2011年03月04日

■上位進出へのポイントは?

 今季のリーグ戦が開幕するまで後僅か。この時期には、順位の予想が話題として頻繁に取り上げられています。そこで、今回は昨季のリーグ戦におけるデータを元に、どのようなチームが上位に立ち、反対に下位に沈む傾向があるのかを推し量ってみたいと思います。

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 表1では、セットプレーで直接ゴールを狙ったものを除き、攻撃が始まってから11秒以内にシュートを放った割合が55%以上のチームを載せました(FKやCKから攻撃が始まったものは含みます)。お気付きの通り、鹿島以外で名を連ねているのは順位表で下の方に位置したチームのみ。下位に沈むチームは、11秒以内にシュートを放つ傾向が高いようです。

●時間を掛けずにゴールを奪うすべ

 さて、多くの得点を生み出すには、強みとなるものを持っていることや狙いとする戦い方が機能しているかが、カギになると思われます。

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 例えば、鹿島(セットプレーから3プレー以内に奪った得点は16、11秒以内に挙げた得点のうちの57.1%)や大宮(同13点、同54.2%)は、流れの中で素早い攻撃からゴールネットを揺らすだけでなく、セットプレーに合わせる形などで多くの得点を挙げていたことがうかがえます。また、仙台は割合こそ39.1%と高くはないものの、前述の2チームに次ぐ得点数(9)を記録。セットプレーに強みを持っていたことは、過去の記事「CKが得意なチームはどこ?」で、上記の3チームがCKにおけるクロスの成功率で高い値を記録したことからも読み取れます。

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 一方、流れの中における戦い振りを見ると、鹿島や神戸は対象の7チームの中で比較した際に、AZやMZといった前方のエリアでボールを多く奪えていたことが分かります。そのようにして高い位置から反撃に出られたことが、時間を掛けずにゴールを奪えた(ともに12点)要因の1つだと思われます。それは、7チームの中では最多となる14ゴール(セットプレーから3プレー以内を除く)を挙げた仙台にもいえるでしょう。MZでの回数こそ多くはないものの、AZにおいては116回と比較的多く相手からボールを奪取できていました。

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 さらに、図2を見ると仙台はDZから積極的にAZへロングボールを送り、チャンスにつなげていたことが分かります。高い位置(AZ)と低い位置(DZ)のそれぞれで、素早く相手のゴールに迫る手法を持っていたからこそ、多くのゴールを奪えていたのでしょう。

●上位を目指す上で必要なもの

 このように、下位に沈んだチームの中でも、残留を果たしたチームは短い時間でゴールを奪える幾つかのストロングポイントを持っていたことが見えてきました。一方で、逆説的に考えると、上位や中位に付けるには急がずにボールをつないで相手の守りを崩せるかが重要でしょう。その点でいえば、鹿島はその条件を満たしていました。図や表には載せていませんが、彼らが攻撃を開始してから12秒以上掛けて奪ったゴールは20と今回取り上げた7つのチームで最多であり、リーグ全体で見ても8位。時間を掛けずにシュートを放つことが多い割には低くありませんでした。昨季の下位チームが躍進を遂げるには、スタイルを一新するよりは鹿島のように主要なパターンを維持しつつ、時間を掛けた攻撃の精度を高める方が有効といえそうです。

 果たして、昨季の傾向は今季にも当てはまるのでしょうか。


<使用データ>
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執筆担当: 石川 直樹


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2011年02月25日

■「鹿島攻略」のキーマンは小川?

