2008年06月13日

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

阪神の誇る老獪投手岩田鉄五郎下柳剛。昨年は規定投球回数にも達することが出来ず(129 1/3回)、防御率も4.11でした。阪神の先発投手陣の中では一番の勝ち星(10勝)をあげましたが満足の行く成績とは言いがたい結果に終わりました。

リベンジを誓った今年は既に6勝(リーグ3位タイ)を挙げ、防御率も2.55でリーグ5位、完投も果たしており、首位を独走する阪神を支える大車輪の活躍をしています。今回は下柳の復調をデータから見てみようと思います。

■少ない球数と投球回数
40代に突入した下柳の体力の衰えは否めないところでしょう。しかしコーナーを突く投球術は必然的に球数を増やすことに繋がります。07年シーズンは129 1/3回を投げて合計2143球、1イニングあたり平均16.57球を投げていました。しかし今季は6/12現在で投球回数70 2/3回で1003球、1イニングあたり平均14.19球に収まっています。防御率の向上と、1イニングあたりの投球数の減少により昨年より多くのイニングを投げる結果に繋がっているといえるでしょう(1試合あたりの平均投球回数 07年5.17回、08年6.42回)。
20080612_01
なぜ1イニングあたりの投球数を減らすことが出来たのでしょうか?鍵になるのは「少ない打者数で3アウトを得る」ことだと考えられます(当たり前と言えば当たり前ですが)。それを実現するには被打率の低下四死球率の低下(要するに出塁率を低下させる)が必要でしょう。 まず被打率を見てみましょう。07年に.287だった被打率は今季.268まで下げることに成功しました。つづいて四死球ですが、イニングあたりに与えた与四死球数は07年の0.43に対し08年は0.24と激減させています。9イニング換算すると、3.83個(07年)と2.16個(08年)となります。約45%の削減ということになります。
20080612_02
出塁を減らした結果、防御率も向上し、投球数も減る。投手として理想的な投球を行っているのではないでしょうか。打者の打ち気を上手く利用する老獪さと変化球の切れの復調がこれを支えていると思います。 ■気になること そんな好調下柳ですが、少し気になることが1点あります。初回の失点率の高さです。昨年の総失点68のうち初回失点は16(総失点に対して23.5%)だったのに対して、今年は現段階で総失点21のうち初回失点は8(総失点に対して38.1%)となっています。先発投手として初回に昨年以上のペースで失点しているのはあまり褒められたものではないでしょう。ちなみに昨年は2回以降もコンスタントに失点していましたが、今年は初回以降は失点が非常に少ない傾向にあります。初回の入り方に関しては捕手も含めて考え直す必要があると思います。 ■まとめ 昨年オフの時点では、40歳を迎える今年、失礼ながらそれほど多くの活躍を期待していませんでした。豪速球による奪三振ショーも楽しいですが、経験による老獪さと配球の妙で相手を手玉に取る投球術もあることを再認識させてくれました。これから厳しい季節を迎えますが、是非とも頑張ってほしいものです。 追伸:昨年と今年で投球のストライク/ボール率を出そうと思いましたが、膨大なデータ量で断念しました…。


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posted by dongking |16:30 | 野球 名選手 | コメント(6) | トラックバック(2)
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【プロ野球】好調下柳をデータから考える

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でも下柳って夏あまり勝てませんからねぇ。。
去年も8月打ち込まれ全敗でしたし。
1年通したら去年と同じ成績になってるかもしれません。。

posted by ま | 2008-06-13 19:02

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

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このデータに、奪三振率を付け加える必要はないのでしょうか?打たせて取るピッチングであることも、球数を少なくする要因ですし。もちろん、その場合は他の投手との比較という形になりますが。

posted by 無名 | 2008-06-13 20:04

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

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>ま様、
昨年の同時期(07/6/15)までの下柳の成績は以下の通りでした(比較の為に08年の成績も記しておきます)。

 07年 11試合 55 2/3回 ERA4.20 被打率.301 四死球率 3.23
 08年 11試合 70 2/3回 ERA2.55 被打率.268 四死球率 2.16

