2007年12月17日
【陸上】マラソン五輪選考の難しさ
バルセロナ五輪で銀、アトランタ五輪で銅メダルを獲得、現在は日本陸連の理事を務める有森裕子が選考基準に関して苦言を呈しました。 ■「代表選考に明確な基準を」=有森理事、陸連幹部に迫る-女子マラソン
1988年ソウル五輪男子マラソン代表選考 マラソンの五輪代表選考でまず思い出されるのは、ソウル五輪(1988年)男子マラソンの選考です。当時、福岡国際、東京国際、びわ湖毎日が選考レースとされていましたが、五輪候補選手や強化選手は必ず福岡国際に出場することとされ、実質上福岡国際が「一発選考」のレースだと考えられていました。しかし有力候補であった瀬古が左足腓骨の剥離骨折で突如欠場。中山は瀬古が出場しない中で代表に選ばれるためには有無を言わさない成績で勝利することが必要と考え、雪混じりの雨の中35km地点まで世界最高タイムのペースで走り、見事優勝(2時間8分18秒)しました。他の日本人選手は2位に新宅(2時間10分34秒)、4位に工藤(2時間11分36秒)が入りましたが、瀬古に配慮した日本陸連は中山、新宅を内定とし、残りの1名は東京国際、びわ湖毎日の結果を見て決めるとしました。その後瀬古はびわ湖毎日を2時間12分41秒という平凡なタイム(福岡国際の工藤を下回るタイム)で優勝し、ソウル五輪への切符をつかみました。 福岡国際への瀬古の欠場を知った中山の「這ってでも出て来い」という発言は大きな話題となりました(メディアの誇張があったようですが…)。ちなみにこの選考レースはテレビで見ていたのですが、冷たい雨の中、身体から白い湯気を立ち登らせ、尋常ではないほど鬼気迫る走りをしていたことが今でも印象に残っています。 1992年バルセロナ五輪女子マラソン代表選考 バルセロナ五輪女子代表選考では、前年の世界陸上で銀メダルの山下が内定し、残り2名の選考が残されていました。その中、大阪国際女子で小鴨が予想を覆す走りをし、2時間26分26秒で優勝します。大阪国際女子での日本人選手の優勝は初めてであり、またその優勝タイムは当時の日本女子最高タイムであり、女子の初マラソン世界最高記録でもありました。伏兵のぶっちぎりの優勝で残り一人が大阪国際女子2位(2時間27分02秒)の松野になるのか、世界陸上4位(2時間31分08秒)の有森になるのか、世間を賑わせました。決定前に松野は異例の記者会見を行いますが、日本陸連は「経験と実績」から有森を選考。松野は補欠にも選ばれず(補欠は谷川)、落選時の記者会見も混乱状態で出席できないという状態でした。また結果的に有森が五輪本番で銀メダルを取ってしまったことも彼女にとっては厳しいものでした。 2000年シドニー五輪女子マラソン代表選考 前年の世界陸上で2位(2時間27分02秒)となった市橋が内定。残り2名を東京国際女子、大阪国際女子、名古屋国際女子の3レースで決定することになりました。東京国際女子では山口が優勝(2時間22分12秒)、大阪国際女子では2時間22分56秒で広山が2位、名古屋国際女子では高橋が2時間22分19秒で優勝と、3レースで2時間22分台で完走した日本人選手が3名も出てしまいました。2時間22分台を出している弘山を出さずにタイムで4分以上劣る市橋を代表とすることに対して疑問が発生したのです。 2004年アテネ五輪女子マラソン代表選考 世界陸上銀メダルの野口が内定し、またもや残り2枠を東京国際女子、大阪国際女子、名古屋国際女子の3レースで決定することに。東京国際女子では高橋が39km地点でアレムに交され2時間27分21秒で2位、大阪国際女子では2時間25分29秒で坂本が優勝し、この時点では野口、坂本、(前五輪金メダルの)高橋が有力とされていました。しかし最後の名古屋国際女子で土佐が2時間23分57秒で見事な逆転勝利を飾り、高橋を退け、五輪代表のキップを手に入れました。 選考基準問題点~世界選手権の扱い~ ここ最近問題となっているのは女子の代表選考に関するものが多いことがわかります(男子は世界で戦えるレベルでなくなってしまったからでしょうが…)。したがいましてここでは問題を単純化するために、女子マラソンの代表選考に関して述べたいと思います。 現状の基準だと、世界選手権でメダルを取ると五輪代表として内定がでます。五輪も世界選手権も夏場の試合なので世界選手権での実績を高く評価するという日本陸連の方針なのでしょうか。世界選手権は出たいといえば誰でも出れるものではありませんので、世界選手権でメダルを取った上位1名がなぜ五輪代表に決定するのか、国内選考レースの結果と世界選手権の結果のどちらが評価が高いのかを明確にする必要があると思います。 選考基準問題点~国内選考レースとメディア~ 世界選手権から内定者が出ない(=メダル獲得しない)場合はいいのですが、ここで内定者が1名出ると、3つの国内選考レースから2名を選ぶという、難しい選択を余儀なくされます。