 新シーズンの到来を告げる「富士ゼロックススーパーカップ2011」が、26日に日産スタジアムで開催されます。今季の初タイトルを懸けて激突するのは、リーグ王者の名古屋と天皇杯王者の鹿島。特に、昨季のリーグ戦で2連敗を喫した名古屋にとっては、貴重なリベンジの機会であるとともに、連覇への試金石にもなる大事な一戦といえるでしょう。そこで、今回は昨季のリーグ戦における対戦データを元に、名古屋側の視点からこの試合のポイントを探っていきたいと思います。

●安定したプレーを見せた小川

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 表1では、昨季の鹿島戦でピッチに立ち、今回のゲームでも出場する可能性のある8人をピックアップ。その選手たちの攻撃に関するプレーの成功率を、鹿島戦とほかの試合とで比較してみました。また、表2にはエースであるケネディのシュートの部位に関するデータを載せています。これらを見ると、玉田のドリブルや阿部のクロス、ケネディのヘディングなど、成功率が低下してしまった選手がいる一方で、小川と金崎は普段と遜色のないプレーを披露。比較した試合数に差があるため一概にはいえませんが、とりわけ2試合でスタメンとして出場した小川は、指揮官の起用に応える働き振りを示したと考えられます。

●献身的な動き出し

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 図1は、エリア別のボールを受けた回数のデータです。全部で3項目ありますが、小川はその全てでトップの数値を記録。相手のゴール前で積極的に動き回り、味方のパスを引き出していたことがうかがえます。前項のボールを持った時のプレーと同様に、オフザボールの動きでもチームに貢献していたといえるでしょう。

 昨季は鹿島の洗練された守備組織の前に苦杯をなめさせられた名古屋。相手の牙城を崩すには、敵陣で効果的なアクションを起こす背番号10のプレーがカギを握るのではないでしょうか。


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執筆担当: 阿部 哲也


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2010年12月24日

■終盤戦で輝きを放った背番号9

 負傷した佐藤の穴を見事に埋め、リーグ戦の終盤において広島の主役となった李。今季初の先発出場を果たした23節以降の12試合でキャリアハイとなる11ゴールを挙げ、ここ数年間続いていた「広島の9番は活躍できない」というジンクスを見事に覆しました。リーグ戦だけでなくナビスコカップでの躍進の原動力になり、年明けに行われるアジアカップのメンバーにも選出されたFWが覚醒した理由はどこにあったのでしょうか。

●ストライカーらしいプレーへ

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 表1に、シュートを放った位置をエリア別に区切って載せました。1~22節に比べ23~34節の方がペナルティエリア付近でのシュートの割合が多く、成功(ゴール)はすべてペナルティエリアの中央に固まっているのが分かります。また、表2のように1タッチでのシュートの割合が増加していることも特徴の1つ。好調をうかがわせるプレー振りがデータからも読み取れます。

●ゴールへ向かう積極的な姿勢

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 図1は、エリア別におけるドリブルの回数の変化です。成功率が低下しているとはいえ、アタッキングゾーンでのドリブルの割合が44%から73%に上昇しています。象徴的なのが、26節の磐田戦で迫り来るDFを次々にかわし、意表を突くループシュートでネットを揺らしたシーン。前へと向かうこの意識の高さが前述のゴール付近でのシュートの増加につながり、終盤戦で得点を量産できた要因の1つになったのかもしれません。

 ついに念願の日本代表入りをかなえた李。過去の大会を振り返ると、アジアの舞台では守備を固める相手に毎回苦戦を強いられています。それだけに、リーグ戦の終盤で輝きを放ち、得点感覚が研ぎ澄まされている広島のストライカーは、短期決戦において非常に面白い存在といえるでしょう。帰化選手として注目を集めた北京五輪から約2年半。二度目となる国際舞台での活躍に期待が掛かります。


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2010年12月17日

■ジャブラニを使いこなしたのはだれだ?

