2009年12月30日

2009年最後の日

落語の演目に「芝浜(しばはま)」というのがあります。
こんな話です。

お酒ばかり飲んでいて仕事に身が入らない男が財布を拾う。目も眩むような大金を手にした男は、嬉しさのあまり仲間を集めて飲めや歌えやの大宴会を行なう。翌日、二日酔いで目覚めると、妻から「こんなに飲み散らかして、あんた飲み代をどうするつもりなんだ」と怒られてしまう。当然男は、実は大金の入った財布を拾ったから大丈夫だと、言い放つ。しかしその肝心の財布がどこをどう探しても見つからない。やがて妻から「きっと夢でも見たんだろ」と言われ、結局その財布を夢だったんだと諦めることに。
それ以来、男は心を入れ替え懸命に働き出す。大好きだったお酒も断った。やがて、立派なお店を構えるまでになる。そして、3年後の大晦日に「実は、あの財布は私が隠したんだ」と妻から打ち明けられることに。真相を知った男は、怒るどころか、むしろ自分のことを慮って知恵を働かせてくれた妻に感謝をする。妻は、ここまで頑張ってきたのはあなただと労い、じゃぁ久しぶりに一杯いかがと水を向ける。最初は拒んだ男だったが、やがて杯を手にする。しかし男は結局それには口をつけなかった。「よそう。また夢になるといけねぇや」と。

という夫婦愛がテーマになった噺です。

全く落語に造形が深くない私が、こうしてノッペリとした文章にしてしまうと味気なくなってしまいますが、この噺を得意にする名人が演じれば、きっとホロリとさせられるでしょう。そう、これは大晦日が舞台になっているので、この時期になるとよく演じられているんですね。まぁ、第九とか、忠臣蔵とかと同様に年末の風物詩ってことです。

今日の新宿の前日会見の盛況ぶりを見て、格闘技の熱が戻ってきた!格闘技は安泰だ!なんて、短絡的な感想は持っていませんが(もちろん、足を運んでいただいたかたには感謝の言葉しかありません)、今の格闘技界は、芝浜に登場する男が、僥倖に頼らずに地に足をつけて悪戦苦闘している状態だと思うのです。昔の良かった頃を思い出し甘美な思いに浸るのではなく、「明日」を目指して「今」を創り出している状態です。
心あるファンが、我々に対して厳しい意見を言っていただけることも、まさに芝浜の妻が男を愛するがゆえにウソをつき、励ますことと同じだと思うのです。
男が努力を重ね成功を手にするように、我々はファンの皆さんの声に応え最高のものをつくらねば、と今日改めて心に誓いました。ファンの皆さんと実際に杯を酌み交わすことはできませんが、皆さんが大会を見て、それを肴に美味い酒を飲んでいただければ、こんな嬉しいことはありません。

明日は2009年の集大成ですが、2010年のスタートでもあります。明日の大会が、未来の扉を叩くような大会になるよう、最後まで全力を尽くします!

posted by dream_sasahara |00:17 | トラックバック(0)
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2009年12月25日

それぞれのクリスマス

街はすっかりクリスマスな感じです。
私も、今、七面鳥の火加減を気にしながら、このブログを書いています(うそ)。

昨日のクリスマスイブは、彼女と表参道ヒルズで買い物。彼女が欲しがっていたボッテガベネタのバッグをプレゼントし、その後パークハイアットのニューヨークグリルで食事。眼下に広がる夜景を眺めながら、甘い時間を過ごすわけありません!ドンッ!
この大晦日イベントが恒例になってから、クリスマスもお正月もすっかり過ごし方が変わってしまいました。もはや、12/24も12/25も、ただ普通に過ぎていく日々の一日に過ぎません。


