2008年06月29日
明日のWOWOWの放送を待っている方も多いと思いますので、試合経過や結果などは下の方に書かせてもらいます。(ずっと下までスクロールして下さい。)
それにしても、予想以上のパッキャオの出来でした。今まで観てきた中で、今日ほど完成度の高い試合は無かったでしょう。まさにマスターピース、パッキャオの技巧が完成された試合と言っても過言ではないように思います。何しろライト級王者のディアスがパッキャオのスピード、攻防のリズムに全くついていくことが出来ず、蛇に見込まれた蛙のごとく、一方的にパッキャオの攻撃を受け続けてしまいました。パッキャオも初戴冠のフライ級から数えて七階級目ということもあってか、パンチングパワーはさほど感じませんでした。パワーよりもスピードとタイミングを重視したためかもしれませんが。サウスポーは苦手と言っていた割に、ばしばし右ジャブ、いきなりの右フックを当てて翻弄し、時に伝家の宝刀左ストレートをぶつけていました。めまぐるしくポジションを変えながら、先手を取って攻め続け、最終回となった9ラウンドには、ついに粘るディアスを左のショートフックのカウンターで前のめりに倒し、アジア人初の四階級制覇を達成しました。
信じられないフィジカル能力があるのでしょうが、それとともに「俺のパンチはどの階級でも通用する!」と信じ、一切の迷いもなく自分のペースで自信を持ってボクシングをしきってしまう強い精神力も大きな武器です。悪い言い方をすれば、脳天気な性格なのかもしれません。普通の選手ならば、階級を一つあげるだけで不安になるところを、彼の場合フライ級王座陥落後一気に3階級アップし、今に続く伝説を築き上げてしまいました。今回のライト級挑戦においても、減量が楽になったためか、非常に動きが軽くコンディションは最高に仕上がったようで、パッキャオのように速い動きを特徴とする選手には、一番体が軽く感じる体重(物理的な体重の軽さでは勿論ない)で試合に臨むことがベストなのかもしれません。我が日本の内藤や長谷川ももしかすると2,3階級上の方が素晴らしく速い動きが出来るのかもしれません。
明日のWOWOWでの放送で、じっくりパックマンの自由自在な攻防を今一度鑑賞してみようと思います。フィリピンのテレビでは、「もうロベルト・デュランを超えたかも?」との声もありました。確かにデュランが階級を上げて執拗なパワー戦法から技巧派へと転身した物に近いものが、今日のパックマンにはありました。ボブ・アラムプロモーターの話では、パッキャオの次戦は、年内に全KO男、エドウィン”雷”バレロとの試合の可能性が高いとのことですが、パッキャオ対バレロが実現すれば、日本のファンにとってはまさにスーパーファイトになります。今後のパッキャオを中心としたライト級の動きにも要注目です。
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2008年06月28日
このブログをお読みの皆さんならご存じかもしれませんが、私は大のパッキャオファンです。一言で言うと分かり易いボクシング。目の前にいる相手を倒すことだけを意識したボクシング。試合中、採点を気にすることもなく、ペース配分にもほとんど気にかけず、ただベストショットを当てることだけを考えているように思います。本来のボクシングの醍醐味であった「倒し倒され」といったスリルをパッキャオの試合からは強烈に感じることが出来ます。だからこそ、本場アメリカでも彼の人気は凄まじいのでしょう。
さて明日は4階級制覇を賭けた大一番、フライ級から数えてなんと7階級目となるライト級での挑戦です。元フライ級世界王者がライト級まで世界戦進出したことが過去あったのでしょうか?ファイティング原田氏ですらフライ級からフェザーまででした。体重増加に関しては、前回(と言っても2週間前の記事)書きましたので、そちらをご覧いただければと思いますが、これだけ増量しながらもぜい肉を付けながら、テクニックで階級の壁を破ってきたのではなく、基本的なスタイル、つまり強打で相手を倒すスタイルを変えずに、ここまで階級を上げてきたことは、前例が無いことです。
しかし、そんなスーパーパックマンでさえ、ライト級では階級の壁にぶつかるのではないかと多くの専門家、ファンは見ているようです。チャンピオンのデビット・ディアスは、ライト級の中では穴王者と見られがちですが、豊富なアマチュア経験に裏付けされたテクニックは本物ですし、サンタクルス戦でみせたように、どんな劣勢にあっても諦めない精神力、そして執拗な手数は、体の小さなパッキャオにとって脅威となるはずです。