 先週の投稿では、「中長距離砲に関するエトセトラ」と題して、ペナルティエリア(以下、PA)内外別のシュートや得点について「チーム」ごとに示しました。

 そこで、今回は異なる切り口から同様のテーマについて紹介したいと思います。

●セットプレーの魔術師

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 09年と10年のJ1リーグにおけるすべてのシュートを、PAの内側か外側か、流れの中かセットプレーからなのか、得点したかどうか、で分類したものが図1です。昨季と比べてPA外からのシュートが増加したことは、前回に示しました。ここで注目すべきは、セットプレーによるゴールが約1.7倍の36点となったことでしょう。
 今季に使用された公式球が「ジャブラニ」であることや、同様のボールで行われた南アフリカW杯では多くのワールドクラスの選手がそれをコントロールすることに悩まされ、セットプレーを直接ねじ込んだ得点が日本の2点を含めてわずかに5つであったことは知られています。W杯では64試合で5得点(12~13試合で1点)だったことを考えれば、J1が306試合で36得点(8~9試合で1点)を記録したのは特筆すべきでしょう。

 では、一体だれがFKなどでゴールを決めていたのでしょうか。表1には、今季においてセットプレーを2回以上直接決めた選手を挙げました。

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 断トツだったのは、先日新潟から浦和への移籍が発表されたマルシオリシャルデスです。7月24日の仙台戦では1試合でFK、CK、PKを直接決めてハットトリックを完成させるなど、リーグで随一のプレースキッカーであることは有名で、年間で8ゴールという偉業を達成。続く仙台の梁勇基も正確なキックが持ち味の選手で、09年はディビジョンが違うとはいえ2年続けてセットプレーで多くの得点を奪いました。また、わずか6回のチャンスで二度結実させた玉田とブルザノビッチの決定力は見事です。

●76人→97人へ

 流れの中に限定したものが表2です。

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 09年と10年において、流れの中でPA外から3点以上奪った選手は6人ずつでした。今季のトップはルーカス。正確なシュートで遠くからゴールを射抜いていました。

 次に図2をご覧ください。

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 図2では年度別の流れの中でのPA外シュートによる得点者数を載せました。昨季が76人だったのに対して、今季は97人もの選手が流れの中でPA外からゴールを挙げているのです。さらに、表中にはないですが、97人の選手の得点数の合計は昨季より21増えて、130でした。これらの背景には、ボールの違いだけでなく、おのおのの力量が上がった可能性があるのかもしれません。

 今季は昨季よりも遠い位置からのシュートや得点が増えました。しかし、セットプレーではマルシオリシャルデスが、流れの中からはルーカスと外国籍の選手が多かったのは確かです。来季は「スピードセル」を日本人が一番使いこなしてほしいと期待しましょう。


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執筆担当: 山中 健太


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2010年12月10日

■中長距離砲に関するエトセトラ

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 唐突ですが、上表は昨季と今季のJ1リーグ戦におけるペナルティエリア(以下、PA)内外別のシュート数とその割合を示しています。今季は昨季に比べ、PA内外の両方でシュート数が増加しました。また、昨季と異なり総数の半分以上のシュートがPAの外から放たれており、中長距離からより積極的にゴールをねらっていたことがうかがえます。

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 同じようにして得点数とその割合を見てみると、PA内で記録したゴールは14点減りましたが、PA外は09年の129点から10年は166点に増加。
 この背景の1つには、今季に公式球として用いられたジャブラニの存在が挙げられるかと思います。空気抵抗が小さくなるなどボールの改良が進んだことにより、球足が速くなるとともに「ブレ球」などがけり易くなり、GKが中長距離からのシュートに対処しづらくなったといわれています。では、実際にセーブするのは難しかったのでしょうか。また、中長距離のシュートから各チームは軒並みゴールを奪えるようになったのでしょうか。

●枠内比率に変化はないが・・・

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 図3では、年度別にPA外シュートの内訳を載せました。PA外から放ったシュートがゴール枠内へ飛んだ割合は、09年が30.2%で10年が30.0%と、割合自体に変化はほとんど見られず、GKがセーブを行った回数はリーグ全体で見れば増加(09年:1055回、10年:1166回)しています。

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 また、昨季は5チーム(山形、新潟、柏、川崎F、G大阪)が90%以上のセーブ率を記録していましたが、今季でそれを達成したのは2チーム(鹿島、新潟)のみ。もちろん、シュートを打たれた際にDFがコースを限定できていたかなど、そのほかの要素もかかわってくるとはいえ、昨季に比べてPA外からゴールをねらわれた際の対応にGK陣が苦労していたと思われます。

