2009年08月31日
43. ○2―1 北朝鮮 ワールドカップ最終予選(埼玉) 2005/2/9
44. ●1―2 イラン ワールドカップ最終予選(テヘラン) 2005/3/25
45. ○1―0 バーレーン ワールドカップ最終予選(埼玉) 2005/3/30
いよいよ最終予選が始まった。メディアもファンも一段と力が入る。しかし初戦の相手はデータの少ない北朝鮮。
その下馬評は、「実力では格下だから日本が3対0ぐらいで勝つ」という楽観的なものから、「格下のチームに着実に勝つことが難しいのがワールドカップ予選だ」と懐疑的なもの、そして「3大会ぶりに出場する北朝鮮はデータ不足で戦いにくい相手」と不安視する声も聞かれる。
いざフタを開けてみると、開始早々に先取点を取って不安を一掃する最高の滑り出し、しかし先取した途端に選手とボールの動きが緩慢になってしまう。一方、北朝鮮はワンタッチ、ツータッチのパスを着実につなぐ攻撃が、時間の経過とともに安定してくる。
先取点で「今日は行ける、今日は勝てる」と思った選手が、自分のパフォーマンスを見せようとしていた。そして選手間に微妙なズレが生じる。パスがつながらない。スルーパスのタイミングも合わない。ボールを持つと迷子になった子供のように、みんなキョロキョロし始める。
ボールを持って考えている間にパスルートは塞がれ、とうとう後半16分に追い付かれてしまった。素晴らしいフリーキックで先取点を決めた小笠原満男は、翌日のスポーツ各紙で絶賛されていたけど、先取点を取ってから同点に追い付かれるまでの試合の流れを作った責任は大きい。
同点になると再び選手とボールが速く動き始める。この動きを1点先取した後の、北朝鮮がまだ落ち着いていない時間帯にどうして出来ないのでしょう。そうすればもっと楽に勝てていたはず。
追い付かれた後の速い攻撃を組み立てていたのは、後半21分に登場した中村俊輔です。決してあせらず、浮き足立たず、跳ね返されても、繰り返し、繰り返し、体制を作り直して波のような攻撃を繰り返していた。俊輔の強い意志が、後半34分に投入された大黒将志の決勝ゴールを生んだと言ってもいい。
試合後に川淵三郎は、「今日の勝利はなんと言っても大黒だけど、このチームにまだ、中田英寿、稲本潤一、小野伸二、大久保嘉人などの海外組で、かさ上げが出来るのが楽しみだ」と語っている。かさ上げは若手の台頭でするもの、この発言は単に海外組の地位は安泰だと保障しただけではないか。
そしてそのかさ上げされたチームでイラン戦は負けてしまいます。試合後の選手のコメントは…
高原直泰(ハンブルガーSV)「動くタイミングが分からなかった」
玉田圭司(柏レイソル)「前線で孤立していた」
中村俊輔(レッジーナ)「連係がスムーズにいっていなかった」
宮本恒靖(ガンバ大阪)「もうすこしうまくボールを回せれば良かった」
小野伸二(フェイエノールト)「ロングボールばかり蹴ってしまうとFWが生きない」
三浦淳宏(ヴィッセル神戸)「気持ちを切り替えないといけないと…」
ドイツで合宿してから敵地へ乗り込んだのに、まるで誕生したばかりのチームで戦ったような発言ばかり。海外組と国内組の差が少ない日本では、呼び寄せた海外組を優先して起用するのではなく、チームの基軸を国内組で構成し、その弱点を海外組で補うという手法が順当でしょう。
思い起こせばジーコは就任当初、呼び寄せた海外組を多用して勝てない時期がありました。しかし国内組主体のメンバーでリズムを掴んで勝ち始め、海外組は俊輔と川口だけという布陣でアジアカップに優勝し、北朝鮮戦では中村俊輔をスーパーサブとして起用して勝っています。しかし次のイラン戦は、再び呼び寄せた海外組を多用して負けてしまう。同じ失敗を繰り返しています。
