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小林可夢偉は10年遅れのヤルノ・トゥルーリだったのだ――さよなら大好きなフォーミュラ1

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【追記】2015.2.11一部改稿

 2014年のF1が閉幕を迎えると、当初から予想されていたとおり、グリッド上唯一の日本人ドライバーだった小林可夢偉はそのシートを失った。ケータハムの車はサーキットでつねに最も遅く、その中で小林はチームメイトの新人マーカス・エリクソンを圧倒し、時に予選でライバルであるマルシャのマックス・チルトンを破る抵抗も見せたが、最後尾でのささやかな活躍が2015年のシートに繋がる可能性を信じられた人はたぶんほとんどいなかったし、事実移籍先を見つけられることなく、日本のスーパーフォーミュラへと戦いの場を移すことになった。2012年に一度シートを失い、細い糸をかろうじて手繰って手に入れた居場所の、再度の喪失である。近年の情勢からいって復帰への道はきわめて厳しく、彼のF1での戦いにはひとまず終止符が打たれたと言わざるをえない。新たな世代がのし上がってこないかぎり、日本人ドライバーのいないF1サーカスはしばらく続くことになる。  フェラーリの耐久レースドライバーという地位を擲ってまでF1を渇望した小林が、結局不本意なままその舞台を去らなければならなくなった事情について、釈然としない思いを抱いているモータースポーツファンは少なくないはずである。新人だったとはいえ小林に手も足も出なかったエリクソンが、曲がりなりにも上位のチームであるザウバーへの移籍を成功させたことを考えるとなおさらだ。どうしてこのような結末に至ってしまったのか、エリクソンにあって小林になかったものは何だったのか。それはもちろんファンにとって自明な常識だが、この記事ではそうした「自明」の部分を再確認することによって、歴代日本人の中でも最高の実績を誇るドライバーが28歳にして早くもグリッドから姿を消してしまったことを、実力や巡り合わせといった個別の事情に還元することなく、現在のF1で起こりうるひとつのきわめて典型的な事例として捉えようともくろんでいる。語る対象が小林である必要はかならずしもないが、それでも彼のキャリアに注目することは、現在のF1の一面を見ようとすることに繋がるはずだ。

 やや旧聞に属する話題だが、2015年1月7日、F1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)が、2016年からF1出走に必要なスーパーライセンスの交付基準を厳しくすることを発表した。昨年12月の時点で定められていた「18歳以上、現行あるいは最近の車での300km以上のテスト、マイナーフォーミュラでの2年以上の経験」などといった基本的な規則に加え、下位カテゴリー選手権のランキングに応じて得点を付与し、過去3年の合計が40点を超えなければ原則として発行しないとする基準が整備されている(得点の詳細はF1-Gate.comなどを参照)。この突然の発表の意図については、若すぎるF1ドライバーの量産にFIAが一定の歯止めをかけようとする措置だと解説しているニュースが多い。

 このニュースに対する人々の反応は、近年のF1におけるドライバーの低年齢化の激しさをよく表している。若手が増えたという印象はだれにでもあるだろうが、たとえば2014年開幕時のドライバー平均年齢を計算すると26.4歳で、2004年が27.2歳、1994年は28.3歳だったから、数字上も若返っていることは見て取れる。また昨季の場合は11チーム22人のうち10人が25歳にならず開幕を迎えており、その割合は1994年の5/28より圧倒的に高い。F1ドライバーは数が少なく平均値は当てにならないと言われるとそのとおりではあるものの、印象と数字が整合しているのはたしかだ。

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