2008年10月26日

Sunderland 2 - 1 Newcastle

 浦和の今シーズンの見所は、毎年恒例の愛媛FC相手の天皇杯緒戦敗退を残すのみ、第2のLeeds United 、West Hamも1月の選手大売出しの後Championshipへの道まっしぐら、日本代表も選手達はどうやら南アフリカへの長距離フライトがお気に召さないご様子と、応援している3チームともお先真っ暗な現状である。しかたなくSunderland v Newcastleの試合をまったりと観戦。

 しかし、これが非常に好ゲームで、久々にニュートラルの試合で熱くさせられた、、。

 ご存知の通り、イギリスの北東部、Tyne and Wearにあるこの2都市のライバル心は生半可なものではない。良く日本では、Sunderland、Newcastle、Middlesbroughの3チームが絡む試合がNorth East Derbyなどと紹介されているが、Boroはどちらかというとこの2チームの眼中にはない。よって、Arsenal、SpursとChelseaもしくはWest Hamの関係に良く似ていると言えよう(ArsenalとSpursのライバル関係もそれは恐ろしいもので、Chelsea、West Hamともにある意味「羨ましがる」ほどである)。

 SunderlandとNewcastleのライバル関係は、1600年代までさかのぼるらしい。当時、北東部の石炭をトレーディングする権利を当時の国王CharlesがSunderlandではなく、Newcastleに渡したことから、Sunderlandではアンチ英国王室の感情が大きくなり、王室派のNewcastleとの関係は悪化していく。やがて、イギリスで起こった内戦で、Newcastleは英国側の拠点、Sunderlandはスコットランドからのアンチ英国王室派の拠点となり真っ向に衝突。その後、英国側が完全に同地域を掌握すると共に、Newcastleを優遇する政策を取り続けたという。

 20世紀に後半に入って、Tyne and Wearという一つのCountyに統一された後も、空港はNewcastle側に建設、地下鉄の建設もしばらくはNewcastle一帯のみ、ということで、Sunderland側の「我々の税金が全てNewcastleの発展に使われている」という感情はくすぶっていたようだ。

 当然、現在では、日常生活においては昔ほどの際立ったほどの敵対心はGeordie(Necastle人のこと)とMackem(Sunderlandの人のこと)の間には見られないものの、彼らのDNAに埋め込まれた古代の記憶を呼び起こさせる唯一の機会がサッカーの試合という訳である。

 70年代以降は、両チームのファンが試合毎に衝突、2000年には、フェリーの上であらかじめアレンジされた決闘スタイルの大クラッシュをし、近年では最悪の部類に入る怪我人の数を出した。2006年のDerbyでは逮捕者27人で、「最もトラブルフリーなDerby」と称賛されたほどである(苦笑)。

 今日の試合も、散々アナウンサーが言っていたが、とにかく観客のNoiseのレベルは半端ではなかった。恐らく、強風のため、サッカーの質としてはどちらかというとPoorであったかもしれない。しかし、本当のDerbyとなると、はっきり言って、サッカーの質など関係ない。ただただ、憎き相手チームを倒し、翌週月曜日から相手チームのシーズンチケットを持っている同僚をオフィスで丸々1週間馬鹿にし続ける権利を得ようと、ファンは必死なのである。

 僕がWest Hamを応援するきっかけとなったのも、Spurs相手のDerbyであった。同じく風が吹き荒れる2月のMonday Night Game、Hammersにとって、Millwallに次ぐ大敵との試合をシーソーゲームを4-3でものにし、2ヶ月ぶりの勝利を手に入れたのだった。

 今日のTyneside Derbyを見ていて、大昔のあの記憶が蘇えってきた。こめかみに血管を浮かべながらチームを鼓舞し、全く座ろうとしない観客(プレミアリーグでは、試合中の着席が義務付けられており、これに違反を続けるとシーズンチケット没収、試合立ち入り禁止などの厳しい処置がとられる場合がある)、それに答えようと必死にタックルをかます選手達、自分達のゴールの瞬間の狂喜乱舞、相手ゴールの際のホームエンドに訪れる完全な静寂。あの瞬間、2月のくそ寒いUpton ParkのEast Standで、僕はこのスポーツが何故世界で一番人気のあるスポーツなのかを初めて理解し、同時にWest Hamの虜となったのだ。
 
