2007年07月15日
凡人!ロイ・ジョーンズ
かつてP4P(パウンド・フォー・パウンド/全階級を体重同一と仮定)ランキングで常にトップだったロイ・ジョーンズが、約1年ぶりの復帰第二戦を無敗のアンソニー・ハンショウ相手に行い、素晴らしい内容で判定勝ちしたそうです。ハンショウも、ターバーやグレン・ジョンソンがジョーンズを攻略したように、ロープに釘付けにする作戦だったようですが、ジョーンズのディフェンス力を崩すまでには至らず、明確なクリーンヒットの差が勝敗を決めたようです。11ラウンドには、ダウンも奪い、完全復活を印象付けたジョーンズは、来年一月の復帰を宣言したフェリックス・トリニダードとの対戦を希望しているとのこと。
ロイ・ジョーンズは、アントニオ・ターバーと戦うまで、スーパーマンと思われていたほどの超人的なボクサーでした。尋常ではないスピードと人間離れした反射神経で、まともなクリーンヒットもほとんど許さずに、一方的に相手を殴るようなイメージがありました。しかし、あまりの楽勝のためか、一部のボクシングファンには、安全運転すぎると映っていたのも事実です。そんな安全第一の彼が、一階級飛び越しヘビー級王座挑戦という無謀とも思えるチャレンジを果たしたのが、今から4年前の2003年3月でした。元々Sウェルター級(70キロ弱)でキャリアをスタートさせたジョーンズが、体重無制限のヘビー級にまで進出しただけでなく、その無謀な挑戦でも歴史に残るパフォーマンスを披露し、二回りも大柄なヘビー級王者ジョン・ルイーズに完勝し、ミドル、Sミドル、Lヘビー級につづきヘビー級を制し4階級制覇も達成しました。
しかし、この偉業達成が、彼のボクシングを狂わすこととなります。ヘビー級まで大きくさせた体を、元のLヘビー級まで一気に落したことが相当ジョーンズの体に無理があったのでしょう。ヘビー級を制した8ヵ月後のLヘビー級タイトルマッチで、足が思うように動かないのか、アントニオ・ターバーにロープに詰められたまま、連打をまとめられるシーンが何度も繰り返されました。判定は、2-0でジョーンズの勝利ではありましたが、あの完璧なジョーンズが打ち込まれるシーンもあったこともあり、判定に納得のいかないファンもかなりいました。
この時点では、急激な減量が苦戦の原因と思われていたこともあり、ジョーンズが本気を出せば、ターバーとの再戦では以前のような圧倒的なパフォーマンスで圧勝するだろうと、多くの専門家やファンは見ていました。ところが、結果は、なんと2ラウンドでジョーンズのKO負け。雪辱に燃えるジョーンズの調子自体は、最高でしたが、圧倒的な勝利(つまり序盤でのKO勝利)を目論んだジョーンズに、いつもの安全運転意識が薄れていたのでしょう。一瞬の隙に、これまた最高のタイミングで放たれたターバーの左ストレートを喰ってしまい、生涯初のKO負けを喫しました。この負けの時点でも、これは、一種の事故と考える人もいたのですが、続くジョンソンとの試合でも、圧力に押されたままKO負け、さらにターバーとの第三戦でも、見せ場を作り善戦はしたものの力およばず判定負けと、かつての無敵振りが嘘のように3連敗を喫し、負け癖がついてしまったかのようでした。
そんなどん底を味わった元エリートボクサーが、38歳というボクサーとしては高齢ながらも、2年間を要して這い上がってきたのです。元々スピードや反射神経、体のバネなど、身体能力に大きく依存したスタイルですから、年齢によるボクサーとしての能力の衰えは、誰よりもあるはずです。しかし、それでもなお、彼はかつての栄光を求めて戦い続けています。安全運転の完璧な試合をしていたかつての姿とはまるで違う、泥臭い人間性を見せながらカムバックしてきた彼を、私は応援しています。人間は、挫折を味わって初めて大きく成長できると思っています。ボクサーとしては、これ以上ないほどの実績を残してきたジョーンズではありますが、この挫折を乗り越えようとする意気込みが、もう一回り大きな伝説を作る原動力になるかもしれません。例え、その試みが失敗したとしても、彼のキャリア全体を通してみた場合、私は戦績などただの数字や記録には残らない、より大きな「何か」を残すように思うのです。ヘビー級王座を奪った時点で、完璧なままキャリアを終えるべきだったと考える人もいますが、私は、我々凡人と同じように、挫折をし必死に少しでも前に進もうともがいている姿を見せて初めて、彼のことをより一層応援したくなりました。人生もボクシングも、倒されて負けることもあります。しかし、人間として男としての見せ所は、倒された後、立ち上がってからの反撃する気持ちだと思います。必死に前に進もうと一生懸命努力すれば、たとえ結果がなかなかついてこなくとも後悔することはないはずです。後悔するような人生にはしたくないです。たった一度の人生ですから。
多くの方に、この「ボクシング・ジャーナル」にアクセスしていただいています。有難うございます。もっとボクシングのことについて語りたいという方は、私のサイトであるWSCまで一度お越し下さい(http://worldsportsclub.org/)。掲示板、各最新ブログ記事の紹介、フリーマーケットなどを開催しています。
- 共通ジャンル:
posted by cutepizza |23:20 |
海外ボクシング |
コメント(6) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/cutepizza/tb_ping/186
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