そしてイランから戻って5日後、最終予選3戦目の相手はバーレーン。ここで星を落とせば、ジーコ監督の更迭問題が再び浮上します。そんな運命の分かれ道、天下の大一番は相手のオウンゴールによって勝利が舞い込みます。オウンゴールの勝ちも勝ち。攻めているからオウンゴールも生まれる。勝利を祝福すればいいじゃないか。しかし、しかし「ジーコはツイている」という印象しか残らない試合でした。
ジーコジャパンの初勝利からここに至るまで。ジーコは窮地に立つたびに幸運に助けられてきたように見えます。まぁ、運も実力のうち。無いよりも有る方がいいに決まっている。このままワールドカップまで強運が持続しますように…とうとう神頼みのような心境になってしまう。
勝利を祝う群衆の中で、一人怒りを押し殺している。祭りを遠くから眺める犯罪者のような気分だ。どれだけ多くの言葉を駆使して切り込んでも、幸運と勝利の前では批判など色あせて力を失ってしまう。喜べない達成感、悲しめない無力感。今の気持ちをどのように表現すればいいのだろう。
松田直樹が自ら代表合宿から去ったらしい。詳細は分からないが、松田も閉塞感を感じていたのではないか。ジーコの教えに逆らい、自らの信念を押し通した殉教者のように思えてくる。自らの意思で代表から去った松田を私は支持したい。ちょっと乱暴な殉教者だけど…
posted by 直木 善久 |06:25 |
今さらジーコ |
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2009年08月29日
「とてもおかしな夏だよ」
マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督は、
今年の移籍市場をこのように評した。
レアル・マドリードが一段と市場価格を吊り上げ、
大物買いにマンチェスター・シティが参入して、
移籍市場でリーダーシップが取れず、
思い通りの移籍が実現出来なかったことを嘆いているのでしょう。
クリスティアーノ・ロナウドがレアルへ、
テベスがシティへ、
そして欲しかったベンゼマもレアルにさらわれた。
万全の態勢で開幕に望めなかったのは事実、
第2節でバーンリーに負けてしまった。
ファーガソン以上に痛手を負っているのが、
リバプールのベニテス監督かもしれない。
レアルへ移籍したシャビ・アロンソの穴を埋める補強が、
まだ出来ていないように見える。
開幕を前にベニテス監督は、
目標を優勝とは言わず、昨年より多い勝ち点を取ると表現していた。
昨シーズンは2敗しかしていない。
ここ20年間で最高の勝ち点を得ている。
それなのに4敗のマンチェスター・ユナイテッドが優勝してしまった。
引分けた11試合には勝てた試合もあったのに、という思いが強いのでしょう。
「彼は世界一の選手でまだ24歳、彼のキャリアはまだまだこれからだ」
「いつになるかは分からないが、彼が戻ってくることだってあり得る」
ファーガソンはクリスティアーノを称えて送り出したが、
ベニテスはアロンソに未練がましく執着していた。
「本当に素晴らしい選手だし、残留が決まれば感謝してもしきれない」
「来週も彼は我々とともにいる」
監督が未練を引きずるのは危険だ。
第3節のアストン・ビラ戦に負けて2敗目を記すと、
「ここからでも優勝が狙えるチームだ」と言ってみたり、
「今は優勝を考えている場合ではない」と言ってみたり、
混乱を隠せない。
おかしな夏。
おかしな夏はおかしなシーズンへと続き、おかしな結末を迎える。
ビッグ4の地図が塗り替えられるかも知れない。
ファーガソンの最後のシーズンになるかも知れない。
ベニテスは途中で消えているかも知れない。
そんな思いで今シーズンのプレミアを観ています。
posted by 直木 善久 |07:58 |
ちょっとだけプレミアリーグ |
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2009年08月24日
――今の感想をお聞かせください。
