MLB 戦いの原理を求めて

2017年大谷翔平、メジャー移籍問題の本質を戦略的観点から紐解く

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インターナショナルFA25歳未満ルールの戦略的な思惑について3つの側面から考えることによって、この問題をきっちりと頭の中で整理してゆくことを本稿の目的とします。

まずMLB機構のインターナショナルFA25歳未満ルールを掲げた戦略の目的としては、すでにおわかりのとおりJリーグのように絶えず入れ替え戦のあるような下部リーグをもたないメジャーリーグ(マイナーリーグはあくまでファームでありメジャーリーグとの入れ替えはない)では、スポーツマーケティングの基本でもある戦いのドラマ性を演出すべく<戦力均衡化を測る>ことが第一義に挙げられます。FAと完全ウェーバー制度のリンク贅沢税の強化などの施策の延長線上にインターナショナルFA25歳未満ルールもあり、金持ちチームが有利になり過ぎないために契約金及びサラリーに強力な規制が課せられたということになります。このインターナショナルFA25歳未満ルールで利益を得るのは、メジャーの球団というよりもより正確にはミドルマーケット以下のチームが得をします

なぜマンフレッドこのミドルマーケット以下のチームに対して厚遇するのか。

それは単にマーケティングに沿った戦力均衡化だけでなくコミッショナーの権力の基盤が75%オーナーからの信任によって成立しているからでもあります。もしインターナショナルFA25歳未満ルールがない場合、大谷獲得が現実味を帯びるのは30チームでもせいぜい25%以上の金持ちチームに限定されるはずです。7~8チームの上位金持ち球団の争奪戦になるのは道理です。マンフレッドの権力基盤を盤石にする上では戦略的にミドルマーケット以下に相当する75%のチームへ配慮した施策を打ち出すのはある意味当然とも言えます。これがマンフレッドがインターナショナルFA25歳未満ルールを打ち出した隠された戦略的な第二の目的でもあります。

そして第三の目的こそが最も重要になります。

今回のルールはドラフトの対象となる米国 カナダ プエルトリコの三か国以外の25才以下のプロスペクトに対しては、たとえ大谷であろうが基本マイナー契約の新人扱いを一律するということであり、不当に安いサラリーが抑えられてしまうことになります。このインターナショナルFA25歳未満ルールインターナショナルドラフトの亜種として登場した制度であり、この制度の最終的な狙いとはずばりMLBを頂点とした世界中に点在するあらゆるベースボールのリーグを配下に据えるといった世界戦略の一端にあります。日本のプロ野球にとって独立リーグは実質ファームの役割を担っているように、このインターナショナルFA25歳未満ルールの本質にはMLBの傘下にNPBも将来的には据え置くことを狙いとした制度であることを見抜かなければなりません。

もしNPBとMLBが対等な立場であるならば、10年に一人の逸材と言ってもいい松坂に対する西武保有権が50億円超であったことからもわかるように、100年に一人の逸材と言っても過言ではない大谷に対する日本ハム保有権は年齢も加味して考えた時、少なく見積もっても70~80億円程度はあるはずです。更に大谷についても8年契約をベースで240~50億円前後のオファーがあってもおかしくはありません。本来、フリーであれば合計330億円前後の価値はある大谷のディールも、MLBが決定したこのルールによって総額も1/10程度に抑え込まれてしまうということになります

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大谷を口説くために日本ハムが用意した提案書に感銘して以来、日本ハムのファンとなる。二刀流については入団当初から 支持をする。

歴史や戦略 戦術をテーマにずっと研究してきました。

MLBで最も惹かれる人物は、リグリーフィールドの蔦を考案した人。7イニングストレッチで「Take Me Out to the Ball Game」を歌う文化を定着させた人物と言ってもいい。

2015年7月5日に自分がどうしても書きたかった記事をupする予定です。ビル・ベックを知らずしてMLBの歴史は語れない。


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