≪韓非資≫コラム

リオ五輪韓国代表選手団の成績と韓国スポーツ政策の現住所

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1.はじめに  8月5日に開幕したリオ五輪は8月21に閉幕した。韓国代表選手団のメダル獲得を種目別に整理すると次のようになる。

リオ五輪韓国代表選手団獲得メダル内訳

 獲得メダルだけ見ると金メダル9個、銀メダル3個、銅メダル9個となり、金メダル獲得数及びメダル獲得合計数は前回ロンドン五輪を下回った。また金メダルが10個に満たなかったのはアテネ五輪以来である。目標とする10-10(金メダル10個―総合10位以内)のうち前者は達成することができなかった。また金メダルの数を重視する韓国のカウント方法では8位であるがメダル総数では11位であり、さらにメダル獲得が特定競技に偏っているという傾向も見られる。今回は球技でのメダルがゴルフの金、バドミントンの銅の合計2つのみであり、団体球技でのメダル獲得が全くなかったのも特徴と言える(詳細は記事の末尾に整理)。この結果と韓国国内世論を踏まえながら、韓国のスポーツ政策の変化と現住所を確認していきたい。

2.歴代政権におけるスポーツ政策  五輪における韓国の「10-10」という成果目標はキム・ヨンサム、キム・デジュン、ノ・ムヒョン政権時代の第1次から第3次に渡る国民体育振興5カ年計画の根底にある「世界10位以内の競技力の維持」という目標が反映されたものである可能性がある。  ソウル五輪に向けチョン・ドゥファンの第5共和国でスポーツによる国威宣揚が強化されるとともに競技力が向上し、その後1990年代には世界10位圏への進入を果たしたが、第6共和国では生活体育と専門体育のバランスを重視した発展を目指した。キム・ヨンサム政権の時には第1次国民体育振興5カ年計画が策定されたが、その後も「世界10位以内の競技力の維持」と専門体育による国威宣揚の色は薄まらず、体育予算の中央政府支出では専門体育が生活体育を大きく上回っていた。とりわけノ・ムヒョン政権の後半では専門体育予算が大幅に増加しておりイ・ミョンバク政権の前半までその傾向は続いた。  文化ビジョン 2008~2012を策定したイ・ミョンバク政権では「楽しむ韓国人、スポーツで興に乗る国」というテーマでスポーツによる国民生活の充実を図った。そのために学校教育における体育活動の活性化に重点を置いた点が特徴といえる。政権後半期からは、中央政府の支出では専門体育の予算を削減し生活体育や障碍者体育への予算を急増させるなど変化を見ることができる(後掲表1/次のパク・クネ政権である2014年に障碍者体育への予算が激減しているが、代わりに同年度は国民体育振興基金の障碍者体育予算が増加している)。このとき主に削減されたのはすでに整備が進んだ国家代表のトレーニング施設造営費とみられる。但し後述の通り同時に国民体育振興基金の拡充も進んでいたため、中央政府の支出以外を含めると専門体育への支援が減少した訳ではなく、あくまで既存の専門体育という強みを生かしながらも国民がより身近にスポーツを楽しむことができる環境を整えようとしたのであろう。  パク・クネ政権ではスポーツビジョン2018が策定され、「手に届くスポーツ」、「根のしっかりとしたスポーツ」、「経済を活性化させるスポーツ」をつくっていくという方針を打ち出した。近年少しずつではあるが上昇しつつある国民の生活体育参加率をさらに引き上げること、少子化に伴う若いスポーツ人材の減少やすそ野の狭い逆ピラミッド型の選手構造という課題を解消すると同時に国際スポーツ界への影響力を高め既存の上位層の競技力を維持し生かすための土台を整備し国家ブランドを向上させること、融合的・複合的スポーツ市場創出やスポーツ創業支援を通して市場競争力の低いスポーツ産業の規模を拡大していくことが図られている。  以上、以前は専門体育支援への比重が高く置かれていた政策がイ・ミョンバク政権以降は生活体育に対してもより具体的な方針を打ち出すように変化し、国民が参加しやすい、あるいは親しみやすいスポーツ環境を整備する方向に政策転換しつつあるといえる。しかしこのような変化は国内的にはあまり認知されておらず、スポーツ報道において「10-10」という具体的な数値目標が強調されることに象徴されるように、これまでの「成果主義」的国威宣揚の要素が残存しているように見受けられる。

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