2007年12月18日

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

前回、プロ野球の改革のためにはまず球団経営を透明化し、財務諸表等の開示を行うべきであることを書き、またコメント欄でリーグ事務局の統合とコミッショナー権限の強化を図る必要があると述べました。

■【プロ野球】まずは球団経営の透明化を

いきなり結論から述べてしまっているのですが、今回はその結論に至った現状の球団経営の実情と問題点を述べたいと思います。

※自分でもいろいろ考えながらのエントリーなのでツッコミどころ満載かもしれませんがご容赦ください。

■親会社による球団の赤字補填
戦後プロ野球が再興の道を歩んでいた昭和29年(1954年)に、国税庁からある通達が行われました。

■職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について@国税庁ホームページ

乱暴ですが簡単に言ってしまうと、
 1.親会社が広告宣伝のために子会社である球団に投入したお金は損金扱いでよい。
 2.野球事業で発生した子会社球団の赤字の補填のために支出したお金は赤字額を上限として「広告宣伝費の性質を有するもの」として扱ってよい(=損金扱いでよい)
と国税庁からお達しが出ているということになります。

球団の赤字を親会社が補填した際に損金扱いだとなぜ親会社はありがたいのでしょうか。それは損金の分、親会社の利益が減り法人税の負担が減らせるからです。簡単な例を挙げて考えて見ましょう。
 親会社利益:100億円
 子会社球団への赤字補填:20億円
 法人税率:50%
と仮定します。
赤字補填が損金として認められるときの親会社の法人税は
 (100億円-20億円)×50%=40億円
補填がない場合の親会社の法人税は
 100億円×50%=50億円
となります。赤字補填額を広告宣伝費として考え、20億円を球団に支払っても法人税で浮いた分があるので実質は10億円で広告ができるということになります。おのおのの親会社がいかに広告宣伝費と考えて自らの子会社の球団赤字を補填できるかが球団経営のミソになっているわけです。

■鉄道会社が球団を持った理由
現状球団を持つ鉄道会社は阪神(阪急)と西武ぐらいしかありませんが、その昔は近鉄、阪急、南海、近鉄、国鉄、東急、西日本と多くの鉄道会社がプロ野球球団を保持していました。彼らのほとんどは自社広告のためというよりも、本業である鉄道を発展させるために球団を持っていました。球場までファンを輸送することによる売上増と路線の価値を高めるのが目的であり、小田急における箱根、京王における高尾山や京王閣と同じ意味合いだったのです。よって鉄道路線網の整備・拡大や輸送量の増加により鉄道会社が大きく発展した高度成長期、球団の赤字などは親会社の赤字補填で乗り切れていました。

■現状の問題点~親会社の不振~
とはいえ、球団本拠地までターミナル駅から距離があまりなく、輸送量増加による売上増が見込めない、既に沿線価値がある程度高いもしくは球団保有が路線価値の向上に繋がらないと判断した鉄道会社は早々に撤退していきます。国鉄、東急などは早期に球団を手放しました。

その後経済成長が一段落し、輸送量や路線価値の急激な上昇が見込めなくなり、鉄道事業が頭打ちになってくると、そもそも広告宣伝としての意味合いが薄い鉄道会社の球団経営はただ単に鉄道会社にとってはお荷物状態になってきます。南海はダイエーに、阪急はオリックスに買収されますが、バブル経済破綻に伴い鉄道会社以外の親会社の経営状況も悪化し、企業が球団を広告媒体としても保有する意味合いが減少しています。

現状、
 ・親会社の黒字額の減少
 ・広告媒体としての効果が不明瞭(趣味・価値観の多様化)
という点から親会社の広告媒体として球団を保有する理由はなくなりつつあります。ただ逆に言うと、とんでもなく黒字がある親会社であれば球団保有するメリットはあるでしょうし、単体で黒字をあげている球団はそれはそれで一企業として成り立っているといえます。

