2009年10月31日
あなたは聞いたことがありますか?岡田監督がフランス大会直前にカズを外した理由を…
監督は11年前から千回以上話してきたと発言していますが、私は聞いたことがありません。多くのファンも聞いたことがないから、「スパサカ」(10月4日放送)は「岡田監督に聞きたくても聞けなかったこと」という企画で取り上げたのでしょう。岡田監督はその「スパサカ」で次ぎのように答えています。
「散々、言ってきているけど、俺は日本代表が勝つためにどうするべきかを考えているだけ。もう千回以上も言ってきた」
勝つためにどうすべきかを考えるのが監督の仕事です。これだけでは理由の説明にはなっていません。対戦相手を分析した上で、戦力として必要ないと判断した経緯が知りたい。
「予選3試合を想定した中で、使う場面がなかった」
想定した内容――シミュレーションした戦略を同時に語らなければ、誰を外すにもこの説明で済んでしまうことになる。
「代表から外れても彼のサッカー人生が終わったわけではない」
きちっとフォローしていますが、これも理由には成っていません。
「墓場まで持って行く」
これなら千回以上説明したのではなく、千回以上話さなかっただけ。千回どころか実は1回も話していない。どうして墓場まで持って行くのでしょう。沈黙を守るなら、良からぬ憶測をされても仕方がない。
戦略的な理由ではなく、感情的な確執から外したのでしょうか?間違いだったと後悔しているのでしょうか?公人の沈黙は危うい立場から逃れる保身と相場は決まっている。
監督の哲学や戦略は言葉でも伝えられますが、それが見える形となって表れるのがフォーメーションと選手の配置です。
「人の意見に左右されずにメンバーを選ぶのが監督の仕事だと考えている」
その通りですが、ファンの理解を得ることも監督の大事な仕事ではないでしょうか。たとえその時は腑に落ちない人選でも、後から「なるほど、そうだったのか」と理解できることもあります。
繰り返しますが、トルシエは今でも問われれば中村俊輔を外した理由を説明しています。
「当時と今の俊輔では比較にならない。同じポストに中田英寿がいたし、俊輔以上に成熟した選手がたくさんいた。森島寛晃、小野伸二、名波浩。もちろん、ポテンシャルを買ってメンバーに選ぶこともあり得た。しかし彼は足首を故障していてワールドカップ直前のスペイン合宿では、一度もみんなと同じ練習メニューができなかった」
サッカー人気が下降していると報道されていますが、多くの国民が監督のように代表メンバーについて語ることはサッカー人気につながります。代表ファンを増やそうとテレビ番組に出演するなら、ファンの疑問には答えたほうがいい。人の意見に左右されずに独自の考え方を押し通すからこそ、説明を付け加える必要があるのでしょう。
問題になった今回の「スパサカ」で、精神的な支柱として三浦知良を呼んでみてはどうかというファンの意見もありました。かつてトルシエは日韓大会で中山雅史と秋田豊をメンバーに加えましたが、
「俺は一緒にやってきたから、ゴンやカズの素晴らしさはよく知っている。しかし南アフリカ大会には厳しい」
今回は丁重に断っています。
「おい、今日は白状する気になったのか」
「今まで散々、言ってきたじゃないですか。俺は足がつかないように完璧に仕事をこなすことしか考えてこなかった、千回以上も話したじゃないですか」
「それじゃ調書が書けないんだよ」
「何回もうるせえなぁ」
「動機はなんだ!」
「それは墓場まで持って行かぁ」
11年前の一件はいまだに藪の中、そのうち時効になるのでしょうか。
posted by 直木 善久 |20:24 |
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2009年10月24日
岡田監督がトーゴ戦直後のインタビューを拒否したのは、「スパサカ」での不快な質問が原因だと報道されています。「岡田監督が激怒した」という記事もありますが、激怒はしてなかったような…そこで、もう一度その問題シーンをビデオで観てみました。
「ファンが岡田監督に聞きたくても聞けなかったこと」と題された企画は、「南アフリカ大会で『ベスト4』に行けるか」、「代表に呼んでほしい選手」、「98年のフランス大会で三浦知良を外した理由は」という三つの質問で成り立っています。
「スパサカ」の翌日に放送された4日の「やべっちFC」(どちらが先に収録されたかは分かりませんが)で、監督と対談した名波浩が「ベスト4」に触れると、
「雨が降ってもね、水たまりを見て嫌だなぁと思うより、空を見上げて虹を探した方がいいでしょ。『ベスト4』ってそういうこと」
「監督はそういう話が好きですね。昔からスッと言うんですよ」
と名波が切り返しても、
「昔から?そうかな。そうやって誤魔化しているのかな」
と、和やかに対談は進んでいるので、「ベスト4」が不愉快な質問ではないのでしょう。
「人がどう思おうと関係ない。おれたちは『ベスト4』に行けると信じてやっている」