 ちなみに今日の試合では、両チームのファンは、ほとんどチャントを歌っていなかった。ましてや、2-1で負けているNewcastleのファンなど、普段あれだけうるさい連中が、ただただ悲痛な面持ちで頭を抱えているだけだった。普通試合に熱中したら、のんきに歌など歌ってられないのが自然ではなかろうか、、。

 Sunderland v Newcastle。「何故自分がここまでサッカーを好きになったのか」を再認識させられる好試合であった。

 一方で、同時に考えさせられたのが、自国での現状。殆どの日本人の「自称サッカーファン」、サッカーライター達には理解できないこのエクストリームな感情。しかし、ブラジルだろうと、ドイツだろうと、イギリスだろうと、サッカー先進国のファンには必ずあるこの共通理解。

 俊輔のセットプレーがどうだ、やれ4-4-2ではなく4-3-2-1だ、試合中延々と歌い続ける「おー、ばもにいっぽーん」も結構だが、結局のところサッカーがなぜ「People’s game」と呼ばれているのかをいまだに理解できないようなこの国に対しての危機感は募る一方だ。プロリーグ発足後、16年が経とうとしている日本のサッカー。一体今後どんな方向に進んでいくのだろうか。

posted by fareasthammer |00:17 | ファンカルチャー | コメント(4) | トラックバック(0)
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窮屈なスタンド

コメント投稿者ID :

いつも共感しつつ読ませて頂いております。
日本の「サポ」なる人達の硬直化した「サポート」と、スタジアムに
存在する全体主義に辟易としている者です。

「サポ」やってるのだから、レプリカシャツもしくは揃いのウルトラ仕様のTシャツを着込まなければ。
「サポ」やってるのだから、「爆心地」と称されるゴールの裏に位置どらねば。
「サポ」やってるのだから、90分間途切れることなく選手を鼓舞するために歌い続けなければ。
「サポ」やってるのだから、逆転の可能性がないと薄々分かっていても声援を送り続けなければ。

こうした作られた熱狂には吐き気を覚えます。

私の応援しているチームのホームゲームにて、先日こんなことがありました。
私が、低迷するチームとゲーム内容に我慢がならず、フロントを批判する内容の
横断幕をバックスタンドに貼ったところ、それを見て憤慨したゴール裏の1人の
「サポ」に試合後呼び止められ、以下のように尋問されたのです。
 1.「いつも試合を観ているのか(大して観てもいないのではないのか)?」
 2.「どういうつもりでこのようなこと(弾幕貼り)をしたのか?」
 3.「貼るのは構わないが、貴様のダラダラとしたその観戦態度は何事か?」
と。これに対しては、本来「放っといてくれ」の一言で済むのですが、以下のように回答しました。
 1.「ホームゲームは全試合バックスタンドで見ている。」
 2.「意図は無論フロント批判だ。」
 3.「いい試合をやれば熱くもなるし、歌いたくもなる。が、糞サッカーを見て
   熱くなれるわけがない。それでなくても一緒にカラオケをやるつもりなどない。」

「サポ」は「カラオケ」にはカチンときたらしく、「内容が悪くても、歌って選手達を
鼓舞しているのではないか」などと凄んでみせます。ゴール裏からバックスタンドの
私の姿を逐一チェックしていた事実も大変に気持が悪く、試合を見さらせよと言いたい
ところですが、それはともかく。要するに「俺たちの許可なく目立つことをするなよ」
という気持が言外にあるのでしょう。
言ってみれば、私は金を払って商品(試合)を購入している客です。その客が、品質の
低い商品を買わされたことについてクレームをつけることの何処に問題があるのでしょう。
「サポ」なる集団の一員となり、ゴール裏で90分間、動物園の白熊の反復運動のように
歌い続けなければ、クレームをつける資格を得られないとでもいうのでしょうか。
ちなみに、横断幕は試合開始直後に警備員によって裏返しにされています。
許すまじ言論の抑圧、恐ろしきかな全体主義。
この国では、サッカーが「People's game」たりえないとのご指摘に心から賛同します。
ウルトラ風サポを含め(いや、むしろそういう輩の方が)多くの日本人がPTA的な
保守性に縛られていることにうんざりします(警備員の行動は規約に従ったまででしょうが)。