「日本に戻ってくることができて嬉しい。オーストリアで十分過ぎるほどの休養を取りました。そして再びここに戻ってきたのは、今度は日本で死んでもいいと覚悟を決めたからです。私は日本で一度死んだようなものです。この世に戻ってくることが出来ましたが、やり残したことを成し遂げるために再びここへ戻ってきたのです。あの世から、そしてオーストリアから…」
――現時点でどのようなビジョンを持っておられるのでしょうか。
「それよりも前に、感謝の意を表したい。私は支えていただいた多くの方々に感謝しなければなりません。私を蘇らせていただいた方々、そしてここでもう一度指揮を執るように尽力していただいた方々に。そして今日、こうやって私を歓迎していただいている方々にも。メディアの方もたくさんいらっしゃいます。後遺症を心配されているメディアの方々もいらっしゃるでしょう。ほら、こうやってここまでしっかり歩いてきました。そしてこうやって元気に話しています。ピッチではボールも蹴れます。相撲のように『磐石』と書いてください。ここで見送られた日のことを昨日のように思い出しますが、あの時とはすべてが違います。もっとフラッシュをたいても大丈夫ですよ」
――今の代表をどう思いますか。
「そう、もう一人、感謝の意を表さなければいけません。突然の就任にも係わらず、岡田監督は素晴らしいサッカーを見せてくれました。今度は私が引き継いで、岡田監督の意志を無駄にしないように頑張らないといけません。私にも代表にも後遺症などありません。ブラジルでこそ『ベスト4』を実現しましょう」
――他からもオファーがあったのでしょうか。
「ありました。でも私は物事を途中で投げ出すことが嫌いです。それにもう私は半分日本人だと感じている」
「それと、私はずっとオファーよりもドクターの言葉を待っていたのです。『OK!大丈夫だ』、どんなオファーよりもうれしい言葉です。若い選手が明日の先発を監督から言い渡されたような気分。『OK!大丈夫だ』私にとっては最高の言葉、新たな人生からのオファーでした」
――テレビで日本戦もご覧になっていたとか。
「日本戦だけでなく、Jリーグも観ていました。DVDを送っていただいていました。ゲームを観ていて、ピッチが恋しくならない人はいないでしょう。私は日本のスタジアム、それに日本の声援が恋しくなって帰ってきたのです」
――既にメンバーは決まっているのでしょうか。
「皆さんは私のサッカーを良くご存知です。しかし二年前と違うところも見せなければいけません。新しいアイデア、若い力も伸びているでしょう。しかし、変わっていないこともたくさんあります。どれだけ海外から注目される選手が増えたでしょうか。どれだけ海外で活躍する選手が増えたでしょうか。同じ失敗を繰り返している選手もいます。阿部勇樹は進化しましたか。巻誠一郎は進化しましたか。水野晃樹は…答えは『NO』です。いつも『自分に何が足りないかを考えろ』といってきたのに、それが出来ていない。だから私がもう一度呼んで叱ることになるかもしれない」
――前回就任されたときも、ご高齢が問題になりましたが。
(質問を遮るように)「同じ事を訊くメディアも二年前と変わっていない(笑)。私は日本で死んでもいいと覚悟している。ハラキリくらいの覚悟をしている」
――奥様はどのように…
「心配していないといえば嘘になる。でも日本が強くなれば、彼女の喜びが心配を上回るでしょう」
――ちょっと、ちょっと。
「はい、はい」
――あんた寝過ごしてるよ。
「はい、私は…、えっ寝過ごした?うーん、夢か。いい夢だったのに…」
私の夢はオシムの夢、オシムの夢は日本の夢か。
続きが見たい。
posted by 直木 善久 |06:22 |
いつまでもオシム |
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2009年08月22日
41. ○4―0 カザフスタン 国際親善試合(横浜国際) 2005/1/29
