2007年04月22日

まるでチェスでの対決

リバプールvsチェルシー

今年のチャンピオンズリーグはイングランド勢が3チーム勝ち残り、70年代後半から80年代初頭のイングランド勢の黄金期の再来か?などといわれている。
それは早計だとしても、勝ち残ったイングランド勢3チームは非常に強い。
リバプールは安定感。
チェルシーは勝負強さが印象的。
いずれも監督の技量による力が大きいが、この両チームの指揮官はまだキャリアが浅い。

リバプールの指揮官であるラファエル・ベニテスの選手時代は、レアル・マドリードの下部組織からトップチームデビューを果たし、活躍するものの怪我で現役を断念。
その後、自らが育ったレアル・マドリードの下部組織で指導者の道を歩み始める。
そしてバジャドリやオサスナといったリーガの小規模なクラブをいくつか率いた後、バレンシアでタイトルを獲得し、リバプールと契約することになる。

チェルシーの指揮官であるジョゼ・モウリーニョの選手時代は、ポルトガルのユース代表に選出されたことがあるにもかかわらず、故障により現役を引退したため、プロとしてのキャリアはない。
その後一度は体育教師になるものの、指導者の道を志してスコットランドで語学を学び、ボビー・ロブソンがスポルティング・リスボンの監督に就任した際に通訳としてスタッフ入りしたことが縁になり、その後ポルト、バルセロナで通訳として帯同。
そしてバルセロナの監督にファン・ハールが就任したころにはアシスタント・コーチを勤めた。
その後ポルトガルで監督としてのキャリアをスタート。
ポルト時代には圧倒的な強さを誇るチームを作り上げ数々のタイトルを獲得。チャンピオンズリーグを制覇したことでチェルシーに引き抜かれる。

この両監督に共通するのは修行時代を過ごしたのがスペインだということ。
原点はスペインサッカーにある。
だが、結果と共に美しさや楽しさを求められるスペインにして、この両監督の戦術はとてもスペイン的ではない。
この件に関して、モウリーニョがこんなことを言っていた。

「本当は攻撃的なサッカーが好きなんだが、結果を求めると今のようなサッカーに行き着く」

引き出しの多い戦術

ベニテスもモウリーニョも1試合における戦術変更の決断が速い。
これは2,3手先を見越しているからこそできる決断であり、複数の選択肢が無ければできない。
相手の出方で素早く対処することも多い。
まるでチェスのゲームのようだ。

トーナメント1回戦のポルトvsチェルシーの1stレグ。
チェルシーは前半10分過ぎに失点をしたところで、すぐさま怪我をしたテリーに代えてロッベンを投入。
3トップにフォーメーションをチェンジしたことでサイド攻撃を仕掛ける。
それが功を奏し、すぐさまロッベンのチャンスメークからシェフチェンコが同点ゴールを奪う。
後半開始から前半途中に投入し、わずか30分程度しか出場していないロッベンを下げ、ミゲルを中盤の底に配置。
エッシェンをサイドバックに下げてディフェンスを安定させた。
それ以降、失点することなく、結果は1-1。

試合中に何度もシステム変更しても、スムーズに指揮官の意図どおりの戦いができるチーム力も凄い。
これだけ一流の選手たちがそろえば、傲慢に自我のスタイルを突き通すようなサッカーをしてもある程度結果は付いてくる。
それを知りながらもモウリーニョの変幻自在のサッカーを理解している。
近代的なサッカーをするには戦術理解力の高い選手が不可欠だ。

ラファエル・ベニテスも同じような監督だ。
3-4-3システムを余裕のある試合中にテストするなど、今季もチームの引き出しを作ることには余念がない。
また、相手チームの分析にも長けている。
試合前には選手たちに相手の戦い方を教え、自分たちの戦い方を細かく指示し、緻密なゲームプランを立てる。
メッシ、ロナウジーニョを封印し、完勝したバルセロナ戦はプラン通りの試合だった。

選手をどう配置し、どのような戦い方をするのか、また、相手の出方にどう反応するのか、180分を見据えた両監督のカードの切り合いは目が離せない。
04-05シーズンの同カードでは、ベニテスが1点をもぎ取り決勝に進出。
決勝ではミランに3点リードされてから追いつき、優勝している。
今回はモウリーニョが挑戦者だ。
1点を奪える選手はチェルシーの方が少し上に見えるが。


チャンピオンズリーグのスコア予想ゲームやってます。
http://www.e-3.ne.jp/cl/06-07

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2007年04月15日

夢の劇場で

シアター・オブ・ドリームス

サッカーの神様から愛でられているスタジアムの一つオールド・トラフォード。
数々の名勝負がこのスタジアムで生まれた。
ユーロの決勝、チャンピオンズリーグの決勝を開催する資格を持つ、UEFAが定める5つ星スタジアムである。

準々決勝2ndレグのローマ戦も印象的な試合だった。
1stレグで完敗したチームとはとても同じチームとは思えないほどの、圧倒的な強さで完全にローマを飲み込んだ。
スコールズ、ギャリー・ネビル、ビディッチと、レギュラーを数人欠いてもなお、前半だけで4点を奪う猛攻。
ローマはただ呆然とするだけで、チャンピオンズリーグの舞台を降りることになった。

マンチェスター・ユナイテッドの「変貌」とも言えるこの強さは、オールド・トラフォードなくしてはあり得ない。
7万6000人が入るこのスタジアムで、マンチェスター・ユナイテッドを応援する人の威圧感はいったいどんなものだろう。
相手チームとしてスタジアムに立たなければわからないだろうその迫力は、おそらく我々の想像を遥かに凌駕するものなのだろう。
ビッグマッチを経験してきている選手たちですら、自らのパフォーマンスを披露することが難しいのであるのだから。