■プロ野球球団が目指すところは…
球団の広告媒体としての効果が不明瞭で、かつ多くの親会社がバンバン赤字を補填する状況にない以上、今までのような「球団は親会社のコバンザメ」という状況ではいけないと思います。プロ野球球団が一つの企業として独り立ちしなければならないのです。しかし一方ではスポーツビジネスは対戦相手がいないと成り立たないという特殊性があります。従って、日本プロ野球という総体の再構築とビジネスモデルの確立が必要だと思うのです。

次回は、その基盤の構築と「戦力の均衡化」について考えて見たいと思います。

posted by dongking |03:08 | 野球 構造改革 | コメント(6) | トラックバック(0)
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【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

親会社の広告塔としての役割は今も不変ですよ。
逆に広告塔が不要なTBSが親会社の横浜は
不幸ですね。同様に広島も。
次の球界再編の震源地はこの2球団でしょう。
ヤクルトは球団保有の旨みを十分理解してます。
身売りはまずないでしょう。

ビジネスモデルについて言えば、MLBとの
決定的な違いは次の2点です。
①TV全国放送の放映権料をコミッショナーの
 管轄にしていないこと(ローカルはチーム毎)
②球場建設・使用料の負担が日本よりはるかに
 少ないこと(地公の支援が大)
だから収益が下支えされていると同時に、
ヤンキースのようなローカルメディアで莫大な
収入を得られるチームが存在するのです。
日本の球団は上記の2点を改善しない限り、
収益の面でメジャーに追いつきません。
それは年俸で追いつけないことを意味します。
巨人の専横を許す社会ですから、まあMLBに
追いつくのは無論、近づくのも無理と思います。

posted by 日本球界を憂う | 2007-12-18 11:01

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

TV放映権をコミッショナー管理に一元化すれば、海外への進出もやりやすいんだがね。
全試合放映は無理にしても、各球団の試合詰め合わせとか需要はそれなりにあるだろうに。
試合を流して野球を布教すれば、まあ将来的には裾野は広がる気がするね。超希望的観測でいけば。

posted by 奈々氏 | 2007-12-18 11:13

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

親会社の球団への支出を「広告宣伝費」で計上するのは節税対策で問題だという意見はよく聞きますが、わたしには何が問題なのかさっぱり分かりません。
親会社は球団名に自社名を入れることで莫大な広告宣伝効果があるのだから、球団に「広告宣伝費」を支払うのは合理的かつ正当な経済行為です。
それをけしからんというのは、
「京セラ」ドーム大阪や福岡「Yahoo! JAPAN 」ドームという命名権に対し京セラやyahooが広告宣伝費を計上するのはけしからん、
というのと同じことです。
結局、球団への数十億円もの支出を「広告宣伝費」で計上できるのはそれだけの広告宣伝価値が球団にあるからです。
球場の命名権ですら億単位の広告価値が認められているのだから、球団所有の広告価値が数十億円でも何ら問題はないのです。
もしも問題があるなら、それこそ国税庁が飛んでくることでしょう。

posted by たか | 2007-12-18 11:22

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

プロ野球再編論議のときに、
巨人・オリもうひとつは忘れましたが、
3人のオーナーの座談会をテレビで
やっていました。
球団の赤字を嘆くオリ宮内オーナーに対して、
巨人滝鼻オーナーが「でも元はとれたでしょう?」と言うと、宮内氏は頷いていました。
プロ野球チームの宣伝効果は不人気と言われる
オリですらかなりのものがあると言うことです。

posted by 3年前ですが | 2007-12-18 11:38

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

皆様、コメントありがとうございます。広告については「やった場合」「やらない場合」の比較測定が難しいので、ある程度親会社側に余裕がないと巨額の資金を投入するのは難しいのではないかとい仮定に基づいてエントリーを書きました。そこは今後考えていく必要がありそうです。とはいえ、広島という親会社を持たない(マツダが出資していますが)場合、球団は親会社の子会社ではないので損金を補填することができず、球団だけでやりくりしないといけない現状が存在するのも事実です…。

>>日本球界を憂う様、
球団が広告塔としての意味合いがあるかどうかについてご意見ありがとうございます。また放映権と施設使用料については今後のエントリーで触れようと思います。

