2008年11月22日
ドリームマッチ?デラホーヤ、パックマン 体重分析
日本時間12月7日(日)正午、ドリームマッチと謳われる「オスカー・デラホーヤ vs マニー・パッキャオ」の一戦が行われます。この試合が決まる前から、関係者やファンからは、「体重差、体格差がありすぎる。ありえない。馬鹿らしい。ボクシングを冒涜するものだ。」など数多くの批判的な意見が出ていました。ドリームマッチ、夢の対決と言えば聞こえはいいですが、このドリームはファンには、”現実にはありえない、夢の中だけで行われるような"試合という意味で、捉えられていると思います。ミニマムでデビューし、WBCフライ級王座から始まったパッキャオのキャリアですが、今年のライト級王座奪取ですら、歴史的快挙であり、一般常識からかけ離れたありえないほどの大偉業でした。元フライ級世界王者が、7階級も上のライト級で世界王座に就くなど、団体乱立、暫定王座乱立と王座の価値が激減している現代においても、やはり考えられないことです。さすがの突然変異パッキャオですら、ライト級が能力の限界ではないかと思っていたところ、いきなり更に2階級上のウェルター級でビッグマッチに挑むのですから、誰もが「ありえない」と思って当然です。 一方のデラホーヤは、ボクシング史上唯一6階級制覇を達成したボクサーです。Sフェザーからミドル級まで、計画的に一つずつ階級を制覇していきました。元々体のフレーム自体が大きく、Sフェザーで試合を行っていたこと自体、今思えば信じられないことです。ただ一般のファンが認めるのは、ライト級からのデラホーヤで、6階級目となったWBOミドル級戦での拙戦もあまり認められていないことから、実質は4階級制覇チャンピオンとも言えなくもありません(レナードのようなインチキはしていませんが)。 両者ともボクシング史に残る偉大な複数階級制覇チャンピオンであり、体重増加という面でも記録的な二人であることには違いありません。そこで、彼らのデビュー時から今回のドリームマッチまでの体重推移をグラフに表してみました。 デラホーヤの最低体重は94年3月の58.4kgWBO Sフェザー挑戦時です。パッキャオの最低はデビューの95年1月の48.1kg。デラホーヤは6階級制覇のために無理に体重を落としたこともありますが、それでも両者の最低体重差は10キロあります。次は、両者の最重量を比較してみます。デラホーヤは、04年6月のWBOミドル挑戦時の72.6kg、パッキャオが、08年6月のWBCライト級挑戦時の61キロです。最重量比較においても、両者の差は約11.5キロあります。これらからも容易に推測できるように、両者のナチュラル体重差は10キロ強ということが分かります。ヘビー級における10キロならさほど問題にはなりませんが、中量級しかもパッキャオのように軽量級からスタートした選手にとっての10キロというのは、ありえないほどの体重の壁になります。 彼らの体重増加ペースは非常に似通っており、成長とともに階級を上げますが、一つの階級に2,3年留まることが多いようです。無計画に階級を上げているように思われるパッキャオですが、意外に理想的な体重増加で体の成長に合わせて無理なく上げてきました。フライ級に約3年半、Sバンタムに約3年8ヶ月、フェザーに2年弱、Sフェザーに約3年弱。しかし、2008年、体の成長はとっくに終わっているはずのパッキャオが、30歳目前にして急激な体重増加をしています。今までの増加率とは比べものにならないものです。グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、今年3月のマルケス戦からデラホーヤ戦までに約115%の増加率です。これは、フライ級からSバンタムに一気に3階級を上げた時の増加率107%をはるかに上回るものです。減量が厳しくフライ級に落とせず階級アップした時と違い、減量に特に問題があるわけでない、成長し終えた体での体重アップ。これは、パッキャオ最大の武器である、踏み込みのスピード、踏み込み(というか飛び込み)の距離、手数、スタミナに大きな影響を及ぼすはずです。現在のトレーニングの模様を見ていると、ウェルター級の体重でも、脂肪で太った印象は全くなく、きっちりと筋肉を付けて大きくなってはいます。ただ、その重い鎧のため、猛烈なスタミナが12ラウンド持続できるかが、勝敗の鍵を握ります。 一方のデラホーヤは、試合の一ヶ月以上前に既にウェルターリミットを下回っており、試合前に急激に落として体調を崩したり、スピードやパワーを失う危険を避けたいのではないかと思われます。体重を落としたまま一ヶ月を過ごし、ウェルターの体重に体が完全に馴染んでくるとすれば、最近の試合で見られた後半失速傾向は無くなるかもしれません。