昨日は、夜からサムライTVの収録でした。クリスマスのイメージとは無縁、というかクリスマスの向こう側にいるといってもいい高阪さん(高阪さん、すいません!)と一緒に出演してきました。
収録中に「うちの娘が、モグラケーキを食べたいって言うんですよぉ」と嬉しそうに話すTK。種明かしすると「モンブラン」のことです。まだ子供なので「モンブラン」のことを「モグラケーキ」と思ってるんですね。うーん、実に可愛らしい。
でも、TKのようなごっついサンタさんがいて「いい子にしてたかな?はい、プレゼント。でもプレゼントというのは値段と中味のバランスが重要なんです。値段ばかりに気を取られると、際(きわ)の攻防がおろそかになって、相手が受け取らない可能性があります。その点、克紀は、値段と中味の間に気持ちを差し込む技術を持っていますから」なんて、言い始めたら、子供は「もう、プレゼントいらない!」と、泣き出すでしょう。
同じ番組で司会をされている小野寺力さんのお子さんは、サンタがいると信じているそう。なので、悪いことをすると「サンタさんですか?ウチの子は言うこときかないので、プレゼントいりません」と、電話で話すフリをするそう。すると子供は「イヤーッ!」と泣き出すみたいです。うーん、これまた実に可愛らしい。

世の男女が愛を語り合い、家族の絆を確かめ合うクリスマスイブに仕事をしていると、「俺はどこからきて、どこに行くんだろう」と激しく自問自答したくなるのですが、この話を聞いてちょっと癒されました。

そして今日は、対抗戦の最後のカード、メルヴィン・マヌーフ×三崎和雄を発表しました。
これは非常にスリリングな試合が見られそう。会見で谷川さんも言っていましたが、メルヴィンは実にDREAM LOVEに溢れた選手。私は、彼こそが「対抗戦男」になりそうな気がしています。
そして、そのメルヴィンが絶対の信頼を寄せているのが、トレーナーのマイクさん。入場の時に、いつもメルヴィンに張り手をして、アニマル浜口ばりに気合いを注入している人です。実はそのマイクさんのジムが火事に遭ったという話を聞きました。メルヴィンはもちろん、バダハリも育てた名トレーナーですから、日本の格闘技界が非常にお世話になっている人と言っても、過言ではありません。こんな状況にも関わらず、大晦日もメルヴィンのトレーナーとして来日しますので、我々でも何かできることがないかと検討中です。この件は、近々アナウンスをしますので、是非皆さんマイクさんの為にご協力いただければと思います。

というワケで、大晦日まであと一週間。
泣こうがわめこうが、一週間後には大会が開催されます。
そうです。「Show must go on」です。

気取って訳すと「それでも、幕はあく」でしょうか。
我々イベントを作る側にとっても、そこで試合をする選手にとっても、どんな悲しみが襲おうが、どんな驚くべきことが起ころうが、その日が来れば静かに幕は開きます。幕が開くことを楽しみにしてい人達がいる限り、我々は全力で準備し、選手は全力で練習に励むのです。

posted by dream_sasahara |10:45 | トラックバック(0)
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2009年12月23日

狭き門

All is fair in love and war.

「恋と戦争は手段を選ばない」という意味です。
この言葉、恋に恋いこがれる思春期の若い子達であれば、額面通りに受け取るのでしょうが、「勝負はどんな手を使ってでも勝つ」という喩えとして用いるのが一般的でしょう。

果たして本日、まさにその言葉を体現するようなカードを発表しました。

青木真也×廣田瑞人
川尻達也×横田一則

ここまでに至る経緯や私の思うところを書こうと思ったのですが....まぁ、書きだすと長くなるので、今日の青木選手と川尻選手のコメントや態度から行間を読み取ってください。

