2008年01月27日
たった今何気にネットーサーフしていてジョン L サリバンに行き着いた。サリバンと言えば、ベアナックル(グローブなし)時代の最後の世界ヘビー級チャンピオンであり、またグローブ時代の最初の世界チャンピオンでもありました。酒場での喧嘩がトレーニングだったという話も残っています。その当時のボクシングが、まだまだ洗練されておらず、スポーツとしてではなく、喧嘩により近いものだったことを伺わせます。テクニック云々よりも、腕っ節が強くタフな男こそが勝ち残れたのでしょう。
このサリバンの戦績が、有名な記録サイトBoxrecにも勿論掲載されています。【クリック!サリバンの戦績】なんせ130年近く前の記録ですから、なかなか正確な戦績は掴めないかもしれませんが、それでもここまで記録が残っているのには驚きです。特にアスレチック・コミッションが管理する今とは違い、ボクシング自体を禁止されている州が多く、多くの場合警察の目を逃れて試合を行うなどしていたため、記録などもまともに残らないケースもあったことでしょう。恐らく当時のボクシング・ファン達が独自に記録を書き留めていたケースもあるのでしょう。ボクサーだけでなく周りの熱心なファンの力もあって、今あるボクシングが作られてきたんだな、と強く感じました。
米国版wikipediaによると、ベアナックルのイメージの強いサリバンですが、生涯グローブなしで戦ったのは、僅かに3戦しかなかったそうです。Boxrecによると38勝(32KO)1敗1分ですが、これはもしかすると全てグローブを付けての試合だけの記録なのかもしれません。何故なら、最後のベアナックル時代の世界戦として有名な、サリバン対キルレイン戦の記録が、このboxrecには含まれていませんから。この歴史的な試合も、警察の目を逃れるためにファン3000人とともに列車に乗って試合地に入り、試合を敢行したそうです。1889年7月8日朝10時半試合開始、試合は挑戦者のキルレインのペースで進み、第44ラウンドにサリバンが吐き、試合の流れは決定的とすらみられた。ところが、ここからサリバンが元気を取り戻し、むかえた第75ラウンド、ついにキルレイン側のコーナーがタオルを投入し、サリバンがタイトルの防衛に成功しました。キルレインは、ギブアップは拒否していたものの、このまま試合を続行すると、生死に関わるというのがコーナーの判断でした。
この最後のベアナックル世界戦の写真が奇跡的に残っています。動くフィルムではありませんが、十分にその当時の試合の模様、観衆の熱気が伝わってきます。写真は、米国版wikipediaをご覧下さい。なんだか急に100年以上前の試合が観たくなってきました。
多くの方に、この「ボクシング・ジャーナル」にアクセスしていただいています。有難うございます。もっとボクシングのことについて語りたいという方は、私のサイトであるWSCまで一度お越し下さい(http://worldsportsclub.org/)。掲示板、各最新ブログ記事の紹介、フリーマーケットなどを開催しています。
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2008年01月20日
夢の対決「ジョーンズ対トリニダード」の勝敗予想を昨日したばかりですが、私の予想を遙かに上回る両者の衰えた姿に、悲しい気持ちになりました。トリニダードは相変わらず効かせるパンチの打ち方で、ジョーンズのボディーを中心に積極的な攻撃を見せるも、パンチのキレが欠けていました。彼の独特の体が半回転するほどの左フックも、顔面に注意を払ってガードに専念するジョーンズにクリーンヒットも奪えず、結果ガードの上からパンチを放ったあとに左ボディーフックというパターンが続きました。