>>奈々氏様、
放映権の一元管理は親会社が放送メディアを持つ球団の反対が大きそうですね。

>>たか様、
親会社の球団の赤字補填自体については私は問題だとは思いません。どの親会社も赤字補填をガンガンできるほどの体力がなくなりつつあることから方向転換すべきなのでは…というのが持論です。特にエントリーで述べた鉄道会社の場合、広告宣伝しても収益に直接影響がでる割合は低く(JRのCMを見て、これから電車はJRなどとは考えないですし、あくまで企業イメージのためですよね?)宣伝する意味合いが薄いので、近鉄や南海、阪急の身売りは必然だったと思っています。

>>3年前ですが様、
情報ありがとうございます。

posted by dongking(管理人) | 2007-12-18 13:52

【プロ野球】親会社の赤字補填と問題点

極論すれば、広告宣伝費であろうが、販売管理費
であろうが、投資に対する効果が出ていれば、
問題ないと思います。

但し、管理人さんもご指摘の通り、
赤字を「親会社の広告宣伝費で補填すること」が
問題です。つまり、球団自体の経営努力が充分
行われてきたのかどうかという部分がポイントに
なります。

現実的に、殆どの球団が実質的に赤字であること
は否めないと思いますが、参入初年度の球団が
黒字を達成する等、個々の球団の経営努力が
見られ始めていると思っています。
(特にパ・リーグで)

ではその要因は何なのか?
例えば、選手年俸をコストとして、球団経営を
圧迫する要因とのお考えをお持ちの方もいらっ
しゃるようですが、自分は、選手年俸=投資と
考えております。
故に、「投資対効果」はきちんと検証すべき
との考えです。

自分はむしろその大きな要因の1つは球場使用料
だと考えます。球団によっては年30億円以上
支払っているところがあるのはすでにご存知の
通りです。

球場は、地方公共団体or第三セクターが保有して
いるケースが多く、何をするにも制限があり、
スタジアム内における収益の最大化が実施しに
くい環境にあり、また、一部の球団を除いて
殆どの球団において、TV放映権での収益が多くは
期待できないという環境もありました。

千葉マリーンズが2005年に指定管理者制度を導入
していますが、背景としては、「TV放映権での
収益が期待できない→どこから収益をあげるかと
いう観点で考えれば、観客増によるチケット収入
増である」ところからスタートしています。

これは「民で出来ることは民で」ではありません
が、地方自治体or第三セクターが所有する施設の
運営管理を特定の民間業者が行うものです。
これにより、実質上マリーンズは千葉マリンスタ
ジアムを「自主運営」できるようになりました。
前述の通り、何をするにも制限があった従来に
比べて、ある程度スタジアム内での運営ができる
というメリットがあります。

また、ちょっと視点を変えて、私見を述べます。
今年の夏にPLM(パ・リーグ マーケティング)と
いう携帯動画配信会社ができましたが、
これは文字通りの意味に加え、TV放映権以外の、
「リーグの新たなる収益源」を追求している側面
もあるのではないかと推測されます。
その根拠はMLBAM(MLBAdvancedMedia)という
MLB直轄のインターネット会社の設立(2000年)
(をモデルケースにしたのでは)にあります。
(MLBAMはMLBの収益分配制度における4つある
“収益源”のうちの1つです。)

つまり、球団の個々の経営努力に加えて、
リーグ全体による収益確保の最大化も合わせて
考慮されていると思われ、また、そのリーグ全体
を含めた収益確保こそ、さらなるリーグ全体の
経営安定につながると考えています。

それを実現するためには、球団の財務状況を明ら
かにし、徹底した戦力均衡を実現する必要がある
と思います。その場合、
1)人材管理(ドラフト&FA)
2)資金管理(収益分配&サラリーキャップ)
を同時に採用する必要があります。
また、2)を採用する前提として、
「経営者側から提示される財務情報の信憑性」が
ポイントとなります。

posted by Baseball all of my life | 2007-12-20 23:38

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