2008年06月14日

ボクサーの増量

あと2週間に迫ったパッキャオの4階級目ライト級挑戦を前に、パッキャオのデビュー後から現在までの驚異の体重増加をグラフにしてみました。ついでに私が思いついたどんどん階級を上げていった、風船のようにふくらみ続けたボクサー達との比較もしました。ふくらむと言えば、真っ先にミドル級から実質ヘビー級まで制したジェームス・トニーが浮かびました。次に、アジアの怪物マニー・パッキャオ。元ライト級王者でナザロフにタイトルを奪われながら、忘れた頃にいきなりSミドル級を制したディンガン・トベラ。そして最後は偉大なるロベルト・デュランです。

グラフの見方ですが、選手それぞれ階級も違うため、プロデビュー戦時の体重を基準に(つまりデビュー戦を「100%」として)どの程度肥大していったかをパーセンテージで現しています。縦軸は、そのパーセント(ここでは膨張率としています)、横軸は、デビュー後の経過日数となっています。

トニー 黄色
パッキャオ 紺色
デュラン 水色
トベラ ピンク
20080614-04.jpg

このように四者を並べてみると、多少の上下動はあるものの似たような増加ペースであることが分かります。(マニー・パッキャオは、再来週の体重を61キロとしています。)階級も選手それぞれの骨格、年齢、体質も違うため、比較は無理なのは承知ですが、10年で20%増がボクサーとしての限界値なのかもしれません。日本のようにデビュー時から頑なに同じ階級で戦い続けることが当たり前の国から見れば、この4名の増加率はあまりにも異常ですが。

ちなみに体重で見てみると、
トニー 最低 70.60kg、最高 107.50kg、増量幅 約37kg
パッキャオ 最低 48.08kg、最高 61kg(予定)、増量幅 約13kg
トベラ 最低 57.15kg、最高 82.20kg、増量幅 約25kg
デュラン 最低54kg、最高 79.80kg、増量幅 約26kg

階級が違うとはいえ、やはりトニーの増加は異常です。しかも、彼が凄いところは、最重量時でも世界戦を行っているところです。ふくらみ続けながらも、どの体重においても素晴らしい能力を発揮し続けました。生まれつき頑丈な体と言うこともありますが、やはり彼の類い希な反射神経とディフェンスの勘が、この偉業を陰で支えていたのでしょう。私は、以前からこのトニーと石の拳ことロベルト・デュランのボクシングに多くの共通点を見いだしていました。何も太る体質というだけでなく、練習では決して身につけられないナチュラルな動きで、相手のパンチを外し、自らのパンチはコツコツ当てることが出来るからです。まさに自然な流れの中でパンチをかわしてしまうのですから、階級を上げても通用するはずです。

一方のパッキャオは、あと一歩で膨張率130%に達するところですが、彼が最も偉大なのは、これだけ階級を上げながらも、いまだにパワーを武器に戦っている点です。当然Sバンタム級時代ほど相対的に一発のパンチ力はありません。しかし、それでも一発で相手を倒してしまうパンチは持っています。それに加え、肉体的精神的スタミナの持続も武器となっています。体つきを見ても、他の3名と違いぜい肉を付けながら階級を上げたのではなく、筋肉量の増加が伴っているからこそ成し得た、まさにフィジカル面での偉業達成と言えるでしょう。

パッキャオやデュランなどは10代でデビューし子供の体からの成長過程にあったため、プロ入り5年後の膨張率115%程度で全盛期を迎えています。トベラの全盛は、106%程度のライト級時代。トニーはいつが全盛期か定めにくいですが、強いて言えば約105%のSミドル級時代でしょうか。

