2009年11月29日
J1は2試合を残して上位3チームが優勝を争っている。前節首位に返り咲いた鹿島、勝ち点差2で追う川崎、勝ち点差3で追うガンバ。この緊迫した状況で鹿島はホームにガンバを迎えた。川崎の結果次第で、勝てば優勝の可能性も、負ければ首位を明け渡す可能性もある。今シーズンの行方を左右する大一番になった。
開始早々から終了間際のような怒涛の攻撃を仕掛ける鹿島。小笠原がパスを出す。野沢が走る。マルキーニョスが仕掛ける。興梠が飛び出す。ガンバは防戦だけで精一杯だ。
しかし、20分過ぎから徐々に前線のペドロ・ジュニオールにボールが渡るようになる。やっとガンバが互角の戦いに持ち込んだ。遠藤、明神もゴールを狙う。互いに攻守を繰り返しながら終盤に勝負が動くか、それともこのまま引き分けるかもしれない。そんな予感を抱かせて両者無得点のまま前半が終了した。
後半の鹿島は打って変わって引いて試合を始める。私は首を傾げた。まだ疲れる時間帯ではない。終盤に体力を温存させる消極的な戦い方では、きっとガンバに攻め込まれるだろう。ところが予想に反して先取点を奪ったのは鹿島だった。
後半11分、小笠原のパスに抜け出した興梠がDFを巧みに切り返してゴールを奪う。なるほど。分かった。ハーフタイムのオリヴェイラの指示はこうだ。
「ラインを下げてガンバを前がかりさせろ。そうすると裏のスペースが広がる。そのスペースを利用すれば必ず得点できる」
ガンバは見事に術に嵌ってしまった。1点目から2分後には野沢が決める。死んだフリをして相手を誘い出した鹿島が、その隙を見逃さずに獲物の急所に鋭い牙を剥いた。
その2分後にガンバの二川が1点を奪い返して抵抗を試みるが、そのまた2分後に再び興梠が一撃を加えた。たった6分間で3対1と勝負を決めたことになる。草原を走るライオンたちの狩猟、狙った獲物を一瞬にして倒す赤いライオンたちの見事な狩猟を見せられた気分だ。野性味溢れるマルキーニョス、スピードに乗って駆け抜ける興梠。岩政の鋭い眼光、小笠原の冷静な判断。
後半の23分にルーカスが2枚目のイエローカードで退場すると、残った力を振り絞って必死に抵抗する獲物から容赦なく2点をむしり取った。見事な勝利、相手を前がかりにさせるというリスクを伴った作戦を選択したオリヴェイラの勇気を称えたい。
川崎も勝って優勝は次節に持ち越されたが、ガンバを確実に優勝戦線から突き落とした。開幕時の好調を取り戻した鹿島は褒めるしかないが、シーズン途中で死んだフリをするのだけは止めて欲しい。以前にも書いたが、独走を嫌うのは国内目線、飛び抜けてこそ世界が見えてくる。
(内田の調子が気になります。パスミスをリカバリーに行かない場面もありました。ライオンの群れには疲れたライオンもいるでしょうが、そこを付け込まれる恐れもある。最終戦も注目です)
posted by 直木 善久 |09:42 |
Jリーグ |
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2009年11月27日
私にも眠れない夜がある。
そんな夜はベッドで悶々とはせずに、
「眠くなってから眠ればいい」と、
パッツと起き上がってテレビをつける。
そして深夜に面白い番組に出会うことも多い。
その夜はウルフルズのライブをやっていた。
名前だけ知っている程度のウルフルズだったが、
一曲だけ、何かのテーマソングになっていた「ええねん」という曲が耳に残った。
♪何も言わんでも ええねん
何もせんでも ええねん
笑い飛ばせば ええねん
好きにするのが ええねん
感じるだけで ええねん♪
これは宗教の歌やなぁ、ええねん教。
若者の宗教離れが話題になることもあるが、
これは「南無阿弥陀仏」と唱えるだけでいいという親鸞の教えと一緒やないか。
今でも日本文化には親鸞の教えが脈々と受け継がれている。
それも「ええねん」、「ええねん」、「ええねん」とお題目のように繰り返されている。
ワールドカップでキリスト教国以外が優勝したことはない。
ピッチで十字を切る選手をときどき見かけるが、
彼らは監督に選ばれただけでなく、
神にも選ばれたと信じているはずだ。
神に選ばれた人たちに勝つことは容易ではない。
神と契約した者は強い。
いつもそう感じる。
そのうち日本でも大合唱が始まるだろう。
ベスト4でもええねん。
予選敗退でもええねん。
頑張ったからええねん。
南アフリカへ行けただけでええねん。