ただ、このかなり早めの体重調整もどのように試合に影響するかは、誰も予想が付かないでしょう。一般に、高齢になるにつれ体重を上げながら試合を行うケースが多い(ホプキンスなどはLヘビーに上げて若さが戻ったように思います)中で、無理な減量で能力が激減してしまうケースも今までありました。レナードのノリス戦やジョーンズJrのターバー戦が有名です。最近では、ヘビー級から一気に20キロ減量したバードが、体が動かず完敗しました。 無茶な増量で機動力、スタミナの落ちたパッキャオ、きつい減量でパワーとスピードの無くなったデラホーヤ。この試合、どちらが本来の力に近いものを出せるか、総合力をいかに落とさずに戦えるかが、勝敗の鍵を握ります。最高のコンディションで、最高のテクニック、駆け引きを見たいと思うのが、本来のボクシングの魅力です。今回のように、ビッグネームというだけで、両者の戦力を削ってまでも、試合を組んでしまうことには、私自身は違和感を感じてしまいます。誰が、ファイティング原田対輪島功一を見たいでしょうか?辰吉丈一郎対竹原慎二を見たいですか? 多くの方に、この「ボクシング・ジャーナル」にアクセスしていただいています。有難うございます。もっとボクシングのことについて語りたいという方は、私のサイトであるWSCまで一度お越し下さい(http://worldsportsclub.org/)。掲示板、各最新ブログ記事の紹介、フリーマーケットなどを開催しています。
posted by cutepizza |11:16 |
海外ボクシング |
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ドリームマッチ?デラホーヤ、パックマン 体重分析
管理人さんの仰るとおり今回の試合ばかりは、如何にパッキャオといえど無茶なマッチメークだと思いますが、恐いモノ観たさ的な大いに興味をそそられます。
それはパッキャオに全く勝ち目が無いという訳では無いという状況がそうさせるのではないでしょうか。
①デラホーヤはスピード負けする相手には相性が悪い。
モズリーと戦う時にスピード差をパワーでカバーしようとしたが結果は周知の通り。メイウェザー戦も同様のことが言えます。
②スピードで上回れれば、多少の体格差はカバー出来る。
ロイジョーンズがジョンルイスを破った試合がサンプルです。あの試合は20㌔ぐらい差があった筈ですが、結果はジョーンズの圧勝でした。
とはいえ①、②はともに 『絶頂期にあるパッキャオ』と『衰えが否めないデラホーヤ』という2つの要素を加味した上でのものです。
当日、両者が如何なるコンディションで仕上げてくるか興味が尽きません。
個人的には、アジアの代表としてパッキャオを応援します。
予想は難しいですが、判定でパッキャオの手が上がる様な気がします。
余談ですが、仮にパッキャオの相手がコットやマルガリート、ウィリアムスであったならばこれほどの盛り上がりはなく、試合もパッキャオは一蹴されてしまうでしょうが・・。
posted by 浪速のドラ猫 | 2008-11-22 18:09
ドリームマッチ?デラホーヤ、パックマン 体重分析
この試合、デラホーヤがスーパーライトに下がってくればもっと面白かったんですけどね。でも、この体重差が、ボクシングスタイル的にもパッキャオに有利に傾く気がしないでもないです。パワージャブ主体で戦うデラホーヤに前半どれだけ食らい付けるか、じゃないでしょうか。無難に後半まで行くんであれば、判定でデラホーヤになりそう。最初はこの「あり得ない試合」に興醒めする所もありましたが、試合日が迫るにつれ、やっぱり気になります。観たいです…
posted by カポネ | 2008-11-23 20:00
ドリームマッチ?デラホーヤ、パックマン 体重分析
やはり、体重の差がこの試合の勝敗をきめる大きなカギとなる予感がします。しかし、現在ピークであるパックマンとそうではないデラホーヤの対決ではやはりパックマンに分があると思います。しかし数々のスーパーファイトでわれわれボクシングファンの目を釘ずけにしてきたデラホーヤのラストファイトに期待したい。
2008 11 alexis
posted by alexis | 2008-11-24 14:10

ミニマムでデビューし、WBCフライ級王座から始まったパッキャオのキャリアですが、今年のライト級王座奪取ですら、歴史的快挙であり、一般常識からかけ離れたありえないほどの大偉業でした。元フライ級世界王者が、7階級も上のライト級で世界王座に就くなど、団体乱立、暫定王座乱立と王座の価値が激減している現代においても、やはり考えられないことです。さすがの突然変異パッキャオですら、ライト級が能力の限界ではないかと思っていたところ、いきなり更に2階級上のウェルター級でビッグマッチに挑むのですから、誰もが「ありえない」と思って当然です。
