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ディッキー獲得という賭け

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
パソコンが15日DL入りしてしまったということもあり、暫く更新できていませんでした。

さて、年末の一番の驚きと言えばディッキーのトレードです。とても今更という気もしますが、このトレードを明細に分析しているサイトも少ないと思われるので、まとめます。

ディッキー トーリ ニッカース⇔バック ドアーノウ シンダーガード ベセーラ

R.A.ディッキー 38歳 RHP 来季年俸500万ドル+14~15年で2年27Mの契約延長
昨季成績 233IP 20W 6L ERA2.73 SO230 BB54 FIP3.27 xFIP3.27
もはやさほど説明も必要ないだろう。遅咲きのナックルボーラー。
昨年度は最多イニング、最多奪三振をマークしてサイヤング賞に輝いた。過去二年も好成績を残してきたが、昨年はナックルの球速が平均で1mphほどアップし、奪三振率が飛躍的に向上したのが好成績の要因か。4シーズンぶりのアリーグ復帰となる。

ジョシュ・トーリ 26歳 C
昨季成績 AB321 .234/.294/.290 1HR 27BB 50SO 23CS%
26歳とまだ比較的若いが、毎年のように数字を落として打てない守れない捕手に。
デビュー年には3割をマークしていたが、年々成績を落として、ついに昨季は出塁率さえ3割を切ってしまった。選球眼は割とあるほうだがパワーはない。守備面でもあまりいいところはなく、盗塁阻止率も下降傾向で昨年は23%に留まった。基本的にはディッキーのナックルをとるためのバックアップ要員。

マーク・ニッカース 29歳 C
昨季成績 AB .174/.242/.229 1HR BB8 SO27 25CS%
バックアップのバックアップといったところで、トーリが怪我したときのために獲得した。
打撃に関してはメジャーで一度もまともに打てたシーズンがなく期待をするのは酷だろう。
今季はマイナースタートが濃厚。


ジョン・バック
32歳 右打 C 13年6.5MオフにFA
今季成績 AB398 .192/.297/.347 12HR 49BB 103SO CS%27
一昨年にジェイズに在籍経験があるので多くの説明は不要だろう。
パワー面に優れた打撃型捕手で10年オフにFAしてMIAと3年契約を結んでいた。
今季はとにかくヒットが打てず打率は2割を切ってしまった。ジェイズ時代に比べ四球は選べているので、出塁率はさほど変わってはいない。パワーは健在で、盗塁阻止率は平均程度。

トラビス・ドアーノウ 23歳 C
昨季成績 AB303 .333/.380/.595 16HR BB19 SO59 (AAA)
文句なしのジェイズのトッププロスペクト。
捕手としては規格外の打力を有しており、守備面も平均以上のものがある総合力の高い選手。惜しくも怪我で後半戦はほぼ全休となってしまったが、今季はメジャーデビューするだろう。開幕スタメンを勝ち取れば新人王もありうる。

ノア・シンダーガード 20歳 RHP
昨季成績 IP103 ERA2.60 SO122 BB31 FIP2.21 GO/AO2.21(A)
ロイ・ハラデーと比較される長身の本格派右腕。
最速で102マイルまで計測したことのある直球と、チェンジアップ、カーブを混ぜ合わせたピッチングスタイル。上限も非常に大きいが、制球力やチェンジアップもこの年齢にしては非常に完成度が高く、これまでいなかった大物有望株。

ウィルマー・ベセーラ 18歳 OF
昨季成績 AB32 .250/.359/.375 0HR 4RBI(RL)
一昨年に海外ドラフトでサインした逸材。契約金は100万ドル強。
守備にやや不安を残すが、その巨体から主砲となるだけのパワーがある。昨季はまずまずのスタートを切ったものの、死球で故障してそのままシーズン全休となった。


このトレードでジェイズは間違えなくコンテンダーになりえたと言える。ディッキーがサイヤング級の働きをしてくれるならば、ジェイズの地区優勝、ひいてはWSもぐっと近くなることは間違えない。
ディッキー、JJ、バーリー、モロー、ロメロでデプスにハップやセシルが入るローテは30球団でもトップクラスの陣容で、懸案だった先発陣が大幅に強化されたのは言うまでもない。特にJJ、モローと故障の多さが不安視される選手が複数いるジェイズのローテの中で、2度全休した年があるとはいえ、過去3年は健康に過ごしているディッキーの加入は大きなプラスになるのは確実だろう。
ディッキーの今季年俸は500万ドルと格安で、15年までを考えると3年32Mである。これまで通り200IPをクリアして、防御率2点台後半程度にまとめてくれればバーゲンとなりうる。

