2009年07月28日

「ダブルプレー」 ロバート・B・パーカー

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 ロバート・B・パーカー著の「ダブルプレー」を読みました。
 黒人大リーガーとして人種差別に立ち向かったジャッキー・ロビンソンと、それを背後で支えた白人ボディガードの友情物語。とはいっても実話ではなく、史実を下敷きにした完全なるフィクションです。
 http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9982994530

 作者は僕の愛する「スペンサーシリーズ」のロバート・B・パーカー氏。
 彼は以前にも文豪レイモンド・チャンドラー遺作の続編などを上梓したことがありましたが、本当に思い切ったことをしますよねえ。というか大統領だろうがFBIだろうが野球選手だろうが、何をネタにしても許すアメリカ社会の懐の懐の深さに感心するべきでしょうか。


 作品内でロビンソンは宿泊先、タクシー、レストランなどであからさまな差別に晒され、ニグロリーグからは黒人の仕事を守るために残留を要請され、さらにギャングからは命まで狙われる羽目になります。
 これらのどこまでが真実に基づいているのかは不明ですが、おそらくそれに近いことはあったのでしょう。そして自らの人生を危険にさらしてまでメジャーリーグを変えようとした理由について、パーカーはロビンソンにこう語らせています。


 「いったいあんたはなにをしているのだ?」
 「アメリカの偉大なる娯楽における人種差別撤廃だ」
 「おれもいろんなもので読む文句は知っている。しかし「あんた」自身がやっているのはなんだ?」
 「おれは、自分に充分な能力があるレベルでプレーしている。多少の金を稼いでる。有名になりつつある。おれがプレーできることをばか野郎どもに実証している。レイチェルに誇りを与えている」
  バークはその点についてしばらく考えていた。
 「それに」バークが言った。「あんたは野球における人種差別撤廃を進めている」
 「そうだ」
 「レイチェルは大事なんだな」
 「ほかのすべて以上に」ジャッキーが言った。
     (ロバート・B・パーカー 「ダブルプレー」)

 

 ・・・・・・今も昔も保守的なMLBの歴史を変えた立役者として、ロビンソンは日本人選手を含む外国人プレーヤーの父とも言える存在。
 メッツの新球場にはこの人に敬意を表するジャッキー・ロビンソン・ロトゥンダも作られていますね(写真)。この本を読むことでそんな英雄の軌跡を改めて学べたことはとても有意義でした。
 
 そしてもちろんベースボール・サスペンスというだけでなく、正当派のハードボイルドとしても成立しています。パーカー得意の「友情の戯れ言」も健在(ロマンスはちょっとぶっとんでますが)。
 いわゆる「スペンサー節」が苦手な方にはお勧めできないですが、個人的にはかなり満足できた一冊でありました。



 「だめだ」ジャッキーが言った。「おれはほかの誰とも一緒に仕事はしない」
 「本気で言っているのだな」リッキーが言った。
 「本気であるのはバークが知っている」
  そのとおりだった。バークはロビンソンが本気でなくなにか言うのを聞いたことがない。彼はロビンソンの中の強烈な個性を感じ、公の場で受動的な態度を取っているのが彼にとってひどい犠牲であるのを初めて完全に理解した。
 「おれはトラブルを防いでいない」バークが言った。「おれはトラブルを引き起こしている」
 「それなら、一緒に対処しよう」ロビンソンが言った。「おれはこれをあんたと一緒に始めたのだ。ほかの誰かと終えるつもりはない」
 「そうせざるをえないかもしれない」
 「いや」ロビンソンが言った。「おれはあんたと最後までやる。さもなければ、おれ1人でやる」
     (ロバート・B・パーカー 「ダブルプレー」)


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2009年07月27日

エリオ・ロハス(WBC世界フェザー級王者) ショート・インタヴュー

 一昨日の金曜日(7月24日)―――。
 日本で粟生隆寛選手を下してWBC世界フェザー級王座に就いたばかりのエリオ・ロハスが、チャンピオンベルトを持ってヤンキースタジアムに遊びに来ておりました(写真下)。
 
 せっかくの機会なので、新球場のフィールドにて簡単なインタヴューを敢行。通訳を通してなので、あまり深い内容にはならなかったのが残念でした。
 しかし大きな仕事を成し遂げた後の開放感と達成感に溢れた表情と、そしてさらに明るい未来を夢見るようなロハスの話し振りが印象的ではありました。

