2010年01月25日
格闘する心
最初に断っておきますが、今日はちょっと長いです。 昨日はDEEPの大阪大会に行ってきました。 例によって、大阪の夜の風紀が乱れているという緊急通報が飛び込んできて、あまねく大阪の夜の街をパトロール....は、してません。昨日は当日入りの当日帰りでした。本当です。 そのDEEP大阪大会のメインは、DEEPウェルター級のタイトルマッチ。 チャンピオン・池本誠知選手と、挑戦者・白井祐矢選手の一戦でした。 池本選手も白井選手も、共にDREAMウェルター級グランプリに出場し、それぞれザロムスキーとジェイソン・ハイに敗れてしまいましたが、この階級の日本人ファイターのトップクラスにいることは間違いありません。もう一度DREAMのリングに這い上がろうと、生き残りを賭けた闘いが行なわれたワケです。なんて書くと、本当に通り一遍な文章になってしまいますが....お互いに絶対に負けられない、絶対に勝つ、という思いは半端であろうはずがありません。実績を積み、チャンスを得て、メジャーのリングに立ち、そこで敗北を喫した。しかしそこから這い上がり、もう一度チャンスを掴めるか否かって、自分の人生が変えられるか否かと同義と言ってもいいでしょうから。 その試合内容はお互い一歩も引かない、激しい闘いでした。 地元大阪の開催で、加えて指導している子ども達がたくさん応援しに来ている池本選手。試合中に「池本先生がんばってー」という声が聞こえるたびに、胸が締め付けられるような気持ちになります。 一方の白井選手は、たくさんの練習仲間から、「シライーー!イッケーーー!」と、とてもアウェイとは思えない程の声援。そう、ここぞというところで結果が出せずに「苦労人」と言われることを知っている仲間達の声援が、いつもより大きく聞こえるのは気のせいではないはず。 果たして結果は、判定5ー0で白井選手が新チャンピオンに輝きました(DEEPのチャンピオンシップはジャッジ5名による判定です)。 私は、試合が終わった瞬間の選手本人の姿以上に、周りの表情のほうが気になる質(たち)なのですが、判定が告げられた時に、白井選手以上に泣き顔だったのは、一番近くで彼の苦悩と努力を見てきた長南選手でした。その表情を見るだけでも、一冊の小説を読む以上の物語を感じ取ることができます。チャンピオンとなりベルトを腰に巻いた後には、吉田秀彦選手、中村カズ選手、小見川選手、長谷川秀彦選手らに胴上げされてました。歓喜の渦のなか池本選手は、試合前に大声援を送られて歩いてきた花道を、一人無言で引き上げて行きます。こうして勝者と敗者のコントラストが鮮やかに浮かび上がるのは、コンパクトな会場だからという物理的な要因もありますが、両者共に見据えている未来が同じであり、しかしそれを掴めるのは一人だけ、という状況だったからでしょう(こういうのは、ほんっとにDEEPの素晴らしさだと思います)。 白井選手本人のコメントも、決して饒舌ではありませんが、行間から喜びが伝わってきます。 http://ameblo.jp/shiraiyuuya/ 言うまでもありませんが、池本選手の思いにも、白井選手の思いにも優劣はありません。 もちろん、周りの仲間達も同様です。勝者と敗者を分けるものは、本当に僅かな何かなのでしょう。 その僅かな差ってなんなんだろうと、とりとめもなく考えていた時に、マンガ「エースをねらえ」の 一節が思い浮かびました。正確には「エースをねらえ」のなかで登場し、広く世間に知れ渡った福田雅之助というテニスプレーヤーの「庭球訓」です。聞いたことのある方お多いでしょう。 この一球は絶対無二の一球なり されば身心を挙げて一打すべし この一球一打に技を磨き体力を鍛へ 精神力を養ふべきなり この一打に今の自己を発揮すべし これを庭球する心といふ 野球でよく言うところの「一球入魂」です。 ではなぜ、「この一球は絶対無二の一球なり」と思いを込めて一打し、一球に魂を込めてボールを投げ、魂を込めてバットを振らなくてはならないのでしょうか。こう尋ねられると、小さい子に「なんで、空は青いの?」という質問されて、うまく答えられないときと同じような感じになりませんか? ちなみに私はいつも「空が青いのは、世の中にたくさん悲しみがあるからさ」と、答えるようにしています。私のダンディな名回答例はさておき、その「エースをねらえ」のなかで、主人公・岡ひろみのコーチである宗方仁(むなかた・じん)が、非常にクッキリと説明してくれています。確かこんな説明だったはず(笹原のうろ覚えなので間違っている可能性があります...もしかしたらお蝶夫人が、こんなこと言ってたかも)。 試合のなかで勝負を決めるのは一球だ。しかし試合をしている最中は、その「勝負を決める一球」というのは、どの一球なのか分からない。だから、常にその一球が「勝負を決める一球」だと思いプレイするんだ。 ダーツの矢が真ん中に刺さったように、明快且つ爽快な回答ですね。 回り道しちゃいましたが、これって格闘技にも当然通ずるものがあります。 勝敗を決める一瞬の攻防というものがある。でも闘っている最中はどの瞬間だか分からない。だからこそ常に集中し、一瞬の攻防が常に勝負を決める攻防だと思い闘え、ってことでしょう。 池本×白井戦も、同じ思いの大きさで、実力伯仲した二人がぶつかった。 勝負を決める一瞬を制した白井選手が勝利を手にした、という気がします。 そう言えば、病魔に侵され、余命幾ばくも無い宗方コーチは、人生に敷衍して、こんなことも言っていたはず。 「この世のすべてに終わりがあり、人生にも試合にも終わりがある。それがいつなのか知ることはできなくても、一日一日、一球一球、必ず確実にその終わりに近づいている。だから、きらめくような生命をこめて本当に2度とないこの一球を、精一杯打たねばならないのだ」 間違いなく、二人の試合は「きらめくような生命をこめた」試合でした。 帰りの新幹線で、こんなことをぼんやり考えながら柿の種(わさび味)を齧ってました。
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posted by dream_sasahara |12:34 |
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