青木真也は相変わらず舌鋒鋭く、刺々しい雰囲気を隠そうとしませんでした。
一方で、川尻達也は、敢えて黙して語らずという態度を貫いていました。

二人の振る舞いは違っていましたが、きっと思いは同じはずです。
そして、その思いは「リングで戦うことでしか、伝えられない」と、二人とも分かっているでしょう。

どれだけ饒舌に百万言を費やし、どれだけ流暢に思いの丈を説明しても、ファイターにとって、その拳ほど雄弁に語ることのできる手段はありません。一発のパンチや、一瞬の関節技に賞賛が与えられるのは、それが単にテクニカルだけだからではありません。言うまでもなく、そこにはそれを放つ者の喜びも、悲しみも、怒りも、全ての感情が込められているからこそ、見る者の心を揺さぶるのでしょう。


二人が約束の地に立つには、リングに思いの全てをぶつけ、見る者に勇気を与え、そして勝利するという、狭き門をくぐらねばなりません。

しかし、二人ならばきっとやってくれるはず。
彼らが共に狭き門をくぐり、今度は拳を交える日がくるはずです。

posted by dream_sasahara |00:01 | トラックバック(0)
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2009年12月17日

ようやく2

昨日に引き続きです。

ようやくDynamite!!のスペシャルサイトができました!

http://www.dynamiteofficial.com/

飛んでいただくと、真っ先に流れるのは魔裟斗選手の軌跡を追ったムービーです。
ちょっと長いのですが、思わず見入ってしまうはず。

私は、魔裟斗選手と直接的な関わりはないのですが、今回のDynamite!!での引退にあたって、改めてその偉大さを感じています。K-1ファン、キックファンには当然のことなのでしょうが、まごうことのないスーパースターだということを、日々感じずにはいられません。

そのムービーを見ながら、引退に向けたキャッチコピーを考えてみました。どこにも発表する場所がないので、ここで勝手に披露する暴挙に出たいと思います。


「この世で一番格好イイ、サヨナラだ。」

「キックの神様の最高傑作。」

「明日、あなたが目覚めた時に、魔裟斗はいない。」

「彼はどうしようもなく強かった。そしてたまらなく優しかった。」

「彼は、明け行く一日を最後の一日だと思い、生きてきた。」

「不運を嘆くひまがあれば、運命に抗え。」

「格好よく生きるのは簡単だ。だって、死ぬ程努力すればいいんだろ?」

「へその緒が切れたときから、俺はキックボクサーなんだ。」

「筋書きの無いドラマすら、彼の前では筋書きになる。」

「本当に一人で闘える男は、きっと一人じゃない。」

「世の女性は泣き、世の男性は嫉妬する。」

と、つらつらと考えていると、幾らでも言葉が浮かんできそう。
普通であれば、ちょっと恥ずかしくて口にできない「努力」とか「根性」といった言葉も、魔裟斗選手が口にすると、千金の輝きを放つ気がします(それゆえにスーパースターなのでしょうが)。

そして最後に立つリングで、どんな闘いを見せ、どんな言葉を語るのか。
格闘技の無い人生なんて考えられない!と、思うあなたは、それを胸に刻むことが責務でしょう。

posted by dream_sasahara |23:02 | トラックバック(0)
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2009年12月16日

ようやく

カード発表ができました。

本当にギリギリのタイミングとなってしまいましたが、残りのカードは早々に発表できればと思います。
と、ここに至るまでに大晦日らしい色んなことがあったのですが、それは谷川さんのツイッターをご参照下さい。
http://twitter.com/K1_Tany

昨日の会見では、DREAM側からはKID、柴田、マッハ、所の4選手。そしてSRCからは泉、郷野、金原の3選手が出席しました。それからワンマッチに出場する西島選手を合わせると、全8選手ですね。
これだけの人数が並ぶのも実に大晦日っぽい感じがします。

出席者のなかで、一番ノリノリだったのはKID選手。
エッジの効いたコメントを連発していたのですが、なかでも出色はこれでしょう。

「オレにやられても、まだ戦極のチャンピオンだから心配しないで」

こういうセリフって考えていてもなかなか出てこないですし、まぁ普通の選手は言えないですよね。
よくよく考えてみると、日本人と対戦するのって06年の宮田和幸戦以来。おまけに総合では日本人には負け無しなんですよね。DREAMチームの核弾頭として、大晦日は戻ってきたKID、まさしくダイナマイトKIDを見せてくれるはずです。
ブログには、会見後の撮影の様子が載っています。

http://blog.krazybee.jp/

ちょっとこれだけだと分からないと思いますが、相当かっちょいい映像が撮れたようです。この写真を見ると、柴田選手は普通に手を降ろしていますが、VTRが回っている間中、ずっーーといつものポーズをしてました。どんなVになるんだろ?