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ーーまず粟生選手との試合の印象は?
ER:粟生は強いチャンピオンだったし、敵地・日本での試合だった。だから自分なりにやれるだけの準備はしていったつもりだった。結果として、自分の夢を叶えることが出来た。

ーー9ラウンドに粟生の強烈なパンチを受けて足がもつれるシーンもあった。あの場面では実際に効いていたのか?
ER:イエス。強烈なパンチだった。今回の試合には僕が勝ったが、粟生が強い選手だったことを否定するつもりはない。あのパンチだけでなく、他にも2度ほど彼のパンチが効いてしまった瞬間があった。

ーー決して楽な試合ではなかったのかもしれないが、ポイントでは常にリードしていた。勝利を確信したのはいつだったのか?
ER:試合開始直後から自分が上回っていると感じていた。そして途中に採点が発表されてそれが裏付けられた。ほぼ毎ラウンド、僕の方が正確にパンチを当てられていたと思う。

ーー粟生との再戦については?
ER:もしもリベンジしたいというならいつでも受けて立つ。まったく問題ないし、拒否する理由はどこにもない。

ーー日本という国について思ったことは?
ER:本当に美しい国だった。人々はみんな親切だし、誰もがしっかりとした教育を受けているという印象を受けた。訪れることができて幸運だったし、チャンスがあったらぜひともまた日本で試合がしたい。

ーー世界王者に就くというゴールに到達し、次の目標は?
ER:まだ具体的には頭に浮かばない。僕のマネージャーやプロモーション会社と相談し、まずはトップ10内の選手と防衛戦を行なうことになると思う。

ーー将来的に戦ってみたい選手はいるのか?
ER:ユリオルキス・ガンボア(WBAフェザー級暫定王者)だ。同じフェザー級だし、世界的に注目されている階級でもある。ガンボアは強いが、やれば勝つ自信はある。実現すればアメリカ国内でも話題を呼ぶ対戦になるだろうし、間違いなくビッグマネーファイトだ。それこそが私の望みだ。

ーーファン・マヌエル・ロペス(WBOジュニアフェザー級王者)は?
ER:もちろんファンマ(ロペスの愛称)にも興味がある。ただ彼らと交渉する前に、まずは2,3試合の防衛戦をこなさなければならないだろう。ガンボアにしてもファンマにしても、いずれにしても近い将来にミリオンダラー・ファイトに駒を進められることを願っている。


==========

 
 また現在発売中のボクシング・マガジン8月号には、いつものニュース記事だけではなく、メイウェザーやヘイのレポートも寄稿しています。こちらの方もよろしくどうぞ。

 ・メイウェザーの再起戦は急きょ延期。スーパースターの行方はいかに・・・・・・
 ・世界ががっかりしたデビッド・ヘイの離脱
 ・海外トピック宅急便
 http://www.sportsclick.jp/magazine/boxing/new/index.html


posted by daisuke |01:55 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2009年07月24日

Random thoughts #5

 今夜のヤンキース対アスレチックス戦は雨で試合開始が遅れ、なんと9時45分のスタート。
 様々な意味で、rain delayほど鬱陶しいものはないですよね。
 スタンドはガラガラ、テレビの視聴率もがた落ちだろうし、選手のパフォーマンスも落ちる(淡々としたゲームになりがち)。そして記者は眠い(笑)。

 これを書いている今はPM11:15くらいですが、まだ5回表。このままいけば試合が終わるまでに軽く深夜12時半を過ぎてしまう・・・・・・。とにかくいい加減に腹が立って来るほど雨天が多い今年のニューヨークですが、こんな日は特に空を呪いたくなりますな。
 
 というわけで、今週のRandom thoughtsはmidnight editionです。

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 ヤンキース、強いですね。今夜も0−3から軽々と逆転し、これで7連勝。
 この間のコラムでも書きましたが、必勝パターンが完全に確立されて来た感があります。先発投手が好投し、ホームラン攻勢で必要なだけ得点し、ブルペンが踏ん張り、リベラ(orヒューズ)に繋いで逃げ切る。ここ数戦は判で押したようにこのパターン。
 数年前までと違いムダ打ちをしないため点差の開かないゲームが多いですが、それいでながら安定感は抜群。いわゆる横綱相撲だと思います。