それでええねん、ええねん、ええねん。
宗教性の違いなのでしょうか、文化の違いなのでしょうか。
これがお国柄なら「ベスト4」へ辿り着くのは難しい。
でも、この曲、けっこう気に入ってしまいました。
心地よく耳になじみ、聴いているだけで気が楽になる効果がある。
いっそ監督や選手に聴かせてみようか。
♪アイデアなんか ええねん
別になくても ええねん
ハッタリだけで ええねん♪
きっと岡田監督も楽になる。
posted by 直木 善久 |06:15 |
茶の間のひとりごと |
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2009年11月25日
エスパニョールがボールを奪って攻撃が始まる。サイドを駆け上がる俊輔が、両手を大きくハの字に広げてボールをくれとアピールしている。ところがボールは逆方向へ。俊輔の広げられた両手は、すくめた首に押し上げられて「なぜ?」というポーズに変わってしまう。
この動作はチームメイトにアピールしているのか、それとも監督に、それとも観客にアピールしているのか。ここは俊輔を中心にチームが作られていたセルティックではない。最近はベンチスタートが増えて、ピッチで両手を広げてアピールする機会も減っている。怪我と代表との合流だけが原因ではないでしょう。
このままではベンチからも姿が消えるかも知れない。なんと出場をアピールしなければいけない状況に陥っている。それは開幕戦からの記事のタイトルを追いかけるだけでも充分伝わってくる。
「デビュー戦FKで沸かせた」(8/3 ビルバオ戦)
「先発もレアルに完敗」(9/12 Rマドリード戦)
「エスパ今季初勝利、俊輔は欠場」(9/19 エスパニョール戦)
「途中出場でも即アシスト」(9/23 マラガ戦)
「3戦ぶり先発もドロー」(9/27 ヘレス戦)
「プロ最短20分で交代」(10/4 ビジャレアル戦)
「エスパ勝利、俊輔出場機会なし」(10/18 テネリフェ戦)
「本領発揮できず途中交代」(10/24 セビリア戦)
「2戦連続屈辱交代」(10/28 ヘタフェ戦=国王杯)
「俊輔出番なし、ペットボトル投げつけた」(11/1 バリャドリード戦)
「エスパ監督、会見で“俊輔は期待外れ”」(11/5)
「途中出場もエスパ敗戦」(11/8 ヒホン戦)
「同点弾演出も敗退」(11/4 ヘタフェ戦=国王杯)
「途中出場もエスパ敗れる」(11/22 ヘタフェ戦)
俊輔は上手い。ボールをもらえば自分らしいプレーを見せようとする。見せ場を作ろうとする。観客を魅了させるパスを出そうとする。しかし、それがワンプレー、ツープレー、タイミングを遅らせているのは事実だ。チームメイトも監督も観客も、もっとテンポよく右へ、左へ、前へとはたくことを期待しているのではないか。
私はオシムの言葉を思い出した。俊輔が初めてオシムジャパンに召集された07年のペルー戦後の言葉だ。
「いつも天才であろうとすると、結果は無残なものになる」
「簡単なプレーをした方が効果的だ」
俊輔もそれを理解しているはずです。まずチームの期待に答えるスタイルを選択すべきです。そうすれば俊輔の両手が天空へ向かって大きく広げられ、歓喜を表現している姿を私たちは何度も見ることができるでしょう。
手は口ほどにものを言う。パスをおねだりするポーズはしばらく封印して、早めに手を打って欲しい。
posted by 直木 善久 |08:45 |
茶の間のひとりごと |
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2009年11月23日
「もしもし」
「あっ、オレオレ」
「オレって?」
「オレだよ、オレ」
「…」
「元気にしてる?」
「ああ」
「ちょっと頼みがあるんだけど」
「なに?」
「来年、南アフリカでワールドカップがあるんだよ」
「ふーん」
「どうしても行きたいから、ちょっとお金貸してくれない?」
「振り込むのかい」
「そう」
「あんた!」
「はい」
「これ詐欺だろ」
「ちがう、ちがう、オレだよ」
「ふーん、でも行きたかったら自分で稼いでから行けばいい」
「借りるだけだよ。振り込んでくれよ」
「やっぱりこれは詐欺だな」
「ちがう、オレだってば」
「カネカネって、だいたい身の丈に合った生活をしなければいけないよ」
「ああ」
「そのためには身の丈に合った目標を立てること」
