2009年02月26日

イギリスサッカー史上最大のロスタイムのドラマ

 前回のブログで触れたScarboroughに触発されて、Youtubeの旅を始める。このタイトルを見て、ManC v Gilliangamの試合を思い浮かべた人は相当の通だと思うが、実際は湖水地方の近くにある、Carlisleという町のサッカーチームのお話だ。

 サッカーは良く最後の最後まで分からないゲームであると言う。このスポーツが出来上がってから、ロスタイムにさまざまな悲劇と喜劇が繰り返されてきた。自分が目の前で体験してきた中にも様々な記憶がある。ドーハの悲劇があり、チャンピオンリーグでBayernがロスタイムでManUにひっくり返された悲劇があり、そして今にでも夢に出てくるFA Cup Finalでの暴行魔Gerrardの同点弾という人生最大の悲劇がある(何だ、悲劇だらけではないか、、、)。

 しかし、今までのサッカー人生の中で、僕はここまでドラマティックな話は聞いたことがない。当時スカパーで24時間流しっぱなしであったSkynewsを通じて見た出来事であり、直接試合を見ていたわけではないのだが。

 98/99シーズン、4部で低空飛行を続けていたCumbria唯一のチームであるCarlisle Unitedは、最終戦のPlymouth相手に勝利を収めなければ、アマチュアの全国リーグ、Conference(実質5部リーグ)へと降格してしまう最大の危機に見舞われていた。大観衆が見守る中、0-1から同点に追いつくものの、1-1で無情にも試合はロスタイムへと進む。 

 ロングパスが次々と前線へ入る。必死でクリアするPlymouthのDF。時間は、既にロスタイム4分目を指そうとするころ、Carlisleはコーナーを得る。間違いなくこれが最後のプレーだ。Carlislseのマネージャーは、タッチライン沿いから、必死で、ほんの3試合前からローンでSwindonから来ていた無名のゴールキーパー、Jimmy Glassに対して相手ゴール前まで上がるように大声で指示を送る。

 ほとんどあきらめかけてしまった観衆が見守る中、ボールはGlassの前へこぼれ落ちる。無我夢中で彼が蹴りいれたボールは、なんとPlymouthのゴールネットへ吸い込まれたのだ。ゴールが入った瞬間、スタジアム内の全ての人間が、あたかも3億円の宝くじが当たったかのような狂乱振り。ピッチ上は瞬く間にスタンドからGlassめがけて飛び込んでいったファンたちで埋め尽くされ、当のGlassは、すっかりファンの下敷きに。

 シーズン最後の試合の最後のキックで、ゴールキーパーが、ゴールを決めて、チームをプロリーグ降格から救う、、。出来の悪いハリウッド映画のような筋書きだが、こんな嘘のような話が本当に起こったわけだ。
 
 ちなみに、このとき降格を争っていたチームが、前回触れたScarborough.なのである。すっかり残留を決めたと思い込んだScarboroughのファンたちは、やはりピッチに飛び込んでシャンパンを開けて大喜びしていた最中であった。事実を知って泣き崩れるファンと選手たち。その時、2代目シーズンチケットホルダー犬が、事態を飲み込めていたかは定かではない、、。

 一躍Carlisleの英雄となり、名誉市民賞まで受けたGlassだが、現在はサッカーから離れ、IT関係の仕事についているとか。しかしながら、イギリスのサッカーファンの中では永遠にその名を忘れられることは無いだろう。

百聞は一見にしかず。下記でごらんあれ。

http://www.youtube.com/watch?v=KejwqhLDeOs

posted by fareasthammer |22:06 | General | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年02月24日

イギリス下部リーグのちょっと良い話(?)

 4ヶ月にわたるWest Hamのアウェー不敗記録が、Boltonごときに終わらされてしまった暗黒の週末、久々に本棚を整理していたところ、大昔買った「Football Fans Guide」というイギリスのプロ92チームのスタジアム周辺のパブ情報や、行き方などが網羅されたガイドブックが埃まみれになって出てきた。懐かしさに思わず読み入ってしまったのだが、そんな中、目についたこれまた懐かしい話。ここでご紹介を。

 ご存じない方がほとんどだと思うが、イギリスの北ヨークシャーにScarboroughという小さな海辺のリゾートタウンがある。僕も大昔の学生時代に、暇を持て余して何の期待も無しに一人で訪れたことがある。とてもコンパクトかつ綺麗な町で、今でもイギリスの中で、最も思い出に残っている場所のひとつだ。