 この期に及んでの懸念材料は、「ピークを早く持って来過ぎたかな」と感じることくらい。とにかく現時点ですべてが上手く行きすぎ。昨日も「スポーティング・ニュース」誌の記者と雑談中、彼がこんなことを言っていました。
 「ベースボールはこれほど簡単ではないし、ここまでの好調が夏以降まで続くわけがない」。
 確かにその通り。他を完全に圧倒するほどの歴史的な力を持つチーム(1998年みたいな)でない限り、その通り。「触ったものがすべて黄金になる」ような好調振りがどこまで続くか、今後に乞うご期待です。

 


 松井選手がサヨナラ弾を打った7月21日の試合後、スポーツナビに速報コラムを書きました。
 「真夏の夜のサヨナラ劇」
 http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/mlb/2009/text/200907210005-spnavi.html




 絶好調ヤンキースに引き換え、酷いのが最近のメッツの貧打戦。
 今月に入って、完封負けがすでに5度。打高投低のMLBでは考えられないハイペースです。
 初回から9回まで延々と凡ゴロを転がし続け、ほとんど相手チームの内野守備練習状態で試合が終わる。個人的なMLB取材歴でも、ここまで弱い打線にお目にかかったのは初めてです。

 まあ同情の余地はあるのでしょう。1、3、4番打者、2、3番手の先発投手、そしてセットアッパーがすべて不在で勝てるチームなんてどこにもないんでしょうから。
 しかもオールスター前後にはそろって戻ってくると思われていたケガ人の復帰が遅れ続けたため、必死に流れをせき止めていたサブたちの集中力が完全に途切れてしまいました。

 ただここに来て、若手ホープの枯渇まで含め、オーガニゼーション全体の欠点が徐々に糾弾され始めています。懐かしのトニー・バナザード氏も酷い事件を起こしてしまっていますね。
 実際にこのチームに関しては、表層のロースター以外の問題点(オーナーシップ、コンディショニング、PRまで)は以前から指摘されていました。良い機会なので、ここで膿が出されれば良いのですが。




 日本の友人のご好意により粟生隆寛、長谷川穂積という日本が誇る両世界王者の最新の防衛戦を見ることができました。粟生選手は残念でしたが、長谷川の事実上のKOパンチとなった右フックの切れ味に戦慄!この選手の安定感と風格は渡辺二郎氏に匹敵しますな。過去20年くらいの日本ボクシング界では最強でしょう。

 「ESPN.COM」のコラムニスト、ダン・レイファエル氏も、「長谷川は世界で最も過小評価されている選手の1人。パウンド・フォー・パウンド・リスト入りも目前」と大絶賛。実際にもう日本のリングで証明することはないでしょう。MSGででも試合してくれれば燃えるんですけどねえ。




 最近の出色が、友人に(無理矢理に)連れて行かれた映画「(500) days of summer」。
 「インディーズのロマコメなんて凡庸に決まっている」と気が進まなかったのですが、しかし見始めてビックリ。Wow! What a fun movie !!

 あらすじなど書くと気恥ずかしくなって来るので(笑)、以下のブログを↓。
 http://blog.livedoor.jp/mash_up_movie/archives/398040.html

 秀逸な構成と主演2人のケミストリーは本当に見事です。「エターナル・サンシャイン」に趣が似ていて、あれが好きだった人なら気に入ること間違いナシ。日本でも公開されるようなので、あとはゴチャゴチャ言いますまい。個人的に「シュガー」と並ぶ今年のベスト。お薦めです。


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2009年07月22日

A Day in the Life

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 今夜、メッツの新球場・シティフィールドにてポール・マッカートニーのコンサートが行なわれました。  

 昨年まで使用されたシェイスタジアムでの初コンサートはビートルズ。だとすれば、シティの第1号がサー・ポールなのは理解できますね。

 実は個人的にも高校生時に生まれて初めて観た外タレのコンサートがポール・マッカートニーでした(@東京ドーム)。それゆえに、遥かに上の世代のミュージシャンでありながらも、思い入れはあり。というわけで今夜は野球の取材をパスして会場に足を運んできたのでした。
 

 内容はまあオーソドックスなベテランミュージシャンの王道コンサート。ビートルズ・ナンバーを大量に演ってくれたので、取っ付き易いし盛り上がり易い。
 「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」「イエスタディ」とか自前の曲だけでなく、ジョージ・ハリソンの「サムシング」、ジョン・レノンの「ギブ・ピース・ア・チャンス」など他のメンバーの持ち歌までサービスしてくれたのが印象的でございました。