「はい」
「ベスト4を目指すから応援してくれ?身の程知らずもはなはだしい。お前は騙されているよ」
「えっ!」
「そんな甘い言葉に誘われて、南アフリカまで行くなんて詐欺に引っかかったようなものじゃないか」
「ちょっとちょっと」
「お前は昔から夢のような話に騙されやすいんだよ」
「サッカーに興味あるの?」
「こんなことシロウトでもムリだと分かるわよ」
「でも日本の試合だけを観に行くんじゃないよ。それに今回はチケットが手に入りやすそうなんだ」
「ふーん」
「お願い」
「…」
「お願いします。ボーナスで返すから」
「まぁ、お前がそこまで言うのなら…」
ワールドカップが近づいてまいります。
南アフリカ行きの資金をねだる新手の詐欺にご注意ください。
オーレオーレ詐欺に。
posted by 直木 善久 |06:54 |
サッカー小話 |
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2009年11月19日
55.△0―0 南アフリカ 国際親善試合(ポートエリザベス) 2009/11/14
56.○4―0 香港 アジアカップ最終予選(香港) 2009/11/18
怪我で放出まで噂されたヤンキースの松井秀喜が、ワールドシリーズという大舞台でMVPを獲得した。打席から伝わる鬼迫、力強いスイング、大きな当たりがファウルになっても途切れない集中力、ホームランを打っても緩まない表情。勝利を掴み取るまで一貫した姿勢を崩さなかった。
この素晴らしい結果は、精神的にも、肉体的にもベストなコンディションでシリーズに臨めたから残せたのでしょう。晴れ舞台とベストコンディションの幸運な出会い。ここまで実力を発揮できなかった歯がゆい思い、その憂さを晴らしたMVPに大きな拍手を送りたい。
日本代表も全員が松井のようにベストコンディションで南アフリカ大会を迎えられれば好成績が残るはず、決勝トーナメントにも進出できる。松井の活躍はそんな期待を抱かせる出来事でした。残り8か月、照準を南アフリカに向けて、モチベーションが徐々に盛り上がるマッチメイクをして欲しい。
南アフリカ戦のキャッチフレーズは「完全アウェイ」。この「完全」ってなんだ?いつもはカネにものを言わせて「ちょっと来い」と日本まで呼びつけ、長旅の疲れを抱えた二軍メンバーと戦う「不完全ホーム」が続いただけに、今回はその汚名を返上する試合ということでしょうか。
でも「完全アウェイ」って負けた時の言い訳にもなる。盛り上げているのか、言い訳の準備をしているのか。その南アフリカ戦の結果はドロー。「完全アウェイ」で「完全勝利」とはいかなかった。
監督に復帰して初戦のパレイラは負けなければいいと考えた。日本もアウェイで負けなければ勝利に等しいと考える。試合が進むに連れて、徐々に両者の思惑が一致しはじめるとこの試合の醍醐味が失われてしまった。
まぁ、次の親善試合は格下との「安全ホーム」ではなく、格上の一軍メンバーと戦う「完全ホーム」をキャッチフレーズにして欲しい。
イタリアとのマッチメイクがアジアカップ予選と重なって流れたときに、予選免除のベスト3を逃した前回のアジアカップを「負の遺産」と評されているのを見かけた。しかし先月のスコットランド戦やトーゴ戦のような試合しか組めないのなら、格下と真剣勝負をしている方がまだましだ(イタリア戦も観たかったけど…)
その香港戦。格下との対戦では圧倒的な強さを示してこそ自信になるが、危ない場面も目についた。格下に隙を見せているようではまだまだ。岡田監督には「ベスト4」が見えているらしいが、私には一向に見えてこない。
「ベスト4は理屈ではなく、見えるんです」(早大でのトークショー)
監督に見えるものが私には見えない。私に現実を見る目が無いのか、監督が幻覚でも見ているのか、どちらかに違いない。
ドイツでは代表のゴールキーパーが自殺した。うつ病だったらしい。健全な肉体に健全な精神が宿るとは言い切れないが、運動する者、体を動かす者、身体性を絶えず意識している者は精神を病むことが少ないはずです。しかし世界中で話題になる代表選手ともなれば、個人の身体性が政治や経済に振り回され、何よりも絶えず注目されることが精神的な重圧になるのでしょう。ご冥福を祈ります。
もしも期待という他者の夢が重圧になるのなら、注目される監督が「ベスト4」という幻覚を見ても何ら不思議な話ではない。
posted by 直木 善久 |23:25 |
