2011年03月04日
■上位進出へのポイントは?
今季のリーグ戦が開幕するまで後僅か。この時期には、順位の予想が話題として頻繁に取り上げられています。そこで、今回は昨季のリーグ戦におけるデータを元に、どのようなチームが上位に立ち、反対に下位に沈む傾向があるのかを推し量ってみたいと思います。表1では、セットプレーで直接ゴールを狙ったものを除き、攻撃が始まってから11秒以内にシュートを放った割合が55%以上のチームを載せました(FKやCKから攻撃が始まったものは含みます)。お気付きの通り、鹿島以外で名を連ねているのは順位表で下の方に位置したチームのみ。下位に沈むチームは、11秒以内にシュートを放つ傾向が高いようです。 ●時間を掛けずにゴールを奪うすべ さて、多くの得点を生み出すには、強みとなるものを持っていることや狙いとする戦い方が機能しているかが、カギになると思われます。
例えば、鹿島(セットプレーから3プレー以内に奪った得点は16、11秒以内に挙げた得点のうちの57.1%)や大宮(同13点、同54.2%)は、流れの中で素早い攻撃からゴールネットを揺らすだけでなく、セットプレーに合わせる形などで多くの得点を挙げていたことがうかがえます。また、仙台は割合こそ39.1%と高くはないものの、前述の2チームに次ぐ得点数(9)を記録。セットプレーに強みを持っていたことは、過去の記事「CKが得意なチームはどこ?」で、上記の3チームがCKにおけるクロスの成功率で高い値を記録したことからも読み取れます。
一方、流れの中における戦い振りを見ると、鹿島や神戸は対象の7チームの中で比較した際に、AZやMZといった前方のエリアでボールを多く奪えていたことが分かります。そのようにして高い位置から反撃に出られたことが、時間を掛けずにゴールを奪えた(ともに12点)要因の1つだと思われます。それは、7チームの中では最多となる14ゴール(セットプレーから3プレー以内を除く)を挙げた仙台にもいえるでしょう。MZでの回数こそ多くはないものの、AZにおいては116回と比較的多く相手からボールを奪取できていました。
さらに、図2を見ると仙台はDZから積極的にAZへロングボールを送り、チャンスにつなげていたことが分かります。高い位置(AZ)と低い位置(DZ)のそれぞれで、素早く相手のゴールに迫る手法を持っていたからこそ、多くのゴールを奪えていたのでしょう。 ●上位を目指す上で必要なもの このように、下位に沈んだチームの中でも、残留を果たしたチームは短い時間でゴールを奪える幾つかのストロングポイントを持っていたことが見えてきました。一方で、逆説的に考えると、上位や中位に付けるには急がずにボールをつないで相手の守りを崩せるかが重要でしょう。その点でいえば、鹿島はその条件を満たしていました。図や表には載せていませんが、彼らが攻撃を開始してから12秒以上掛けて奪ったゴールは20と今回取り上げた7つのチームで最多であり、リーグ全体で見ても8位。時間を掛けずにシュートを放つことが多い割には低くありませんでした。昨季の下位チームが躍進を遂げるには、スタイルを一新するよりは鹿島のように主要なパターンを維持しつつ、時間を掛けた攻撃の精度を高める方が有効といえそうです。 果たして、昨季の傾向は今季にも当てはまるのでしょうか。 <使用データ> 2010年J1リーグ
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執筆担当: 石川 直樹
posted by 石川 |15:39 |
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表1では、セットプレーで直接ゴールを狙ったものを除き、攻撃が始まってから11秒以内にシュートを放った割合が55%以上のチームを載せました(FKやCKから攻撃が始まったものは含みます)。お気付きの通り、鹿島以外で名を連ねているのは順位表で下の方に位置したチームのみ。下位に沈むチームは、11秒以内にシュートを放つ傾向が高いようです。