 初日にはビリー・ジョエルもゲスト登場し(3日目で最終日の今夜はなし(涙))、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」をデュオしたらしいです。まさに直球ど真ん中の演出。

 何年か前、スーパーボウルのハーフタイムショーでジャネット・ジャクソンが露出事件を起こし、翌年には「安心して観ていられるアーティスト」としてマッカートニーが抜擢されたなんてことがありました。本当にお約束をきちんと守って楽しませてくれるので、誰でも安心して連れて行ける。
 しかしビートルズも売り出した頃は不良っぽさが持ち味だったって話。時は流れ、そのフロントマンが「平和の象徴」となるのだから、なんとも不思議なものですね。


 あと思ったのは、こじんまりとしたシティ・フィールドは野球だけでなくコンサート等のイベントにも都合が良いということ。
 せっかくファン・フレンドリーな良い球場を作ったのだから、今後はここでボクシング、フットボールなど他のスポーツイベントも開催して様々な分野の人々を喜ばせて欲しいものです。

 と、無理矢理にスポーツに結びつけたところで・・・・・・また次回!



  「ポールの悪口を言ってもいいのは俺だけだ、他の奴が言うのは許さない」
       (ジョン・レノン)


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2009年07月21日

マイク・ムシーナの引き際

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 オールスター明け直後の昨日、ヤンキースタジアムでは毎年恒例の「オールド・タイマーズ・デイ(いわゆるOB戦)」が開催されました。

 過去に感謝し、現在を祝福する。国としての歴史の浅いアメリカの得意分野ですが、MLBの各チームは実際にこういったイベントを盛り上げるのは上手いんですよね。
 昨日もヨギ・ベラとかレジー・ジャクソンとかお馴染みのヒーローたちが登場。加えて今年の目玉はスタインブレナー氏との確執でヤンキースから離れていたドン・ジマー、そして昨季に引退したばかりのマイク・ムシーナだったのでしょう。

 ムシーナは近年のヤンキースのスター選手の中では最も見過ごされていた選手の1人。昨季はなんと39歳にして20勝を挙げながら、残り30勝に迫った通算300勝に未練を見せず、きっぱりと引退を表明しました。

 そして特に感心させられたのが、実は去年の夏場にはすでに昨季限りでチームを去ることを決めていたらしいのですが、それを最後まで公にしなかったこと。昨日もこんなコメントがあったようです。
 
 「7月には引退を発表してしまうことも出来た。何年もプレーできて楽しかったし、素晴らしかった。でも僕にはグランド・フィナーレ・ツアーは必要ないよ」


 近年のスポーツ界で多いのが、シーズン半ばにわざわざ「今年限り」とか発表し、優勝争いをしてようがしてまいが残りゲームをすべて「さよならツアー」にしてしまうスーパースター。個人的にそんなナルシスティックな輩が大嫌いですが、しかし同僚の迷惑を考えない独りよがりな選手が年々増える中で、ムシーナは最後までマウンド上でただ全力を尽くし、そして奇麗に去っていきました。

 男の最高の引き際は、頂上で止めるか、ボロボロまでやって消えるか。
 ムシーナは間違いなく前者でした。キャリア初の20勝を引退年に達成したことまで含め、去り際の見事さでは最近のアメリカ・スポーツ界では随一だったのでしょう。
 
 唯一、ワールドシリーズを制覇できなかったのは心残りに違いありません。それでも、引退後に「楽しかったし、素晴らしかった」と言えてしまうようなキャリアって、きっと最高なんでしょうね。




