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第94回箱根駅伝 復路〔評〕

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第94回箱根駅伝は、青山学院の史上六校目の四連覇で幕を閉じた。

復路

復路のオーダーを見ると、青学にとって前日に往路優勝の東洋につけられた36秒差は、6区に過去二年区間2位を記録した小野田を置いているので、筆者はないものに等しいと感じていた。 これまでの東洋・酒井監督流のセオリーからすると、首位で襷をつないだ時の東洋は、早めの入りをする。 それに、東洋・酒井監督も、この区間で追いつかれることは織り込み済みだったようだが、追いつけそうで追いつくことができない間隔を保ちながら、なるべく追いつかれる地点を先延ばししたかったに違いない。 また、下り坂ではともかく平地のスピードという点に関しては小野田と今西は遜色ないだけに、追いつかれるにしてもなるべく下り切ってからやあるいは少なくとも勾配がゆるやかになってからにして、そこから粘りの展開に持ち込みたかったに違いない。 したがってこの復路スタートも、東洋・今西は当然早い入りをするだろうと見ていたが、その通りだった。

上りきり、最高到達点を過ぎたあたりに迎える芦の湯の4.8km地点では、2位青学とは復路スタート時から1秒開き37秒差に。 相手が小野田であることを考えると、入りの5kmを同じラップを刻んだということは、今西にとってはややオーバーペースだったと言える。 下りに入ってからは小涌園、宮ノ下、大平台と進むにつれ、28秒、22秒、15秒とみるみる差は縮まり、15km地点でついに小野田は今西を捕えた。 東洋にしてみれば、下りに入ってから思いのほか早く小野田がギアチェンジして追いついてきたのではないか。 戦略としては決して間違っておらず、今西も酒井監督の思い描いた通りのラップを刻んだ走りをしてみせたように思うが、小野田の山下りの力と経験が一枚も二枚も上手だったと見るより他ない。 下りきった後のラスト3kmが上りに見えるほどきついとは毎年言われていることだ。 小野田も今西も、その部分ではダメージがきていたようだが、経験がないのとオーバーペースだった今西の方に余計にそのツケが回り、小田原中継所で52秒差にまで広がったのは、思った以上だった。 あとのメンバーを考えると、52秒でも青学には十分すぎるほどのアドバンテージであると思った。 他に東海・中島(9位→5位)、法政・佐藤(5位→4位)、帝京・横井(12位→7位)がこの区間で小野田に次ぐ2、3、4位の快走を見せ、それぞれ順位を上げた。 結果的に、混戦と思われた4~13位までのシード権争いにおいて、これらの学校は早い段階でシード権確保を決定的なものとしたが、この区間での快走が大きかったといえる。 6区はこの日のスタートであるとともに、上り5区と同じく大きく順位が変動する可能性の高い区間だけに、レース全体における影響が大きい区間であることを改めて思い知らされた。 上りの5区が短くなり、また函嶺洞門を迂回するコースになったものの、依然箱根駅伝独特の山の区間の成否が優勝を大きく左右しているといえる。

その青学に傾いた流れを決定づけたのは、7区林の区間新記録の快走だった。 他の学校は、よほどでない限りこの区間に強い選手は置けない。 5kmを14分15秒で入られると、他校は追う気力もそがれるというものだろう。 あとは林の独壇場。 3年生にして三大大学駅伝デビューということで、走りをこれまで見たことがなくどんなものだろうと思ったが、力強いというよりは軽く小気味いい走り。 青学の走者におおよそ共通するこのような走りを見ると、アクシデントでもない限り終盤に失速することは考えにくく、優勝争いの興味は潰えて焦点は早くもシード権争いに移った。

7区に襷が渡ったときにはシード圏内にいた順天堂は、この7区最初の二宮のチェックポイントで11位に落ち、これ以降10区へ襷が渡るまで1分~2分30秒程度のビハインドを常に強いられることになった。 7区の比較的早い段階で、日体大・住田、城西・山本、中央学院・新井、帝京・佐藤が集団を形成。 この四人は競ったこともあり、7区をそれぞれ2、4、6、8位と一桁順位でまとめることができた。 順天堂は10区花澤が中央学院に14秒差にまで追い上げたのもむなしくシード権を手放してしまったが、7区序盤のこの集団から置いて行かれたつまずきが、後々響いた形となってしまった。 中央学院が結果的に10位で、11位の順天堂と明暗を分けた形だが、8~10区では、いずれも集団になる場面がありその中で我慢してついて行ける場面が多かった。 前日の往路2区も、先頭は別として後続が集団で走れたかそうでなかったかの明暗がはっきりと出た。 当たり前のことだが、駅伝において集団になったらそれに食らいついていくことの大事さを改めて感じさせられた。

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