●各チームに生じた開き

 一方で、今季は昨季よりも中長距離からのゴール数にチーム間でばらつきが生じていました。

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 図4では、PA外から奪ったゴールを3点区切りにして、各チームがおおむねどの程度の得点を挙げていたかを見ました。昨季は半数のチームが6~8点の階層に入りましたが、今季は前年よりもチームによって違いが生じています。

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 さらに、縦軸にPA外シュートの枠内率を、横軸に同決定率をプロットした図5で昨季と今季を比べてみると、例えば枠内率が30%以上のチームとそうでないチームとの間では、今季の方が決定率に開きが生じていました。

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 最後に、図4と5で示したデータをチーム別にまとめました。
 以上のように、リーグ全体としてPA外からの得点は増えたものの、すべてのチームが軒並み中長距離からゴールネットを揺らしていたわけではありませんでした。

 来季のJリーグにおける公式球は、現在UAEで開催中のFIFAクラブW杯2010で使用されている「スピードセル」です。ジャブラニのテクノロジーを踏襲しつつ、さらに手が加えられたボールを用いて行われる来季のリーグ戦では、いかなる傾向が表れるのでしょうか。


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執筆担当: 石川 直樹


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2010年12月09日

■JFL入替戦を制するのは

 今年度のJFL入替戦に臨むのは、JFLで17位に終わったアルテ高崎と全国地域サッカーリーグ決勝大会(以下、地域リーグ決勝大会)を3位で終えた三洋電機洲本サッカー部。今週末からホーム&アウエー方式で行われます。

●日程

第1戦
12月11日(土)13:00キックオフ
会場:五色台運動公園アスパ五色メイングラウンド
三洋電機洲本サッカー部(ホーム)vsアルテ高崎(アウエー)

第2戦
12月19日(日)13:00キックオフ
会場:高崎市浜川競技場
アルテ高崎(ホーム)vs三洋電機洲本サッカー部(アウエー)

●残留を果たせなかった歴史

 次に、名称が「日本フットボールリーグ」となった99年以降に行われたJFL入替戦の結果を記してみました。

※対戦結果は左側がホーム、右側がアウエー
02年
【対戦カード】
ジヤトコ(JFL16位)vsアイン食品SC(地域リーグ決勝大会1位)
静岡産業大学(JFL15位)vs佐川印刷SC(地域リーグ決勝大会2位)

第1戦:アイン食品SC 0-1 ジヤトコ
第2戦:ジヤトコ 1-2 アイン食品SC
※2試合合計の勝ち点、得失点差、総得点で並んだため、PK戦へ突入。
ジヤトコ4-2アイン食品SCでジヤトコが残留。

第1戦:佐川印刷SC 0-0 静岡産業大学
第2戦:静岡産業大学 0-0 佐川印刷SC
※2試合合計の勝ち点、得失点差、総得点で並んだため、PK戦へ突入。
静岡産業大学3-5佐川印刷SCで佐川印刷SCが昇格。


03年
【対戦カード】
FC京都1993(JFL16位)vs群馬FCホリコシ(地域リーグ決勝大会2位)

第1戦:群馬FCホリコシ 3-2 FC京都1993
第2戦:FC京都1993 0-5 群馬FCホリコシ
※群馬FCホリコシが昇格


06年
【対戦カード】
ホンダロック(JFL18位)vsFC岐阜(地域リーグ決勝大会2位)

第1戦:ホンダロック 0-4 FC岐阜
第2戦:FC岐阜 4-1 ホンダロック
※FC岐阜が昇格


09年
【対戦カード】
FC刈谷(JFL17位)vsツエーゲン金沢(地域リーグ決勝大会3位)

