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2017 宝塚記念 レース回顧

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 夜半からの雨で渋りが残り、空模様も曇天の中行われた宝塚記念は、香港ヴァーズであのハイランドリールを破ったサトノクラウンが、このレースでも重い馬場を味方に一気に外目を突き抜け、単勝1.5倍のキタサンブラックが馬群に沈む中で、国内初GⅠタイトルを獲得の大仕事をやってのけました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場状態からですが、正直雨量としては全く予想が外れた、というところですね。  午前中の時点で稍重でしたし、流石に昨日に比べれば内外ともに時計はかかっていましたが悪化は限定的だったと思います。  外回りの新馬戦も1,48,7の好時計、内回りの500万下2200m戦がややハイペースで2,13,0、1000万下1200m戦がやや前傾で1,08,9なので、昨日よりは1~1,5秒くらいかかる馬場だった、と考えていいでしょう。  元々がレコードの可能性も見える超高速馬場でしたので、そこから1,5秒足しての2,11,4という勝ち時計は、500万下と比較しても水準だと思いますし、ただレースの様相としてはまるっきり予想しない形で展開していったな、と、反省材料の多いところです。

 まずスタートから、キタサンは悪くないスタートでしたが、最序盤は内の馬の動きを見る形でゆったり出していく中、インから先手を取ったのはなんとシュヴァルグランでした。  最近スタートが改善されている、と書いたのであのくらいの先行力は驚きませんが、しかし前に壁を作らずそのまま逃げの手に出るパターンは考えていませんでしたし、かつそれにシャケトラがぴったりついていけたのもちょっと驚きでしたね。

 或いはこの辺り、2頭で呼吸を合わせて前目を取ってしまい、キタサンに外を回らせよう、という戦略的暗黙の了解はあったかもしれませんが、それにしても今日のキタサン&武Jは消極的な入りではあったと思います。  枠順の差はありますが、結果的に去年の方が重い馬場で前半3F34,7で入っていった馬なので、今年の35,2の入りであの位置、というのは、数字面から見ても想定外ではありますね。

 そのあたりの検証はまた後述するとして、他でも特に大きく出遅れた馬はいませんでした。  今日はまともに出たミッキーロケットは先団に入っていき、クラリティシチーも内目から先団、ゴールドアクターは逆に少し下げつつ外に出して、最初からキタサンを見て動ける位置を狙っていたのかな?という感じはありました。  サトノクラウンは出たなりに中団の外目でやはりキタサンマーク、ミッキークイーン、レインボーライン、ヒットザターゲットが後方から、という競馬になっています。

 ラップは今回中々面白い推移をしていますが、3-2-3-3Fで取って、35,2(11,73)-25,4(12,7)-35,1(11,7)-35,7(11,9)=2,11,4(11,94)となっています。  プレビューでテンが流れやすいレース、と書きましたが、今年はそれとはまったく様相の違うレースになっていて、第一、第二ブロックはレース平均よりかなり遅いのですが、第三ブロックが極端に速く、かつレース内でも最速のブロックになっています。    この流れを作り出したのがサトノクラウンのデムーロJなのは画面で見ての通りですね。  1コーナーから2コーナーで一気に流れが遅くなり、前半1000m通過が60,6とややスローに流れる中、外からキタサンを積極的につついて、被されたくないキタサンにロングスパートをさせるように上手く仕向けています。  その結果として残り1200m地点から一気にペースが上がっていて、けれど極端に切れ味を問われるほどではない、11,6~8のラップを5F続ける形になっています。

 この展開ですと概ねスローからの6Fロンスパで、その中に切れ味の質や機動力面をほとんど問わない持久力特化戦になっている、と見做していい点がひとつ、その上でこのペースを外々から追走した時に、今日の馬場だと持続力ラインに踏み込んでしまうのではないか?という問題提起を見出せるラップ推移ではないかと思います。  この馬場でも後半の1200mは1,10,8とかなり速い時計を出してきており、その1200mの中では息を入れる地点は全く作れない、という中では、当然道中の立ち回り、脚の使い方次第で結構な明暗が出ているのではないか、と考えられますね。

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この記事へのコメントコメント一覧

2017 宝塚記念 レース回顧

>jhoge様

 いつもコメントありがとうございますー。

 多分福永Jの青写真って、ある程度スタートで出していって、外から切れ込むキタサンに譲ってその真後ろのポジションを確保する、がAプランだったと思うんですよね。
 ただそれが、外からシャケトラがついてきたことで、キタサンが前に出るのを待っていたら、その間のスペースにシャケトラに入られてしまうかもしれない、それならいっそ…………と、ルメールJに思考を誘導された感もあったかなと思います。
 やはりこういう大一番で、今まで試したことのない逃げ戦法というのはリスキーでしたが、内の馬を待っていると隊列的にポケット、インの悪いところを走らされる懸念も込みで考えれば、ある程度仕方ない判断だったかなと見ています。