岡田監督と日本代表 |
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2009年11月07日
――先輩と後輩の会話を記録した居酒屋のサッカー談議。いつもは馬鹿話ばかりですが、今日は久しぶりにサッカーが話題に上っているようです。ちょっと聞いてやってください。
「先輩!ちょっと教えて欲しいことがあります」
「どうしたの?急に改まって」
「今さら何を、って言われそうで…」
「なになに?」
「日本代表のユニフォームなんですが…」
「ほう」
「どうして青色なんですか?」
「えっ、どうして青かって?」
「そうです」
「うーん」
「先輩、知らないんですか?」
「いやいや、でも、また、どうしてそんなことを?」
「私が代表戦を観るようになったときはもう青色でした。何か理由があるのかと…」
「で、ブルーで何か問題がある?それともブルーが嫌いなの?」
「日本で青という色は良いイメージを連想させないでしょ」
「たとえば?」
「そうですね、『あいつはまだ蒼い』といえば未熟だということでしょ」
「そう」
「恐怖で『顔面蒼白』とか、追い詰められて『青息吐息』とか、憂鬱で『ブルーな気分』になるとか」
「なるほど。日本代表はまだまだ未熟で、試合前に蒼くなって、負けてブルーな気分になる、っていうこと」
「連想ゲームじゃないけど、そんな雰囲気がしませんか?」
「ハハ、ワールドカップで『ベスト4』にでも成れば『青天の霹靂』か。でも『青雲の志』なんて言葉もあるじゃない」
「『青雲』?古いなぁ。俺はお線香しか思い浮かばない。やっぱりお陀仏」
「空も青いし、海も青い。『ブルー・チップ』なんて優良なイメージだし」
「そんなことは一般の人は知らないですよ。『サムライブルー』なんて言われても、だいたいサムライとブルーが結びつかない。どうして代表のユニフォームは青色なんですか、先輩!」
「うーん、東京オリンピック(1964年)のときは白だったよね」
「はぁ」
「戦前のベルリン大会(1936年)でスウェーデンを破ったとき、『ベルリンの奇跡』では青だったような…」
「それで、どうして青なんですか、根拠があるんですか?」
「うーん、それがよく分からない」
「えーっ!」
「サッカー創成期に強豪の東京帝国大学(東大)が青いユニフォームを着ていたらしい」
「遡っていくとそこまで行っちゃうの?」
「まぁ、ハッキリとした理由は見つからない。でも青いユニフォームを着ている時代が一番長い」
「そうなんですか」
「で、青でなきゃ何色がいいと思うの?」
「そりゃ、赤と白のコンビネーションでしょう」
「赤と白」
「昔から紅白は縁起がいい。それに源平の時代から戦には紅白がつき物だし、日の丸だって白地に赤、青い実も成熟すると赤くなる。赤色には成熟した強さを感じますよ」
「でも、悪いイメージもある。赤字とか赤貧とか。スポンサーが降りて赤字になって、赤児の手をひねるような弱いチームになって、ワールドカップ出場は赤信号。それで頭の中は真っ白」
「いえいえ、燃え滾るのは赤い血潮。先輩は青色が気に入っているのですか?」
「まぁ、わたしゃ『ブルーカラー』ですから。そういえば日本にも赤いユニフォームの時代があったなぁ」
「へぇー」
「オフト監督の前の横山謙三監督の時代は赤いユニフォームだった」
「知らなかった」
「成績が芳しくなかったので、オフトの就任とともに青色のユニフォームに戻したのは、当時の強化委員長だった川淵三郎じゃなかったかなぁ」
「へぇー」
「ちなみに、当時の韓国のユニフォームは青だった」
「今と逆ですか。でもブルーが川淵三郎のお気に入りの色だったのなら、そろそろ変えてもいいのかも知れませんね」
「そろそろね。おっ、赤と白といえば今日はワインでも呑もうか?」
「結局呑む話になってしまう」
「大将!ワインあるよね。あればブルーチーズも一緒に」
「えっ、あくまでもブルーにこだわりますね。それなら俺は明太子に赤貝の刺身、それで最後に赤出汁」
「おっと、あんたも挑戦的ですね。でもこういう話は赤白、いや白黒つかない話ですから」
「先輩!」
「はい」
「赤面する洒落にレッドカード!」
――お後がよろしいようで…
posted by 直木善久 |19:44 |
居酒屋のサッカー談義 |
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