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2009年07月17日

Random thoughts #4

 MLBはオールスターブレイクです!
 まあそうは言ってもいろいろ仕事はあり、なかなか忙しい日々ではあったのですが。

 しかしおかげさまで楽しいこともいっぱいありました。
 そして今夜から再びヤンキースタジアムへ・・・・・・

 というわけで、荒野に復帰する前に、今週のRandom Thoughtsです。

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 月曜日にはMSGシアターにて、スーパーミドル級トーナメント「ワールド・ボクシング・クラシック」の発表会見がありました(写真上)。
 昨今の米ボクシング界の話題を独占しているこの画期的イベント。出場選手はアーサー・エイブラハム、ミケル・ケスラー、カール・フロッチ、ジャーメイン・テーラー、アンドレ・ウォード、アンドレ・ディレルとなんとも凄い。この6人がまず3試合ずつのリーグ戦を米&欧州の両地で行ない、その後に準決勝、決勝と戦って真の最強Sミドル級ボクサーを決める・・・・・・と、なんかマンガみたいですよね。
 最初に聴いたときには失礼ながら「ホントかよ?無理だろ」と思ったが、豪華な会見を開くくらいだから本当にやるみたいです。
 このイベントについて、「スポーツコミュニケーションズ」にコラムを書きました。
 [「ワールド・ボクシング・クラシック」はボクシングを変えるか?]
 http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=2678
 コラム内にあるように難しい要素は多いとは思いますが、それゆえに上手く行ったときのインパクトは凄いはず。業界活性化のために、なんとか成功に終わって欲しいものです。



 衝撃的な形で殺害されたばかりのアーツロ・ガッティの現役時代のファイトが、米ではこの間の日曜日に6時間ぶっ通しで放送されました。今週土曜にはミッキー・ウォードとの伝説の3連戦もリピート放送されるとか。
 本当にハイライトばかりに溢れたキャリアだったのだなと実感しながら、日曜の放送はすべて録画しました(いつ見切れるか分からんが。。。)。
 打ちつ打たれつで9敗も喫していることもり、本格派好きの日本では好まれるタイプの選手ではないのでしょう。ただ基本的にボクシングを武道ではなくエンターテイメントとして捉えるアメリカ人にとって、客を喜ばせることにすべてを捧げたガッティは文句なしに最高のボクサーでした。
 個人的には2004年のジャンルカ・ブランコ戦に勝ったあと、アトランティックシティのリングサイドにて、ガッティの親類でも友人でもなさそうなファンの男性が電話口で言っていたこんなセリフが忘れられません。「WE won! WE got a new champion!!」
 ファンも記者も同僚ボクサーも、誰もが身近に感じることができた「俺たちのボクサー」。通路ですれ違えば進んで挨拶してくれるチャンピオン。何度倒されても立ち上がり、ファイティングポーズを獲り続けたファイター。
 さらば、サンダー・ガッティ。
 デラホーヤはまた生まれても、ガッティはもう2度と現れることはないでしょう。



 MLBオールスターゲームでワールドシリーズのホームフィールド・アドバンテージを決めることほど馬鹿げたルールはない。それはもう何度も書いて来たし、そう思う気持ちは今でも基本的には変わりません。
 ただその制度になってから、毎年素晴らしい接戦になっているような??なにかが賭けられていることで変わって来ている部分は、まあ確かにあるんでしょう。



 今年のゲームは、8回表裏の攻防が勝負を分けましたね。
 カージナルスのヤディーヤ・モリーナは素晴らしい捕手だと思いますが、8回表1死Ⅰ、3塁、打席に若いアダム・ジョーンズを迎えた場面で、ヒース・ベルに2−0のカウントから3球連続で真っ直ぐを投げさせたのはなぜ?相手の頭に変化球があるところで裏をかきたいのは分かるけど、3球も同じ球を続ければ外野フライくらいは打てるでしょ?
 その裏のピンチでジョー・ネイサンが、ライアン・ハワードにストライクを1球も投げないで(!)三振にとったのとは対照的。ああいう場面では、特に追い込んでしまえばもうストライクを投げる必要なんてないんですよね。相手が若手打者ならなおさら。まあベルには低めにボールの変化球を投げるコントロールがないといえば、それまでではあるのですが。。。



 ペドロ・マルチネスとフィリーズの契約のニュースには少しビックリ。
 完全なフライボールピッチャーの今のペドロには、シチズンズ・バンク・パーク(あとヤンキースタジアム)は相性的に最悪の球場だと思いますがねえ。まあ安価だし、せいぜい5番手先発扱いだから、ゲームを作ってもらえれば儲け物、といった程度の期待度なんでしょうけれど。



 ヤンキースの後半戦に関しては、「スポーツナビ」にコラムを書きました。
 以下を宜しく。
 ・「強きを助け、弱気をくじく」ヤンキース
 http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/mlb/2009/text/200907170003-spnavi.html



 一昨夜、HBOで史上最高の打者テッド・ウィリアムスのドキュメンタリーが放送されました。 
 これです↓
 http://www.hbo.com/events/ted-williams/index.html
 録画しておいてまだ見ていないのですが、HBOのスポーツフィルムはどれも決まって上質なので、今回もとっても楽しみ。メディアのレヴューを見ても素晴らしく好評のようですし。



