2006年10月23日
第2回 「ブランド」-コロンビアサッカーのブランド価値は?
前回「広告」について取り上げましたが、今回は「ブランド」について考えてみたいと思います。 好きなブランドってありますか? ブランドとは? コトラーは自著の中で"ブランドとは何らかの意味と連想を担った記号"であると言っています。 でもブランドということを聞いて、何を連想するかな?と思いブレイン・ストーミングしてみました。その結果、ソニー、Ipod、ヤンキース、東大、ハーバード、日本製、トヨタ、アディダス、ナイキ等など、キリがありません。 でも対象を限定すると連想されるブランドも限られます。例えば、コーヒーについて真っ先に連想されたブランドはのは「スターバックス」でした。つまりスターバックスというブランドがコーヒーから真っ先に連想された訳です。 それでは、テーマをサッカーにしてみましょう。サッカー強国として真っ先に思いつく国はどこでしょう? 自分の場合はブラジル、イタリアという2国が真っ先に連想されました。では南米サッカー強国ということになればどうでしょう? ブラジル、アルゼンチンが真っ先に連想されました。 悲しいかな、サッカーという単語からコロンビアサッカーということは連想されないのです。これは私だけではなく、多くの日本人がそうであろうと思います。つまりコロンビアサッカーというのはまだまだインターナショナルレベルで言えば、そのブランドが確立されているとは言い難いということなのです。 コロンビアリーグにおけるブランド それでは、コロンビア国内に目を向けてみたいと思います。 コロンビアリーグの最高峰、Copa Mustangに所属するチームは18チームです。その中で最も人気のあるチームはどこでしょう? まあハッキリとした統計がある訳ではありませんが、恐らくメデジン市を本拠地とするアトレティコ・ナシオナルだと思います。このチームは国内リーグ制覇は8度しかないのですが、1989年に元コロンビア代表GKイギータを擁して南米クラブ選手権をコロンビアのチームとしては初めて制し、トヨタカップに出場した頃から人気が急上昇し、現在に至っています。日本プロ野球でいうジャイアンツ、MLBのヤンキース、リーガのバルセロナ等に例えならば理解しやすいかと思います。 チームの所有権は国内飲料水メーカーでは最大手の「POSTOBON」社で、同社はメインスポンサーとしてチームを支えています。チーム名ナシオナル(英語ではNational)が示すとおり、かつてこのチームに所属する選手は全員がコロンビア国籍の選手でした。つまり外国人助っ人に頼らないチーム作りをチーム信条としていました。実際に有名コロンビア選手が数多く在籍していたことも、このチームに賛同しそして鼓舞されたファンを獲得するのに重要な役割を果たしてきたと思われます。最近は成績が思わしく同球団ですが、コロンビアリーグの盟主といえば、今でもナシオナルを連想する人が多いと思います。 それからナシオナルというチームばかりではなく、POSTOBONという企業が同球団と共に、国内最大手の飲料水メーカーとして独自のブランド価値を確立したという事実は今後更に調査する価値があるかと思います。 ブランドの確立 コトラーは自著の中でブランド構築が次の6つの組み合わせによって総合的に達成されると解説しています。
- 広告
- パブリック・リレーションズ
- スポンサーシップ
- イベント
- 社会貢献活動
- 会員制組織(クラブ)
- スポークパーソン
広告はあくまで、ブランドに対する関心を喚起するものであり、広告のみがブランドを築き上げるものではないということなのです。広告によって喚起されたブランドをいかにメディアに語らせ、それにより情報を得た人が知人に広めていく。そのブランドが信頼のあるものであると認知されれば、それが消費者によって更に信頼性の高いものとして伝達され、次第に広がっていくことになるのです。高額な広告のみから得られた情報は一時的にはインパクトがあっても、すぐに忘れられることも多いのです。 ブランド構築の困難性 ナシオナルに続いて南米クラブ選手権を制したチームがもう1チームあります。欧州王者と南米王者が対戦するという形では最後となった2004年トヨタカップに出場したオンセカルダスです。マニサレスというカルダス県の首都を本拠地とする同チームですが、国内での人気はイマイチの印象です。優勝した次年度も年間チケットの販売に苦労している、という新聞記事も実際に目にしました。 ブラジルの古豪サントスやアルゼンチンの強豪ボカ・ジュニアーズを撃破して優勝した際の国内の盛り上がりは最高潮だったのですが、確固たるブランド確立までには至らなかったようです。 コトラーのブランド確立論に当てはめてみると、コパ・リベルタドーレス制覇が広告にあたるのではないかと思います。