確かに「スパサカ」での語気は強いが、それだけ真剣さが伝わってくる。
次の「代表に呼んでほしい選手」で森本貴幸や石川直宏の名前が上がっても、
「ファンの希望に左右されずにメンバーを選ぶのが監督の仕事」ときっぱり言い切り、
「石川選手には流れを変えたり、得点に絡んでもらいたい。チャレンジして欲しいので今回は呼びました」と丁寧に答えています。
そして11年前にカズを外した真相を問われると、
「散々言ってきたけど、俺はいつも日本代表が勝つためにどうするべきかを考えているだけ。もう千回以上も言ってきた」
決して真相を問うたことに対して反論しているのではなく、同じことを何度も聞かないでくれと話しています。千回以上も話してきたことを、もう一回話すくらいは簡単なことです。わざわざ怒るほどの原因にはなりません。
スコットランド戦は「やべっちFC」のテレビ朝日で、トーゴ戦は「スパサカ」のTBSで放映されるので、どちらも番宣としての出演なのでしょう。注目を集めるための企画であり、質問の内容は事前に知らされている筈です。「この番組、二度と出ねぇ」という発言も、冗談か予定通りのパフォーマンスのように見受けられます。
インタビュー拒否と「スパサカ」は関係ない。監督にはインタビューを拒否する理由が他にあったと考える方が自然ではないでしょうか。もしもインタビューでトーゴの不甲斐ない戦いぶりを口にすれば、協会のマッチメイクを批判したことになります。
この三連戦で予定通りの成果が得られなかったと発言しても、マッチメイクが問題になるでしょう。協会批判は避けたい。そこで逆にそれなりの成果が得られたと発言しても、「こんな試合で何を寝ぼけたことを言っているのか」と批判されることになります。
ミスマッチメイクの試合では、岡田監督は口を噤むしかなかった。これが真相でしょう。TBSは監督から要請があれば謝罪すると発表しましたが、要請する分けがありません。
「インタビューを拒否して申し訳ない」
「『スパサカ』が原因になってしまって申し訳ない」
と謝るのは監督の方です。まぁ、本当に謝罪しなければいけないのは協会なんですが…
「ベスト4の裏付けは?」という質問に、
「裏付けって何なの?ドイツが『ベスト4』に行く裏付けって何なの?ブラジルが『ベスト4』に行く裏付けって…。過去の実績だったら、日本はあり得ない。しかし、チャレンジするのに裏付けなんてない」と語っています。
私も裏付けはありませんが、ちょっとチャレンジして書いてみました。しかし下の写真の笑顔と、炎に包まれた「もう二度と出ねぇこの番組」という文字に、この番組の企画の意図が表れていると思います。
本当に批判すべきことは何か。インタビュー拒否で目を逸らされないようにしたい。
posted by 直木 善久 |06:14 |
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2009年10月19日
54.○5―0 トーゴ 国際親善試合(宮城) 2009/10/14
「かつて、こんなFWいなかった」
トーゴ戦翌日の「日刊スポーツ」は、代表2戦目で初ゴールを決めた森本貴幸をその一面で取り上げていました。「セリエAで研ぎ澄まされた若き才能が、8ヶ月後に迫ったW杯の貴重な戦力として存在感を示した」
見開きの左側には2試合連続でハットトリックを記録した岡崎慎司を「決定力不足と呼ばれ続けた日本に、驚異的な点取り屋が生まれた」、右側には2試合連続で得点した本田圭佑を「5発のトリはやはり『オレ様』」と称賛の記事が書かれている。
一方「スポーツ報知」の一面は、「トーゴ、あわやボイコット」
「FWアデバヨールら主力の大量来日キャンセルでわずか14人のメンバー」
「10日のカメルーン戦から2度の機内泊となる合計40時間のフライト」
「試合の前夜午前0時に現地入り」
「昇給を求めたGKオビラレが一時ボイコットを主張し、会場入りが開始1時間前」と、この試合がいかに異常な状況下で行われたかが紹介されています。
協会の意向を汲み取って、日本のサッカーを盛り上げようとするスポーツ紙があってもいいし、協会に対して批判的な姿勢でサッカーを考えるスポーツ紙があってもいい。しかし今回のトーゴ戦に関して、選手を称賛するだけの記事で終わらすなら、この日の「日刊スポーツ」には節操がないといえる。
何でもかんでも褒めることは、何でもかんでも貶すことと等しい。相手がどのようなチームかを問わずに褒めたたえるのは、評価の手間を省いているにすぎない。記者の目を疑う。
そして岡田監督は試合後のインタビューをキャンセルしたらしい。こんな状況で勝っても意味がない、語ることさえ恥ずかしいのかと思いきや、
「TBSと遺恨…怒りのインタビュー拒否」
確かにTBSの「スパサカ」で、1998年のフランス大会直前に三浦知良を代表から外したことを質問されて、「こんな番組、二度と出ねぇ!」と怒っていました。でも怒る原因がよく分かりません。
