2008年05月29日

【審判の心理とマリーシア】浦和vs.G大阪のあのスローインについて

少し前になりますが、5/17のJリーグ第13節の浦和対G大阪の試合は、G大阪が首位の浦和を下しました。Jリーグ中断直前のこの試合で結果が逆になっていたら、浦和とG大阪(1試合消化が少ないものの)との勝点差が13に開いていただけに、Jリーグの優勝争いを面白くする意味では良かったのかもしれません。
ところでこの試合の前半終了間際に微妙な判定が有りました。前半G大阪がセットプレーから先制したものの、その後浦和が反撃し押し気味に試合を進めていました。そして前半終了間際G大阪のペナルティーエリア内で高原が倒さます。PKをアピールする高原と浦和の選手達。その時ボールはG大阪へと渡り、カウンター攻撃が始まります。しかし阿部の好プレーでバレーのボール扱いが不正確になり、相手ゴールキックになるのを防ぐために無理な体勢を取ったバレーの前に阿部が体を入れることに成功し、ボールはそのままタッチラインを割りました。一安心の浦和イレブン。ところがタッチを割ったボールを拾ったバレーはそのままスローイン。足が止まった浦和の選手に対し二川がボールを受けフリーの山崎にセンタリング、これを山崎がダイレクトに蹴り込んでG大阪が追加点を挙げます。このプレーに対し浦和の選手たちは烈火の如く怒り、岡田主審の元へ駆け寄ります。しかし抗議は認められずG大阪は2点のアドバンテージを持ってハーフタイムを迎えました。この日浦和の出来は良かったと思います。この2点目が無ければ、前半のそれまでの勢いからして浦和が逆転していた可能性は大きかったと思います。試合後、ジャッジが下されるまで可能性を信じて走り続けて追加点を挙げたG大阪の選手に対し、浦和の選手達がセルフジャッジで足を止めてしまった事に批判が集まりました。この件に関しては色々と書かれているのでここでは触れません(浦和は気の毒だったと思っています)。
私は3級審判資格を持っていますが上を目指すようなアクティブ審判ではなく、所属するリーグで月に1回笛を吹く程度です。そして岡田正義氏には審判講習会で何度か講義を受けているので(勝手に)親近感を持っていますし優秀な審判だと今でも思っています。でもあのシーンはテレビで見る限り(VTRで確認するまでもなく)浦和ボールでした。そういう意味では誤審なのですが、上記のように審判をやっている身からすると(毎回反省ばかりなのでサッカーを見ていても時折審判目線になってしますのです…!)こんな理由が有ったのではと考えてしますのです。
主審はできるだけボールの近くにいることが理想ですが、必ずしも可能だとは限りません。特にあのシーンではカウンター攻撃だったうえ、おそらく高原に対してPKでは無いよとジェスチャーまたは口頭で伝えたのでスタートが遅れ、ボールに追い付けなかったはずです。私もさほど多くない審判経験で学んだのですが、ボールがタッチを割った時ブラインドになったりもつれたプレーの時誰が最後にボールに触ったかわからない時があります。副審がいるサイドなら副審のジャッジに任せられるのですが、反対側の場合は困ります。でもそんな場合は実は選手が教えてくれるのです。選手達はどちらが最後に触ってボールが出たか知っているので、マイボール側がボールを取りに行き反対のチームはスローインに備えるのです(両方の選手がスローインを主張した時はジャッジが必要ですが…!)。試合後ある浦和の選手が「あの時主審はどちらのボールともジャッジしていなかった」と話していますが、おそらくあの時岡田主審も選手の動きを見ていたのではないでしょうか?となると問題はスロアーの方です。バレーはボールが相手に触れずに出たことを知っていたはずです。にも関わらずあたかも自分達のボールであるかの様にふるまってスローインをした。結果的にこれが得点へと結び付いたのですが、これはバレーが小さかった頃から、故郷ブラジルで自然と身に付けてきたことなのではないでしょうか?誰かに教えられたのか、ブラジル国内で多くの試合を見て学んだのかはわかりません。どんな状況でもマイボールを主張せよと!
日本では「マリーシア」と言うとネガティブな意味にとらえられてしまいますが、本来は「駆引きを行い試合を優位に運ぶ」と言う事なのだと、そして日本人にはまだまだ足りない部分なのだと、改めて思い知らされたシーンでした。

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posted by erito23 |16:03 | Jリーグ | コメント(17) | トラックバック(0)
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2008年05月25日

【必然】CL決勝、なぜテリーはPKを失敗したか…!

