ホースレース・ロマネスク

私的名馬列伝 第十二話 ジャングルポケット

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★はじめに

 今週末は、夏競馬の掉尾を飾る札幌2歳Sが行われますね。  私が競馬を始めたころの札幌3歳Sはまだ1200m戦で、それが1800m戦に生まれ変わってからはや20年と思うと、月日の流れの早さを感じるばかりです。

 そして、1800mに昇格したばかりの数回は、まだローテーションとしての立ち位置が確立せず、結果的にその後に繋がらない事が続きましたが、その負の流れを綺麗に払拭してみせたのが、今回取り上げるジャングルポケットが勝った年の札幌3歳Sでした。  なにしろ勝ち馬が後のダービー&JC馬で、2着も朝日杯で2着に入るも骨折で散った非業の名馬タガノテイオー、そして3着には桜花賞&秋華賞を制した名牝テイエムオーシャンがいたわけで、今年も後々そんな風に大活躍する馬が出てくればいいなと思います。

 夏の新馬と言えば短距離からスタート、という概念を覆し、2歳の夏の時期からじっくりクラシックを見据えた距離を選び、無理のないゆったりしたローテーションを組むという新機軸を明確に固着させたと言えるであろうジャングルポケットの軌跡を、今回改めて振り返ってみようと思います。  生涯通算成績は13戦5勝と、やや数字的には迫力と安定感に欠ける所もありますが、しかし噛み合った時の爆発力は超一級、未だにダービーとJCを同一年度に制した唯一の馬でもあり、いかにも左回りの鬼・トニービンの仔らしいしなやかな強さと不器用さを併せ持った馬でした。

 今回もレースの馬齢は当時の表記のままとさせていただきます。

★新馬~ラジオたんぱ杯3歳S <新たなる王道路線の開拓>

 当時は今より遥かに北海道シリーズの1800m戦は鞍数が少なく、それ故にそこを敢えて狙って使ってくる馬が出揃う事で、ジャングルポケットの新馬戦は後々に振り返ってもかなり豪華な顔ぶれでした。  後の朝日杯1、2着馬のメジロベイリーとタガノテイオーがいて、更に若葉Sを勝つダイイチダンヒルなどもおり、そして彼らはみんな当時向かう所敵なしのサンデーサイレンス産駒でした。

 故に人気もそちらに集中し、ジャングルポケットとて中々の血統馬でありながらも5番人気に甘んじますが、しかしレースでは逃げたメジロベイリーの番手にダイイチダンヒルと並んで追走、メジロが早々に脱落したところから直線熾烈な叩き合いとなり、ジャングルポケットは捲ってきたタガノテイオーをギリギリ退けて新馬勝ちを収めます。  結果的にこの3頭が後続を8馬身突き放し、この距離での能力の違いを示した格好ですが、しかしこの時代の面白いところは、まだ1800m戦の新馬勝ちがあまりステータスではなかったところです。

 次走、中2週での出走になった札幌3歳Sでは、その評価が顕著に表れていたと言えます。  このレースでは、1200m戦を連勝してきたテイエムオーシャンとマイネルカーネギーが1、2番人気となり、3番人気も1200mの新馬戦を圧勝したセンターベンセールでした。  やっと4番人気に、折り返しの新馬戦を完勝して連闘策で望む(このローテも今だと考えづらいところですけれど)タガノテイオー、そしてジャングルポケットはまたしても5番人気の伏兵扱いだったのです。少なくとも今なら絶対にこんな人気順にはならないでしょうね。

 しかし、中2週ながら+10kgと、レースを使っての成長を見せてきたジャングルポケットは、テイエムオーシャンが刻む平均ペースを好位で楽々と追走、直線外から豪快に差し切り、レコードのおまけつきでその素質の高さを満天下に知らしめることとなります。  上でも触れたようにここの上位3頭は本当に強い馬でしたので、その意味でも大きな価値がある勝利ですし、またここを勝ったことで、今後クラシックに向けてのローテーションを組みやすくなりました。

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この記事へのコメントコメント一覧

私的名馬列伝 第十二話 ジャングルポケット

>エピカリス様

 いつもコメントありがとうございますー。

 スアデラは前走の勝ちっぷりで多少ならず慢心というか、大目標に向けてのメリハリ付けはあったかもですね。あんな馬ではないはずなので巻き返して欲しいです。

 オペラオーは勿論、2年続けて王道を皆勤した事での下降線も考えるべきなのですが、仰る通りグランドスラムの年がスローばかりなのですよね。
 本来はある程度流れた方が強いタイプのはずだけに、色々と評価が難しい面はあると思います。いつかこの馬も列伝で取り上げ、より明確に自分なりの結論を出したいとは思っていますが、レース数が多いので大変そうだなぁ、と中々時間もなく執筆に踏ん切れないんですよねぇ。

 カブトヤマ記念とか懐かしいですよねぇ。
 確かに御三家も孫の世代になると今のところパッとしませんし、一先ず堅実に地位を築いてるのってキンシャサノキセキくらいでしょうか?その意味では父内国産的な保護政策はあっても面白いかもしれませんね。

「私的名馬列伝 第十二話 ジャングルポケット」へのコメント

 いつも拝見してます。
スアデラ残念でした。有り金がそんなに無かったのが救いでした。パドックを見て仕上げが甘いと感じました。今回と東京盃、JBCを連勝するのは難しいので、結果的にJBCへ向けて再度仕上げ直していくと見ました。
 ジャングルポケットはジャパンカップのペリエの騎乗が印象に残ってます。見解が別れますが、オペラオーの前年は全てスローのレースで、負けなかった馬に先着を許す様になった事を見ても明らかに衰えていたと思います。なので前年のオペラオーであれば負けなかったと。
 きら星の如く名馬がいたジャングルポケット世代もサイアーラインは途絶えようとしてます。結局、サイアーラインが続いているのはテスコボーイ系だけで、ノーザンテースト・パーソロン・ブライアンズタイム・トニービンといった名種牡馬も直系は続きません。
 父内国産制度があったのはご存知だと思いますが、10年20年先を見据えて純内国産制度を設けて欲しいです。父・祖父共に内国産種牡馬である馬を認定します。

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