トルシエは日韓大会の直前に中村俊輔を外した理由を問われたら、今でも繰り返し丁寧に説明しています。もちろん現在の俊輔を褒めることも忘れていません。岡田監督がこの件に関して触れてほしくない理由を知りたい。
チームの評価を巡って監督とメディアの間に確執が生じるのはよくあること、マラドーナも監督交代を煽ったメディアに怒っています(ちょっと下品な言葉でしたが…)。でも何が岡田監督の気に障ったのでしょう?試合後のインタビューを拒否するほどの理由なら、はっきり口にしてみてはどうでしょう。こんなことでTBSは引き下がらずに、次回も同じ質問を繰り返しぶつけて欲しい。
トーゴはボイコットを回避したものの、岡田監督がインタビューをボイコット、でも内容はこっちが観戦をボイコットしたくなるような試合でした。「日刊スポーツ」は監督のインタビュー拒否にも触れていません。
「かつて、こんな親善試合見たことない」
これが一面ではないでしょうか?
posted by 直木善久 |23:40 |
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2009年10月13日
52.○6―0 香港 アジアカップ最終予選(日本平) 2009/10/8
53.○2―0 スコットランド 国際親善試合(横浜) 2009/10/10
ここまで岡田ジャパンを支えてきたメンバーに新戦力が加わり、考えられる海外組も全員が揃う豪華な招集になりました。
アジアカップ予選は今までのメンバーで勝ちに行き、中一日で行われるスコットランド戦では新しい選手を試し、二つの試合を鑑みてトーゴ戦でベストメンバーを組んで戦う。岡田監督の構想も分かりやすく、新たに招集された戦力の選考理由もよく理解できます。
カターニャで3得点の森本貴幸は満を持しての招集、「招集されても代表へは行かない」と発言したことがある森本をどのように使うのか、監督の手腕と共に代表への注目度も高まります。結果を残せばその効果も大きい。
石川直宏はMFでありながら、Jリーグの得点ランキングの上位にいます。使い方次第では、ゴールから離れた位置からでも得点を奪える可能性が広がる。貴重な得点源になるでしょう。
徳永悠平の招集は岡田監督の大きな声が聞こえてきそうです。「お前はもっと出来る選手だ」、「もっと上を目指せ」、徳永を奮い立たせる招集、飛躍を期待する招集のように感じました。
さて8日のアジアカップ予選、格下との予選は実力を見せつけて確実に勝つことが重要。6対0の勝利は評価できますが、相手ディフェンスを崩してゴールを決めたというより、香港のディフェンスそのものが甘かった。そのうえミスが多い。このレベルのチームが相手なら、アジアカップには一歩近づきましたが、ワールドカップをうんぬん出来る試合ではありません。
そして10日のスコットランド戦、初めて代表戦に登場する選手にはワクワクします。先発の本田圭佑にも注目です。新たな選手の組み合わせは、それぞれの持ち味が相乗効果となって意外な可能性が生まれることもあります。しかしこれだけメンバーが変われば、ジーコの総替えとあまり変わらないような?望ましいのはレギュラーの中に新戦力を織り込んでいくことでしょう。
腑に落ちないのが中村憲剛のポジション。出来ればトップ下で使って今まで戦ってきたスタイルを継続して欲しかった。岡田ジャパンに初登場の石川と、代表での立ち位置を模索中の本田がトップ下と右サイドに並立すれば、二人がそれぞれの持ち味を出して機能するには少し時間がかかります。ちょっとやりにくそう。岡田監督もその辺りが分かっていて、途中でポジションの変更を指示したはずです。
攻撃に関しては石川と本田の位置関係がネックになっていた。例えば憲剛をトップ下で使って、前半は石川、後半は本田をテストしても良かったのではないでしょうか。意地悪な見方ですが、それでどちらも良い結果が残れば、俊輔不要論に拍車がかかる。あえて二人を同時に先発させたのではと勘繰りたくなる。
それにしても予選から中一日の試合で主力が出られないと分かっていたのに、スコットランドはよく日本まで来てくれました。「二軍が来た」、「若手が来た」という批判もありますが、私は感謝したい気分です。オウンゴールまでプレゼントしてもらったし…
まぁ、トーゴ戦のメンバーに注目しましょう。
posted by 直木善久 |05:39 |
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2009年10月08日
雨で中止になった鹿島と川崎の再試合が行われました。
残り16分で中断、そして雷の心配がない状態での中止は、
その判断や再開方法を含めて、
たくさんの意見が交わされました。
そして中断時点からの再試合という、
両チームに不満を残さない形で解決されたことになります。
しかし、私には気になる点が一つあります。
中止決定後に鹿島側は再試合には出費が伴うとして、
「川崎の勝ちで良い」と発言していたらしい。
「鹿島の負けで良い」
これはちょっとまずいのではないでしょうか?
