2008年10月26日
辰吉、復活勝利!
辰吉復帰動画! 辰吉が5年ぶりの復帰戦をタイで行い見事2回KO勝ちを収めました。38年前の10月26日(1970年)は徴兵拒否でライセンスを剥奪されていたモハメド・アリが3年7ヶ月ぶりにリングに戻ってきた日です(ちなみに全く関係ありませんが、私が生まれた日でもあります。今日辰吉と同じ38歳になりました。)辰吉とアリとは時代も国も階級も、復活の状況も全く違いますが、それぞれの国の最高のスターボクサーが同じ日に復活したことに、何か運命的なものを感じてしまいます。 状況的には、現在の辰吉の復活は、アリの引退試合となったバービック戦の頃と似通っているかもしれません。アリは当時既に話し方が緩慢になってきており、長いキャリアの後遺症も心配されていました。辰吉は試合数自体は少ないのですが、デビュー直後から濃密なキャリアを積み重ね、そのファイトスタイルから毎試合火の出るような激戦を繰り広げてきました。宿敵ウィラポンに失神KO負けで引退と思われながらも復帰、その後2002年、2003年と1試合ずつ行ったものの怪我のためまたリングから遠ざかり、ジムの意向もあり試合はおろかスパーすら禁止されるという日々が続いていたわけです。 私のような凡人には、なぜそこまでして戦い続けるのか理解が出来ません。世界の頂点に2度立った男が、38歳で、5年以上のブランクがあり、しかも日本のリングではライセンスが剥奪され試合も出来ないという状況にも関わらず、なぜ戦い続けるのか。海外のリングでは、今回の辰吉のようなあり得ないカムバックは、結構よく見られます。ただ、その多くは、お金に困って昔の名前でリングに上がるというパターンです。ネームバリューを最大限利用し、若手の踏み台の役目を買って出たり、または、ブランクがありながらも、いきなり世界の舞台に登場する選手もいました。 辰吉は、「世界チャンピオンとして引退する。」という究極の目標を掲げているようですが、どの程度この言葉を信じていいのか、いまだに分かりません。ただ、本気でこの目標を達成させる気でいるのなら、私は今回のような噛ませ犬的な選手との試合は決して悪くはないと思っています。実戦感覚を取り戻すためにも、出来るだけ短い試合間隔でリングに上がり続けることで、1年くらいすれば忘れていた体の動き、勘が戻ってくることもあり得ます。10年間のブランクのあったジョージ・フォアマンが、無名選手相手に毎月のように試合を行い、徐々にボクシング勘を取り戻していったときと同じように。 辰吉は日本人最短世界奪取という記録にとらわれ過ぎたのか(辰吉本人というよりもジムの意向)、アマ経験が少ないにも関わらす、プロにおいても量より質のマッチメークを強行し、十分なボクシング・テクニックを身につける場が少なかったように感じます。勿論、彼の天性の才能とスキルはずば抜けていたのですが、それをもっと精密に巧妙に磨き上げる時間が足りなかったのではないかと今でも思っています。海外の伝説的なボクサーのほとんどは長いキャリアの中で独自の型を見つけ、様々なタイプの相手に対応できる術を身につけていきます。もしフリオ・セサール・チャベスがプロ入り10戦程度で世界王者になっていれば、持ち前のタフネスで激戦を展開するも、まだ塞がれていない多くの穴をつかれ簡単に王座陥落をしていたことでしょう。ボクシングは確率のスポーツだと思います。ラッキーパンチも含め、いかに相手に打たれる機会を減らし、いかに自分のパンチを効率的に当てるか、その確率を競うのがボクシングなのです。伝説的なボクサーは、まずラッキーパンチ的な一発パンチでKO負けをしません。そのようなパンチを喰ってしまう危険な場所、タイミングをよく熟知しているのでしょう。シュガー・レイ・ロビンソンは、生涯200戦のうちKO、TKO負けは、Lヘビー級タイトルマッチでのリング上の灼熱地獄による棄権負けのみ(棄権する13回まではロビンソンが圧倒。リング上があまりに高温のため、レフリーも9回で倒れ、二人目のレフリーが10回から登場した)。 話が大きく外れてしまいましたが、辰吉が本当の意味でのスーパーボクサーになりきれなかった最大の原因は、やはりキャリアの積み方を急ぎすぎたことではないかと思います。今後の辰吉に期待するものがあるとすれば、若い時のような才能に頼る勝ち方ではなく、確実性を向上させた大人の落ち着いたボクシングを完成させて欲しいということです。派手な試合でなくても、確実に外し確実に当てる地味な戦法でもいい。若い頃に会得出来なかった確実性を向上させ、スピードやバネはなくても何故かパンチを当ててしまうような老獪なテクニックを身につけて欲しい。39歳のサラゴサは、26歳の辰吉を子供扱いにしました。引退試合となったモラレス戦でも非常に競っていました(私の採点ではストップまで僅かにサラゴサがリードしていた)。選手それぞれ身体的特徴も違うので、一概には言えませんが辰吉にも、0.01%でも世界戦レベルまでの復活があるかもしれません。彼の健康面は心配ではありますが、彼自身が納得のいくまで戦い続けるのなら、私は陰ながら応援を続けていきたいと思います。 多くの方に、この「ボクシング・ジャーナル」にアクセスしていただいています。有難うございます。もっとボクシングのことについて語りたいという方は、私のサイトであるWSCまで一度お越し下さい(http://worldsportsclub.org/)。掲示板、各最新ブログ記事の紹介、フリーマーケットなどを開催しています。
posted by cutepizza |22:33 |
国内ボクシング |
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