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ウィル・パワーもまた、インディ500への優先切符を持っている:2017インディカー・シリーズ第5戦 インディカーGP

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 フェニックスGPではじめてオーバルレースを優勝したシモン・パジェノーは、5月28日のインディアナポリス500マイルを名実ともに優勝候補として迎える資格を得たといえるだろう。105年の歴史と100回の開催を数える伝統のインディ500は、時として勝者にまで格式を求めているように思わせることがある。サム・ホーニッシュJr.、スコット・ディクソン、トニー・カナーン、今は亡きダン・ウェルドンにダリオ・フランキッティ、そしてライアン・ハンター=レイ。こうして名前を並べてみるだけでも気分が高揚してくるこの錚々たる面々は、21世紀の始まりから2013年までのインディカー・シリーズ・チャンピオンのすべてであり、彼らはみな王座を獲得した後、または少なくとも王者になったのと同じ年に、インディ500に勝っている。シリーズ・チャンピオンであることは牛乳を飲むための十分条件といったところで、パジェノーは昨季にその条件を満たしたわけである。1レースを欲するならばまず一年を勝利せよ。

 ところで、「21世紀の始まりから2013年までの」などと奥歯に物が挟まったような言い方をしたのには理由が存在する。これが3年前なら、「21世紀のシリーズ・チャンピオンは全員がインディ500を優勝している」と断言できたのに、2014年の王者であるウィル・パワーがその後2回のインディ500で敗れているために例から漏れたままなのだ。もちろんたった2度で何かを断言するには早すぎるのだが、長いインディカーのファンであればあるほどパワーとインディ500を結びつけるのは困難を伴いそうでもある。彼は第一にロードコースの帝王であり、オーバルを特に苦手とする時期が長かった。500はその中でも特別なレースだ。フランキッティたちとおなじに扱うにはドライバーとしての性質も走っている時代も違う、長く続いた因縁は偶然に過ぎず、むしろ途切れて当然だなどと言ってみれば頷きそうにもなるだろう。とはいえ戴冠の翌年が絶好の機会だったのも事実だった。インディアナポリスの2週間の開幕を告げるロードコースでの第5戦で完璧なシーズン初勝利を上げ、勇躍大舞台に臨んだパワーは、予選でスコット・ディクソンからわずか0.410mph遅れの2位、カーブ・デイでトップタイムを記録し、決勝では23周のラップリードを築いてみせたのである。因縁が果たされる可能性は十分あったが、最終スティントでチームメイトのファン=パブロ・モントーヤ――20世紀末にチャンプカー王者を経験している――に交わされて悲願はならなかった。翌2016年のインディ500が速さと勝機の一致しない難しすぎるレースになったのは言うまでもない。

 今回の記事は短くなりそうである。インディ500に向けて弾みをつけていった2年前がそうだったように、2017年のインディカーGP(レースの冠スポンサーだったAngie’s Listの降板に伴い、昨年までのグランプリ・オブ・インディアナポリスから、昔開催されていたF1との混同を避け「インディカー」のレースであることを強調するために名称を変更した、とWikipediaには書いてあるが真偽はやや疑わしい)でもパワーは完璧なレースを実演した。当たり前にポールポジションにつき、当たり前にホールショットを取り、当たり前に最多ラップリードを記録し、涼しい顔でだれより早くチェッカー・フラッグを受ける。最初のピットストップでチームメイトにアンダーカットされて一時的に2番手に後退したが、敗北の可能性がほんの少し高まっていたとしたらこの24周の間だけだ。次のピットで拍子抜けするほどあっさりと同じことをやり返すと、その後何一つとして事は起こらなかった。コース上で抜いた車は1台もない。そんな野蛮な危険を冒す必要はなかったのだ。優雅で静謐な、特別な勝者のためだけに流れ、観客が経過について記録しようとする意思すらその静謐さの中に吸い込まれて消えていってしまうような、ウィル・パワーがウィル・パワーであることを証すレース。フルコース・コーションが一度も導入されなかったことさえ、彼のレースぶりを反映しているようにさえ思えてしまう。2年前も同じだった。スタート直後に振られたイエロー・フラッグが3周目に片付けられて以降、レースは最後まで淡々と進んだものだった。「パワーが勝つ」とは、しばしばこういうことだ。ことによると退屈な、しかしそれを補って余りある美しい速さに浸っているうちに2時間が過ぎていく幸福が、彼のレースには溢れている。

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