この試合の鍵はズバリ初回の攻防に掛かってくるでしょう。ディアスがパッキャオのパンチを警戒しやや距離を取った試合をするのか、それとも体格差を活かし、どんどん前に出てプレッシャーをかけてくるのか。パッキャオにしてみれば、あまりに強引に体ごと押し込まれて試合をすると分が悪いため、やはりディアスがある程度距離を置いてくれた方がいいでしょう。その為にも、初回や早い回でパッキャオのパンチ力を知らしめる必要があります。ロイ・ジョーンズが、ヘビー級でジョン・ルイーズをカウンターでぐらつかせたような一撃です。
問題はここからです。パッキャオ自身、あまりサウスポーとの対戦は得意ではありません。今までのように、自由自在に得意の左ストレートを当てることが出来ない可能性も大いにあります。ディアスの右ジャブに対処できるかどうか。そして鋭い踏み込みから体ごとぶつけるような左をヒットさせることが出来るのか。少しの迷いが踏み込みを鈍らせ、パッキャオの主武器である左の威力を失わせてしまいます。パッキャオが階級の壁を破ってこれたのは、この踏み込みの鋭さによるパンチ力なのですから。サウスポーのディアス相手に迷いが生じ、いつもの踏み込みが出来ない、パンチ力が半減、となるとさすがのパッキャオも壁にぶつかることでしょう。
さて私の予想(というより希望)ですが、パッキャオの左強打が前に出てくるディアスの顎に幾度となくジャストミートし、中盤までにディアスを倒しきってしまうパターンです。最近は、パッキャオの左ストレートは読まれがちで、以前ほど当たりませんが、それはバレラやマルケスといった超ハイレベルな対戦相手だったからで、ディアスにはパッキャオのパンチがより多く当たると信じています。スーパーチャンピオン(パッキャオ)と普通のチャンピオン(ディアス)との差が明確に出るのではないでしょうか。
日本ではWOWOWで6月30日(月)夜8時よりタイムリーオンエアーです。パッキャオがライト級でも通用するのか、非常に興味深い一戦となりそうです。
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2008年06月14日
あと2週間に迫ったパッキャオの4階級目ライト級挑戦を前に、パッキャオのデビュー後から現在までの驚異の体重増加をグラフにしてみました。ついでに私が思いついたどんどん階級を上げていった、風船のようにふくらみ続けたボクサー達との比較もしました。ふくらむと言えば、真っ先にミドル級から実質ヘビー級まで制したジェームス・トニーが浮かびました。次に、アジアの怪物マニー・パッキャオ。元ライト級王者でナザロフにタイトルを奪われながら、忘れた頃にいきなりSミドル級を制したディンガン・トベラ。そして最後は偉大なるロベルト・デュランです。
グラフの見方ですが、選手それぞれ階級も違うため、プロデビュー戦時の体重を基準に(つまりデビュー戦を「100%」として)どの程度肥大していったかをパーセンテージで現しています。縦軸は、そのパーセント(ここでは膨張率としています)、横軸は、デビュー後の経過日数となっています。
トニー 黄色
パッキャオ 紺色
デュラン 水色
トベラ ピンク
このように四者を並べてみると、多少の上下動はあるものの似たような増加ペースであることが分かります。(マニー・パッキャオは、再来週の体重を61キロとしています。)階級も選手それぞれの骨格、年齢、体質も違うため、比較は無理なのは承知ですが、10年で20%増がボクサーとしての限界値なのかもしれません。日本のようにデビュー時から頑なに同じ階級で戦い続けることが当たり前の国から見れば、この4名の増加率はあまりにも異常ですが。
ちなみに体重で見てみると、
トニー 最低 70.60kg、最高 107.50kg、増量幅 約37kg
パッキャオ 最低 48.08kg、最高 61kg(予定)、増量幅 約13kg
トベラ 最低 57.15kg、最高 82.20kg、増量幅 約25kg
デュラン 最低54kg、最高 79.80kg、増量幅 約26kg
階級が違うとはいえ、やはりトニーの増加は異常です。しかも、彼が凄いところは、最重量時でも世界戦を行っているところです。ふくらみ続けながらも、どの体重においても素晴らしい能力を発揮し続けました。生まれつき頑丈な体と言うこともありますが、やはり彼の類い希な反射神経とディフェンスの勘が、この偉業を陰で支えていたのでしょう。私は、以前からこのトニーと石の拳ことロベルト・デュランのボクシングに多くの共通点を見いだしていました。何も太る体質というだけでなく、練習では決して身につけられないナチュラルな動きで、相手のパンチを外し、自らのパンチはコツコツ当てることが出来るからです。まさに自然な流れの中でパンチをかわしてしまうのですから、階級を上げても通用するはずです。