しかし不安もある。第一に、ディッキーが今季同様に好成績を残せるか?というのはどうしようもついてくる懸念。過去サイヤング賞を受賞した投手でそのオフにトレードされたのはデビッド・コーン、ロジャー・クレメンス、ペドロ・マルティネスといるが、3人ともその翌年に大幅に成績が悪化している。(防御率でコーンは2.94→3.57、クレメンスは2.41→4.46、ペドロは1.90→2.89と悪化) 環境が変わる中で、継続的に好成績を残すことが難しく、やはりサイヤングを獲った年がピークでその翌年は成績維持が厳しいことがわかる。流石にクレメンスのようにいきなり防御率が4点台に悪化するなんてことはないと信じたいが、昨季の再現をすることが難しいのもまた事実。ディッキーは10~11年もまずまずの数字を残していますが、その2年は奪三振率が低く、アリーグの移籍となると防御率が悪化しそうな気がします。
またディッキーがナックルという特殊な球種を操る投手であることも、今季を占う上で難しい点だろう。普通の38歳を獲得するのにここまでの選手を出せばGMは狂っているといわれてもおかしくないが、ナックルボーラーとなると事情は変わってくる。ナックルボーラーは例外的に40代でも活躍している選手がいる。ただこれも個人差があり、ウェイクフィールドは最後に200IPを投げたのは38歳で、それ以降はやはり衰えは隠せない。ドーム球場はディッキーにフィットするかもしれないが、同じナックルのキャンディオッティがCLE→TORと移籍したときは成績が悪化した。結局のところ、ディッキーが今季も好成績を収められるかはかなり怪しい。
何とか220IPくらい投げて防御率3点台前半でまとめてくれれば確実に戦力アップになると思いますが、今季の予想がかなり難しいですね。

また捕手に注目するとこのトレードはバック、ドアーノウ⇔トーリ、ニッカースとなり、捕手のデプスが弱くなるのもまた不安要素。どうやらバックアップ捕手はトーリではなく、マイナー契約したヘンリー・ブランコを起用するのではないかとも言われていますがいずれにしてもマシス以下の打撃で、バックアップとしては弱い。昨年のアレンシビアの打数は347で、バックアップ捕手にもかなりの打撃数がくるのは明らかですが、そのバックアップがOPS.500程度のブランコではかなりのマイナス。
 加えて、バックとドアーノウが同時にいなくなることで、DHのデプスも弱くなる。1B/DHはエンカーナシオンとリンド。エンカーナシオンは今季も好成績を残してくれると個人的には信じているが、リンドは対右(OPS.796)はともかく対左(OPS.553)は絶望的に打てない。バックとドアーノウを保持していればDHにも起用できるので、少なくとも対左投手に関しては打力アップとなるが、これが元々打力のないブランコやトーリならそうにもいかない。
ジェイズの選手はDL入りする選手が多いうえに、調子の良しあしの差が激しい選手が多いので、デプスは厚ければ厚いほうがいいのだが、トレードによって選択肢が減ってしまい不安要素となってしまった。層が厚ければ調子の優先的に起用できるが、現状ではアレンシビアやリンドが怪我や不振に陥ったときの代替案はない。
もっともDHに関してはわざわざドアーノウやバックを起用する必要性はないが、現状右打者を補強するという声もないので、やはり懸念点ではある。

結論をいってしまえば、今回のトレードはあまり好意的に受け取ってはいません。言うほど戦力アップになっていないという点と、選手を出し過ぎという点からそれほど評価できるトレードは思えません。
ドアーノウ、シンダーガードは間違えなくプレミアムなプロスペクトで、バックもトレードの駒なり戦力なりにできる選手で、ベセーラも1.3Mの契約金をかけて獲得した注目株。ナックルボーラーとはいえ、38歳の投手の対価としてはあまりにも大きいように感じます。ゴーズとアレンシビアのパッケージで成立するならまだよかったかなあという気がしますが、このパッケージは明らかに出し過ぎ。
NYMからすれば今季が契約最終年で、延長を拒否していたディッキーはどうしてもいまのうちに放出したかった選手。またTEXなどの他球団も早々にディッキー獲得から撤退していた点を考慮すれば、もっと足元を見て交渉してほしかったですね。ジェイズ側からすれば、ディッキー獲得は絶対必要なピースというわけでもないです。もう少し強気にいけたのではないかと思います。

