2008年11月08日

『平本学。』

あまりに異様な投手だった。


右投げ。何故か両打ち。

サイドスローでありながら150km/hを超える剛速球。そして気持ちが良くなる位のノーコン。


そんな素質からかドラフトでは日米の球団が争奪戦を繰り広げた。

その注目度から新聞で取り上げられていた。その記事を読んだのが、僕が平本学という投手を認識した一番初め。
「こんな凄い新人が入ってきたのか」ととんでもなく期待した覚えがある。でも「体が硬い」とコメントしていて、ホントにそれで大丈夫なんだろうかと疑問にも思った。



様々な期待を胸に見たオープン戦。

ホントに、びっくりするぐらい四球が多く、あっという間に無死満塁。速球派投手のステレオタイプと言えるような投球内容に、むしろ爽快さを感じてしまった。期待に背かず不安定な投球内容。
その後三者三振で無失点で抑えたのも、平本がすごいというよりは古田に対する畏敬を新たにした。


それからしばらく見なかった。

久々に名前を聞いたのが二、三年前の春キャンプ。確か中継ぎが居なくなっていたからたぶん五十嵐と石井弘寿が既に怪我をしていた年だと思う。代わりとなる中継ぎ候補の一人として、何年か振りに懐かしの名前を聞いて毎日のオープン戦結果に一喜一憂していた。

しかし、その年も表に出ることはなかった。


次の年、彼はアンダースローに挑戦していた。
「体硬いのに大丈夫なんだろうか・・・」と少し心配になった。




そんな実に、実に解りやすい投手だ。直球のスピードに対する気持ちよさを、再認識させてくれた投手。


今振り返ると、あの直球は子供が投げる球みたいだな、と思う。

野球を始めたばかりの子供が、少しでも球速を出そうと全身の力をこめて投げる。その他に何も考えず、全力で。
コントロールとか、ペース配分とか、打者への攻め方とか、そういった細々とした物を全て忘れて、ただ投げる。速い球が、投げたくて。

そんな球が少しずつ速くなっていった結果、平本学という投手が生まれたような気がする。そんな純粋さが、あの球にはあった。



平本は、投げた。

純粋で、真っ直ぐで、しがらみのような物を突き抜けていくような、そんな直球を投げ続け、彼はヤクルトでの六年という時間を駆け抜けて行った。




ただ、一つ。


最晩年で取り組んだ、あのアンダースロー。

あの転向は、彼が野球少年では無く野球選手としてプロに向き合わざるを得ない出来事だったはずだ。

彼はそれをどう受け止めたんだろうか・・・いつか機会があったら、そんなことを聞いてみたい。


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posted by えんをる |09:39 | 思い出の選手。 | コメント(4) | トラックバック(0)
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Re:『平本学。』

確か何年か前にオープン戦(紅白戦かな?)の試合後あの若松さんをブチ切れさせていた投手ですよね?

posted by hothotbear | 2008-11-08 11:26

『平本学。』

懐かしい選手の名前があったので、立ち寄らせていただきました。
すぐれた指導者に出会っていれば、彼はすごい本格派の投手になったと思います。
制球よく投げていた時期もあったのだけど・・・
指導者との出会いしだいで、人生が大きく変わってしまいますね。

posted by 野球大好き | 2008-11-08 23:14

『平本学。』

>hothotbearさん

たぶんそうです。若松さんは滅多に怒らなかったイメージがあるんで、ほぼそれで間違いないと思います。

posted by えんをる | 2008-11-09 00:10

『平本学。』

>野球大好きさん

二軍で結構結果出してた時期もあったんですけどね・・・残念ながら、大成しませんでした。
ただ、きっと育てるのはすごく難しかったと思います。だからこそ、育った姿を見てみたかったのですけど。

posted by えんをる | 2008-11-09 00:12

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