 ここにScarborough FCというやはり小さなサッカーチームが存在している。いまや、破産してConference Northというとてつもなく下のリーグにいるこのチームも、当時はプロリーグに属していたのだ。そのガイドの中で触れられていたのは、このチームの変わったシーズンチケットホルダーの話。何が変わっているかと言うと、このシーズンチケットホルダー、なんとSandyという名の犬だったのである。飼い主が、Scarboroughではちょっとした有名人の、イラストレーターのScarboroughファンのおじいさんで、雨の日も風の日も、Sandyはこの飼い主とともに、毎試合チームのカラーの服を身にまとって、なんと自分専用の席にちょこんと座って90分間を過ごしていたとのこと。

 当然ファンたちの間でも、この犬は大人気者で、やがてチームの愛称自体が、Seadogとなるほど。ファンジン(各クラブのファンが自主的に作っている同人誌のようなもので、オフィシャルプログラムのように試合ごとに発行され、スタジアムの外で売られている)のタイトルも、’The Seadog bites back’というもので、必然とチームの実質上のマスコットとなった。

 95/96シーズン、Scarboroughは、4部リーグでビリから2番目という最悪な結果となる。しかしながら、そのシーズンでファンが最も悲しんだことは、実はチームの成績ではなかったという。Sandyの死であったのだ。

 反響のあまりの大きさに心を動かされた飼い主は、その後、保健所にいき、2代目のシーズンチケットドッグを発掘、その後も2代目Honeyは1代目のあとを次いで、飼い主とともにSandyの席に座ってチームの成り行きを見守っていたらしい(ちなみにインターネットで検索したところ、この飼い主のおじいさんは既に亡くなっていた。犬の行方もわからずじまいであった)。

 サッカーをあくまで「スポーツ」としてしか捉えない大多数の方々には、「だから何?」的な話だろうが、僕はこんなほのぼのさ、そして地域のコミュニティーの暖かさが感じられることが、イギリスのサッカーが好きになった理由のひとつだったりする。日本のサッカー場だったら、「保健所の許可が下りない」の一言で犬など入れてくれないだろうに、、。


 

posted by fareasthammer |22:39 | ファンカルチャー | コメント(3) | トラックバック(1)
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2009年02月09日

West Ham 0 - 1 ManYoo

 認めたくはないがSheep Shagger Bellamyがいたら、少なくとも引き分けには持ち込めていた試合だろう。

 Lucas Neilの相変わらず軽いプレーを除けば、ディフェンス的にはほぼ完璧な試合。Tevez、Rio、Carrickは、いつもの通り、古巣への愛着が感じられる生ぬるいパフォーマンス。そしてLazyだとManUファンには人気のないBerbatov。確かにRooneyが前線で鬼の形相でボールを追っかけているよりは遥かに恐怖感は薄れる。シーズン当初の不調から復活しつつあるPretty boy(Owen同様、West Ham相手には必ずゴールを決める)だけが要注意と思っていたところ、試合中ほとんど消えていたRyan Giggs(48歳)に一瞬の隙をつかれ、不敗記録は8で止まった。

 Coleの成長振りは確かに感じ取れた試合であった。前節Arsenal戦ではさっぱりだった元ChelseaのFWは、12試合連続無失点を記録中のDF相手に、孤軍奮闘していた。試合が進むにつれ、難しい状況でポスト役をしっかりとこなしていった。あそこに素早く走りこめるSheep Shaggerさえいれば、ManUの無失点記録は止められただろう。

 Di Michelleは、やはり波がある。元々Bellamyとはまったく違うタイプの彼に、そのような役割を期待は出来ないものの、前節同様下がりすぎてColeを孤立させすぎた。後半の頭くらいから、彼に代えて新加入のSavioかスピードのあるSearsを使っても良かったのでは無いか?

 また、こうした時に効果を発せるウィンがータイプの選手の欠如も悔やまれる。Stokeへ行ってしまったEtheringtonのようなドリブルで一気に打破できるMFからの積極的なプレーが見たかった。Nobleは、あまりに慎重なプレーが多く、おそらく一度たりともManUのDF陣へと勝負すべきところで仕掛けていけなかったのではないか。
 普段は血気盛んに仕掛けていくBerhamiも、おぼつかないNeilのカバーで、Pretty Boy相手にディフェンスで大忙しだった。

