2009年12月05日
少々古いですがスポーツへの助成金についての「事業仕分け」の結果に関して。
これまでさらっと見た限り,いわゆる「事業仕分け」においてスポーツへの助成金であるところの国庫補助金を縮減するという結論が出されたことについて少なくともスポーツ界においては反対という意見が強いようです。 たとえば 事業仕分け:強化費縮減 「切り捨てに憤り」 フェンシング・太田ら、実情訴え会見 仕分け人が「リュージュ、ボブスレーなどマイナーな競技にも補助が必要か」などといってしまったのも反発を買ったようです。 また以下のブログの議論は単純な反対論では無く参考になると思います。 スポーツ界にとって事業仕分けは大きなチャンスです スポーツ関連の事業仕分けについて... 補足 まず事実として確認しておきますが,スポーツへの助成金は3つあり,事業仕分けで縮減という話になったのは国庫補助金約59億円で,他に2つ,toto助成金約70億円とスポーツ振興基金約10億円があるそうです。で役割分担も決まっており 国庫補助金→27億円:代表選手の強化や国際大会への派遣費用 32億円:国体開催などで日本体育協会や地方自治体へ スポーツ振興基金→各競技団体ごとの強化事業,選手個人への助成 toto助成金→ジュニア選手の発掘・育成 という感じだそうです。 つまりは縮減対象とされた国庫補助金のうち半分以上が「国体」などに使われるようで。「国体」にどういう批判があるか,ウィキペディアから引いてくれば, 「近年は開催都道府県が総合優勝杯である天皇杯・皇后杯を獲得することが常態化している。これは開催県の代表が予選結果に関係なく全種目に出場出来るいわゆる「フルエントリー制」の存在や開催県が選手強化や大会運営に資金を注ぎ込み、さらには開催地が変わる度に所属先団体および代表県を転籍して出場する選手さえも存在するためである。」 「また国体開催を期に開催県は施設の新設を強いられ、税金の無駄遣いであるという意見も聞かれる。」 とするなら,国庫補助金を縮減対象とするのはまんざら間違いでは無いかもとか思ったり。多分仮に縮減という方向に話が進んだ場合,「国体」の費用はなぜか削られることなく代表選手の強化費だけが削られることになったりするのかも。 さて,上記のような細かい議論をしたいのでは実はなくて,個人的にもっと根本的な問題に関心があったりします。つまりは,「スポーツに税金を投入する」という行為についてです。 そもそも税金を投入する事業というのは,少なくとも何らかの公益,いいかえれば社会的な利益が考えられなければならないわけです。もっとも何らかの公益があるからといって,すぐに税金を投入すべきだという話にはならないでしょう。なぜならほとんどの事業において何らかの公益を見つけることができるのが普通ですから,それだけで税金を投じていたらいくらお金があっても足りないわけです。無駄の象徴とされる大型公共事業も,何らかの公益がある場合が殆どでしょう。 というわけで,他になんらかの基準がなければ,ということで色々あるでしょうが,やはり費用対効果の視点が重要だと思いますし,あるいは最近ではエラく評判が悪くなってしまったかつての小泉政権では「民間でできることは民間で 」(でも民間でできないから政府が,というわけでは必ずしもない)というのが抽象的ながら1つの判断基準を提供していたと思いますし,「事業仕分け」も基本的にはその延長線上にあるのかなと。「小さな政府」というと抵抗が大きいですが,政府の支出が収入に比べて恐ろしく膨らんでいるので政策の「効果」を再検討して「効率的な政府」,それを目指しましょうという。 スポーツの持つ公益性とは何か。 色々あるのでしょうけど,ここではJOCなどが「27億円は諸外国と比べてむしろ少ない。死活問題」とする代表選手の強化事業費を考えてみると,これに一体どういう公益性があるか。1つには,まあようするに「国威発揚」?五輪における好成績が日本を元気にする,というのはそういうことですよね。簡単にいえば,日本人がメダルを獲ると同じ日本人であるあなたも何となく幸せになれる。ナショナリズムの魔術という感じですが,このちょっとした幸せな感じをもたらすために税金を投入すべきかどうか,という議論は今までどれぐらいなされたのか,という感じがします(おそらく他の公益性もあると思うので,もし思いついたら教えてください)。 (ちなみに,ナショナリズムは関係ない,スポーツが素晴らしい,活躍している選手の姿が素晴らしいのだ,というのであれば,自分達の国の選手以外の活躍している姿を見ても幸せになれるはずなので,日本の税金を日本の選手に投じる必要性は乏しくなる気がします。他の国がせっせと税金を投じて作った選手達の活躍をタダで楽しめて幸せになれるわけですから,なぜ自分達の懐をさらに痛める必要があるのかといえるのではないでしょうか?) さて,反発を買ったであろう仕分け人の「リュージュ、ボブスレーなどマイナーな競技にも補助が必要か」という発言。これを上記の観点からあえて擁護するならば,「マイナーな競技のメダル獲得における国民への幸福感発生効果は大したことないのではないか」という発言だと解釈できるでしょう(ちなみにこの理屈を押し進めると,おおよそ五輪でメダルを獲れそうにない,あるいは社会的な注目を集めるほど好成績を挙げられそうにない競技は国民を幸せにすることもない,したがって税金を投入するに値する公益性を有しない,という話になるでしょう)。