管理人さんの意見に、激しく同感です。
私が初めてジョーンズを見たのは、もう10年以上前になりましょうか、ミドル級タイトルマッチでホプキンスと戦ったときです。
その後のジョーンズの栄光の歴史は言うまでもありません。
ジェームス・トニーを奈落の底に突き落とし、バージル・ヒルをボディで悶絶させ、クリントン・ウッズを子ども扱いにし、ジョン・ルイスにボクシングをさせませんでした。
私は数年前から、ジョーンズがパウンドフォーパウンドであることを疑っていませんでした。
それだけに、あの悪夢のような3連続KO負けは、非常にショックでした。
ジョーンズの時代は終わってしまったのか?とも思いましたが、その後ジョーンズは若手の有望株を相手に順当に勝ちを収め、ただ這い上がろうとしています。
今のジョーンズには昔以上に魅力を感じます。それはきっと、もがき苦しみ、どん底の淵から這い上がろうとする男の勇気と、また栄光を勝ち取ろうとするその闘志が、我々に感動をもたらすのでしょう。
話が長くなってしまいましたが、今後のジョーンズには、今まで以上に注目していきたいと思います。
posted by かず | 2007-07-16 00:14
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
ホリフィールドと試合してほしいな。
posted by ななしさん | 2007-07-16 10:39
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
僕はジョーンズが敗れた瞬間、残念さと安堵の背反した2つの感情を抱きました。
それは、もし彼が無敗で引退してしまったら、これまで見てきたレナードやハグラーなどの超一流選手でさえも、色褪せて思えてしまうからです。
それ程までに、ジョーンズの強さは傑出し過ぎていました。
だから、彼も人間だったんだと安堵したのです。
僕としては是非、ターバー&ジョンソンに雪辱し、汚されたキャリアを取り戻して欲しいと思います。
トリニダードとの対戦は、始めの噂から既に6年も経過しており、現在の両者の価値からすれば、正直あまり魅力は感じませんね。
posted by ボクシングマニア | 2007-07-16 17:26
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
僕はヘビー級タイトルを獲った時、正直引退してもらいたかったです。ジョーンズもいつかは敗れると思っていましたから。それが次の試合で現実になるとは思いませんでしたが。富と名声を手に入れ、挫折を味わい、なおも戦い続けるジョーンズ。僕はもう一度劇的なタイトル奪取でチャンピオンになるヒューマン・ロイ・ジョーンズを見たいです。
posted by masato | 2007-07-16 20:37
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
僕は元々それほどジョーンズが好きなわけでは
ないし、最近の試合はほぼノーチェックでした。
しかし、こういう応援の仕方もあるんですね。
ちょっと、今のジョーンズを見てみたくなりました。
posted by たかお | 2007-07-17 14:17
Re:凡人!ロイ・ジョーンズ
コメント投稿者ID :
私はヘビー級のタイトルを獲った時点で辞めるべきだったと思います。一時は他のヘビー級の選手とも試合をするという噂がありましたが、陣営は危険と判断したわけです。この時点でもう引退しかないでしょう。元の階級に戻すにはつけた筋肉を削らなくてはいけない。普通の減量とは違うはず。「俺は自分の限界に挑戦したいんだ!!」と豪語していましたが・・・だったらヘビー級で試して欲しかった。かねてからジョーンズはボクシングに対して真摯ではないと言われていました。昼間にバスケの試合をしてその日の夜に世界戦をしたり、ボクシングを否定するような発言をしたりと・・・はっきり言ってこれからのジョーンズにそれほど期待はしていません。現役を続行するなら応援しますが、彼が残した歴史にこれ以上傷がつくようなファイトはやって欲しくないです。
posted by キヨ太郎 | 2007-07-20 12:46
コメントする
「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。
- Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
- mixiアカウントでコメント投稿
- Googleアカウントでコメント投稿
- Hatena IDでコメント投稿
- Biglobeアカウントでコメント投稿
- ログインしてコメント投稿
- メールアドレスでコメント投稿
※新規のメールアドレスによる投稿IDご利用は停止しました。
※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。
詳しくは以下2ページをご覧下さい
・【仕様変更】PCからのコメント投稿について
・ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」
※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。
詳しくは以下2ページをご覧下さい
・【仕様変更】PCからのコメント投稿について
・ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」