イングランドのファンが羨ましい。形勢不利だと黙ってしまい、ひとたび点が入れば
急に元気になって歌い出すサンダーランドファンやニューカッスルファンが羨ましい。
点が入った瞬間、時に得点者を讃えるより先に「You'll never win. ×off.」などと
アウェイ席の相手チームのファンの方を向いて得意げに歌ったりする素直で子供じみた
反応が羨ましい。試合に勝てそうもないと判断すれば、「ダメだこりゃ」とばかりに
試合途中に家路に向かうあきらめの良さと健全さが羨ましい。敵チームのとんでもない
シュートミスへの勝ち誇ったような歓喜の叫びが羨ましい。
そしてなにより自由と個人主義の国でサッカーを観戦できることが心底羨ましい。

コメント欄にあるまじき長文、手前のブログにでも書けよという感じで、失礼しました。
いつか、どこかで直接お話しできる機会のあることを夢見ております。

追記:
ニュー・デンにて、2部時代のミルウォールの試合を観たことがあります。
「No One Like Us」こそ歌ってはいましたが、当時最下位のチーム
の無様な試合内容を前にして、歌って「サポート」する人など当然のように皆無でした。

posted by lowerblock | 2008-10-28 00:04

Sunderland 2 - 1 Newcastle

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 しごく同感です。
 かつて日本代表のゲームで、ゔぁもゔぁもの青い人たちに「座って見ているのは代表選手に失礼だ。立って一緒に歌え」と言われ、熱意は行動に現れる必要がないと思っていた私は嫌悪感を覚えました。それ以来バックスタンドには近寄らないことにしています。
 でも、それが集団行動の好きな日本文化ならそれはそれでいいような気もしますね。ゆっくり追いついていけばいいでしょう。
 話は変わりますが、この状態ではロンドンまで試合を観に行ってもチケット買えませんね。なにしろ相場が高すぎです。。。
 祝初勝利、、、

posted by 748highroad | 2008-10-29 01:26

Sunderland 2 - 1 Newcastle

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Tyneside Derby、私も再放送でですが拝見しました。
確かに技術的には残念な試合でしたが、決して日本では味わうことの出来ない独特の雰囲気を海外経験の無い私にも感じ取れました。

私も以前から日本のサポの「カラオケ」文化には嫌気が差していたのですが、ブログ主さんやlowerblockさんの文章を読んで考えさせられることが多かったです。
どうにかしたいですね、と普段殆どサッカーの現地観戦をしない人間が言ってみます。

posted by pleo | 2008-10-29 01:36

Sunderland 2 - 1 Newcastle

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コメントどうもです<All。

問題はあのゴール裏の方々、一般的に「サポ歴」が異常に短いことです。そりゃそうでしょう、あんなところにいたら、サッカーなぞすぐ飽きてしまう、、。

浦和の場合、シーズンチケットエリアはなかなか見心地が良いですよ、その代わり。

でもJ1年目から3年目はゴール裏は本当に楽しかったです。今とは全然違いました。そのうち気が向いたら当時の話でも書いてみようかと。

Lowerblockさん

さぞかし腹の立ったことでしょう。PlasticなPart timerに説教されるなんて、、。
ところでどちらのファンで、、?

Millwallは、僕自身はWest Hamのファンなので、当然足を踏み入れたことはないですが、Awayで行った友人に寄ると、結構独特な雰囲気だそうですね。
West Hamもこの調子ではまたまたあそこで試合しなければいけない機会がやって来そうです。あそこでは絶対勝てないんですなあ。

posted by Far East Hammer | 2008-10-29 22:52

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