おっしゃる通り8月以降は2勝4敗(4敗は全て8月)でしたが、同時期の成績を比較しても今季下柳の調子がいいことが分かります。

posted by dongking(管理人) | 2008-06-13 22:23

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

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>無名様、
奪三振によるアウト獲得は比較的球数が多くなる傾向があると思います。極端な話ではありますが、打たせてとる場合、1球でアウトを取れる可能性があるのに対し、三振によるアウトは少なくとも3球を要することからもそれは分かると思います。

奪三振率を見ると昨年は5.15、今年は5.35です。その差分は0.2であり、45イニング投げて三振数の差が1つだけということです。

三振を取るのに必要な球数が7球だと仮定すると、奪三振率の変化によって増えた球数は45イニングで7球たらず、1イニングで約0.16球の増加要因となります。一方昨年と今年のイニング当たりの投球数の差は-2.38球であり、奪三振率が上がっても投球数が減っているという、先に述べた前提と異なる結果になりました。。

昨年(~07/6/15)同時期の奪三振率は4.69で今年との差分は0.66。約13.64イニングで1つの三振差となり、上記と同じ仮定(奪三振1に必要な投球数は7球)だと1イニング当たり約0.51球の増加要因となりますが、同時期のイニング当たりの投球数は16.06球(894球÷55 2/3回)で今季のイニング当たり投球数との差は-1.87球であり、ここでも奪三振率が高いのに球数は少なくなっている傾向であることが判明します。

(補足:1アウト獲得に必要な投球数は下記に記していますが、奪三振の場合はそれよりも若干球数が必要と考え、7球と仮定しました)。

ここから推測するに今年の下柳は昨年(同時期に比べても)奪三振率の向上という球数増加要因がありながらも実際の球数が減っており、奪三振以外の大きな要素があることが分かると思います。

出塁を許してしまうとその打者へ投じた投球数は、アウトを取るという観点から考えると「無駄球」になってしまいます。被出塁率を下げた結果が球数の減少に繋がっていると考えたほうが妥当だと思います。

ちなみに、07年と08年の打者数、総アウト獲得数(=投球回数×3)、投球数から、打者1人当たりへの投球数平均、1アウト獲得に必要な平均打者数、1アウト獲得に必要な平均投球数を求めてみます。

【07年/07年同時期(~07/6/15)/08年】
打者数:582/253/288
総アウト獲得数:388/167/212
投球数:2143/894/1003
打者1人当たり平均投球数:3.682/3.534/3.483
1アウト獲得に必要な打者数:1.5/1.515/1.358
1アウト獲得に必要な投球数:4.731/5.353/4.731

このデータからも下柳が昨年と比べて効率よく打者を打ち取っていることが分かると思います。

posted by dongking(管理人) | 2008-06-13 23:09

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

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なるほど、納得しました。ここまでご丁寧に解答をいただき、ありがとうございます。それにしても、去年と較べてイニング数でおよそ15の差があるんですね。にもかかわらず、球数は100程度しか増えていないというのが凄い。気の早い話ですが、来年の今頃がどうなっているのかが楽しみでもあり、不安でもあり、といった感じです。

posted by 無名 | 2008-06-14 00:20

【プロ野球】好調下柳をデータから考える

コメント投稿者ID :

>無名様、
データではありませんが、今年は左打者に対する外角へ逃げる変化球のキレが戻ってきたように感じられます。昨年はキレがあまりなく、見切られてボール判定でカウントを悪くするということが多く見られましたので…。

何歳まで投げてくれるのか、岩田鉄五郎バリにやってくれたらホントに凄いのですけれど。


ちなみに2つ上のデータに記載ミスがありました(1アウト獲得に必要な投球数の07年数値)。正しくは以下の通りです(スミマセン)。

【07年/07年同時期(~07/6/15)/08年】
打者数:582/253/288
総アウト獲得数:388/167/212
投球数:2143/894/1003
打者1人当たり平均投球数:3.682/3.534/3.483
1アウト獲得に必要な打者数:1.5/1.515/1.358
1アウト獲得に必要な投球数:5.523/5.353/4.731

posted by dongking(管理人) | 2008-06-14 00:29

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