第1戦:ツエーゲン金沢 1-0 FC刈谷
第2戦:FC刈谷 1-1 ツエーゲン金沢
※ツエーゲン金沢が昇格

 過去の戦績を振り返ると、入替戦の末にJFLに所属していたチームが残留したケースは02年のジヤトコのみ。03年以降では、2戦のうちどちらかで勝利を収めたことすらありません。
 チームの名称が「群馬FCホリコシ」だった時代にJFLへの昇格を果たしたアルテ高崎にとっては、リーグに所属して7年目で今度は残留を懸けて入替戦に臨むことになります。一方、三洋電機洲本サッカー部は、関西サッカーリーグで連覇を果たした自信を胸に悲願の昇格を目指すことになります。両者が属するカテゴリーは入れ替わることになるのか、それとも。


<使用データ>
「日本フットボールリーグ オフィシャルwebサイト」」から引用



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執筆担当: 小野 正太郎

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2010年12月03日

■好調の草津がJ2王者に挑む

 開幕からなかなか勝ち点を伸ばせず下位に低迷していた草津ですが、ここへきて4連勝と波に乗っています(表1)。37節の終了時点で昨季と同じ10位まで上昇し、今季の最高位となりました。一桁順位を視野に入れ最終節にホームで戦う相手は、J2で優勝を果たした柏。上位の甲府、千葉、横浜FCを立て続けに撃破した草津にとって、ラストゲームは真価が問われる一戦になりそうです。
 果たして、J2の王者を倒すすべはあるのでしょうか。

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●草津は後半に強い?

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 表2は、37節終了時点における時間帯別の得点です。これを見て分かる通り、草津は後半に多くのゴールを挙げています。その傾向が最も良く表れたのが、白星を重ねている34節以降の試合(表1)。計9得点のうち前半が2得点、後半が7得点と、残りの45分で抜群の勝負強さを発揮しています。
 図1のエリア別のシュート数を見ても、後半の方がゴールに近い位置でのシュートが多く、これが得点を奪えた要因の1つといえるでしょう。

●ここ4試合で3得点の高田

 好調を維持する攻撃陣の象徴となっているのが、今季限りで契約満了となり、来季は更新しないことが発表された高田。2トップを組むアレックスとともに3ゴールをたたき出し、チームをけん引しています。その高田がここ4試合で放ったシュートの内訳を、表3に示しました。左右の足とヘディングの本数にばらつきがなく、ゴールのパターンにもそのまま反映されています。

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 また、前後半でのプレー振りを調べると、エリア別のシュート数では特筆するような差はないものの(図2)、相手のゴールに近い位置でボールを受けた回数は後半に増加しています(図3)。放った本数に変化がないにもかかわらず後半の得点数が上回っているのは、ゴール付近でボールを受ける回数の多さが、より良い位置でのシュートにつながっているからなのかもしれません。

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●柏に付け入るすきはあるのか

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 最後に、対戦相手である柏の時間帯別の失点数を見てみましょう(表4)。合計の数値では、大きな違いはありません。しかし、時間帯別に区切ると、前後半ともに終了間際での失点が多いようです。さらに、直近の4試合で奪われたゴールは2つとも後半に喫しており、それが原因で勝利を逃しています。
 このようなデータを踏まえれば、堅守を誇る柏が相手とはいえ、草津にも付け入るすきはあるといえるでしょう。

 今季のリーグ戦でトップを走り続けた柏が貫ろくを示すのか。それとも、草津での最後のプレーとなる高田がせん別のゴールを決めてチームを勝利に導くのか。目が離せません。


<使用データ>
2010年度J2リーグ



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執筆担当: 阿部 哲也


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2010年12月03日

■F東京が迎える結末は

 12月4日に今季のJリーグは幕を閉じます。優勝や昇格がすでに決まった一方で、し烈なのは残留争い。それに巻き込まれてしまったのは、仙台、F東京、神戸の3チームです。

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 ここではF東京にスポットを当てたいと思います。

●いかに2トップへパスを届けるか

 F東京と降格圏内である16位の神戸との勝ち点差は1。引き分けではライバルの結果次第という状況であり、自力で残留を果たすには、勝利を収めることが求められます。そのために必要なことは、間違いなく「ゴール」です。表2では大熊監督が就任してからの戦績と得点者を載せました。

