2005年02月05日
青田買いの予兆
日本のプロ野球に15歳でその門を叩いた阪神・辻本投手の話題が日本では大きく取り上げられているようでうす。また昨年15歳でJリーグデビューそして、そのリーグでゴールまでも決めた東京Vの森本選手も若くしてプロの門を叩いた選手です。それから忘れてならないのは卓球の愛ちゃんこと、女子卓球界のスター福原選手も現在15歳の高校一年生です。このようにプロフェッショナルな世界へ低年齢で挑む例が多くなってきていますが、今週ヨーロッパからちょっとビックリするようなニュースが入ってきました。それは「UEFAが下部組織選手登録を義務化」するという話です。今回はプロスポーツの低年齢化がもたらす弊害について取り上げたいと思います。 このニュースが流れたのは、2月4日です。発表された内容について、日刊スポーツ新聞社は以下の通りに伝えています。 欧州サッカー連盟(UEFA)は3日、スイスのニヨンで理事会を開き、UEFA主催大会に出場するクラブに対し、2006-07年シーズンから、同じ国内クラブの下部組織出身選手を4人以上、1軍登録させることを決めた。外国人枠に規制されない欧州連合(EU)内で他国選手が流入し、自国選手の出場機会が減っている現状を改善するのが狙い。登録には自チームの下部組織出身者を2人以上含める。1軍登録は25人まで。下部組織出身と認定されるためには、15歳から21歳までの間に3年以上の所属が必要となる。08-09年シーズンからは、下部組織出身者の登録数を8人以上に増やす予定だ。 さてこの制度が取り入れられるとどのような問題が起こるのでしょうか?これまでも欧州の各国サッカーリーグは、自前の下部組織で選手を育ててきましたが、昨今の欧州選手以外の地域から優秀な選手を獲得するのが選手強化の主流となり、世界的レベルの選手が次々と入団するチームにおける自前の下部組織の選手はトップチームに昇格するのさえ困難状況になっています。特にこの現象はビッグチームに顕著に見られます。実際ビッグクラブは自前の下部組織選手を他小規模、中規模のチームにレンタルや移籍させています。特に銀河系軍団と言われるスペインリーグの"王様"レアル・マドリードはその象徴的存在です。今回の決定を受けて、一番喜ぶ(いや、びくついている!?)のは選手と球団の契約を取り持つ"代理人"達かも知れません。今後は下部組織から確実に数名、トップチームに昇格させる必要がある為、大物選手ばかりを集めてくる強化策ができなくなり、必然的に欧州外からの選手が減少することが十分に考えられ、中途半端に契約金の高い未知数の選手の動きが停滞し、変わって、将来を見越しあらかじめ才能のある世界中の"子供達"を確保しようとする、"引き抜き"合戦が今後過熱化するのは必至な状況です。実際に英国プレミアリーグのマンチェスターUDとポルトガルのクラブがブラジルのわずか9歳の天才サッカー少年に獲得オファーを出したとも言われており、すでにそのような動きは始まっているのです。 1990年代に一度アフリカのサッカー選手が注目を浴びたことがあります。ナイジェリア、カメルーンといった国々から抜群の身体能力に加え、しなやかな動きとクイックネスを併せ持った選手が次々に欧州リーグに引き抜かれました。またしばらくすると"2匹目のドジョウ"を狙った代理人達が、まだサッカー選手として価値はないものの、将来のスター候補として十分に素質を持つ15,6歳の少年達を極めて小額の契約金で欧州へ連れて行きました。この中から数名の選手はトップチームに昇格しているものの、大部分はチームから忽然と姿を消したり、代理人に見切りをつけられた少年達は祖国に帰る金もなく、違法滞在を続けながら、将来のわずかな希望にかけている選手もいるようなのです。これはアフリカ諸国のサッカーにおける急激な台頭が生み出したある意味、"知られざる弊害"なのですが、今後各クラブが確実に数名を下部組織からトップチームへ引き上げる必要が出てくることから、更に世界中の才能をもった少年達が欧州各国リーグに所属する各クラブへ入団することが考えられます。かつての悲劇が繰り返されないように祈りたいところですが、選手の売買が大きなビジネスメソッドとなっている現在のプロスポーツ界において、繰り返されるのは確実です。ただUEFA側もこうした悲劇が起きないような規制を設けるべきです。現在のところ、15歳から21歳までの間に3年間以上の所属のみで、国籍等の規制はないようですが、本当に国内選手を出場させるのが、今回の規制の目的であるならば、当然国籍条項も付け加えるべきです。そうしないと、貧困国出身の選手達は小さい頃に自分の意思に関係なく、代理人達が親にある程度のお金を支払って、欧州につれてくる、といった人身売買に近い契約が起きうるのです。 ラテンアメリカのサッカー選手にとって、欧州リーグは夢舞台です。かつてのマラドーナやジーコ、最近ではロベルトカルロス、ロナウド等ラテンアメリカ諸国出身の大物選手が実際にプレーし、その報酬となる金額は同時に、次代を担う若い選手達の大きなモチベーションとなっているのです。この地域の選手はのちに大物選手になるべき素質ももった"原石選手"の宝庫であり、常に欧州から注目されているのです。彼らの将来の夢を奪うことなく、そしてプロスポーツとしてのビジネスが成立する方法を考える必要あるのです。 またビジネスも勿論ですが、ヘッドハンティングされる少年達の引退後の姿も同時に想像して契約して欲しいとも思います。アルゼンチンの英雄マラドナーはサッカーは確かに天才的でした。しかし今の姿はどうでしょう。麻薬に溺れる中毒患者そのものです。彼は現役時代からコカインを常用していたことは有名な話ですが、引退後こうならないよう、"人間"としての成長も同時に促してやって欲しいものです。
posted by colombiasoccer |12:40 |
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