 ウディ・アレン師匠の新作映画「Whatever Works」、観てみたら意外にも面白かったです。
 これね↓
 http://www.cinemaonline.jp/review/bei/8382.html
 エヴァン・レイチェル・ウッドがたまらなくキュートだし、とにかくダイアローグがアホらしくて可笑しく、僕も同行者も笑い続けた90分。アレン映画はストーリーをつべこべ書いても意味はないので止めますが、日本でも公開された暁には、お薦めしたい1本です(1年後くらいに公開?)。



  「女性が本当にキュートなときは、それだけで勝負ができるものなの。それこそ、キュートなことを名刺代わりにできるものなのよ。お仕事は、って人に訊かれたら、こう答えればいいんだからーーー「なにもしてませんわ、あたしキュートなので」」
    (エルモア・レナード 「キルショット」)


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2009年07月12日

Adamek guns down Gunn 〜IBF世界クルーザー級タイトル戦より

 今日はニュージャージー州ニューアークにて、IBFクルーザー級王者トマス・アダメク(ポーランド)の防衛戦。

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 ポーリッシュの多いニューアークでは強力なファン層を持つアダメクは、これで3戦連続ニューアークのプルデンシャルセンターでの試合となります。それなりにキャパのあるアリーナを毎回満員近くにするんだから大したもの。
 Lヘビー級時代にはチャド・ドーソン相手にダウンを奪った末に判定まで粘り(負けはその1つだけ)、オニール・ベルやスティーブ・カニングムにも勝っているんだから実力もあります。
 
 今夜は無名の相手と対戦で試合の質には余り期待できませんが、しかし順調に勝ち進めば近々バーナード・ホプキンスらと激突の可能性も大。ビッグファイトへの試金石と言える一戦で、さて、アダメクはいったい何を見せてくれるんでしょうか?


PM7:45 
 プルデンシャルセンター(写真下)に到着。2年前に新築されたばかりだから当たり前ですが、奇麗なアリーナですな。NYのワールドトレードセンター駅から20分程度と移動も手頃。
 今のところ本拠地にしているのはNHLのデビルズだけ。ニュージャージー・ネッツもブルックリン移転まで短期間でもここを使えば良いのに。。。

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PM8:30
 今日の興行主である「メインエベンツ」社のエレンさんにご挨拶。さっそく急逝したアーツロ・ガッティの話になる。「おかげで夕方から携帯電話が鳴りっぱなしで、もうバッテリーが切れそうよ」と悲しそうなエレン。そうか、ガッティも「メインエベンツ」の所属選手でしたね。
 すかさず周囲に軽く話の輪ができて、「奥さんが容疑者として拘束された」との情報が(本当?)。
 まだ詳細が分からないし、現時点でなにか書いても白々しいのでこれ以上はやめますが、とにかくご冥福を。。。


PM9:45
 前座にはポーランド人選手たちが続々と登場。ただ注目すべき俊才は皆無で、こりゃメインのアダメク戦まではのんびりですな。
 隣に座ったポーランド人記者のナターシャ嬢(写真下)に話を聞くと、「アダメクは国民的ヒーロー?うーん、そこまで行かないかもね。かつてのアンドリュー・ゴロタと同じくらいの存在かな。スポーツファンなら彼の名前は知っているけど、でもやっぱりサッカーの方が遥かに人気あるから」
 ・・・・・・とのこと。なるほど。

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PM10:00
 PPV放送開始後の第1戦に、Sミドル級元ホープのカーティス・スティーブンス(ブルックリン出身)が登場。ポーランド人の無敗選手(ここまで22戦全勝(7KO))を相手に、3ラウンドで鮮烈なKO勝利!
 「SHO」で放送された試合で大凡戦の末に敗れて以来、表舞台から離れてしまっていがスティーブンスですが、これが再浮上のきっかけとなるかどうか。
 ただ今日の相手はほとんどポーランド内で温暖栽培されていた選手で、全勝とはいえ格下。そしてスティーブンスが力の劣る相手に圧倒的な強さを発揮するのは今に始まったことではなし。「ブロードウェイ・ボクシング」でもよく秒殺KOを見せてくれていましたしねえ。
 Sミドル級では体格が小さ過ぎるし、スピードとパワーを活かす工夫がないのが欠点。地元出身だから少し思い入れがあるし、スター性もあるのでこのまま消えるには惜しい存在ではあるのですが。
 ともあれ、スティーブンスはこれで21勝(15KO)3敗。
 期待のポーランド人選手が敗れてしまい、ナターシャは「このままじゃ試合後のポーリッシュ・パーティが台無しよ」と。まあまあ、たぶんアダメクは勝つから(笑)。


