≪韓非資≫コラム

イ・ハクチュはなぜ日本の独立リーグを選んだのか(推測)

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 高校卒業後渡米してメジャー昇格を夢見ていたイ・ハクチュ。彼の徳島インディゴソックス入団が発表されたのは2017年3月1日のことである(徳島では「イ・ハクジュ」として選手登録)。  昨年サンフランシスコジャイアンツを退団して後に、彼は一度は韓国に帰国する道を選んだ。スポーツデータ統計会社sports2iが運営する野球学校にプレイングコーチとして参加することが発表されていた。ここにきてなぜ急遽日本の四国アイランドリーグplus行を選択したのか、制度や彼個人の事情を踏まえ推測してみよう。あくまでこの記事は「推測」にすぎないため、インタビュー記事等が出るまでは彼の真意を明らかにしがたいということをあらかじめ断っておく。

①KBOリーグ規定上の問題  KBOリーグでは韓国の高校を卒業してKBOリーグを経ずに直接海外プロ球団に入団した場合には、海外プロ球団を退団してから2年間はKBOリーグの球団と契約を結ぶことができないという規約がある。従ってイ・ハクチュが韓国の球団でプレーするためには新人ドラフトを経た上で2019年まで待つ必要がある。そこでそれまでの間、プレーできる場を探していたとみることもできる。  上述のように契約ができない2年間が発生する「海外プロ球団」というのは、プロであれば全てという訳ではない。例えばMLB球団を退団後にアメリカの独立リーグやALB(オーストラリア)の球団と契約したとしても、2年間の算定開始はMLB球団退団時点からである(現サムソンのチャン・ピルチュンの事例)。そして日本の独立リーグもそれらと同様に扱われるため、徳島でプレーしてもNPBやMLB等の球団に入らない限りは2019年からの韓国球界デビューが可能となるのである。2年間の制限期間中に日本の独立リーグでプレーした例としては元香川オリーブガイナーズのチョン・ヨンイル(現SK)の事例がある。

②兵役免除対象者  アジア競技大会や五輪等で優秀な成績を収めた場合、芸術・体育要員として実質的な兵役免除を得ることができる。アジア競技大会の代表に呼ばれなかったイ・ハクチュはその形での兵役免除は得られなかった。ところがどうやら彼は、膝の十字じん帯断裂という大けがを負い手術を受けたことにより兵役免除を受けたのではないかとみられる。海外プロに直接挑み帰国した選手はKBO球団と契約できない2年間に兵役を終えるケースが多い。しかし兵役に行かなくてよいなら20代中~後半の大事な時期を無駄に過ごしたくないというのがあるのかもしれない。

③NPB狙いの可能性  サンフランシスコジャイアンツを退団後、イ・ハクチュはこれまでとは違うマネージメント会社と契約を結んだ。NPB球団との契約の可能性を探るためと言われている。実際に関心をもつ球団が現れたようであるが、条件面で折り合いがつかなかったという。  その後帰国して野球学校のプレイングコーチとして空白となる2年間を埋めるかに思われたが、結局独立リーグという形で日本に行くこととなった。韓国にも独立球団があるが(今年から3球団に増え独立リーグ化を進めている模様)、もしNPBでのプレーも視野に入れるのであれば日本の独立リーグの方が適切であろう。外国人選手であればドラフトを経ずにシーズン途中でもNPB球団に入団することが可能である。年齢を考えても軍隊に行かなくてよいなら今の時期できるだけ挑戦したいということだろうか。  一応副次的要因として年俸に関する部分も考えてみる。近年韓国では年俸の高騰が進んでおり、特にFAを取得した選手が大型契約を結んでいる。一方で新人選手は一律最低年俸(2017年現在2700万ウォン)からキャリアをスタートさせるため(一部例外を除いて新人選手の年俸上限はないが慣習的に全球団最低年俸からスタートさせている)、貧富の差が大きくなってきてもいる。イ・ハクチュのように海外プロ経歴のある新人の場合は規定上も最低年俸からのスタートが明示されているので、もしKBOリーグでプレーする場合、ドラフトでの上位指名は確実だがプロ1年目の年俸は300万円程度にしかならず、活躍して翌年1000万円程度に上がるという感じであろうか。なお海外プロ経歴のある新人は入団時の契約金も受け取ることができない。高卒選手の場合はFA取得まで9年かかるため、これから2年後にKBOリーグでデビューしたとしても大型契約できるうちにFAを取得するのは難しい見込みである。それならばNPB入りを狙い身体的に充実した時期にできるだけ稼いでおこうという発想もありえなくはない(あくまでも理屈の上からの「推測」)。今年オフにはイ・ハクチュと同い年である遊撃手キム・サンス(サムソン)がFAを取得する。イ・ハクチュはすでにそのような年齢でもあるということである。  一方でもしNPB球団と契約した場合には、KBO球団と契約できない2年間のスタートがNPB球団を退団した時点からになり、もしKBOリーグでのプレーする場合に開始が遅れるというデメリットが発生する。またかりにNPB球団と契約できたとしても限られた枠を争う外国人選手として過酷な競争にさらされるというリスクもある。

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