それから、もう一つ印象に残ったのは「太陽と月見草」こと、マッハ選手と郷野選手のやりとり(意味が分からない人は、お近くの野球に詳しい人に聞いてみましょう!)。もちろん対抗戦なんですけど、ちょっとそれとは別の歴史が刻まれた一戦だと思います。

ちなみに会見後にTBSアナウンサーのプロレス大好き初田アナと話したところ「一番は、柴田×泉ですよぉぉぉぉぉ!」と、ひとりで炎上してました。あまりに話が長かったので、途中で逃げてきたのですが(冗談です)、初田アナならずとも、プロレス目線で言えば、プロレス×柔道の異種格闘技戦ってことでしょう。猪木×坂口、猪木×ルスカ、もっと言えば力道山×木村政彦ってことですよね。そう、この一戦にはプロレスの歴史とエッセンスが詰まってるんですよぉぉぉ!ドンッ(←机を叩いてます)。と、初田アナの気持ちを代弁しておきました。

どの試合も色んな見どころがあるのですが、そこに対抗戦というスパイスが加わることで、さらにコクが増してくると思います。

大晦日まで残り僅かですが、是非みなさん、あーでもない、こーでもないと想像&妄想を膨らましていただければと思います!

繰り返しますが、残りのカードは早々に発表します!

posted by dream_sasahara |21:44 | トラックバック(0)
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2009年12月09日

解けた!リーマン予想!

私の周りでもTwitterがえらく盛んですね。

昨晩も谷川さんから「笹原くんもTwitterやったほうがいいよぉ〜」とお誘いを受けました。

自己分析するに、私はこういう「新しいもの」に対する初速が遅い気がします。周りが盛り上がっているのを見て、やおら手にするというタイプ。ブログもそうですし、mixiもそうですし。新しいサービスや機能にあまり頓着しないのです。よく言えば慎重ということなのですが、面倒くさがり屋といったほうが正しいでしょう。

で、(谷川さんではない)ある人からお誘いを受けて、ひとまずTwitterにテキトーに登録したのはいいのですが、使い方もよく分からないのでほったらかしにしています。
お歳暮で高級なジャムをもらい、今度の休日に優雅な朝食を楽しもうと思っているけれど、結局冷蔵庫に入れたままになっている感じでしょうか。ある時気付くと既に賞味期限切れになってるみたいな。うーん、ちょっと違うか。

このブログも、写真を張り付けたり、文字の色を変えたり色んな機能があるようなのですが、私の場合は普通の文章一辺倒という、甲子園の伝統校のような古豪スタイルを貫いています。と書けば、質実剛健な感じはするのですが、これも面倒くさいので、ただ書いた文章をそのままアップしているだけに過ぎません。

と、どうでもいい話しはさておき、Twitterです。
利用者数は300万人を超えているそうで(最新の数字はもっと多いようですが)、これからもグングン数が増えてくるでしょう。自分でもよく仕組みが分かっていないけど、その恩恵を受けているものって身近にもたくさんあります。


数学の難問の一つでリーマン予想というのがあります。
「ゼータ関数の自明でない零点の実数部は全て1/2である」

はい。裸足で逃げ出したくなります。

素数に関する予想らしい、というのが私が理解できるレベルです。あとは原子核物理学の、原子核のエネルギー間隔を表す公式とも一致しているそうです。

はい。空気が震える程に号泣したくなります。

この手の話しは佐伯さんが専門だったはずなので、今度聞いてみます(うそ)。
でもこの素数が、実は我々のクレジットカードの暗号(電子決済)に使われているんですってね。知ってましたか?