それに対しては「マイナースポーツこそ補助が必要。切り捨てる言葉に憤りを感じる」という反論というか,反発があったようです。「マイナースポーツこそ補助が必要。」という議論は,マイナースポーツにとっては,他からの支援が比較的充実しているメジャースポーツに比べて国の支援に頼るところが大きいので減らされるのは困る,感情論的にいえばマイナースポーツを馬鹿にしているのか,という観点からのものだと思います。が,ここで語られるべきなのは,マイナースポーツの代表選手の競技活動という「事業」がいかに税金の投入に値する公益性を有するか,いかに有意義な効果を社会に対して有するか,という話であるべきではないかと思うんですよね。マイナースポーツの代表選手の競技活動への支援は,たとえ打ち切られたからといっても生活保護のようにその人の生存に関わるようなものではなく,したがって少なくとも経済的に苦しいよと訴えただけで政府の支援の必要性が明らかになるようなものではないと思うからです。一体リュージュやボブスレーが社会に対してどのような貢献できるのか,そういうことを今までスポーツ界はどれだけ社会に対して語ってきたのでしょう? スポーツとは基本的には「暇つぶし」から生まれたものであり,というか多くの文化とされる現象は,生存のために必要な活動から解放されて生まれた暇から生まれたものでしょうから,人の生存のためには必ずしも必要ではない現象です。政府の役割を考えてみると,極端には,市場の失敗事例以外政府は社会に介入すべきではないという意見もありえますし,そこまでいかなくても,まずは人の生存に関わることから優先順位をつけて税金を投じていくべきだ,という意見はありうるでしょう。そのような立場をとった場合,政府が代表選手強化という「事業」に税金を投ずることについて疑問がでてきてもおかしくはありません。スポーツ界や多くのスポーツファンは,諸外国と比べて我が政府が代表選手強化に投じている資金が少ないことを問題にしていると思いますが,例えば,仮に諸外国と比べて多くないといわれる分を減税しているのであれば(ただ,実際は他のことにお金を使ってるのでしょうけど),そのお金で納税者が個々に余暇を,好むならスポーツを楽しむ経済的余裕が生まれているわけで,そちらの方がより社会的利益に資するという議論だってありうるはずです。 この事業仕分けで明らかになったことは,政府もスポーツ界も,今までは結局のところ大した議論も無く惰性的に税金を扱っていたということです。この仕分け結果によりそれを認識することができたわけでその点では非常に有意義だったと思います。政府が社会においてどのような役割を果たすべきかについて議論してきたわけでもなければ,代表選手の強化という「事業」がいかに税金を投じるに値する社会的効果を有するかについて,あるいはマイナースポーツの有する社会的効果について議論してきたわけでもない。国庫補助金約59億円というのは政府の予算から見れば決して大きい額とはいえませんが,この手の議論無き惰性的な支出をあらゆる方面で重ねた結果,政府の支出が肥大化し,我が国の借金がトンデモないことになってしまっている気がします。
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posted by coladevaca |07:37 |
スポーツ文化 |
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どうしてスポーツに税金を使わなきゃならないの? 【B205ブログ】
事業仕分けネタが続きます。 先日、研究室の飲み会である先生が発した言葉がずっと引っかかっています。 「トップスポーツが国民に夢と希望を与え、活力を生み出すというのであれば、そのエヴィデンスを示さなきゃいかんよな」 「外国の選手のすごいパフォーマンスを見て..
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少々古いですがスポーツへの助成金についての「事業仕分け」の結果に関して。
コメント投稿者ID :
毎年、毎年、国債の発行額は増えるし、予算は増大する一方、だし、・・・リーガばっかりみてられないかなぁ・・・
コメントないな・・・
posted by ブスケッツ親子 | 2009-12-08 01:30
少々古いですがスポーツへの助成金についての「事業仕分け」の結果に関して。
コメント投稿者ID :
問題は、選手強化をお題目に、間で各競技の協会がお金を抜いてる実態がある事です。
理事とかいうほとんど何もせん奴が年収で1千万とかもらってたり、海外視察とか言って観光旅行してたり、まあ、酷いもんです。
個人的には、そういう無駄が省かれてれば良いと思いますがね。
posted by コメントないね | 2009-12-25 11:57
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