暇人の観戦記

上地選手、全豪初戦

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まさかまさかの国枝選手の初戦敗退に絶句しておりますが。 気持ちを切り替えて、もう一人のトップランカー上地結衣選手の初戦が終わったのでスタッツ解析です。 まずはスコアから行きましょう。ドイツの古豪ザビーネ・エラルブロック選手との一回戦。 6-0.4-6.6-2で何とか競り勝ちました。決して楽な試合ではなかったことが俯瞰したスタッツからも伺えます。

まずは全体のスタッツから、1stサーブin率が39/66で59%、そしてその中での1stサーブポイントが23/39で同じく59%。 対するエラルブロック選手が1stサーブin率が46/84で55%、1stサーブポイントが25/46で54%。ほぼこの部分では互角です。 それに対して両者とも2ndサーブポイントはがくんと下がります。上地選手が12/27で44%、エラルブロック選手に至っては12/38の32%。 この2ndサーブのポイントスタッツが「リターン有利」と言われる車いすテニスを端的に表してると思います。 普通のテニスでも、2ndサーブは確実に入れて行きたいという心理が働きます。 そして車いすテニスは「2バウンドまでOK」です。リターンを絶妙な位置に返されれば、どうしても追いかけるために腕力を使います。 そこで、「次以降のポイントのために腕力を温存する」と「ポイントを確実にとっておきたい」という心理戦が始まります。 結果として、2ndサーブの勝率が目に見えて下がるのですが。ここを半分取るだけで、試合展開は全く変わると思います。

更にスタッツを解析します。ネットプレイポイントは上地選手が2/2で100%、エラルブロック選手が1/2で50%。 普通はこれくらいで推移します。極端に「前に出る」というスタイルは2バウンド制の車いすテニスでは「難しい」と当方は考えておりますが、特に女子ではそれが顕著かなとも思っております。 ブレークポイントは上地選手が9/18で50%、エラルブロック選手が5/10で同じく50%。粘り勝ちが必要な車いすテニスの生命線ですが、ここが均衡状態だとどうしても接戦になるのは仕方ないでしょう。 ただレシーブポイントは差がつきました。上地選手が47/84で56%、対するエラルブロック選手が31/66で47%。レシーブを拾えていれば接戦を物にできるという証左だと思います。

さて、次はサーブスタッツです。 上地選手がエース4本、サービスウィナー0,ダブルフォルトが5。対するエラルブロック選手がエース1本、サービスウィナー1、ダブルフォルトが11。 両者のサーブの平均及び最高速も比較してみますが、エラルブロック選手がどちらかと言うとサーバータイプなのが良く分かる数字が出ています。 上地選手の1stサーブの平均速度が102kmで最高速度が109km。2ndサーブは平均101kmで最高速が105km。 エラルブロック選手の1stサーブの平均速度は112kmで最高速度が128km。2ndサーブの平均105kmで最高速116km。 10~20kmの速度差を活かしたエラルブロック選手が「攻めた」結果がよく見えます。が、流石にダブルフォルト11はきつい。 結果としてですが、攻めたエラルブロック選手の自爆に助けられた側面は拭えません。 それがリターンスタッツにも大きく出ています。 上地選手のリターンウィナーが5、アンフォーストエラーが7。対するエラルブロック選手のリターンウィナーは12、アンフォーストエラーが8。 但し、リターンポイント自体は上地選手が1stが46でポイントが21、2ndリターンが38でポイント26。 エラルブロック選手は1stリターンが39でポイントが16、2ndリターンが27でうちポイントが15。 サーブを封じるのにリターン一つでどうにかなるわけではないのですが、相手の長所を封じ込めるには必須です。 リターンのスタッツだけでも両者とも鉄壁とは行きません。特にエラルブロック選手のリターンエース数こそ怖い数字ですが、「ミスをしないで」ラリーに持ち込めばなんとかなります。 上の論を補強するのがラリースタッツです。 上地選手のウィナー数がフォアバック合計で32、うちドロップショット1、ロブ1、パッシングショット1。 そしてフォーストエラーがフォアバック合計で5、アンフォーストエラーがフォアバック合計で22。 上地選手にしてはミスが多い試合(特にフォアの14はかなり多いです)ですが、多彩な手段で相手を揺さぶってます。 その証拠はエラルブロック選手のスタッツに出ています。ウィナー数がフォアバック合計29(ドロップショット4)。 フォーストエラーがフォアバック計6、アンフォーストエラーが27(ドロップショットが1)。 特にアンフォーストエラーのバックはドロップショットのミスを含めて19と大きなミスが響きました。 車いすテニスはどうしても弾道が低くなるため、相手のオーバーハンドの打ち方(サーブやスマッシュ)を防ぐかの詰将棋だと思います。そして、相手の足元に打ち込めればミスも誘える。両者ともにそんなところが狙いだったのではないでしょうか。

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病気療養中の暇人です。
時々TV等の観戦記を上げていると思います。
初級障がい者スポーツ指導員資格所持。
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