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 安定した結果を残しているとはいい難いですが、15節から24節まで勝ち星がなかったことを考えれば、一定の結果を残していることが分かります。
 また、得点者に目を向けると、チームの総得点(14)のうち5点ずつを奪った大黒と平山は特筆すべきでしょう。つまり、彼らに良質のボールを送ることが、勝利を収める条件の1つといえそうです。

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 表3は2人の位置別のシュート数とゴール数を表しています。

 大黒は37本のシュートの中で89.2%に当たる33本をペナルティエリアの中で打っていることや、互いに得点はペナルティエリア内から挙げたものが多いことが分かります。当然ではありますが、ペナルティエリア内でシュートを打てるように彼らにパスを出すことが重要です。

●チャンスを演出するリカルジーニョ

 では、彼らにパスを出しているのはだれなのでしょうか。表4では2人がペナルティエリア内でシュートを打ったときに、パスの出し手となった選手と回数を示しました。

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 これより、両者ともトップの回数であったのは石川。積極的なドリブルと精度の高いキックを生かしてチャンスを演出していました。最終節においても背番号18に掛かる期待は大きかったのですが、負傷により欠場が濃厚となってしまったのです。

 それを考えれば、スタメンでピッチに立つかは不透明とはいえ、次に多い回数を残したリカルジーニョの活躍こそが、2人のストライカーが得点を奪う上で、そして残留へのカギの1つとなるのかもしれません。

 最終節の相手はすでに降格が決定した京都。F東京が京都にリーグ戦で最後に勝ったのは06年までさかのぼらなければならず、苦手としている相手です。果たして、残留を達成できるのでしょうか。


<使用データ>
2010年度J1リーグ



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執筆担当: 山中 健太


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2010年11月19日

■東京Vから勝利を奪うために

 柏と甲府が3位以内を決めたことにより、J1への切符はあと1つになりました。34節が終了した時点で3位に付けている福岡が、それをめぐる戦いで千葉や東京Vを一歩リードしています。

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 さて、福岡は11月20日に5位の東京Vと対戦します。この一戦は、ライバルに勝ち点の差を詰めさせないことや、リーグ戦では2試合連続で白星を飾れていない流れを断ち切るためにも重要であるといえるでしょう。
 そこで、今回は福岡にとっての東京V戦の見どころを、「シュート」を中心にして挙げていきます。

●フィニッシュの特徴は?

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 図1では、セットプレーで直接放ったものを除き、90分あたりの値に換算した(試合数がチームによって異なるため)シュート数の多い上位5チームを載せました。福岡と東京Vはともに上位5チームに入っており、流れの中から比較的多くのシュートを放っていることがうかがえます。とはいえ、異なる部分もあります。

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 項目別のシュート数の割合を示した図2を見ると、東京Vはボールを保持してからシュートを放つまでに時間や手数を掛けていることが分かります。また、その割合(12秒以上:52.4%、4プレー以上:58.8%)は、ともにリーグで最も高い値。一方、福岡はペナルティエリア(以下、PA)内で多くのシュートを放っていることが特徴として挙げられます。その割合である64.5%を上回るチームは、リーグ全体で見てもほかにありません。
 このように、シュートを多く放っているという点では同じでも、それまでの展開やシュートを放つ場所で見ると、特徴は異なることが分かります。福岡としては、東京Vのフィニッシュへ至る主な形であり、得点のパターン(セットプレーで直接決めたものを除く33得点のうち、12秒以上掛けて決めた割合は57.6%、4プレー以上掛けて決めたのは60.6%)でもある、時間と手数を掛けた攻撃を封じ込めること。それとともに、PA内に入り込んでシュートを放つ(セットプレーで直接決めたものを除く50得点のうち、PA内から決めた割合は94.0%)回数を多くすることが、ポイントの1つに挙げられるでしょう。
 ただ、その点で懸念されているのが、あるプレーヤーの不在です。