PM10:40
 見るべきもののないセミファイナルの間中、周囲を見渡すと、とにかく客もメディアもラウンドガールもポーランド人ばかり!「ポルスカ!」の合掌が絶えず鳴り響く。まるで外国にいる気分になりますが、まあこれもNY暮らしの醍醐味ですな。

 隣の客がラウンドガールに声をかけてて、それをナターシャが通訳してくれる。
 客「姉ちゃん、電話番号教えてよ」
 ラ「私はもう子供が3人もいるのよ!」
 客「構わないさ。私は子供が好きだから」
 ラ「もう、馬鹿じゃないの!」 

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PM11:00
 観衆が全員立ち上がり、アレクシス・アルゲリョとアーツロ・ガッティに惜別の10カウント。
 さらばサンダー・ガッティ。米東海岸のヒーロー。
 合掌。


PM11:10
 ついにメインイベント開始。
 挑戦者のボビー・ガン(アメリカ)はここまで18勝(15KO)3敗1分と平凡なレコード。唯一のタイトル挑戦もイタリア人クルーザー級王者に1RKO負けと役不足感ありあり。現在のクルーザー級では最強と目されるアダメクの圧勝が濃厚ですが、さて?

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1R 10−9
 アダメクが的確に右を決める。前座のポーリッシュ選手たちと違い技術の下地もある。すでにミスマッチの印象
2R 10−9
 アダメクが余裕の試合運び。ガンは「効いてない」という挑発が精一杯。もういつフィニッシュしても驚かない
3R 10−9
 足をシフトチェンジしての右ボディなどアダメクが上手さをみせる。強敵と戦いを繰り返すことで技術的にもレベルアップしている感あり
4R 10−9
 ラウンド終了間際に強烈な左右の連打。ガンの足はフラフラでKO寸前


PM11:30
 第4ラウンド終了後、ガンはリタイア。セコンドが止めたのか、はたまたレフェリーかドクターがみかねたのか。いずれにしても予想以上の完全なミスマッチに終わってしまいました。挑戦者は精々がクラブファイターで、この試合にメジャーなテレビ局がつかなかったのも理解できますね。

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 アダメクはこれで38勝(26KO)1敗。スタイリッシュではないので日本での受けは良くないでしょうが、地力がある、誰にとってもやり難い選手であることは間違いです。壁が向かって来るようなパワーとタフネスに、技術も追いついてきています。
 次はカニンガム?体格と馬力で遥かに勝るこの選手なら、ホプキンスを真の意味で追い詰められそうな気もするのですが、実現しないかなあ・・・・・・?

 そして今ごろアダメクやナターシャは、ナショナル・パーティを楽しんでいるのでしょうか。 
 今夜はポーリッシュに乾杯!

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posted by daisuke |16:27 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月06日

whatever works

 アメリカは独立記念日ウィーク !

 とはいっても日本人にはあまり関係ない祭日ですよね。
 「インディペンデンス・デイ」なんていうと、ウィル・スミスやトム・クルーズの映画(「インディペンデンス・デイ」&「7月4日に生まれて」)を思い出す人も多いのでは?

 とにかく、ここ最近はずっとヤンキースタジアムで取材しておりました。
 現在いくつかの企画が水面下でひたひたと動いていて、近いうちに一気に忙しくなりそうです。

 というわけで、本当にヤバくなって更新できなくなる前に、久しぶりのrandom thoughtsです。

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 まずヤンキースは・・・・・・えーと、ここ11戦で10勝?
 瀕死のメッツ、いつもながら意欲の薄いブルージェイズ、キング・フィリックスが出て来なかったマリナーズ、と相手に恵まれただけと言う人もいますが。。。
 しかし昨日なんか不調だったとはいえロイ・ハラデイを崩したわけだし。今日も4点差をつけられた負けパターンでも淡白にならず、すぐに反撃したのはたいしたもの。
 ここの打線は相変わらず軟投派投手に強いですね。技術とパワーに秀でたベテラン打者が揃っているため、相手投手がのらりくらりとごまかし、焦りを誘うのは非常に難しい。Aロッドとカノー以外は献身的でファウルを打つのも上手く(だから試合も長い(涙))、嫌な打線であることは間違いないでしょう。
 一方でこのチームは伝統的に若くて上質なパワーピッチャーには極めて弱く(まあそんな投手にはみんな弱いんですが、「特に」という意味です)、それがプレーオフで勝てない理由の1つ。トミー・ハンソンやジョシュ・ジョンソンに対した最近のゲームを見る限り、その部分の課題はやはり残っているようではあります。
 あともう1つ不安点は、これだけすべてが上手く行っているようで、3位のレイズに5ゲームしか付けられていないこと。
 さて、後半戦はどうなることやら?