●時間を掛けずにゴールを奪うすべ
さて、多くの得点を生み出すには、強みとなるものを持っていることや狙いとする戦い方が機能しているかが、カギになると思われます。
例えば、鹿島(セットプレーから3プレー以内に奪った得点は16、11秒以内に挙げた得点のうちの57.1%)や大宮(同13点、同54.2%)は、流れの中で素早い攻撃からゴールネットを揺らすだけでなく、セットプレーに合わせる形などで多くの得点を挙げていたことがうかがえます。また、仙台は割合こそ39.1%と高くはないものの、前述の2チームに次ぐ得点数(9)を記録。セットプレーに強みを持っていたことは、過去の記事「
一方、流れの中における戦い振りを見ると、鹿島や神戸は対象の7チームの中で比較した際に、AZやMZといった前方のエリアでボールを多く奪えていたことが分かります。そのようにして高い位置から反撃に出られたことが、時間を掛けずにゴールを奪えた(ともに12点)要因の1つだと思われます。それは、7チームの中では最多となる14ゴール(セットプレーから3プレー以内を除く)を挙げた仙台にもいえるでしょう。MZでの回数こそ多くはないものの、AZにおいては116回と比較的多く相手からボールを奪取できていました。
さらに、図2を見ると仙台はDZから積極的にAZへロングボールを送り、チャンスにつなげていたことが分かります。高い位置(AZ)と低い位置(DZ)のそれぞれで、素早く相手のゴールに迫る手法を持っていたからこそ、多くのゴールを奪えていたのでしょう。
●上位を目指す上で必要なもの
このように、下位に沈んだチームの中でも、残留を果たしたチームは短い時間でゴールを奪える幾つかのストロングポイントを持っていたことが見えてきました。一方で、逆説的に考えると、上位や中位に付けるには急がずにボールをつないで相手の守りを崩せるかが重要でしょう。その点でいえば、鹿島はその条件を満たしていました。図や表には載せていませんが、彼らが攻撃を開始してから12秒以上掛けて奪ったゴールは20と今回取り上げた7つのチームで最多であり、リーグ全体で見ても8位。時間を掛けずにシュートを放つことが多い割には低くありませんでした。昨季の下位チームが躍進を遂げるには、スタイルを一新するよりは鹿島のように主要なパターンを維持しつつ、時間を掛けた攻撃の精度を高める方が有効といえそうです。
果たして、昨季の傾向は今季にも当てはまるのでしょうか。
<使用データ>
2010年J1リーグ

表1では、昨季の鹿島戦でピッチに立ち、今回のゲームでも出場する可能性のある8人をピックアップ。その選手たちの攻撃に関するプレーの成功率を、鹿島戦とほかの試合とで比較してみました。また、表2にはエースであるケネディのシュートの部位に関するデータを載せています。これらを見ると、玉田のドリブルや阿部のクロス、ケネディのヘディングなど、成功率が低下してしまった選手がいる一方で、小川と金崎は普段と遜色のないプレーを披露。比較した試合数に差があるため一概にはいえませんが、とりわけ2試合でスタメンとして出場した小川は、指揮官の起用に応える働き振りを示したと考えられます。
●献身的な動き出し
図1は、エリア別のボールを受けた回数のデータです。全部で3項目ありますが、小川はその全てでトップの数値を記録。相手のゴール前で積極的に動き回り、味方のパスを引き出していたことがうかがえます。前項のボールを持った時のプレーと同様に、オフザボールの動きでもチームに貢献していたといえるでしょう。
昨季は鹿島の洗練された守備組織の前に苦杯をなめさせられた名古屋。相手の牙城を崩すには、敵陣で効果的なアクションを起こす背番号10のプレーがカギを握るのではないでしょうか。
<使用データ>
2010年J1リーグ
シュートやドリブルといった値が減少しました。フィニッシュへの意欲が非常に高く、積極的にゴールに迫るプレーが持ち味の本田圭ですが、アジアカップではそれらのプレーは少なかったことが読み取れます。一方、全プレー数は12回ほど増加。特に、パスが10本以上増えたことは、着目すべき点でしょう。