●永里の穴を埋められるか

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 この一戦を警告の累積で出場できない永里は、チーム内で最多の13得点を挙げているように、大きな得点源です。主力として多くの時間でピッチに立ち、主に左サイドのMFとしてプレーしながらも、PA内でシュートを放つフィニッシャー(チーム全体のPA内シュートに対して自身が占める割合は21.3%)としてチームに貢献してきました。PA内に自ら持ち運ぶだけでなく、ゴール前に進入して味方からボールを受け、多くのチャンスに関与していた彼が抜けた穴をいかにして補うのか。ほかの選手が積極的にゴール前に進入してシュートを放つことや、それを促す指揮官の人選を含めたさい配などが、カギを握っているでしょう。
 また、永里の代わりに左サイドのMFとしてピッチに立つ選手は、重要なタスクを担うことになります。それは、主に対面するであろう右サイドバックとしての出場が予想される福田への対応です。

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 多くのチャンスを生み出してきた選手の1人である彼に、自由にプレーをさせないことが求められます。果敢に攻撃を仕掛けて彼を高い位置に上がらせないことや、周囲の味方と連係しながら守ることなどが、手法の1つに挙げられるでしょう。

 果たして、前回の対戦では1-1と引き分けた相手から勝利を収め、06年以来となるJ1の舞台に近付けるのでしょうか。


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2010年度J2リーグ



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2010年11月06日

■プロ11年目の新守護神

 南アフリカW杯後に川島と鄭大世が海外移籍を果たし、2人の主力を失った川崎F。リーグ戦の中断期間中にチームの再編を迫られる形となりましたが、この苦境を救ったのはともに生え抜きの選手である相澤と黒津でした。負傷で離脱していたジュニーニョの代役として開幕からピッチに立っていた黒津とは違い、相澤はレンタル移籍していたC大阪時代の08年以来となるリーグ戦の出場。しかし、中断明け後の初戦となった大宮戦でいきなり完封を達成して指揮官の起用にこたえると、その後も正GKとして安定したプレーを披露しています。

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 表1は、リーグ戦の中断前後での成績です。1試合平均の得点数や勝率は低下しているものの、守備面では改善が見られています。これはGKの変更と関係があるのでしょうか。

●失点が減少した要因は?

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 川島と相澤のプレーの比較を表2に載せました。両者のデータを比較すると、ハンドクリア以外の数値で川島がわずかに上回っています。しかし、特筆するような違いは見られませんでした。

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 表3は、リーグ戦の中断前後に相手チームに対して、どの程度シュートやパスなどを許したかを示す値です。この表を見ると、パスやスルーパスの項目以外は、回数と成功率ともに相澤の出場時の方が低くなっているのが分かります。表2のGKに関するプレーで両者に大きな差がなかっただけに、失点の減少は相澤のみの貢献というよりも、チーム全体としての守備力の向上が生んだ成果といえるでしょう。

●フィードスローが多い相澤

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 表4は、両GKの攻撃に関するプレーの比較です。キープ時間やボールを受ける回数など、足元の技術に優れる川島の特長がうかがえます。一方、フィードに関しては、キックを多用している川島に対して、相澤はスローで確実に味方につなげようとしている傾向があるようです。このような違いをチームメイトが正確に把握し実践することで、ビルドアップの質の向上につながるかもしれません。また、敵に的を絞らせないように、相澤自身がプレーの幅を広げることも必要でしょう。

 実戦から長く遠ざかっていた相澤ですが、巡ってきたチャンスを自らの実力でものにし正守護神の座に着いたのは、くしくも日本代表での川島の立場と同じ。定位置をつかんで大きく飛躍した彼のように相澤もさらなる成長を遂げ、川崎Fを初タイトルの獲得へと導けるでしょうか。


<使用データ>
2010年度J1リーグ


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執筆担当: 阿部 哲也


posted by 阿部 |03:21 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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