個人的にはディッキーをこのパッケージで獲るくらいなら、とりあえずFAのマーカムや先発が飽和気味のチーム(WASやLAD)から獲得してお茶を濁して、夏場以降に必要に応じてフラッグディールで攻勢に出るくらいのほうがいいように思えます。いかんせんジェイズの選手は故障や不振に陥る選手が多いだけにどこが補強ポイントになりうるかはかなり不透明。それだけにシーズン中の補強は効果的です。現状ではもう一流の有望株はゴーズとサンチェスくらいで、流石にこれ以上は放出しにくいところ。いまのチームは構成戦力がしっかり働いてくれれば100勝到達もありえますが、逆にこけた場合はなかなか対応が難しくそうなった場合はかなり脆いなと感じます。

また今年はNYYの補強が緩んでいるからどうしても勝ちにいくべきだという声もありますが、NYYが本当に苦しいのはオフにカノーやグランダーソン、黒田らがFAとなる来季で、再契約するにしても放出するにしてもペイロール的に苦しいチーム構成になるかと思われます。それだけにとにかく今季だけ勝てるチームをつくればいいというのはやや短絡的に感じられます。今季はともかく、40代に突入したときの高速ナックルのディッキーが成績維持できるかはかなり怪しいことも不安ですね。


私の立場からすればこのトレードは評価していませんが、少なくとも戦力アップになったのは確か。ディッキーは人物としても興味深く、彼の書いた「Wherever I wind up」はいずれ近いうちに読んでおこうかなと思っています。ともかく今季のシーズンが楽しみ。ここまでの補強となれば今季は9月末から10月にかけてトロントに行くしかないそうですね(笑)

それ以外のトランザクションやその他諸々に関しては次回のエントリーで書きます。
長らく更新がストップしていましたが、これからは適宜更新していく予定です。



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この記事へのコメントコメント一覧

ディッキー獲得という賭け

>バティスタさん
コメントありがとうございます。
どうしても出し過ぎの感はありますし、特に今後はそう簡単に金を使ってマイナーを強化、というわけにもいかないので、このトレードには素直に賛同できませんね。
ディッキーにはローテの頭としてしっかり働いてもらって、POに進出できれば最低限ある程度はペイできるので、このトレードがいい方向へ向かってくれることに期待したいです。

ディッキー獲得という賭け

>mannyさん
コメントありがとうございます。
ブルペンはジャンセン、オリバー、デラバー、ロジャース、リンカーン、ループ、セシル、サントスと揃っているので層に関しては問題ないです。ただ懸念としてはジャンセンが開幕アウトの可能性があることです。そうなると後ろは不安ですね。

ディッキー獲得という賭け

以前にもコメントさせてもらいましたが、ディッキーは昨年のが出来過ぎにならないようになれば良いですね。

トーリーは一昨年ワイルドピッチ数がNLでダントツでワースト記録だったので心配ですね…

ドアーノウは4月デビューですかね?
パウルをマイナー契約で取ったので彼がダメならドアーノウの出番ですかね。

Twitterにも最近来ないのでどうしちゃったんだろうか…と思いましたが安心しました^_^
これからも宜しくお願いします。

ディッキー獲得という賭け

ツイッターでもお見かけしなかったので忙しくなったのだろうなと思っていました。よかったです。
ディッキーに関してはやはりサイヤング投手とはいえ、今年39歳になるピッチャーに対して出しすぎという感じですよね。確かに戦力はアップしましたが、指摘されてるようにスタッツが急に悪化する可能性も否めない。
ただ、もはや嘆いてもしょうがないかなと思います。エース級のスタッツでなくとも、ERA3点台で200IP投げてくれたらそれだけで十分働いていますし。投手陣がうまくいかなくても、それをカバーできるだけの打撃力を備えたラインナップがあるので。
モローが好投手たちに囲まれてそろそろ覚醒してくれないだろうかと期待したりしています。

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