素人目に考えると、世界選手権終了後(=何名国内選考レースで決めなければならないかが判明した後)に国内選考レースを絞り込めばいいと思うのですが、なぜか日本陸連はそうしません。これは私個人の見解ですが、東京国際女子、大阪国際女子、名古屋国際女子がそれぞれ朝日、産経、中日という巨大メディアの主催で行われるレースであるためだと考えています。メディアと選考レースが深く関わっているため、残り2枠を3レースで争うという、素人には理解しがたい状況にあるのだと思います。日本陸連がメディアと決別し、しっかりとした理念の下で選考を行うという方向性を打ち出せない以上、今後も五輪のたびにゴタゴタは起こるのではないでしょうか。 選考基準問題点~私見~ 五輪レースは一発勝負です。出場する選手は超一流で、そのレースに向けて調子を上げていき、そこで結果を残すことが求められます。その選考なのですから、選考会も基本的に一発勝負にすべきだと思います。決められたレースへピークを合わせる調整能力や、国内の代表候補が一度に集められるハイレベルなレースでの駆け引きの中で上位に食い込むことこそが五輪代表に求められる能力だと考えます。また五輪コースに特徴の似たレースを選考レースとすることも必要でしょう。 とはいえ、通常国内選考レースは冬場に行うことになります。五輪は夏に行われるレースですので同じ時期に開催される世界選手権上位選手を代表候補に内定するというのは理にかなっていると思います。世界選手権に合わせて調整を行う必要もありますし、一流選手が集まる大会であるという点も、国内選考レース一本化の理由と同じです。よってこのレースでメダル獲得した選手を代表に選考することは必要だと考えます。ただ、先に述べたようにその理由と国内選考レースよりも優先されることを明確に公表しておくことが求められるでしょう。 ただこの方法をとった場合、 ・世界選手権でメダル獲得者なし ・国内選考レースで日本人優勝者なし、もしくは優勝タイムが芳しくない という最悪の事態になった時どうするのかという問題が残ってしまいます。女子マラソン界は現状世界レベルの選手が豊富なのでその可能性は低いですが、男子マラソンの場合、五輪で散々たる成績を残す可能性は否めません。しかしこのようなデメリットはありますが、複数選考レースがあるというのは選手にとってもファンにとっても非常にあいまいな状態であり、国内選考レースは一本化する方がメリットは大きいのではないかと考えています。
posted by dongking |17:45 |
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最後の五輪代表選考レースであった名古屋国際女子マラソンが終了したのを受け、今日北京五輪女子マラソン代表が発表されました。 ■女子は野口、土佐、中村 北京五輪マラソン代表発表@NIKKEI NET
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北京の選考
土佐は既に確定。野口は9割方間違い無し。よって残り2レースで一人となります。
両方で日本人女性が優勝した場合なら、タイムが良い方が代表。両方共に一位になれなかった場合も全体でタイムが一番速い女性になるでしょう。仮に世界新レベルのタイムを2人以上が出した時のみ野口が落とされる可能性が出てきますが、まずそれは無いと思います。
このケースだと後開催の名古屋の方が目標タイムがハッキリするので走り易いと思いますが、逆に先に大阪で良いタイムを出せればプレッシャーを掛けることが可能になります。
厄介なのは、片方で日本人女性が優勝したが、タイム的にはもう片方のレースで日本人トップ(レース上は2,3位)だった女性の方が速かったというケース。こうなると揉めると思います。
なお選考において高橋選手には一つ大きなマイナス要因が存在することを忘れてはなりません。それは前回最終選考の名古屋を回避した理由です。正確には主張したのは彼女の監督ですが「選出を確実にする為に名古屋に出ることは可能だが、ここで力を出して走ってしまうと本番の8月までに体力が完全に回復しない。つまりここで勝ってもアテネでは勝てなくなる。だから名古屋に出るのは意味が無い」として、だから出ないのだという点を陸連にしきりにアピールしていました。
このことが「今回名古屋で好タイムを出したけれど、疲れが残るので北京では勝てないのでは?」という風に取られる可能性はあります。本人が4年前にそうなのだと主張している訳ですし、更にそれから4歳年を取っています。スタミナが極端に改善されたとは受け取られないでしょう。
posted by 瓦礫 | 2007-12-17 23:41
【陸上】マラソン五輪選考の難しさ
内定をだすのが早すぎます。4大会の結果を見て決定しなければ!但し世界陸上で唯一のメダルを取ったからなー!?
posted by ドラきち | 2007-12-23 13:48