一方のジョーンズもスピードに欠くだけでなく、減量のためかパンチに力もなく、重量級の怖さはあまり感じさせませんでした。序盤は、トリニダードの攻勢が目立ち、後手に回っていたジョーンズでしたが、4ラウンドにクリーンヒットを奪い、トリニダード自身の失速も目立つようになります。そして第7ラウンド、相打ち気味のタイミングでジョーンズの右ショートフックがトリニダードの死角からヒット!それほど強烈なパンチではなかったものの、見えないパンチだったためかテンプルにヒットしたこともあり、ワンテンポ遅れてトリニダードが膝をつくダウンを喫しました。ダウンを奪ったあともジョーンズは無理をせずに、ゆったりとしたペースで試合を進めます。そして10ラウンドにも、スリップ気味ではありましたが軽いダウンを奪われたトリニダードは、ますます苦しい展開に。結局、起死回生の攻撃を見せることも出来ず、序盤から同じようなボディー攻撃の単発でのヒットのみで、全盛時の強烈な爆発力は影を潜めたままラウンドを費やしてしまいました。
2度のダウンもあって判定は116-110が二人と117-109でジョーンズの勝利となりましたが、内容的にはジョーンズも決してほめられるものではありませんでした。まず、足が動かないため、自分の得意の距離を保てない。反射神経の衰えなのか、防御は完全なブロッキングのみ。70年代後半のアリのように、顔面をカバーし、ボディーは相手に好きなだけ打たせるスタイルを取るようになっていました。パンチングパワーの衰えも目立ち、一発の威力だけなら、体が二回り小さいトリニダードのほうがありました。しかも以前のような的確なパンチは打てず、ビッグパンチは空振りがほとんどでした。
トリニダードがブランクなしに戦っていたならば、今回のジョーンズには十分勝てたでしょう。戦前、カルザゲとの試合を熱望していたトリニダードですが、今のままでは勝ち目はありません。調整試合でも構わないので、期間を空けずにどんどん試合をこなしていくしか、錆を取り去ることは出来ないでしょう。昔の名前だけで勝負できるほど、ボクシングは甘くはないことは、歴史が証明しています。ジョー・ルイス然り、モハメド・アリ然り、シュガー・レイ・レナードも然り。ビッグマネーだけを目当てに突如カムバックすることだけは、昔の勇姿を知るファンは止めて欲しいと思っていることでしょう。その点、私のアイドル、マービン・ハグラーは、賢かったのでしょう。引き際を見極め2度と復活することはありませんでした。
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2008年01月19日
いよいよ日本時間明日、90年代後半の世界のリングを引っ張ったロイ・ジョーンズとフェリックス・トリニダードが、拳を交えます。ボクシングをここ数年間観ていなかった人たちには、とてつもない超ビッグネーム対決と思われるかもしれません。この両者は、階級が違ったもののまさに無敵の王者として長年君臨してきました。しかし、両者とも、痛烈な敗北を喫し、また年齢による衰えも露呈しながらここ数年を過ごしてきた感があります。
ジョーンズと言えば、まさに超人的な運動神経の持ち主で、異次元のスピードと驚異的な反射神経で、対戦相手のパンチを貰うことなく、一方的に殴りつける圧倒的なパフォーマンスが出来る選手でした(過去形)。ミドル級王者からヘビー級の王者にもなるという考えられないような偉業を達成した直後に、彼のボクサーとしてのキャリアが狂い始めたのは何とも皮肉でした。ヘビー級までに体を大きくした彼が次に選択したのは、なんと2階級したのLヘビー級に戻ることでした。減量に苦しみ速いフットワークも消え、ターバーに辛勝しLヘビー級王座に返り咲くも、再戦では痛烈なKO負け、続くグレン・ジョンソンにまでもKO負け。ターバーとの3戦目も判定で落とし、3連敗。負ける姿が想像できなかったジョーンズの連敗に誰もが「ジョーンズは終わった。」と思ったことでしょう。しかし天才ボクサーにしては珍しく(?)彼は戦い続けることを選びました。年に一試合のペースですが試合を行い、2連勝して明日の「昔の名前」対決に漕ぎ着けました。
一方のトリニダードも、9.11のニューヨーク・テロ事件で試合が2週間ほど延期になりながらも強行された試合で、ミドル級の安定王者ホプキンスに敗れて初黒星を喫しました。テロで混乱するニューヨーク市内に缶詰になり、まともな最終調整すら行えずにこのビッグマッチを迎えたことは、肉体的にも精神的にもハンデがあったと思います。その後2002年に引退宣言をしましたが、2004年10月と2005年5月にリングに戻ってきたものの、技巧派のライトに手も足も出ずに完敗。またまた引退状態になり、今回が約2年8ヶ月ぶりの復帰となります。つまり約6年の間に、たったの2試合しかしておらず、試合勘はもとよりボクサーとしての体の錆も心配されます。