 史上初のイングランド勢同士の対戦となったチャンピオンズリーグ(以下CL)決勝は、マンチェスターユナイテッド(以下マンU)が7人目までもつれ込むPK戦の末チェルシーを下し、3度目の優勝を果たしました。PK戦では実際のゲームとは逆に、先攻のマンUのクリスチアーノ・ロナルドがチェフとの駆け引きに負けまさかの失敗でチェルシーがリード。そしてそのままむかえた5人目にテリーが登場し、チェルシーサポーターやロンドンでTV観戦をしていた人々、そしてオーナーのおかげでほとんどがチェルシーを応援していたロシアの人々が、ミスターチェルシーが最後に決めて初のヨーロッパナンバーワンに輝くと言う絵に描いたようなシチュエーションを思い描いたに違いありません。ところがテリーはキックの瞬間に軸足を滑らせ、無情にもボールはポストを直撃しその丸いポストはボールを外側にはじき出しました。うなだれるテリーと安堵の表情を浮かべるクリスチアーノ・ロナルド…!結局7人目までもつれ込んだPK戦はチェルシーの7人目のアネルカが、シーズン終盤に不安定なプレーを見せ、それまで試合中にほとんど活躍できないでいたファンデルサールに止められ決着が付きました。試合後様々なことが言われましたが、「これが歴史の差だ」という意見が多いように思えます。もしかしたらそうなのかもしれません。ボビー・チャールトンは「ミュンヘンの悲劇から50年目。あの瞬間に何かの力が働いたんだ…!」と言ったそうです。果たしてそうなのでしょうか?自分にはゲーム後半に有った何気ないプレーが、最後の最後に両チームの運命を分けたような気がして仕方がないのです。その事について、順を追って(遡って)説明していきたいと思います。(※なお自分の家のビデオが壊れている為、CLの決勝はテレビを通して生で見ただけです。したがってプレーの時間や選手名等は記憶によっていますのでご了承ください。)
 試合後ランパードは優勝がかかった5人目のキッカーに自ら名乗り出たテリーの勇気をたたえました。しかしその一方で本来はドログバが蹴るはずだったとも言っています。ご存じのようにドログバは延長後半にヴィディッチの対する暴力プレー(TVでは軽く平手打ちをしたように見えました)で退場となりました。ところでなぜあの時両チームによる乱闘が起きたのでしょうか?きっかけはこうです。その直前のプレーでチェルシーの選手1人が自陣ゴール前で倒れました。ボールを持っていたGKのチェフはプレーを一端切るために、パントキックを直接タッチラインの外に蹴り出しました。治療が済みプレーがマンUのスローインで再開されましたが、ボールがチェルシー側に返されます。今では日本では小学生でも行う美しいプレー、フェアプレー精神に満ちたプレーなのですが、このフェアプレーがきっかけでドログバは退場へと追い込まれます。スローインされたボールをマンUの選手が蹴り返しましたが、このボールはチェルシーサイドの深い位置でタッチラインを割り、チェルシーは自陣ゴールライン近くからのスローインでプレーを再開させられることとなりました。これに対してチェルシーの選手が怒ってマンUの選手に文句を言います。おそらく「GKがボールを保持していたのをけがの選手の為に蹴り出したのだから、ゴールキックから始められるようにボールを返すべきだ。」と言う趣旨の事と思われます。これをきっかけに両チームの選手が入り乱れドログバの退場へとつながっていきます。このシーンだけを見るとチェルシーはマンU側に上手いことやられた、悪い言葉で表せばハメられた、と思われるかもしれません。マンUの選手は相手が治療の為にボールを切ったのを利用し自分達に有利な状況を作り出そうとして、結果的に数的アドバンテージまで得てしまった。そしてこれが結果的にPK戦へとつながって行くのですが、実はこのプレーこそがチェルシーが自分達で、このような結果(ドログバの退場、PK戦での敗退)になろうとは予測だにせずに行っていたプレーによって導かれていたのです。
 上記で説明した通りビデオを見直した訳ではないので正確な時間はわかりませんが、それはレギュラータイムの後半に起きました。チェルシーは先制されはしたものの、前半終了間際に追い付き、後半はその勢いと微妙なポジショニングの変更とで圧倒的にボールを支配していました。そんな時にあの事件が起きます。ボールを支配されながらリオ・ファーディナンドとヴィディッチのCBを中心に得点を許さないマンUが中央付近でプレッシャーを受けずにボールを保持したその時でした。チェルシーの選手がアピールします。チェルシーの選手が倒れているのでボールを出してくれ!マンUの選手は仕方なしにボールを手前サイドに蹴り出します。実際にチェルシーゴールの選手が傷んで倒れていました。それにしてもやっと攻撃ができると思った瞬間に相手選手の為にプレーを切るのは、本心では納得できなかったに違いありません。結局その後プレーは再開されるのですが、何とそのボールをチェルシーの選手はマンUサイドの深い位置に蹴り返したのです…!その時自分は思わず「えっ、ひどいなぁ~。そこまでしてチェルシーは勝ちたいのかなぁ~!」とつぶやいていました。ピッチ上ではそのままプレーが淡々と再開されたのですが、恐らく、いえ間違いなくTVには映っていないマンUのベンチでは、何人かの選手やスタッフ・コーチ陣が怒りのアピールをしていたのではないでしょうか?延長後半にボールを深い位置に蹴り出したのは途中出場のナニ選手でした(と思います)。その時ナニ選手はレギュラータイムの後半に自分の目の前で起きていたプレーを思い出したのかもしれません。そして全く同じプレーを行った。チェルシーの選手はそんな事は棚に置き(と言うより誰一人覚えていないでしょう)怒り出し退場者1名を出し、その結果正義感は強いがそれまでの極度の緊張感の中でのプレーと柔らかいピッチの影響で何度も足を攣りかけた男に、最もプレッシャーのかかるPKをけらせる事へと導いてしまったのです…!
 先週のJリーグの浦和レッズとガンバ大阪の試合で、スローインを巡る判定(あれは明らかに誤審です)の後ある人が言っていました。フットボールに誤審や判定の有利・不利は避けられない。でもトータルするとそれはプラスマイナスゼロになる物だから判定に我を忘れたりいつまでも引きることはしない方が良い、と。CL決勝も同じことだったのではないでしょうか?結局ある状況を利して自分に都合良くしてしまおうとしたプレーが、後になって自分に跳ね返ってきたのです。つまりあのPK失敗は「必然」だったのです。

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posted by erito23 |14:48 | 海外サッカー | トラックバック(0)
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