日本の選手の多くは、海外の選手に比べ体重に関しても神経質で、1階級の重み(壁)をあまりに意識する傾向があるのではないでしょうか。そのため、体の成長を妨げてまで無理な減量を行い、同じ階級で戦い続けてしまうのでしょう。過酷な減量から思うようなパフォーマンスを発揮できず試合に敗れるだけでなく、毎回の減量の影響で選手生命自体も縮めてしまっているようにも感じます。デビュー時から体が出来上がっているような選手ならまだしも、体が出来ていない選手は、トレーニングとともに体も作られていくわけですから、体の成長に合わせて階級を上げていって欲しいものです。日本にはまだまだ「体格差を活かすために、出来るだけ下のクラスで戦ったほうが良い。」とする考えが多いようですが、過酷な減量によりコンディション作りに失敗する可能性を完全に無視しているようで馬鹿げています。今回取り上げた4名は、あまりにも普通ではない選手のため参考には一切なりませんが、体重を上げることにあまり神経質にならないで欲しいと思っています。現バンタム級王者の長谷川選手も減量に苦しんでいますが、アメリカ進出ではSバンタムやフェザー級で挑戦すれば、さらに速くて強い長谷川が見られるかもしれませんね。




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posted by cutepizza |22:22 | 海外ボクシング | コメント(8) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
ボクサーの増量

管理人さん、着眼点が面白いですね。なんかボクシングマガジンの「検証する」を思い出してしまいました。私も管理人さんと同じく日本では無理してでも減量をして同じ階級に留まろうとする傾向が強いような気がします。リナレスや長谷川選手など世界タイトルを保持している場合などには特にその傾向が強いような気がします。ボクシングをあまり見ない人にアピールするにはタイトルが必要というのも分かりますがベストパフォーマンスを魅せるにはやはり適した階級で試合をするのが一番でしょう。世界タイトルでないと見てくれないから無理して減量し競った試合をしてしまいつまらないと思われてしまう、これでは悪循環ですね。それにしてもパッキャオには是非4階級目も突き破ってほしいですね。

posted by プリティボーイ | 2008-06-15 00:02

ボクサーの増量

なかなか面白いです
体重つながりですが国重のWBCライトフライ級戦で
チャンピオンの軽量不正行為があったそうです
WBCもだめですね
試合普通に行われ国重8回に散りました・・・

posted by 731 | 2008-06-15 16:47

ボクサーの増量

軽量→計量
間違えました 

posted by 731 | 2008-06-15 17:26

ボクサーの増量

日本人はウェイトトレーニングの知識が鼻糞だからね
増量も減量もすべて根性任せで科学的なアプローチが皆無に等しい
だから力負けするし減量も失敗する

posted by 使えない筋肉(笑) | 2008-06-16 11:18

ボクサーの増量

> 使えない筋肉(笑)

以前はそういうこともありましたが、今は違います。
小堀選手も増量のやり方に成功しています。

ウェイトもかなり取り入れたようです。

posted by まさ | 2008-06-16 15:59

ボクサーの増量

確かに日本のボクシング界ってトレーニングの知識が無いね。最近は少しマシになっているようだが、全体的にみるとまだまだ浸透してないと思う。

未だに広背筋鍛えたらパンチ力が上がると本気で思ってる人間のなんと多いことか(苦笑)

posted by 774 | 2008-06-17 16:19

ボクサーの増量

先日、敵地メキシコに乗り込みWBC王者に挑戦した国重隆。

結果的には8回1分39秒、TKOで敗れ、王座獲得は成らなかったわけですが、
その裏でこんな報道がされています。


◆ 王者の一方的都合で計量が1時間延びる ◆

 32歳で世界初挑戦する国重隆が13日(日本時間14日)、きょう14日のゴングを前に前日計量に臨み、ライトフライ級リミットの48・9キロを王者ソーサと共に一発パスした。その計量で一騒動あった。同行する漫談家の婚約者・林家まる子によれば「王者の一方的都合で計量が1時間延び、王者は計量台の針が振り切れてかなりオーバーしているのにパス。猛抗議してもスーパーバイザーが、私がいいといえばいいんだ!と聞き入れてもらえませんでした」と告白。本部がメキシコシティにあるWBCのおひざ元で、強烈な逆風にさらされている。

(スポニチ)


こんな事が許されて良いのでしょうか?
ボクシングでの判定での地元有利などは、以前から言われてきましたが
これがまかり通るなら、ルールなど無用な物になっていまいます。