この両者とも、私は幸運なことに会場で観戦したことがあります。両者とも全盛時代で、圧倒的な強さでKO勝ちした姿を目にしました。その頃は、まさかこの二人が戦うことになるとは思っても居ませんでした。ジョーンズがライトヘビー級にあがり、トリニダードもウェルターからミドルまで階級を上げましたが、トリニダードのミドル級統一失敗により、両者の間を取ってのスーパーミドル級での対戦という噂も消えました。そしてあれから7年。ボクサーとしては、すっかり過去の人となった二人が、己のボクサー人生をかけて最後の大一番に臨みます。
さて、勝敗予想ですが、これは意外に読めない部分が多く、非常に難しいです。
1.契約体重170ポンド'
トリニダードは、もともとウェルター級の選手で、約66キロで活躍しました。一方のジョーンズは、先にも述べましたが、ミドル級王者(72キロ)からヘビー級(約90キロ以上)を制しました。今回は、Lヘビー級の175ポンドリミットよりも5ポンド軽い170を契約体重と設定しているため、これが両者にどう影響が出るのかが鍵を握ります。
特にジョーンズは、本日169.5ポンドで計量をパスしましたが、これは私が観戦したスーパーミドル級最後の防衛戦以来約11年ぶりの軽い体重です。もともとライトヘビーでも小柄だったとはいえ、一度はヘビー級までいった選手が、ここまで減量してスピードやパワーに影響しないはずはないでしょう。
一方のトリニダードも、もともと線の細いウェルター級の選手ですから、ミドル級でもおなかのあたりの余分な肉が目立ち、体全体のパワー不足は否めませんでした。それが今回さらに10ポンドも重い170ポンドで試合をするというのですから、体の小ささ(厚みのなさ)パワーのなさ、パンチのキレのなさにつながりそうです。
2.年齢とブランク'
ジョーンズは、先日39歳になりました。トリニダードも、今月35歳になったばかりです。どのようなスポーツでも、高齢化が進んでいるとはいえ、やはり身体能力的には、確実に衰えてくる年代です。特にボクシングのようにスピードや反射神経が重要なスポーツでは、この衰えの影響はより大きいと言えるでしょう。トリニダードは35歳で、ここ6年ほどほとんど試合をしていないこともあり、ダメージによる衰えこそは少ないでしょうが、普段から節制した選手時代と同じような生活をしていなかったのであれば、ジョーンズよりもその衰えは早いかもしれません。
予想まとめ
両者とも、自分のペースで試合をする術に長ける選手です。ジョーンズは、異次元のスピードを利し長い距離から爆弾を飛ばしたいでしょうし、トリニダードはリズミカルにプレッシャーをかけ続け、強打を叩きつけたいところ。しかし、全盛時のような動きは期待できませんから、足を止めて意外に距離の近い戦いが続くかもしれません。特にトリニダードの場合、階級を上げても技術よりもパワーで勝負するタイプですから、前半4ラウンドまでに全力を使い切るくらいのつもりで、突進していくことでしょう。顎に欠点のあるジョーンズにとってもトリニダードの攻撃は要注意ですが、よほど衰えがひどくない限り、キレのないトリニダードのパンチは喰わないのではないでしょうか。むしろトリニダードが強引に出てくるところをジョーンズのパンチがカウンター気味に何発もヒットし、痛烈なダウンシーンが見られるかもしれません。トリニダードのファンであった私でさえも、今回のジョーンズ戦は厳しい戦いになると見ています。恐らく中盤までにジョーンズが調子悪いながらも、KO勝ちをするのではないでしょうか?
試合内容はあまり期待できませんが、試合結果はやはり気になってしまいます。レナードとデュランらが元祖の「シニア・ボクシング」。決して世界最高峰のボクシングではないけれども、昔の超一流選手の試合ということで、それなりの興行収入が見込めることから、このような昔の名前対決は今後も消えることはないのでしょう。この試合の両者は、次は誰と対戦するのでしょうか?