一方のデラホーヤは、ボクシング史上唯一6階級制覇を達成したボクサーです。Sフェザーからミドル級まで、計画的に一つずつ階級を制覇していきました。元々体のフレーム自体が大きく、Sフェザーで試合を行っていたこと自体、今思えば信じられないことです。ただ一般のファンが認めるのは、ライト級からのデラホーヤで、6階級目となったWBOミドル級戦での拙戦もあまり認められていないことから、実質は4階級制覇チャンピオンとも言えなくもありません(レナードのようなインチキはしていませんが)。
両者ともボクシング史に残る偉大な複数階級制覇チャンピオンであり、体重増加という面でも記録的な二人であることには違いありません。そこで、彼らのデビュー時から今回のドリームマッチまでの体重推移をグラフに表してみました。
デラホーヤの最低体重は94年3月の58.4kgWBO Sフェザー挑戦時です。パッキャオの最低はデビューの95年1月の48.1kg。デラホーヤは6階級制覇のために無理に体重を落としたこともありますが、それでも両者の最低体重差は10キロあります。次は、両者の最重量を比較してみます。デラホーヤは、04年6月のWBOミドル挑戦時の72.6kg、パッキャオが、08年6月のWBCライト級挑戦時の61キロです。最重量比較においても、両者の差は約11.5キロあります。これらからも容易に推測できるように、両者のナチュラル体重差は10キロ強ということが分かります。ヘビー級における10キロならさほど問題にはなりませんが、中量級しかもパッキャオのように軽量級からスタートした選手にとっての10キロというのは、ありえないほどの体重の壁になります。
彼らの体重増加ペースは非常に似通っており、成長とともに階級を上げますが、一つの階級に2,3年留まることが多いようです。無計画に階級を上げているように思われるパッキャオですが、意外に理想的な体重増加で体の成長に合わせて無理なく上げてきました。フライ級に約3年半、Sバンタムに約3年8ヶ月、フェザーに2年弱、Sフェザーに約3年弱。しかし、2008年、体の成長はとっくに終わっているはずのパッキャオが、30歳目前にして急激な体重増加をしています。今までの増加率とは比べものにならないものです。グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、今年3月のマルケス戦からデラホーヤ戦までに約115%の増加率です。これは、フライ級からSバンタムに一気に3階級を上げた時の増加率107%をはるかに上回るものです。減量が厳しくフライ級に落とせず階級アップした時と違い、減量に特に問題があるわけでない、成長し終えた体での体重アップ。これは、パッキャオ最大の武器である、踏み込みのスピード、踏み込み(というか飛び込み)の距離、手数、スタミナに大きな影響を及ぼすはずです。現在のトレーニングの模様を見ていると、ウェルター級の体重でも、脂肪で太った印象は全くなく、きっちりと筋肉を付けて大きくなってはいます。ただ、その重い鎧のため、猛烈なスタミナが12ラウンド持続できるかが、勝敗の鍵を握ります。
一方のデラホーヤは、試合の一ヶ月以上前に既にウェルターリミットを下回っており、試合前に急激に落として体調を崩したり、スピードやパワーを失う危険を避けたいのではないかと思われます。体重を落としたまま一ヶ月を過ごし、ウェルターの体重に体が完全に馴染んでくるとすれば、最近の試合で見られた後半失速傾向は無くなるかもしれません。ただ、このかなり早めの体重調整もどのように試合に影響するかは、誰も予想が付かないでしょう。一般に、高齢になるにつれ体重を上げながら試合を行うケースが多い(ホプキンスなどはLヘビーに上げて若さが戻ったように思います)中で、無理な減量で能力が激減してしまうケースも今までありました。レナードのノリス戦やジョーンズJrのターバー戦が有名です。最近では、ヘビー級から一気に20キロ減量したバードが、体が動かず完敗しました。
無茶な増量で機動力、スタミナの落ちたパッキャオ、きつい減量でパワーとスピードの無くなったデラホーヤ。この試合、どちらが本来の力に近いものを出せるか、総合力をいかに落とさずに戦えるかが、勝敗の鍵を握ります。最高のコンディションで、最高のテクニック、駆け引きを見たいと思うのが、本来のボクシングの魅力です。今回のように、ビッグネームというだけで、両者の戦力を削ってまでも、試合を組んでしまうことには、私自身は違和感を感じてしまいます。誰が、ファイティング原田対輪島功一を見たいでしょうか?辰吉丈一郎対竹原慎二を見たいですか?