一方のパッキャオは、あと一歩で膨張率130%に達するところですが、彼が最も偉大なのは、これだけ階級を上げながらも、いまだにパワーを武器に戦っている点です。当然Sバンタム級時代ほど相対的に一発のパンチ力はありません。しかし、それでも一発で相手を倒してしまうパンチは持っています。それに加え、肉体的精神的スタミナの持続も武器となっています。体つきを見ても、他の3名と違いぜい肉を付けながら階級を上げたのではなく、筋肉量の増加が伴っているからこそ成し得た、まさにフィジカル面での偉業達成と言えるでしょう。
パッキャオやデュランなどは10代でデビューし子供の体からの成長過程にあったため、プロ入り5年後の膨張率115%程度で全盛期を迎えています。トベラの全盛は、106%程度のライト級時代。トニーはいつが全盛期か定めにくいですが、強いて言えば約105%のSミドル級時代でしょうか。
日本の選手の多くは、海外の選手に比べ体重に関しても神経質で、1階級の重み(壁)をあまりに意識する傾向があるのではないでしょうか。そのため、体の成長を妨げてまで無理な減量を行い、同じ階級で戦い続けてしまうのでしょう。過酷な減量から思うようなパフォーマンスを発揮できず試合に敗れるだけでなく、毎回の減量の影響で選手生命自体も縮めてしまっているようにも感じます。デビュー時から体が出来上がっているような選手ならまだしも、体が出来ていない選手は、トレーニングとともに体も作られていくわけですから、体の成長に合わせて階級を上げていって欲しいものです。日本にはまだまだ「体格差を活かすために、出来るだけ下のクラスで戦ったほうが良い。」とする考えが多いようですが、過酷な減量によりコンディション作りに失敗する可能性を完全に無視しているようで馬鹿げています。今回取り上げた4名は、あまりにも普通ではない選手のため参考には一切なりませんが、体重を上げることにあまり神経質にならないで欲しいと思っています。現バンタム級王者の長谷川選手も減量に苦しんでいますが、アメリカ進出ではSバンタムやフェザー級で挑戦すれば、さらに速くて強い長谷川が見られるかもしれませんね。
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2008年06月12日
長らく日本ボクシング界のエースと呼ばれている長谷川が、その名にふさわしい見事なKO勝利を収めてくれました。ウルグアイからの挑戦者ファッシオとの力量差があったとは言え、あの最初にダウンを奪った左のショートカウンターなど芸術的とも言えるほどの冴えでした。今回のテーマは、力まずにリラックスしスピードを重視するというものでしたが、それが功を奏したようで、KOを意識するあまり強いパンチを打とうと力み、反ってパンチの切れや精度が落ちていたここ数戦の出来を払拭しました。
以前にもこのブログ上で述べたことがありますが、どのスポーツにおいてもリラックスした状態こそ、最大の運動能力を発揮できる必要条件のように思います。陸上の短距離走などはそのちょっとした緊張度が即タイムに現れてしまいます。ボクサーのパンチの伸び、当て勘、そしてディフェンスの反応などにも、同様のことが言えると思います。ただ殴り合いが行われるリング上で、平静を保ちリラックスした筋肉を作り出すことは、なかなか難しいことでしょう。ただ強い選手、名選手は、そのような恐怖の中においても自分をコントロールする術を持っているようです。相手の癖を読み取り、冷静に試合を組み立て、そして的確にパンチを当てます。
今日のセミ、KO男エドウィン・バレロは、長谷川とは違い、力みすぎていました。36歳の挑戦者嶋田をなめていたのかは知りませんが、力づくで倒そうとするあまりパンチが大きくなり、相手に読まれるケースが多かったです。それでも最後は圧倒的な体力差、パンチ力の差で嶋田を押し切りましたが、今日のような出来だと世界のスター選手との大一番では勝てないでしょう。
強く打とうと力んだパンチよりも、狙わずに自然と出したパンチのほうが効く場合が多いのですから、ボクシングでは昔から言われているように「スピードとタイミング」の重要度が極めて高いのでしょう。マイク・タイソンのように力んでも倒せる選手はいますが、これはスピードが伴っているからなのでしょう。
エース長谷川が試合後語っていましたが、次戦は間隔を開けずに試合をして欲しいですね。3ヶ月後くらいの試合を期待したいです。場所もラスベガスであれば尚良いです。長谷川は、世界中のどんな強豪とやっても勝てる可能性があります。スーパーファイトに登場する日本人第一号になって欲しいです。
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