クラブは経済の上に成り立っています。
なにもお金の計算をするのが良くないと言っているのではありません。
たとえ川崎の勝利を画策したとしても、
「残り16分で逆転は出来た。残念だ」
というスタンスでファンや選手には臨むべきではないでしょうか。
日ごろ口にしている勝利への執念は何処に行ったのでしょう。
私には「試合を放棄してもいい」と聞こえましたが…
それで選手たちの闘志や、意欲や、モチベーションはどこへ行くのでしょう。
「もう戦わなくてもいい。相手の勝ちでいい」
これでは再試合をしても勝てる分けがない。
「そう言われましても、3000万の出費は我がクラブにとっては痛手でして…」
しかし、どのような状況に追い込まれても、
最後まで勝利を追いかけて掴みとった勝利こそが、
プロスポーツではお金を生むはずです。
今回の発言は最近の鹿島の不振とダブって見えてきます。
「シーズン半ばで勝点差を大きく広げてトップに立てば盛り上がりに欠ける。そしてメディアの扱いも小さくなる」
こんなことは誰も言わないでしょう。
しかしクラブの雰囲気はどうだったのでしょうか。
気の緩みがコンビネーションを崩し、
ACLは敗退し、
瞬く間に勝てないチームになってしまった。
全タイトル制覇という開幕時の目標はどこへ行ってしまったのか。
崩れるのは速い、しかし元に戻すには長い時間がかかります。
それが今の鹿島の状態ではないでしょうか。
「独走ならJリーグ人気に響く」
誰がこんなことを言っているのでしょう。
一強の独走でどこが悪い。
それでメディアが取り上げないなら、
そんなメディアを批判すべきです。
「でも朝青龍が独走していたころは、大相撲の視聴率も観客数も減りましたよ」
こんなことを言っていたら、
たった一人の若者が独走すればするほど視聴率を稼ぎ、
観客動員数を伸ばしているプロゴルフの後塵を拝むことになります。
盤石な強さを示してJで飛び抜けてこそ鹿島は世界から注目される。
独走を嫌うのは国内目線、飛び抜けてこそ世界が見えてくる。
3万6000分間の中断が、
鹿島再起のきっかけになることを祈っています。
posted by 直木善久 |13:06 |
Jリーグ |
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2009年10月04日
J1は28節。
優勝争いも降格圏脱出の争いもヒートアップして、
緊迫した試合が続いています。
10月3日夜のスポーツニュースでは、
逆転劇の口火を切った阿部勇樹の枠の外から巻いて入ったフリーキックや、
来週の代表戦に召集された、
前田遼一、岡崎慎司、佐藤寿人らのゴールが注目されています。
勝てば勝ち点50の鹿島を上回って暫定首位に立つ清水と、
4位で上位を追いかける広島の戦いは見応えがありました。
(結果は1対1のドロー)
そして千葉も浦和を相手に前半は善戦していました。
(結果は3対1で浦和)
でも私がため息をついた場面は、
柏と磐田の前半41分のフランサの得点シーンです。
柏のコーナーキックは二アを狙っている様子。
山本康裕がフォアにいるフランサをぴったりマークしている。
しかしボールが蹴られると山本はボール方向に走り出し、
自由をもらったフランサはゴール左のスペースへ走りこみます。
まるでそこにボールが転がってくることが分かっていたように…
ボールだけに集中していた山本と、
ボールとスペースを意識していたフランサの差が生んだゴールといえるでしょう。
磐田は一瞬の隙を突かれてしまった。
その後のフランサはマークを振り払うことが出来ず、
後半37分に成岡翔にゴールを決められ、
柏は突き放されてしまいまいました。
そのシーンは逆に、
柏ディフェンダーがボールに釣られて、
成岡にスペースを与えてしまった結果です。
フランサに自由を与えるのはご法度ですが、
スペースを制したものがゲームを征する。
一瞬の隙がゲームを決める。
そう再確認した試合でした。
隙という心のスペースも制しなければいけない。
posted by 直木 善久 |13:52 |