 デムーロJは確かに博打騎乗ではありますが、一応普段からああいう競馬はしょっちゅうやってますからね。
 ダービーアドミラブルこそ消極的でしたが、アザレア賞などは完全に一度道中で押し上げてから再度折り合わせることも出来ていて、そのあたりは自分の技術に自信が、見る側にとっても裏打ちがある挙動だと思うので、改めてこの大舞台でそれをやってのける胆力に感心した、というところです。

 あとおそらく、陣営のこの馬の能力面に対する理解もしっかりしていて、キタサンの外から早めに突っついて淀みのないロンスパにする、という戦略は事前に意識されていたように思えますし、それも躊躇いなく動ける要因になったのかなと思います。
 こうすれば勝てる、という決め打ちの型がある馬は、一旦それに嵌り切れば本当に強いんですよね。

 凱旋門は行かない、とサブちゃんが明言してましたね。
 もうこの際、サトノクラウンも追加登録して、サトノ三頭出しで露骨にチーム戦術を練って挑んで欲しいんですけどね。
 ノブレスが遮二無二先行して、クラウンが中盤外から押し上げて、それを好位のインでじっと我慢していたダイヤモンドが差す…………去年のオブライエンオーダーの二番煎じですが、存外嵌りそうとか思えてしまうのですけど。。。

>TCE00078126様

 コメントありがとうございますー。

 キタサンは最初のスタンド前、観客に気を取られていたようにも見えましたね。
 この条件なら内外関係ない、と思っていましたが、馬の気質的に視界の外側に馬を置いた方が走りやすい、というのはあるのかもしれませんし、それだとこれまで内枠ばかりだったのが、単純に枠のバイアスのみならずこの馬にとって有利だった、という事にもなるので、JCあたりで外枠だったら考えてみたい要件ですね。

 確かに序盤消極的だったな、とは思いますが、この辺もシャケトラの動きによって、二頭分外からパスしてまで前を取り切るリスクを咄嗟に考えさせられたのかもしれません。
 まあ私の買い被りかもしれませんが、このレースの序盤にレースを支配していたのはシャケトラ&ルメールJで、キタサンの前かすぐ近くにいなくては勝てない、という、基本にして絶対的な戦略を軸に、じゃあどうすれば自分にとって一番有利な位置・キタサンにとって辛いポジションの並びを作れるか、を踏まえての先行だったと思います。
 その意外な位置取りと積極性に、福永J・武Jともに幻惑された結果、一瞬の判断が交錯してああいう隊列になった、と私は考えています。

 それでシャケトラ自身としては、もう1~2ハロン溜めが効けばべストだったでしょうけど、その戦略を上手くサトノ&デムーロJの戦略絵図の中に丸呑みされてしまった、という構図ですよね。こういう駆け引きの絵図がわかりやすいレースは本当に面白いです。

 夏競馬もゆったり頑張っていきます。また宜しくお願いします。

「2017 宝塚記念 レース回顧」へのコメント

いつも楽しみに拝見しています。

キタさんはいつもインから外に張っていくので、外枠はいいと思っていましたが、外枠でも外に逃げていましたかね。
ブログにも書かれている通り、もう少し前半引き上げて一息いれると思っていましたが…
ラップ面で見たレースの性質や各ジョッキーの駆け引きなど、大変参考になります。
夏競馬のブログも楽しみにしています。

2017 宝塚記念 レース回顧

お疲れ様です。中々見応えが有り、考えさせるレースでした。
まず、何故ユーイチは逃げたのでしょう?彼はスタートが上手く更に
掛からない馬ならスっと番手に控えさせる技術の有るジョッキー。
内からクラリティシチーが来た時下げることも出来たはずです。
次にデムーロ騎手の突っつき、結果的に勝ったから神騎乗と言われる
かも知れませんが、あのまま掛かって自爆しててもおかしくありませんでした。
そして人一倍トラックバイアスを気にする武騎手は動くに動けず・・・。
一番漁夫の利を得たのはノリさん!まあ流石ですけど・・(笑)
たぶんキタサンブラックの凱旋門賞挑戦はナシでしょう。
もしかしてカッツミーの「ライバルは少ないほうがいい」なんて
呟きが聞こえたのかも。なんて想像してしまう私はゲスなのでしょうか?

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