つまり何が言いたいかというと、リーマン予想に関することは理解できなくても、知らぬうちにその恩恵に与っているってことです。Twitterの仕組みをよく理解していなくても、色々有益なことがありそうなのでちゃんと始めてみようかな、ということを言いたかったのです。なう。

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posted by dream_sasahara |14:10 | トラックバック(0)
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2009年12月07日

K-1 WGP感想

快男児のようなストレートなタイトルを付けてみました。
でも内容は、独断と変態に満ちた感想です(偏見ではありません)。

MVPはアリスター・オーフレイム
影のMVPはルスラン・カラエフ
裏のMVPはセーム・シュルト
真のMVPはバダ・ハリ

という感じでしょうか。
って、全部MVPじゃん!という声はもっともなのですが、簡単に解説(感想)を。

言うまでもなく、今大会に緊張感をもたらしたのはアリスターでしょう。
彼が事前インタビューで答えた「K-1は楽だ」というセリフが、会場内でも煽りでも使われていましたが、私が流行語大賞の審査員なら「K-1 流行語大賞2009 〜言葉のチカラ〜」を授けたいところです。痺れるくらい、いいセリフです。喧嘩の売り方も分かってますし、プロとしてどう発言すべきかもよく分かってますよね。対抗戦とは斯くあるべきだと思います。

こうした異種ジャンルからの刺客がいると、(その敵が強大であるほど)迎え撃つ側から悲壮感が伝わってきますよね。「絶対に負けられない」という、崖っぷちに立たされるような心境がそうした雰囲気を纏わせるんでしょう。
そのプレッシャーを一番感じていたのはバダ・ハリで、目を覚まさせたのはルスラン・カラエフのような気がします。あのルスランの闘いっぷりは見事でした。
「お前がK-1というジャンルを背負ってるんなら、まずは俺を倒してから行け!」
「そんな腑抜けのようなツラでアリスターに勝てると思ってんのか!」
と、少年ジャンプなら、殴り合いの最中こんなセリフが入っていそう。最後は勝ったバダからルスランに「お前の魂、受け取ったぜ」というセリフで「つづく」となりそうな試合でした(あくまで笹原の変態的妄想です。当のルスランは、間違いなくバダを倒す、優勝する気でリングに上がっていたでしょうから)。

会場的には、これでバダ・ハリが優勝すれば大団円ということだったのでしょうが、その予定調和をひっくり返したのは、セーム・シュルト。勝ちっぷりも、その与えられた役どころも実にセームらしいですよね。会場が静まりかえっているなかで、喜びを爆発させるセームの無邪気さは、変態的にはド真ん中ストレートという感じです。でも、セームは文句無しのチャンピオンだと思います。

そして、やはり中心にいたのはこの人。
去年は反則で優勝を逃し、今年はK-1史上最大の外敵アリスターを下すも準優勝と、最後の最後で勝ち切れないバダには、全盛期のバンナの姿とオーバーラップする部分があります。だからこそ色気を感じるのですが。加えて彼からは「俺こそがK-1」だという、傲慢さと自負が滲み出ています。傲慢さは、時として脆さに繋がることがあるのですが、そのバランスのなかで曲芸を見せてこそプロだと思います。バダにはそうした姿が実に似合います。来年こそは念願の優勝を手にするのか、それともやはり栄冠に手が届かないのか、どんな結果になるか分かりませんが、2010年のK-1の中心にいるのは間違いなさそうです。

と、そんなことをつらつらと考えていたのですが、やっぱり外国人ヘビー級ファイターのドツキ合いは、理屈抜きで面白いってこと。「K-1こそが格闘技だ」という力強い宣言を、久々に聞く思いでした。視聴率も良かったので、谷川さんの満足そうな高笑いが聞こえてきそうです!

