2006年11月11日

完全決着

第86回全国高等学校ラグビーフットボール大会群馬県予選(平成18年度群馬県高等学校ラグビーフットボール大会)決勝戦は今日、敷島ラグビーサッカー場で行われ、東京農大二高が優勝し、3年連続22回目の花園出場を決めた。

王者・農二に新興勢力の明和県央が4度目の挑戦。成るか花園。
と見出しを付けたいところだが、周囲の反応は少々違っていた。

“完全決着”

予選リーグを勝ち上がった10校による決勝トーナメントが進むにつれ、誰もが口を揃えてそう発していた。

なぜなら、今日の決勝を戦う両チームの主力である3年生が1年生の時の、2年前の1年生大会、そして彼らが最上級生になった冬の新人戦は、明和県央高校が農大二高を破って優勝している。

『今年は県央』

そんな周囲の声を掻き消したのは、伝統校の自力である。
春に行われた総体において、王者をも寄せ付けないだろうと予想された県央を破って農二は優勝した。

しかしながらスコアは12-7、わずか1トライ差。勝敗はどう転んでもおかしくはなかった。

完全決着

繰り返すが、誰もが口を揃え、そして誰もがそれを期待した。

再びリベンジを誓う立場になった県央高校の成田監督は、決勝トーナメントが終盤に差し掛かったある日、こう語った。
「春に負けた事で、照準が農二一本に絞られた。十分に準備をして立ち向かいたい。」


周囲の下馬評はそれでも県央有利。

豊富なタレントを擁して、重量FWでプレッシャーをかけていく。
SO木村のキックで陣地を獲得し、ラインアウトからのモールを基点に、PR杉崎、No8植木ら個性あるFWで仕留めるのがパターン。BKにもWTB神尾など粒が揃っている。

対する農二は、春の総体でみせたFL野町京一郎の低いタックルが象徴する、組織的ディフェンスに、小林、磯田の両CTB、WTB田中など伝統であるBKの展開力で迎え撃つ。

ラグビーの醍醐味がスタイルを貫き通す戦いだとすれば、この一戦ほど今年の群馬のラグビーシーンで注目のカードはない。


試合は県央のキックオフで始まった。

期待のWTB神尾が農二ディフェンスに鋭く切れ込む県央上々の立ち上がり。
開始早々、農二のペナルティを得た県央は、タッチに蹴ってラインアウトからモールへと、得意のパターンに持ち込む。
しかし、最初のチャンスをパターンに出来ず、マイボールを失う。

そして注目の1stスクラム。

ほとんどの予想に反し、農二FWが県央の重量FWを圧した。

結果的に、この2つの1stプレーを握れなかったことが、タレント集団・県央のペースを狂わせたのかもしれない。

その後12分にも県央は農二陣内でマイボールラインアウトのチャンスを得るが、得意パターンであるはずのモールでマイボールを失ってしまう。

ターンオーバー。

この日の農二ディフェンスは冴えた。
春の総体決勝後、優勝した農二の清水監督、野口主将、そしてFL野町の3人が奇しくも口を揃えたことを思い出した。
「FWが合格ならば勝てると信じていた。」

やはり農二にとっても、リベンジはまだ途上だったのである。
完全決着は、農二にとっても強い願いであった。


前半23分の県央のチャンス、再三のFWによる縦への突破もことごとく対応する農二FW。たまらずBKに展開するが、農二ディフェンスの早い出足に阻まれる。

冷静さを欠く県央に、落ち着き払う農大二。

25分、県央のお株を奪うように農二がモールからBK左に展開、トライと思いきや、県央はこの絶対的なピンチをノックオンに救われる。

ここまでスコアレスで緊迫したなかでも、序盤からボールがよく動くゲーム展開であったが、このプレーから試合は大きく動き出す。

決定的なチャンスにノックオンという致命的なミスに、気落ちするどころか、農二フィフティーンの集中力が高まった。それはあたかも、ミスをした選手を、14人が全力でカバーするかのようなフォロー。

29分、FL野町京一郎が見事なボディバランスで県央ディフェンスを3人抜き、SHから最後は25分のプレーでインゴールに飛び込んだCTB小林大晃へと渡り、今度は正真正銘のトライ。コンバージョンも決まり7-0。ついに試合の均衡が破れた。

その後県央もロスタイムに、PR杉崎の突破から農二のペナルティを誘い、ゴール正面のPGを得る。これをきっちりと決め3点を返し折り返す。

農二FWの周囲を驚かす健闘はあったが、まだ試合の行方はどちらに傾いてもおかしくはない状況でハーフタイムを迎えた。


ハーフタイムを得て落ち着きを取り戻すかと思われた県央だが、後半最初のチャンスは農大二。後半開始から県央の防戦が続く。
県央陣内でのピンチは、農二のミスもあり救われる。このあたりから心配していた雨が強く降り始め、FWにチカラのある県央に流れが傾くと思った。
しかし、僕のそんな単純な予想を吹き飛ばすかのように、後半7分、農二がBKに大きく展開し、WTB田中翔吾が県央DFを7人束にして抜き去る個人技を魅せてトライ。12-3。


その後、雨のためか、両チームともボールが手につかなかったり、不用意なミスが続くが、一進一退の攻防が続く。

19分、県央にとって大きなチャンスが訪れる。ラインアウトからPR杉崎にボールが渡り縦へ突破、農二DFのペナルティを呼び込む。県央はタッチに蹴りだし再びラインアウト。杉崎を基点としたモールからの攻撃に賭けたが、無常にもボールは農二にターンオーバーされ、逆に農二No8中山に大きくゲインを返されてしまう。

王者は最後まで冷静だった。ピンチで幾度ものターンオーバー、PR杉崎を中心とした県央FWの突破にも、低く鋭いタックルで決定的なゲインを許さなかった。

逆に県央は、最後まで自らのスタイルとしてこだわり続けたラインアウトを基点としたモールでのFWの押し込みは、残念ながら報われず、インゴールを割ることはなかった。
25分からの決定的なチャンスも生かすことはできずノーサイド。


12-3

予想通りの拮抗した点差での勝負だった。

この一戦での農大二FWの集中力は見事だった。
そしてBKの一発の爆発力も見事だった。
県王者に相応しい戦いぶりだったと思います。
おめでとうございます。


また、敗れはしたが県央高校の選手の皆さん、良い試合でした。
後半14分の自陣ゴール前のディフェンスと、残り5分の農二陣内での攻防は素晴らしかった。
誰も君たちを責めるものではない。
願わくは、魅力的な君たちの才能をこの先、上でも観てみたいと思うよ。
杉崎君、植木君、神尾君、やり残したことがあると思わないかい?


そして、チームは15人ずつで成り立ってるものではない。
残念ながら試合に出られなかった選手たち、ベンチに入れなかった選手たち、そして父兄の皆さん、お疲れ様でした。

熱い試合をありがとうございました。









posted by みのる |21:26 | 高校ラグビー | コメント(1) | トラックバック(0)
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Re:完全決着

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posted by ジャンル選択をお奨めします | 2006-11-12 00:56

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