 Zolaは試合後のインタビューでは、当然のことながら選手たちの好パフォーマンスを大きくたたえていた。MFでの綺麗なパス回しは、まさにZolaの産物。あとは、思い切り良く仕掛けていくメンタリティーと、ミドルから果敢に狙っていく姿勢を、特にCollison、Nobleに植えつけて欲しい。

 別の視点からのこの試合からの収穫は、Neilの不調ぶり。シーズン当初の安定振りからここ数試合で、悪いころのNeilに戻りつつある。くたくたの状態であと数時間後に日本行きの飛行機に乗ることだろう。出来れば手違いでエコノミーのど真ん中の席に座ってくれたら良いのだが、、。

posted by fareasthammer |13:08 | West Ham | コメント(6) | トラックバック(0)
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2009年02月04日

Bring on ManU... Happy Hammerの独り言

 恐ろしくつまらない試合だったArsenal v West Ham。恐らくコタツに入って見ていた人の8割は深い眠りに落ちたことだろう。しかしながらこの試合でWest Hamは8試合負けなし、そしてアウェーでは、なんと10月29日のManU戦以来負けなしという予想外の好調ぶりを見せている。

 心配されていた移籍市場でも、Ugly little c*nt BellamyがManCへと旅立ったこと、Boa MorteのHullへの放出に失敗した以外は、ほぼ希望通りとなった。放出では、Etherington→Stoke、Mullins→Portsmouth、Davenport→Sunderland、Bowyer→Birmingham Cなど、Zolaが思い描いていた通り、ぜい肉を落とすことに成功。放出の中での究極はFaubert→Real Madridであろう。本人は、電話を受けたとき、てっきり冗談と思い、取り合わなかったとのこと。それもそうだ。あんな酷いプレーを続けていながら世界でもっとも有名なサッカーチームからオファーが来るなんて。

 新加入は、チェコ代表のMF Kovac、ガーナ生まれのドイツ国籍FW Savio Nserekoの2人。PanathinaikosのBryce Moon、Dinamo Bucharestの Radiu Homeiは最後まで交渉をしていたものの、実らず。

 正直、プレミアとJ-League以外のサッカーをほとんど見ていない私にとっては、?な選手ばかりである。しかしながら、シーズン当初に今シーズン大当たりしているIlunga、Behramiを連れてきたテクニカルダイレクターのNaniの実力、そしてZolaの選球眼を信じ、新加入の2選手には大きな期待が持てるだろう。

 さて、シーズン当初はピッチ外の騒音に惑わされたのか、かなりのスランプに陥っていたチームだが、ここに来て降格争いからは頭一歩抜け出した感がある。個人的に考える理由とは下記の通りだ。

Zola、Clarkeの手腕
誰もが分かっていることであるが、攻撃陣にさまざまなアイデアを与え、以外にもシーズン当初あれだけざるだった守備陣をここまで立て直した手腕は大きく評価できる。Zolaに関してはやはり、英語が巧みであること、そして何よりもプレミアリーグでの8年間の経験、そしてその結果、若い選手からの大きな尊敬を集めていることが大きな要因だろう。

 Carlton Coleの開眼
 一部のファンからボールを持つたびにブーイングされていたほど最悪の状態に陥っていた彼だが、Zolaの熱心な指導のもと、6試合で5得点。今後の課題は、簡単なゴールをしっかり決めること、そして、Arsenal戦で露出した、前線で孤立した際の踏ん張りといたところか?

 メディカル陣
 昨年あれだけ怪我人が続出していた状態が嘘のようだ。おまけに誰もが忘れていたKieon Dyerも復活してきた。名前は忘れたが、確かヘッドはNaniが連れてきたイタリア人。表には出てこない存在ではあるが、大きな存在。それでもAshtonの怪我だけは防げないのだが。

 Parker、Behramiの運動量
 浦和レッズのMFとは、自治会の運動会のパン食い競争と、箱根駅伝ほどの違いとでも言おうか。特に守備に関しては、この2選手にDF陣がどれだけ助けられているか、計り知れない。Upson、Ginger PeleことCollinsの安定ぶりに目が行きがちであるが、個人的には真のDFのMVPはこの2人である。

 当然、チームの行く末は相変わらず不安定な状態である。買い手も見つからず、いつでも破産、そして次のLeedsになる可能性を含んでいるし、ハゲタカSheffield Uは、相変わらず£50Mを求めて、Upton Parkの上を飛び続けている。

 しかしながら、今のところは、ひとまず今週日曜日ののManU戦を楽しみにしたいところだ。Bring them on…

posted by fareasthammer |20:47 | West Ham | コメント(4) | トラックバック(0)
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