2007年11月22日

【ゴルフ】1999年男子ツアーを巡る分裂騒動

現在、男子プロゴルフの人気は凋落の一途をたどっています。一方女子プロゴルフは若手の台頭などで急激に人気を集めています。この状況については今後別のエントリーで語ろうと思いますが、男子プロゴルフの凋落を語る上で重要な出来事が1999年に起こりました。トーナメントツアーを巡り、男子プロゴルフ界で大きな対立問題が発生したのです。

■男子プロゴルフ界の現状
一言でプロゴルファーといってもその仕事は様々です。トーナメントツアーで賞金を稼ぐプロもいますし、練習場やコースなどに所属しレッスンを主に行うプロ、ゴルフ場やクラブの設計に携わるプロなどがいます。同じプロゴルファーでもその目的は各々違うと言うことになります。

日本において全ての男子プロゴルファーは日本プロゴルフ協会(PGA)に所属することになりますが、07年2月20日現在4,582人が在籍しています。一方ツアーを管轄するため、PGAとは独立した組織として日本ゴルフツアー機構(JGTO)が存在します。ツアーに参加する選手はこちらにも所属することになります。現状、250名程度が所属していると考えられます。ここまで読んでお気付きの方もいらっしゃると思いますが、PGAでプロゴルファーとしての資格がなくとも、JGTOのクオリファイを通過すればツアーに参加可能です。

■JGTO発足前の状況
JGTO発足前はトーナメントツアーもPGA管轄にありました。とはいえ前述したとおり、ツアー選手は非常に少数であり、また彼らの目的も他のプロゴルファーとは異なるものです。この状況を踏まえ、PGAはトーナメント数ならびにトーナメントレベルの向上、ツアー選手の能力向上を図り、その活性化のためにプロゴルファーとツアー選手を明解に分けようと考えました。その結果として1997年1月、PGA傘下の独立採算組織としてツアーオブジャパン(TOJ)が発足しました。TOJに名を連ねるメンバーは、PGAから4名、ツアー参加の選手会であった日本ツアープレーヤーズクラブ(JTPC)から4名、主催者団体である日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)から4名、日本ゴルフ協会(JGA)から1名が選ばれていました。

しかし、TOJはPGAの内部組織であったためTOJは上手く機能したとはいえませんでした。ツアーに関する事案はTOJが行うといっても、重要事案はPGA理事会決定が必要であったり、TOJが実行すべき事案や管理すべき権限の委譲が行われなかったりといった状態でした。特に問題となったのは、大会スポンサーで構成されるGTPAがPGAに預託する「公認料」です。1社1000万円、30社で合計3億円と言われる公認料はPGAに入っていましたが、TOJの改革派はその移管を要求しました。PGAとしても、それだけ多くの収入基盤がなくなるのは痛手であり、その要求に応じませんでした。既存権益を巡って、PGAとTOJ改革派・JTPCの対立は激しくなっていきます。

その一方、PGAとGTPAの対立も深まっていきます。各トーナメントのスポンサーはGTPAに加盟します。GTPAはスポンサーの異なる各トーナメントの連携性や相乗効果を向上させることなどで世間の注目度を上げ、投資対象としての価値を高めるという重要な役割を演じています。しかしPGAはGTPAとは別にGTPA未加盟スポンサーの大会枠を広げる動きを見せ、GTPA側の不信感が強まっていきました

■JGTOの発足
このように、既存権益を守ろうとするPGAとツアーに関する権利の委譲を要求するTOJ改革派とJTPCは対立。同じようにPGAへ不満を持つGTPAもTOJ改革派・JTPC側を支持するようになります。TOJの改革が遅々として進まないのに業を煮やしたTOJの改革派は1999年1月21日、PGAから独立し日本ゴルフツアー機構(JGTO)の発足を発表します。JTPCやGTPAもこれに賛同、協力を表明します。これに対しPGAも改革派の抜けたTOJへ予選会の開催権や商標権の移管を発表し、自らの手でTOJを通じてツアー部門の改革を進める方向性を打ち出します。

トーナメントの中にはPGA自体が主催する試合(当時の日本プロ、フィランソロピー、日本プロマッチ)やGTPA加盟でもPGA寄りのスポンサーのPGA協賛試合があり、1999年度のツアーが分裂する可能性もありました。

分裂という最悪の事態を回避するため、PGAとJGTOも水面下で交渉を行います。結果2月15日、共同で以下の発表を行います。
 1)賞金ランキングはJGTOのツアーに一本化
 2)PGA主催試合はJGTOツアーに組み込まれるがPGAが実施(日本ゴルフ協会(JGA)主催の日本オープンなどと同じ扱い) 
 3)PGA共催試合については、JGTOツアーに加入するよう両機関が共同で説得
ツアー自体の管理からPGAは手を引く内容となっています。当時の趨勢はJGTOに傾いていましたので、PGAとしては面子を捨てて最悪の事態を回避するという実を取ったといえます。PGA共催試合であった東建コーポレーションカップはJGTOツアーに参加するもの、他の試合は中止となってしまいました。

■分裂騒動のインパクト
上記一連の騒動は各メディアで報じられました。ゴルフトーナメントツアーの権益を巡る争いが中心であったため、ファン不在の内部分裂といった側面が大きくフォーカスされました。これによって男子ツアーに対し世間の不信感が強まったと考えられます。今後のエントリーで詳細を述べますが、99年の男子ツアーの賞金総額合計は前年を下回り、それ以後賞金総額合計は横ばい状態が現在まで続いています。もちろん経済情勢なども関係してきますが、企業は男子ゴルフツアーを投資効率の良い分野と考えていない(=世間的に注目度が低い)ため、スポンサーとして多額の資金を提供する方向にないといえると思います。JGTO発足に関係する一連の騒動は、現在の男子プロゴルフツアー人気凋落の一つの原因と考えることが出来る重要な事件だったのです。

posted by dongking |13:34 | ゴルフ | コメント(0) | トラックバック(0)
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