2010年01月19日
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
プロ野球界では毎年数多くの外国人が大きな期待と共に来日し、またその一方で期待された成績を残せずにひっそりと帰国していきます。その中で私の記憶に残っている外国人選手をご紹介するこのコーナー、今回はサモアの怪人、トニー・ソレイタです。
1947年1月15日アメリカ領サモア出身のソレイタが野球に初めて接したのは家族でハワイへ移住した8歳の頃だったと言われています。その時に以前からクリケットに親しんでいたため手の皮が分厚かったソレイタは、はめていたグローブを守りづらさから外して素手で守ったことを明かしています。見た目通りの屈強さは子供の時からであったことがよくわかるエピソードです。その後サンフランシスコ郊外のジェファーソン高校に進んだソレイタは野球とアメリカンフットボールの主将として活躍、投手としてノーヒットノーランを達成したこともあったといいます。 ソレイタのもとにはその両方のプロ球団から入団のオファーがいくつも届きましたが、既にアメフトよりも野球に心惹かれていたソレイタはそのオファーからヤンキースを選び、アマチュアFAとして1965年入団契約を交わしました。昇格を目指してマイナーで鍛える厳しい日々だったにもかかわらず、彼の陽気な性格を表す面白いエピソードが残っています。ある日ソレイタが海岸近くに生えているヤシの木に登りココナッツを取ってきたというのです。ソレイタがヤシの木に登れるとは思いもしなかったチームメイトはただただ驚いていたとのことです…。1968年ソレイタは1Aで49本塁打を放ち年間トップマイナー選手に選ばれ、そのご褒美としてわずか1打席ながらメジャーでプレーしました(ちなみにアメリカ領サモア出身のメジャーリーガーは現在までソレイタただ一人)。しかしメジャーに定着することはかなわず、再び長い間マイナー暮らしへ逆戻り…。1973年2月にパイレーツにトレード、1973年12月には「ルール・ファイブ・ドラフト」でロイヤルズに移籍すると、ここでやっと本当のメジャーデビューを果たすことができました。その後エンゼルス(1976年-1978年)、エクスポズ(1979年)、ブルージェイズ(1979年)を渡り歩き、7シーズン525試合に出場し1316打数336安打(打率.255)50本塁打203打点をマーク。1979年にFAとなったソレイタは次のキャリアを日本で歩むことを選び、1980年に日本ハムへテスト入団しました。 1980年シーズンに入るとソレイタはトミー・クルーズ、柏原純一らとともに強力打線を形成し、打率こそ低かった(.239)ものの45本塁打95打点をマーク。1シーズンで4打数連続本塁打と2試合がかりの4打席連続本塁打を記録(1シーズンに4打数連続本塁打を2回達成)するという日本記録を樹立しました※1。1981年は打率.300、44本塁打108打点で本塁打と打点の二冠王に輝き、攻撃面でチームのペナント制覇に貢献。しかしMVP投票では惜しくも3位となりました(MVPはチームメイトの江夏豊が獲得)。とある関係者は「ソレイタが日本人だったらMVPだっただろう」とコメントしたといいます。来日してから寿司や刺身、焼き鳥を好んで食べ、パチンコまで覚えていたソレイタもこういった日本球界の偏見と日米間での文化の違いに戸惑いフラストレーションを溜めていたのかもしれません。以後は成績を若干落とすものの30本塁打以上を継続し1982年にはベストナインに指名打者として選ばれましたが、1983年オフに36歳という年齢と大沢啓二監督から植村義信監督へ指揮官が代わったことから解雇されてしまいました。ソレイタはNPBに4年在籍し、510試合1786打数479安打(打率.268)155本塁打371打点という素晴らしい成績を残して帰国していきました。 ※1 1980年には同時に1試合5三振のNPB記録も達成しています。 ソレイタというと私はその頑強そうな巨体と豪快なスイングを思い出します。その体躯は金剛力士像を想起させるほど逞しいもので、放たれる打球はまさに規格外でした。ボビー・ミッチェルから始まった「日本ハムの外国人=豪快な本塁打」という私のイメージはソレイタとクルーズによって確立され、以後脈々と受け継がれていった感があります。 帰国時にMLBのジャイアンツからオファーの話もあったようですが、ソレイタは結局生まれ故郷のサモアへ戻る決意をしました。ソレイタは以前からいつかはサモアで子供たちがプロ野球選手を目指せる環境を作りたいと思っていたのです。ソレイタは支援者から土地や寄付金を集め、自らでグラウンドを作り、台湾やハワイへ子供たちを連れて遠征するなどして数年間で600人以上の子供を育て上げていました。しかし1990年2月、土地問題を巡るトラブルから路上で射殺され、43歳という若さでこの世を去りました。彼が亡くなった後もソレイタの遺志は家族や支援者のおかげで受け継がれているといいます。いつの日かサモアから第二の「トニー・ソレイタ」が生まれることがあるかもしれません。 【名珍外国人列伝 バックナンバー】 こちらからバックナンバーをご覧になれます。 ■【プロ野球】名珍外国人列伝 バックナンバー ※名珍外国人列伝へのエントリー候補選手も上記バックナンバーをご覧ください。 ※取り上げて欲しい外国人助っ人のご要望はコメント欄へお願いします。 BlogPeople「ニュース・一般/スポーツ」ブログランキング BlogPeople「スポーツ・車・アウトドア/スポーツ」ブログランキング 人気ブログランキング
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posted by dongking |16:54 |
野球 名選手 |
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【プロ野球】名珍外国人列伝 バックナンバー 【酒のツマミはスポーツ観戦】
名珍外国人列伝もかなりたくさんエントリーをしてきましたので、整理のためにこちらにバックナンバーを掲載いたします。 ※携帯電話からご覧の方はリンクが表示されませんので、タグ(「名珍外国人列伝」)から辿っていって下さい。お手数をおかけいたしますが何卒宜しくお願い申し上げます。
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【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