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2008年01月14日
元WBCスーパーフライ級チャンピオンの川嶋勝重が、世界王座復帰を狙いWBA同級現王者のアレクサンデル・ムニョスに挑戦。試合は、ムニョスの調子の悪さを差し引いても、非常に見応えのある内容に終始し、終始試合をコントロールしていた川嶋が、奇跡の王座復帰かと思われましたが、ジャッジはムニョスを支持。採点は3-0でしたが二人のジャッジは僅差でムニョスであったことから、川嶋の奇跡があと一歩まで迫っていたことが分かります。
前日計量で体温が38度5分もあったり脈拍が105もあったりと、体調の悪い王者につけ込み、33歳という年齢が嘘のような軽くてキレのある川嶋の攻勢が目に付きました。ただ、川嶋の変則的なパンチの軌道のせいかジャッジへのアピール度が低く、攻めていた時間の割にムニョスにクリーンヒットする場面が少なかったことも確かです。また、惜しかったのは、第8ラウンドの猛攻でムニョスを追い詰めながらも、次の第9ラウンドで何故か川嶋自身も足を使いムニョスと一緒に休んでしまったことが、この試合の勝敗を分けてしまったとも言えるでしょう。もし、あの9ラウンドにムニョスを休ませずに、ロープに詰め攻め込んでいたら、もしかするとムニョスの後半ラウンドへの希望が萎んでいたかもしれません。あのラウンド、川嶋が休んだことで、ムニョスも「川嶋もスタミナ計算をしている。きっと余裕が残っていないに違いない。」と思ったのでしょう。それが、体調の悪いムニョスにとっては、勝利への希望が見えたに違いありません。
後半のラウンド、前に出るも手数が減った川嶋に対し、スタミナ切れでクリンチをしながらも、体が流れながらも、弱々しいパンチながらも、先にて数を出していたのはムニョスのほうでした。11ラウンドの相打ち気味の右のオーバーハンドを喰い川嶋がふらついてしまったことも、微妙な採点に響いてしまったように思います。
それにしても、世界戦3連敗中、しかも前回はミハレスにTKO負けという惨敗で、もう川嶋は終わったと思っていた人が多い中で、あそこまでチャンピオンに肉薄するとは、負けはしたものの本当に素晴らしかったです。リング上で引退宣言をしたそうですが、今日の動きを観ていると勿体ないです。まだまだ頑張って日本のリングを引っ張って欲しいと思います。4日前の長谷川、池原と世界戦は、予想通りの展開となったため、それほど手に汗握ることはなかったのですが、今日はあと一歩というところまで追い詰める場面もあったので、感動の度合いは高かったです。
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2008年01月09日
明日、今年初めての世界戦がそれもダブルで開催されます。日本ボクシング界のエースこと長谷川穂積は、指名挑戦者世界一位のシモーネ・マルドロットとWBCバンタム級5度目の防衛戦を行います。もう一つのカードは、WBAバンタム級王者ウラジーミル・シドレンコに、辰吉の弟分池原信遂が挑戦します。世界戦が2試合もしかも同じ階級の世界戦ということで、見る側としてもどちらの王者の方が、強いのか、上手いのか、など間接的に比較できるなど、普段とは違った観戦が出来るのではないかと思います。
日本人としては、長谷川と池原の両者に勝ってもらいたいと思いますが、どうなるのでしょうか?注目されるのは、やはり安定王者となりつつある長谷川の出来です。前回の試合から8ヶ月以上のブランクや減量苦の影響がどのように出るのでしょうか。そして、今年こそは、待望の全米進出が実現するのでしょうか?話によれば、明日の試合に勝てば、アルセ、ミハレス、ジョニー・ゴンザレス、マルケス弟、イスラエル・バスケスらビッグネームとの対戦もあり得るそうです。長谷川には、これらの強豪誰とやっても十分に戦えるだけのスピードとテクニックがあると思います。全米デビューするならば、このような大物との試合でなければ、アメリカのファンには相手にされません。アメリカのファンは単純で、国籍や人種に関係なくエキサイティングな試合をする選手を好む傾向が極めて強いです。
アメリカという国は、移民の国というバックボーンがあるからでしょうか、ボクシングの世界でも外国人ボクサーに対してもフェアな扱いをしているように思います。だからこそ、パナマのデュラン、ニカラグアのアルゲリョ、最近ではメキシコのチャベス、プエルトリコのトリニダード、そしてフィリピンのパッキャオなどの外国人ボクサーがアメリカのボクシングシーンを引っ張ってきました。そういう点で長谷川も、内容次第ではアメリカ人の心をつかむことが十分可能だと思います。