特にボクシングにおいての体重による階級分け無視は、力関係、安全面などを
考慮しても、これをないがしろにすればボクシングの根底を揺るがす暴挙と言えるでしょう。

試合前の時点で、ここまであからさまにしているのですから、
メキシコなどでは当然の事として、過去にも行われてきたと思われます。

それを乗り越えて倒せば良い、っていうのは違いますよね。

メジャーを名乗るWBCでさえも、こんな暴挙が行われているのだから
お金を積んででも日本でタイトル挑戦させるのも頷けます。

ボクシングを私利私欲に使う人がいる限り永久に続くのでしょうか。

posted by カポネ | 2008-06-18 21:58

ボクサーの増量

 「日本人ボクサーは内弁慶で海外になかなか打って出ない。その為、国際的な評価が高まらない」という意見をよく聞きます。国内で、どんなに好勝負が行われようとも、それが海外に放送される事は少なく、その為このブログでも採り上げられているボクシング殿堂式典においても、輪島功一や具志堅用高を殿堂入りさせるべきという意見が国内にはありますが、なかなか実現せずにいます。

 海外でタイトルを奪取、防衛するというのは、その難しさから、ある意味、日本ボクシング界の悲願となっている事だと思います。かつて西城正三や柴田国明が敵地でタイトル奪取したのが燦然と輝いているように。またパッキャオのように本場アメリカで活躍する日本人ボクサーが現れる事は誰もが夢見てやまない事でしょう。しかし、このLフライ級のタイトルマッチのような事が行われているのであれば海外での試合も意味がないのかもしれません。

 西城や柴田、小熊、平仲、また敵地で戦っている外国人選手は皆そうした逆境を跳ね除けて勝ってきたんだ、と言う人もいるのかもしれませんが、これでは海外で試合をしようという選手やジムは少ないのが実情でしょう。

 かつてリカルド・ロペスやビクトル・ラバナレスが韓国やタイで試合をした際は敵地の洗礼を受けたと言われています。ロペスはそれでも勝ちましたが、ラバナレスは大差判定で敗れたと思います。その為メキシコでも他の国がやっているのだから自分たちもやって何が悪いという意識があるのではないでしょうか。世界的には日本のように公平な条件で試合が行われている国の方が特殊なのしれません。

 こうした不当な裁定や嫌がらせはボクシングのみならず、あらゆる競技に及んでいるように思います。サッカー、ハンドボール、柔道、レスリング等。これらの試合でも審判の明らかな地元贔屓や観客の嫌がらせが行われ、そのつど日本は抗議をしても受け入れられず、力のある国や地域の言いなりになっているように思います。

 そうした現状に対してあるコメンテーターが「黙って泣き寝入りをするだけでは駄目なんだ。国際社会では自ら主義主張を押し通していかなければ絶対に通用しない、日本人はおうおうにして自己主張が下手で、また主張をしなくても、意見がある程度聞き入れられると思っている。そんなのは日本人だけのメンタリティーだ」と語っていました。

 敵地での勝利は日本人にとって夢であり、ロマンだと思います。しかし現実には様々な壁があり、そんなたやすい事ではないのでしょう。それを実現させていく為には様々な意見を主張しなければいけないのだと思います。以前タイでのWBAの試合でベネズエラとタイの選手が対戦する際、計量がきちんと行われず、その時ベネズエラ側が正確な計量が行われないなら帰ると抗議して正確な計量を行わせた、という事がありました。日本も敵地で試合をする際には策をもって主義主張をしていかなくてはならないのだと思います。

 しかし、それにしても近年の統括団体の腐敗、堕落ぶりは目に余る物があります。本来の目的とは別に暫定タイトルを乱発したり、スーパータイトルや名誉タイトル等、訳のわからないタイトルを作り出したり、ランキング操作についても首を傾げたくなるような事ばかりです。リング誌認定のベルトの試合でビッグマッチをやったり無冠のまま活動する選手がいるのも頷けます。

 統括団体が一つに統一され十階級くらいになって健全な運営がなされる、そんな時代がくれば良いのですが。

posted by スージーQ | 2008-06-19 02:40

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