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とても懐かしいのですが、そんな最後だったとは…
今さらながらご冥福をお祈りします。
新聞の見出しでしたか、HRを打つと「それ、行った!」なんて言葉が載っていました。
posted by Dallas | 2010-01-19 17:37
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
コメント投稿者ID :
何年の日本シリーズだったか忘れましたが、確か第2戦、ジャイアンツの西本から打った、先制のレフトへの流し打ちのホームランが今でも目に焼き付いています~クルーズと組んだクリーンアップの破壊力は凄かったですね~又、ご飯を食べるとき、コーヒーをぶっかけて食べたというエピソードが、西鉄時代の豊田や、近鉄の暴れん坊永淵などが飯に酒をぶっかけて食べた話とリンクして、とてもパリーグ的な選手なんだなぁと思った記憶があります。
それにしてもそんな最後だったとは思いもしませんでした。。。改めてご冥福をお祈り致します~
posted by 白金の虎 | 2010-01-19 18:58
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
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>Dallas様
「おソレイタしました」という見出しもあったような気がします(苦笑)。
>白金の虎様
「後楽園シリーズ」となった1981年の日本シリーズですかね。第1戦では江川から、第2戦では西本から初回に本塁打を左翼席に運んだと思います。それ以後パタリと打てなくなって日本一は逃してしまいましたが…。
posted by dongking(管理人) | 2010-01-20 12:40
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
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いつも楽しく拝見させて頂いております。
ソレイタって日本で4年しかプレーしてなかったのですねぇ。
なんか存在感が凄くあったので、かなり長くプレーしたような印象があります。
posted by C.G. | 2010-01-20 16:01
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
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ソレイタって在籍期間の割りに確かに凄く印象に残っていますね。豪快でしたが、変な力みみたいなのがなくてスムーズなスイングで左翼に巧くホームランかっとばしてましたね。
志半ばでの最期は悔しかったでしょうね…
posted by 湾岸一番☆ | 2010-01-20 23:12
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
コメント投稿者ID :
こんにちは。
確かソレイタのエピソードに、日本のご飯が大変気に入りよく「コーヒーとご飯だけ」という食事をしていて、このメニューが「トニースペシャルランチ」と名づけられていたという話を読んだ事があります。「日本のご飯はとてもおいしい。コーヒーをかけて食べたいくらいだ」と言っていたという話もあったと思うのですが、記憶違いだったでしょうか?
しかし、最期に関する話は衝撃的でした。まさに「非業の最期」というしかありません。ご冥福をお祈りしたいと思います。
posted by JAXVN | 2010-01-23 16:29
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
コメント投稿者ID :
皆様、コメントありがとうございます。
>C.G.様、湾岸一番☆様
名前のインパクトもありますが、在籍期間が短いながらも本当に印象に残っている選手ですね。
>JAXVN様
コーヒー&ご飯の組み合わせは存じておりませんでした。白金の虎様も同様のエピソードをコメントされておりますので、信憑性は高いのではないでしょうか。
なお、ソレイタの最期ですが、土地取引のトラブルと簡単に書いてしまっていますが、サモアはマタイと呼ばれる酋長をトップとした酋長制コミュニティであり、マタイから土地開発を任命されたソレイタが、その土地をめぐって茶々を入れてきた流れ者とトラブルになり、挙句に射殺されてしまったとのことのようです。個人的な利益のためでのトラブルでないことを追記させていただきます。
posted by dongking(管理人) | 2010-01-26 12:24
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
コメント投稿者ID : OOH00015715
サモアのマタイ制度などよくご存じですね。
ソレイタ選手がご存命なら、今頃はサモアからもMLBやNPB選手が輩出されていたかもしれませんね。
ちなみに、サモアではココアライサ(ココ=ココア、アライサ=ライス=ご飯)なる食べ物が主流でして、ココアまぜご飯というものがあるんですね。ソレイタ選手は、ココアに似せてコーヒーをご飯に混ぜようとしたのかも知れませんね。
サモア関係者ながらソレイタ選手のことを存じ上げず、ご冥福をお祈りするとともに、今後ソレイタ選手のようなサモア人が日本で活躍することを切に願っています。
posted by | 2010-08-18 01:07
【プロ野球】名珍外国人列伝 トニー・ソレイタ
コメント投稿者ID : dongking
>ID : OOH00015715様
はじめまして。
ココア+ライスのココアライサは初めて知りました。ソレイタのコーヒー+ライスにはサモアの郷土料理が影響していたのですね。情報ありがとうございます。
悲しい最期でしたがソレイタの志を引き継いだ選手は必ず出てくると思います。その日までじっくり待ちたいと思います。
posted by dongking(管理人) | 2010-08-18 15:01
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