Jリーグ |
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2009年10月01日
私はかつて「オシム語録は論語に似ている」と書いたことがあります。
オシムも孔子も現実主義者であり、
窮地を打開する智慧について語っています。
さすがに平和主義の孔子は「攻撃」や「守備」について論じませんが、
オシム語録を読んでいると、
「論語と同じ事を言ってるんじゃないの?」
と、考えさせられる場面に何度も出会うことがあります。
「孔子は実に興味深い哲学者だ」
オシム自身もそう語っています(木村元彦監修「オシムが語る」)
孔子「なんでも多いからって良いわけじゃない。いき過ぎるのは足らないのと同じだよ」(過ぎたるは、及ばざるが如し)
オシム「私の練習だけを100%やりなさい。足りないものはその練習に全て詰まっているから」
孔子「言葉巧みに脚色して喋るやつは信用できない」(巧言令色、すくなし仁)
オシム「何も言わない方が、時として言葉をより伝えることがある」
孔子「何をすべきか分かっているのに、行動に移さないのは勇気が無いからです」(義を見て為さざるは、勇無きなり)
オシム「常にレギュラーで出ていない選手は、もっとやれると自信を持って、もっと腹を立てるべきです」
孔子「間違いに気づいて、改めないのが間違いだ」(過ちて改めざる、これを過ちという)
オシム「必ずミスはついて回る。ミスしたときにいかに賢くプレーするかが大事なのです。」
深読みかな?
ところで、次の言葉が孔子の言葉か、オシムの言葉か区別がつきますか?
一、急いで大きな結果を求めても達成出来ません、そうかと言って小さな目標でも成功しません。
二、相手をリスペクトして、悪口は言わない。
三、まず結果を出してから、それについて語るべきでしょう。
四、誰かを必要無いと言う人は、いつか自分もそう言われる立場に陥ります。
五、その意見が良くても悪くても、他人の意見は尊重すべきです。人間は他人を尊重できるという面で、ロバよりは優れている。
(どちらの言葉かは文末に載せておきます)
孔子は2500年前の思想家です。
窮地を救う思想を突き詰めていくと、
今も昔も変わらない共通性が浮かび上がるのでしょう。
共通性があるから現代まで生き延びてきたとも言えます。
私が好きな「論語」の言葉は、
「子、怪力乱神を語らず」
解釈はいろいろと出来ますが、
「出来る人は、怪しげな話、力を誇示すること、乱れた話、そして神については口にしないものだ」
ということになるのでしょう。
「私は魔法使いではない」
オシムは怪しげな話はしません。
すぐにカリスマ性を求めるファンやメディアを牽制しています。
「タイトルは資本が獲得する」
カネや権力を批判します。
「なぜこんなに汚く危険なプレーが多いのか」
選手時代は1枚のイエローカードももらっていません。
「神は戦争の原因にもなる。私は人を信じる」
自ら無神論者を公言しています。
まさにオシムは「怪力乱神」を語らない。
意外とオシムは「論語」を研究しているのかもしれませんね。
「論語」は指導者の必読の書かもしれません。
本来はここで終わる話なのですが…
「ワールドカップ『ベスト4』ってちょっと怪しげじゃないですか。力を過信していますよね。アジアでもたついているチームが『ベスト4』を狙うなんて乱暴な話です。これじゃ神頼みしかありませんよ」
監督は「怪力乱神」を語ってはいけない。
ここでやっと終わる。
一と二と三が孔子の言葉、四と五がオシムです。
一、速やかならんを欲すればすなわち達せず、小利を見ればすなわち大事成らず。
二、君子は人の美を成して、人の悪を成さず。
三、先ず其の言を行い、而して後にこれに従う。
四、朝日新聞の朝刊「オシムの提言」より(04年11月23日)。
五、05年ジェフオフィシャルイヤーブックより。
posted by 直木 善久 |23:11 |
いつまでもオシム |
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