ただし、アメリカ人が好むからといって、長谷川らしくない力づくで倒しに掛かるような雑なボクシングだけは避けなければいけないでしょう。といっても前回ベチャカ戦のように異様に手数が少ないと、容赦のないブーイングが吹き荒れます。ドイツあたりのファンなら、打ち合いよりもボクシングの技術を楽しむ余裕があるのでしょうが、アメリカでは受けません。「激しさ」の加減が難しそうですが、長谷川らしいキビキビしたスピーディーなボクシングをしていれば十分にアメリカでもやっていけます。なにより対戦相手に不足はありませんから。
池原のことは、ほとんど知らないのですが、年齢的にもこれが最初で最後の世界挑戦となるはずです。相手のシドレンコはシドニーオリンピック銅メダリストという長いアマ歴があり、攻防ともにまとまった穴の少ない選手です。まともにボクシングをすれば、恐らく勝ち目がないでしょうから、思い切った戦術が求められるでしょう。炎の男、輪島功一のように、頭を使って勝機を掴んでもらいたい。ボクシングは、体(身体能力)だけのスポーツではありません。頭(戦術、戦況分析)も必要ですし、何よりも勝利への精神的な強さが非常に大きなウェートを占めています。最後の挑戦にかける池原の戦いぶりにも注目したい。力量不足の日本人挑戦者は、何も考えずに闇雲に打ち合いを望む玉粋戦法をとることが多いですが、やはり自分にあったスタイルをベースに、何らかの特別な策を用意して頭も使って欲しいです。
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2008年01月03日
つい先日80年代ボクシングの素晴らしさを述べました。ダメージの度合いを重視する、倒すボクシングのスリルなどが魅力とも書いたばかりです。WBCが80年代に安全第一のため世界戦の12回戦移行を決定したのも、同じく韓国人ボクサー金得九のレイ・マンシー二戦後の死亡事故がきっかけでした。迫力のある攻防、派手なノックアウトを観たいというファンが多いですし、実際にそのようなファンの期待に応える選手(ガッティなど)は人気があります。その一方で、脳みそにダメージを与えるという競技の性格上、どうしても今回のような惨事が起きてしまいます。ボクシングは、安全管理の発達とともに発展してきました。特にWBCのホセ・スレイマン会長は、安全を第一に数々の改革を推し進めてきました。最近でも負担の掛かる当日計量から前日計量への移行や、試合30日前予備計量、7日前予備計量なども始めています。実際の試合でも、レフリーのストップが早くなるなど、より安全なスポーツへとなっていることは確かだと思います。それでも、このような痛ましい事故が起こってしまいます。
一ボクシングファンとしては、当然これからもボクシングを見続けたいですが、それには競技としての安全面の重視がより一層必要になると、改めて思いました。それにより競技の質が変わっていくことも、時代の流れなのでしょう。18世紀頃のボクシングは、噛みつき、目つぶし、蹴りや投げなどもある格闘技だったそうです。そこからあまりの危険性と死者が出ることから、グローブの着用、3分1ラウンド制、ダウンの際の10カウント制などをもうけ、現在のボクシングの基礎が出来上がったと言います。その後も安全のため、幾度となくマイナーチェンジを行い現在に至っているのです。
80年代、私がボクシングにはまりだした頃、21世紀にはボクシングが廃止されている可能性があるという話すらありました。2008年現在、まだ具体的に廃止されるようなことは聞いていませんが、さらなる安全性を追求していかなければ、廃止されるようなことも本当に起こり得ると思います。スリリングな試合を観たいと言ったばかりですが、時代とともに変容するボクシングを受け止め、その時代時代にあった選手や戦法、採点方法などを理解し、楽しむことが観る側にも求められるのだと思います。つまり2000年代では、無理に倒しに行かず安全策重視の戦い方で圧倒するメイウェザーのようなタイプこそが、最強と認められるべきなのでしょう。同じボクシングでも、時代とともに変化してきているのだから、時代を超えた強さの比較がいかに無理があるかが分かります。
最後に、崔堯三選手の病室の写真をWSCサイトのトップ(http://worldsportsclub.org/images/video/front114.jpg)に置いたのですが、このような写真を見ると身内でもない私でも本当に心が痛みます。もう二度とこのようなことが起きないようにと、祈ることしかできません。
