ホースレース・ロマネスク

私的名馬列伝 第九話 グラスワンダー

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★はじめに

 ちょっと宝塚記念からタイミングがずれてしまいましたが、今回取り上げるのは栗毛の怪物と称され、エルコンドルパサー・スペシャルウィークなどと最強の座をかけて鎬を削った最強世代の一角、グラスワンダーです。

 デビュー前に怪物、と叫ばれる馬は多いものの、いざデビューしてみると案外、などという事もしょっちゅうの競馬シーンですが、この馬はその中でも希少種の、デビュー前の期待をその走りで更に上回ってきた名馬でした。  生涯通算成績は15戦9勝、勝つときは本当に強いながら、負ける時は淡泊に馬群に沈むような極端さもあり、その体質の弱さも相俟って掴みどころのない馬とも言えます。  最初の骨折以降は、万全の状態でレースに出られたことがない、など嘯かれながらも、グランプリレース3連勝などの輝かしい偉業を成し遂げた当馬の波乱万丈な競走馬の歴史、その能力の神髄を、当時の印象などと併せて改めて振り返っていきたいと思います。    なお、年齢表記は当時の基準に従っています。

★新馬~朝日杯3歳S <怪物の名を恣に>

 今にして思えば、いわゆるマル外、と呼ばれる外国産馬が国内の大レースで猛威を振るったのは、この馬とエルコンドルパサーが活躍した時期が最後だったようにも思えます。  勿論その後もクロフネやアグネスデジタルなど、散発的に強い外国産馬は出てきましたが、それ以上にサンデーの出現で国内産の血統、能力レベルが底上げされて、規制を掛けないと太刀打ちできない、というほどの強さを発揮する馬は出てこなくなりました。

 そんなマル外全盛時代の掉尾を飾る1頭のグラスワンダーは、デビュー前から調教などで抜群の動きを見せ、これは規格外の馬ではないか、と巷間で囁かれるほどにその存在が際立っていました。  デビュー戦は中山の1800m戦、この時代はまだ折り返しの新馬戦、という言葉が死語でない時代ですので、相手の中にはレース経験馬もいましたが、そんなものは全く関係ない、とばかりに、やや出遅れるものの素早くリカバーし2番手からレースを進め、直線坂地点であっさり抜け出して3馬身差と、評判に違わぬ強さを見せつけます。

 そして、いよいよこの馬は本物だと盛り上がったのが2戦目のアイビーSでした。  ここでもやや立ち遅れて中団より後ろからの競馬になったグラスワンダーですが、直線を向くと豪脚を発揮し、坂地点で楽々先頭に立つと後は突き放す一方、5馬身差の圧勝でその強さを誇示し、このあたりから怪物、という呼称が定着していきます。

 次走の京王杯3歳Sでは、新潟と小倉の3歳ステークスチャンピオンなどを向こうに回しながらも圧倒的な人気となり、このレースでは内枠からしっかりスタートも決めて楽々2番手を確保、直線もほぼ追うところなしに楽に突き抜けて6馬身差と、手に負えない強さで3歳チャンピオン決定戦の朝日杯3歳Sに駒を進めます。  ここでも、マイネルラヴ、アグネスワールド、ボールドエンペラーなどの後々の活躍馬を向こうに回し、まずまずのスタートから中団を追走、前半1000m57,1の激流にも戸惑うことなく4コーナーでは抜群の手応えで上がっていき、直線で先に抜け出したマイネルラヴを楽に捕まえての圧勝でした。

 このレースは同時に、はじめて3歳馬がマイル戦で1分34秒の壁を超えたレースとしても記憶されます。  この時計が決して馬場に恵まれたものではないのは、同日1600万下のマイル戦が、やはりそれなりの急流でありながら1,34,3止まりだったことでも間接的に証明されます。  この若駒の時点で、数字的にも明らかに古馬重賞クラスの走りを見せてきたグラスワンダーが、今になっても史上最強の3歳(現2歳)馬と呼ばれるのも決して違和感はない、記憶にも記録にも残る走りでファンを魅了したものでした。

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