は年4500万ドルという歴代最高額の契約に値すると判定されている!」などと言うつもりだろうか。

ラストに圧巻のピッチングをみせた田中は、ほんとうに給料泥棒なのか

auaua-さん
少し調べればわかることですが、現在1WARはおよそ800万ドルと定義されています。
この数字は総年俸÷総WARではなく"WAR converted to a dollar scale based on what a player would make in free agency"です。

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大谷を口説くために日本ハムが用意した提案書に感銘して以来、日本ハムのファンとなる。二刀流については入団当初から 支持をする。

歴史や戦略 戦術をテーマにずっと研究してきました。

MLBで最も惹かれる人物は、リグリーフィールドの蔦を考案した人。7イニングストレッチで「Take Me Out to the Ball Game」を歌う文化を定着させた人物と言ってもいい。

2015年7月5日に自分がどうしても書きたかった記事をupする予定です。ビル・ベックを知らずしてMLBの歴史は語れない。


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