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2008年01月01日
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。大晦日は、日本の伝統行事となりつつある総合格闘技などのビッグイベントが行われました。私もテレビでTBSが放送していたK1 Dynamiteをついつい見てしまいました(他に見たい番組がなかったので)。
華やかで大会場を埋め尽くす観客を見ていると、スケールの大きな興行に、改めて感心しました。しかし、やはり試合内容と言えば、非常に未熟な技術を持った選手が多い、つまり即席の総合格闘家が多いことが、第一印象でした。元ボクサー、元アマレスラー、元柔道家、などバックグラウンドが違う選手が多いことが特徴で、やはり競技力の面から見ても、盛りを過ぎた選手達の最後の仕事場にしか過ぎないのではないでしょうか?勿論、選手は、「現役」を退いたと言っても、総合格闘家として日々鍛錬をし、レベルアップの向上に努めています。試合自体も、持てる力を出し尽くして一生懸命に戦っていることが画面を通じても伝わってきます。ただ、彼らが全盛期を過ぎたこととは別に、今まで培ってきたバックグラウンドがあまり活かされない競技での戦いに、純粋に勝負としての楽しみが私には感じられません。つまり、高度なテクニック、最高レベルでの駆け引き、技巧を見せるのではなく、マッチメークの妙(素人が出てきたり、大巨人が出てきたり)で一般の注目を集めるだけで、玄人好みの深い内容などはありません。本当に、目の肥えた格闘技ファンのためではなく、何も知らない一般ファンを楽しませるための興行のように(特に大晦日興行はそうなのでしょうが)感じました。
ボクシングファンとして一番気になったのは、K1-MAXのスーパースター魔裟斗と対戦した、韓国ボクシング史上最強!の元世界チャンピオン、チェ・ヨンス選手でした。相も変わらず最強ボクサーなどの煽りに思わずつっこみたくなりました。彼がボクシングの世界チャンピオンだったのは10年前のこと。しかも、当時は59キロのクラスでした。昨年K-1選手として契約をしたと言っても、とっくに峠を過ぎた老雄にすぎず、しかもキックの技術など皆無に近い。そんな、体が2回りも小さなお年寄り初心者を相手に、魔裟斗が得意のローキックなどを交えて試合を圧倒したからと言って、「K-1>>>>>>>>>>>>>>>ボクシング」という図式を何も知らない一般視聴者に知らしめたいのだろうか?世界チャンピオンでもなんでもないボクサーを、「ボクシング世界チャンピオン」と平気で嘘をついて試合をさせる業界ですから(詐欺罪に当たらないのでしょうか?)、歴史もあり権威もあるスポーツとしてのボクシングを利用したいだけなのでしょうが、これはボクシング側から言わせて「馬鹿にするな!」という気持ちでいっぱいになります。ただボクシングを引退し、お金に困った末に、こういった格闘技に進んで小銭を稼ぐ選手がいること自体にも、問題があると言えるでしょう。ですから、今後も元ボクサーが、慣れないリングに上がり、情けない負け方をさらし続けるのでしょう。
あと西島洋介。彼は、地元の人間として、長い間応援してきたのですが、日本人重量級ボクサーとしては、奇跡的な運動能力、スピードと反射神経を併せ持ち、上手くいけばクルーザー級で世界タイトルも狙えるのではないかと、夢を見させてくれた選手でした。しかし、オサムジムを離れ単身アメリカに渡った頃から、試合にも恵まれす、自身の怪我などもあり、その才能が十分にボクシングで示されることなく、終わってしまいました。そして3年ほど前、PRIDEと契約を結び、総合格闘家として何試合かこなしましたが、結局両拳しか使えない(使いたくない?)ため、マットに転がされて関節技で負けたり、マウントポジションでめった打ちにされてボロ負けするパターンばかりでした。昨日も、予想通りの展開でした。せめてK-1ルールで立ち技で勝負すれば、少しはまともな試合になるのにと思うのですが、あのような形でボロ負けをする姿はもう見たくないですね。
総合格闘技は、私には、競技としての魅力は感じません。何が起こるか分からない、びっくり箱的な魅力が一般の方を引き寄せているのでしょうか?ただ本物をしってしまえば、このような格闘技は廃れてしまうように思うのですが、どうなんでしょう?また、中途半端に真剣勝負を売りにするのは、素人や付け焼き刃選手が多いので、非常に危険だと思います。裏番組でやっていたハッスル路線のほうがまだ面白く感じます。
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