posted by dream_sasahara |18:55 | トラックバック(1)
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2009年12月02日

坂の上の不毛地帯

テレビドラマ好きの人ならば、タイトルを観てピンと来るはず。

私は普段あまりテレビを観るほうでは無いのですが、ここ最近楽しみにしているドラマが、「不毛地帯」と「坂の上の雲」です。

「不毛地帯」は、山崎豊子原作で、主人公の壱岐正は瀬島龍三がモデルとされています。ドラマ自体は非常に暗くて、重たいのですが、かなり力を入れて作っているのが画面からも伝わってきます。

もう一つの「坂の上の雲」は司馬遼太郎原作のNHKドラマ。「内藤×亀田戦」が行われた日が、第一回目の放送でした。

厳密に言えば、ドラマが好きというよりも原作が好きなのでドラマもそのまま観ている、ということなのですが。では具体的にどこが面白いのか?と、書き始めると原稿用紙7,000枚くらいになってしまうので割愛。すっごく乱暴なことを承知で書けば、両作品共に「生きるとは」「使命とは」「日本人とは」という、骨太なテーマに貫かれています。

笹原はこの忙しいときにドラマ観て、余裕ぶっこいてるだなぁと嘆息した貴方!鋭いのですが、違います。何が言いたいかというと、「タイトルがいいな」ということなのです。

「不毛地帯」は、これまた非常に大雑把に書くと、戦争から帰還した主人公が安寧の地と思い就職した会社で、戦争さながらのビジネスの世界に舞き込まれていくストーリー。つまり、どこまで行っても救いようのない「不毛地帯」ということなのです。さらに言えば、人の世は不毛だが、希望を見いだし生きるしかない、という逆の意味も込められているのかもしれません。たぶん。

一方の「坂の上の雲」は、明治という時代の空気を詩情あふれる言葉で表しています。
日本全体が、欧米に追いつけ、追い越せという姿勢に傾斜し、さらに個々人も封建の世では考えられなかったが、努力すれば何人(なにびと)かになれるかもしれないと、国家と個人の栄達が重なり合っていた時代が舞台になっています。つまり、国家も個人もこの坂を上れば、やがて雲すら掴めるかもしれない、という意味なのでしょう。雲は希望のメタファーのはずです。たぶん。

短い言葉で、その内容を十全に表現するのは非常に難しいです。
大会タイトルや、キャッチコピー、選手の肩書きなんかもそうですね。こういう話しになると「昔のプロレスラーの肩書きって格好よかったよね」という話しになります。人間発電所。ブレーキの壊れたダンプカー。美獣。荒法師。燃える闘魂。ハンカチ王子。などなど。

DREAMに参戦するファイターにも、肩書きがついていますが、一番浸透しているのって誰なんでしょうか?青木選手の“バカサバイバー”は入場テーマ曲が肩書きになった珍しい例。マッハ選手の“野性のカリスマ”、川尻選手の“クラッシャー”なんか修斗時代から使われています。KID選手の“神の子”は、本人の口から出た言葉がそのまま肩書きになっています。アリスター・オーフレイムの“ダッチ・サイクロン”は、PRIDE時代に私がつけた肩書きですが、いまだに使われているのは嬉しい限り。同じシリーズ、(地名+天災ってことです)のヒカルド・アローナの“ブラジリアン・ボルケーノ”は、あんまり聞かなくなりましたが。

言うまでもなく、肩書きが光り輝くのは、選手本人の活躍があってこそ。
「不毛地帯」や「坂の上の雲」といったタイトルが美しく見えるのは、内容が素晴らしいから
そう思えるというのもあるでしょう。

10年後にも、その肩書きが燦然と輝くようなファイターが、DREAMからもたくさん生まれることに期待しています(無理矢理、格闘技の話しに着地させました)。

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posted by dream_sasahara |17:49 | トラックバック(0)
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