ミランとの試合ではスコールズが出場停止から復帰できる。
そしてスミスが90分出場できたのは大きい。
2トップのほうがルーニーによりいいボールを供給できる。
攻撃の切り札が増えたことで、戦い方にも余裕が生まれる。
注目は両翼。
クリスティアーノ・ロナウドとギグスがどれだけチャンスメークをできるかだろう。

ビッグマッチなればなるほど、オールド・トラフォードの圧力は高くなる。
ローマよりもビッグマッチに慣れているミランはどうだろうか。

あまり注目されていない時こそ底力を発揮するイタリア

2006年のワールドカップでイタリアを優勝に推した人は、イタリア人以外にどれだけいただろうか。
イタリアはワールドカップ前のカルチョ・スキャンダルにより大混乱に陥っていた。
これが選手の精神面に悪い影響を及ぼすことは明らかだと、多くの人たちは考えていた。
だが、イタリアは逆境に強い。

94年ワールドカップでは、予選リーグを1勝1敗1分けの成績で、総得点が1点多かったために辛くもリーグ3位となり、決勝トーナメント進出となった。
そこから決勝戦までたどり着いている。

2000年のユーロでは、準決勝の開催国オランダとの試合で前半に一人退場者を出し、PKを2回取られてもなお、最終的にPK戦を制して決勝までたどり着いた。

今年のミランはカルチョ・スキャンダルの影響で、選手補強に失敗し、シェフチェンコの大きな穴を埋められずにいた。
リーグ戦では序盤でスクデット争いから脱落。
チャンピオンズリーグでもいいパフォーマンスは見せられない。
だが、勝ち上がる。

現在のチーム状況からして、ミラン不利の見方は至極当然だ。
その状況はミランが有利になるとしてもだ。

注目すべきはガットゥーゾ。
ユナイテッドの速いパス回しをさせないための、パスの出所を抑えるのは難しい。
正確なダイレクトプレーはユナイテッドの十八番だ。
そうなればキーマンを自由にプレーさせないことが重要になる。
おそらくギグスを抑えることになるであろうガットゥーゾのファイトは見ものだ。

02-03シーズンのチャンピオンズリーグの決勝の地、オールド・トラフォード。
この時のチャンピオンはミランだった。

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posted by e-3_inc |13:28 | チャンピオンズリーグ | トラックバック(0)
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2007年04月01日

選手層の厚さではチェルシーに軍配が上がるが

バレンシアvsチェルシー

リーグ戦も残すところ10試合あまりとなる4月のこの時期、選手たちには肉体的にも精神的にも疲労が溜まっている。
フレッシュなコンディションと高いモチベーションが無ければ、そのチームが持てる最高のサッカーを披露することはできない。
そこで重要になるのが選手層ということになる。

一般的に言うターンオーバーシステムを使うのは、監督としては難しい仕事なのではないだろうか。
選手はプレーしてこそ価値がある。
同じような実力を持つ選手をベンチに常時置いておくということは、控え選手のメンタル面でのケアが大事になる。
誰だってベンチで満足する選手はいない。
いかにチームを結束させるか、不平不満を取り除くことができるかということを、より深く考えなければならない。

そういう点で、特にモウリーニョ監督は他のチームの監督たちより大変な仕事をこなしていると言えよう。
チェルシーは同じ実力のチームが2チーム組めてしまうチームだ。
他のチームへ行けば間違いなくレギュラーとなれる選手がベンチに何人も座っているほか、ベンチにすら入れない選手すらいるわけだ。

しかし、チェルシーの選手たちからは不満の声がでることはあまり無かった。
挑発的な言動や傲慢な態度には賛否両論があるが、選手たちからは一様に信頼されている。
非常にまとまったチームである。
だから誰が出場しても一定のパフォーマンスを残す。
安定して強いチームだ。

呪われたように怪我人が出るシーズン

バレンシアの今シーズンの怪我人の数は異常だった。
カンテラから4人の選手を呼んでベンチ入りさせた試合もあったほどだ。

ここにきて、モリエンテスが怪我をしてしまった。
ヨーロッパでの経験豊富なベテランストライカーの離脱はかなり大きい。
モリエンテスは今シーズンのチャンピオンズリーグで5得点を挙げ、チーム内では最も得点を取っている選手である。

また、インテルとの決勝トーナメント1回戦第2戦後の乱闘騒ぎの処分が確定し、ダビド・ナバーロは8ヶ月の出場停止(2ヶ月は2年間の執行猶予)とマルチェナは4試合の出場停止(2試合は2年間の執行猶予)ということで、マルチェナはチェルシー戦2試合に出場できない。

話はそれるが、リーガ・エスパニョーラではひざの靭帯を断裂してしまう選手が異常に多く、その原因は解明されていない。
選手生命に関わることであるので、早急に原因を究明してもらいたいものだ。

似たような両チーム

チェルシー、バレンシアともにカウンターサッカーが基本的な戦術である。
キケ・フローレス、ジョゼ・モウリーニョは共に、勝つためにはこの戦術が必要だと考えている。
しかし、両チームとも相手、状況によってはポゼッションサッカーを展開することもある。
チェルシーの場合は、ウイングプレイヤーを2枚配置し、サイドを起点に攻撃的な戦いをすることも少なくない。
バレンシアの場合もビセンテ、ホアキンといったサイドのスペシャリストの強烈な突破からの攻撃がある。
試合の流れにより、試合中に巧みに戦術を変更できる高いチーム力を持ち合わせたチームだ。

1点を争うゲームとなるだろうが、チェルシーの優位は動かないだろう。

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posted by e-3_inc |16:17 | チャンピオンズリーグ | トラックバック(0)
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