チームの存在は南米クラブチームにおいては本当に最高の形で広告され国内に喚起するキッカケは達成されたものの、それ以外の5つの事柄を有機的に組み合わすことが出来なかったように思います。 著書の中でデビット・オルグゥイは「どうしようもない愚か者でも取引をまとめることはできる、だがブランドを構築するには非凡な才能と信念、忍耐が必要だ。」と説いています。 オンセカルダスの球団関係者が愚か者であるとは言いませんが、ナシオナルと比較して、ブランドを構築する能力に劣っていることは確かだと思います。ナシオナルと比較してみると何か興味深い事実が浮かびあがるかも知れません。この比較研究は、コロンビアサッカーにおけるチームブランド構築のヒントになるかも知れません。 ブランドの拡大 コロンビアサッカーチームの場合、そのチーム名(ブランド)を使って、更にビジネスを拡大しようとする動きはあまり見られません。 ブランドを拡大する方法として次の3つがあります。
- ライン拡張-既存カテゴリー内の新製品に同一ブランド名を用いる方法
- ブランド拡張-新たな新製品にカテゴリーに同一ブランド名を用いる方法
- ブランドストレッチ-異業種に同一のブランド名を用いる方法
ライン拡張は既に確立しているブランド名を使う場合、新たに新ブランドを構築する必要がなくコストパフォーマンスはいいように思われます。ただ注意がひつようなのでは、同じような製品に同じブランド名がついているため、消費者は購入の際に混乱する可能性があるのです。この混乱によって、別のブランドに顧客を取られてしまっては意味がないのです。また同じブランド製品が共食い現象を起こす場合があるのです。その為、ダメな製品はカットする必要があるのです。 ブランド拡張は、ライン拡張以上にハイリスクだといいます。 例えば、スポーツブランドのアディダスはサッカー界においてはナイキと並んで世界的に大成功と収めているドイツの企業ですが、彼らがもしスーツを販売しても個人的にはあまり興味が沸きません。 ナシオナルのメインスポンサーであるPOSTOBON社がコーヒーを販売しても果たして買う人がどの位いるのか? 疑問です。 ブランドストレッチは最もリスクが高い手法であると捉えられています。 ゼロックスは世界的有名なコピー機ブランドですが、彼らのPCはな何故不成功に終わったのか? アマゾン・ドット・コムの家電製品は書籍部門程成功しているのか? 模倣製品を投入する場合に、その業種で既に確立された既存カテゴリーリーダーに敗れ去る、といった例は枚挙にいとまがないのです。 ヴァージンアトランティックグループの総裁リチャード・ブロンソンは、彼の手がける何十もの事業に"ヴァージン"というブランド名を用いて大成功を収めてきましたが、こんな例は稀なのです。 ブランド構築の効果 それではブランドの構築の成果をどのように評価するのでしょうか? 従来は意識、認知、想起といった尺度で判断していたのですが、昨今は顧客の多様化そしてエクスパータイズによってその評価の仕方も変わってきているように思います。コトラーのいうように、顧客の価値意識、顧客満足度、顧客シェア、顧客維持率、顧客支持等を服務、より包括的な視点で評価していく必要があるように思います。 計画の段階からこの評価を十分に考慮したブランド構築プランの作成が必要であり、多様化している顧客との接点について提供されるブランドの本質とは何か?という点を球団幹部のみならず、全職員に徹底することも必要でしょう。 まとめ コロンビアサッカーのブランド価値について考察してきたのですが、コロンビア国内における人気スポーツがサッカーであることは揺るぎない事実だと思いますが、どの程度のブランド価値があるかは先行研究がない為、それを結論付けることは難しいのですが、ブランドを高めようという意識がどの程度あるかについては、ある程度予想できる気がします。前回の広告でも取り上げたのですが、全体として広報しようとする意識が低いのが現状です。 Copa Mustangに所属するチームの中でこの辺りまで突っ込んだ議論がなされているのか、またこの議論をリードする人材が確保されているのか? 私が実際に訪問したチーム内でこの体制ができている(できつつある)のはカリに本拠地を置く、デポルティーボ・カリのみである気がします。それでも人材不足の印象は拭えないのですが。 如何だったでしょうか? 次回は「変化」について考えてみたいと思います。 参考書籍 「コトラーのマーケティング・コンセプト フィリップ・コトラー、恩藏 直人、大川 修二訳 -東洋経済新報社2200円(税別)」
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posted by colombiasoccer |04:26 |
コロンビア蹴球とMarketing |
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