では、そのパスについて見てみましょう。
表2ではピッチを3分割したときに(敵のゴールに近い場所から、AZ、MZ、DZとする)各エリアからどのくらいパスを出したかを示しました。AZでは90分当たりで5.7本、MZで5.8本と同じくらいの本数が増えています。さらに、そのパスの「質」の違いを示したのが図1です。
図1は、AZとMZにおいて本田圭が前方と後方のどちらにパスを出したかを割合で示したものです。これを見ると、アジアカップでは4連戦より「前方」にパスを多く出していることが分かります。とりわけ、AZにおいては顕著で、10%以上増えました。つまり、表1に示したようなシュートやドリブルによるのではなく、高い位置でより前にパスを出すことでゴールに迫っていたことが推測できます。
最後に、本田圭のパスの受け手が誰であったのかを調べたのが表3です。
おのおの出場時間に違いがあるため一概に比較はできないものの、4連戦においてはAZとMZのどちらにおいても香川へのパスが最多でしたが、アジアカップでは他の選手へ出す回数が増えました。中でも、韓国戦における前田の得点シーンでは長友を巧みに使ったように、サイドバックが彼とより綿密な関係を持つようになったことは、チームの躍進に少なからず関係していたといえるでしょう。
アジアカップでは優勝という最高の結果を残したザックジャパン。その中で、日本代表の18番はゴールこそPKでの1つだったものの、新たな一面を見せました。それは、パスで周囲を生かすことだったといえそうです。
<使用データ>
2010年9月、10月日本代表戦
アジアカップ日本代表戦
表1はアジアカップでのスタッツです。長友は本田圭と並んでチーム内で最多となる11本のラストパスを供給するなど、多くの項目で高い数値を出しています。対して、内田はクロス数とスルーパス数で長友を上回る値を記録しました。
図1と図2は2人がクロスを上げたエリアです。深い位置に集中している長友に対し、内田は浅い位置からも上げていることが分かります。
表2はクロスを結果別、タッチ種別、時間帯別に表したものです。長友は決勝のオーストラリア戦で李の得点をお膳立てするなど、クロスで2本のアシストを記録しました。また、2タッチ以上よりも1タッチで上げた方が、高い確率で味方へ届いています。一方、内田は1タッチでのクロスは1割程度にとどまり、成功率に関しても2タッチ以上の値を下回りました。
<使用データ>
アジアカップ日本代表戦
表1に、シュートを放った位置をエリア別に区切って載せました。1~22節に比べ23~34節の方がペナルティエリア付近でのシュートの割合が多く、成功(ゴール)はすべてペナルティエリアの中央に固まっているのが分かります。また、表2のように1タッチでのシュートの割合が増加していることも特徴の1つ。好調をうかがわせるプレー振りがデータからも読み取れます。
●ゴールへ向かう積極的な姿勢
図1は、エリア別におけるドリブルの回数の変化です。成功率が低下しているとはいえ、アタッキングゾーンでのドリブルの割合が44%から73%に上昇しています。象徴的なのが、26節の磐田戦で迫り来るDFを次々にかわし、意表を突くループシュートでネットを揺らしたシーン。前へと向かうこの意識の高さが前述のゴール付近でのシュートの増加につながり、終盤戦で得点を量産できた要因の1つになったのかもしれません。
ついに念願の日本代表入りをかなえた李。過去の大会を振り返ると、アジアの舞台では守備を固める相手に毎回苦戦を強いられています。それだけに、リーグ戦の終盤で輝きを放ち、得点感覚が研ぎ澄まされている広島のストライカーは、短期決戦において非常に面白い存在といえるでしょう。帰化選手として注目を集めた北京五輪から約2年半。二度目となる国際舞台での活躍に期待が掛かります。
<使用データ>
2010年度J1リーグ