 松井選手に関しては、「スポーツコミュニケーションズ」にコラムを書きました。
 「松井秀喜、選手生命をかけた戦いへ」
 http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=2654
 結論的には1ヶ月前に「スポーツナビ」に書いたのとあまり変わっていないのですが、いわばアップデイト版。しかしここ数試合を見る限り、ヤンキースタジアムの狭いライトへの打ち方を取得したようなので(?)、今後は期待できるかも?



 また、「スポーツコミュニケーションズ」は10周年を迎えたとのこと。
 光栄にも貴乃花親方、ソフトボール・斉藤監督らとともに、僕のメッセージも掲載されています。
 http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin02/article.php?storyid=3000



 シアトル・マリナーズの試合ってアメリカ東海岸にいると本当に見れないのですが(西海岸は外国です。シアトルは米じゃ不人気チームなので全国中継もまずないし)、ヤンキース3連戦で見た限り、意外にまとまっていて少し驚きました。
 イチローはやはり2人力だし、チーム全体のプレーに対する姿勢もメッツやブルージェイズより遥かに上(褒め言葉になってない?(笑))。これにエリック・ベダードが戻って来るんでしょ?ならばあと良質なバットを1本加えれば、今年の西地区ならなんとかなるのでは?



 メッツは・・・・・・残ったメンバーが完全なスタミナ切れですね。
 故障者たちの復帰に思った以上に時間がかかったため、チーム全体のインスピレーションが枯渇。Bチームも1ヶ月くらいならなんとか踏ん張れますが、しょせん控えの集まりなわけで、長持ちするはずがない。かといって補強用トレードをまとめるピースも残っていない。
 状況は考えうる限り最悪で、これからどうするんでしょう?
 今週水曜日にまずオリバー・ペレスが戻って来て(それはプラス材料なのだろうか?)、オールスター後にレイエス、ベルトラン、メイン、ワグナー、デルガド、プッツが続くそうですが、その頃にはどんな位置にいるんでしょうねえ。



 最近のヒット。「スポイラ」誌に載っていたソフトボールの感動ストーリー。↓
 http://vault.sportsillustrated.cnn.com/vault/article/magazine/MAG1157051/index.htm
 「読むとみんな泣くから読む場所を考えろ」とか警告してあったのに、電車の中で読んでやっぱり泣いてしまった。。。映像版は以下です↓
 「Amazing Softball Story」
 http://www.youtube.com/watch?v=wKUaLlK776s



 いま最も観たい映画は、ウディ・アレン師匠(笑)が久々にNYでロケした「whatever works」。
 これね↓
 http://www.cinemaonline.jp/review/bei/8382.html
 いや、どこのレヴュー見てもたいてい評価はあまり良くないのですが・・・・・・
 それでもむかし軽い映画マニアだった名残りか、ウディ・アレンとコーエン兄弟、ジム・ジャームッシュの新作はけっこう頑張って見てしまう。そして、大抵がっかりするのです。。。



 ボクシング界のショッキングなニュース・・・・・・アレクシス・アルゲリョ氏が逝去(自殺?)。
 僕はリアルタイムで体感した選手ではないのですが、周囲にこのアルゲリョを尊敬している人が本当に多かったため、それなりに思い入れもあります。とにかく、ご冥福を。近々何らかの形で記事を書ければ良いなと思っております。



 「なぜボクシングをやめたの?」
 「能力の限界に達したんだ」
 「優秀なボクサーじゃなかったの?」
 「優秀だった。偉大ではなかった。優秀では生きて行けない。充実した人生を送れるのは偉大な連中だけだ。それに、あまりきれいな世界じゃない」
  (ロバー・B・パーカー 「レイチェル・ウォレスを探せ」)


posted by daisuke |13:58 | コメント(4) | トラックバック(0)
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