42. ○3―0 シリア 国際親善試合(埼玉) 2005/2/2
年が明けて2005年、今年はいいニュースで始まった。
スペインリーグのマジョルカに移籍した大久保嘉人が、初戦のデポルティボ戦で1ゴール1アシストを決め、最高のスタートを切った。
「GKの動きは読めたし、右隅に狙い通りにボールが飛んだ」
「ゴールは足で決めようと思っていたから、ヘディングは予想外だった」
鮮烈なデビューだったが、試合後のインタビューには冷静に答えている。一夜にしてマジョルカの英雄になった大久保。マークが厳しくなっても結果を出し続けてほしい。
最近よく耳にする言葉があります。試合後のインタビューの定番といえる「これからも応援よろしくお願いします」、しかし私はこの言葉が好きになれません。わざわざお願いされなくても、実力の世界ではあんたが凄ければファンになる。面白い試合を見せてくれたら応援もする。大久保は結果を出してマジョルカのファンを獲得した。
「応援よろしくお願いします」、アイドルのキャンペーンでもあるまいし、お願いしなければ一票がもらえない無能な政治家でもあるまいし。私には「活躍できなくても応援してね」と聞こえる。自信がないからお願いする。ファンは大事にしても、へりくだることはない。
「応援に後押しされて勝てました」と言うのはファンへのリップサービス。「全員でとった得点です」と言うのはチームメイトへの心遣い。社交辞令だけで自分の言葉が無いなら何も伝わってこない。インタビュアーも「今の率直な気持ちは?」、「次に向けた抱負を」、「最後にファンの皆様に」などと決まりきった質問を繰り返せば、答える側も同じことを繰り返すしかない。
日本では生意気よりも謙虚さが人気につながるのでしょうが、それにしてももっと選手の生の声を聞いてみたい。卓球の福原愛がまだ高校生の頃に、0対2から逆転勝ちしたあとのインタビューで、「これで自信がつきましたね」と問われて、少し考えてから「そんなきれい事じゃないと思います」と答えた。インタビュアーの誘いに乗らない姿勢に、それ以来私は福原ファンになりました。
何も饒舌を期待しているのではありません。何も言う事が無ければ、久保竜彦のように何を聞かれても「嬉しいっす」「嬉しいっす」を繰り返すテクニックくらいは身に付けたほうがいい。まぁ、あれはテクニックとして身に付けたものではないでしょうが…
負けたときによく「いい経験になった」と言いますが、いい経験か、役にも立たない経験か、それは時間が経たないと分からない。試合が終わった途端に「いい経験になった」と言うのは「責任を追及しないでください」と言っているのと同じこと。それではいくら「いい経験」を繰り返しても、将来「悪い経験」をすることになる。
「失敗は人間を強くしますから…」と、試合後のインタビューで答えていたオリンピック代表選手がいた。この選手も失敗ばかりしてきたのにどうして強くならなかったのか、数年後に悩むことになるでしょう。「そんなきれい事じゃない」、常套句の落とし穴に、発言した本人が嵌ってしまう。
この年の初戦のカザフスタン戦で、後半から阿部勇樹が代表初出場、後半32分から大黒将志も初登場、ちょっと新鮮な風がスタジアムを吹き抜けて試合は4対0で快勝した。
続くシリア戦は、シリアが退場者を出して自滅したものの、国内組だけで3対0と2試合続けて失点ゼロ。
宮本恒靖「欧州組の合流時期は大きな問題です。自分たちがベースにならないといけない」
小笠原満男「今まで試合に出られない人もいたし、海外組が戻って来ても、出られるようにしたい。チャンスをものにしたい」
福西崇史「この試合の位置づけは北朝鮮戦なんだろうけれども、その試合に出るためのアピールの場でもある」
遠藤保仁「自分としては常にピッチに立っていたい。最終予選は特にその思いが強い。そのために北朝鮮戦に向けて、明日の試合はラストアピールになる。福西も浩二も、みんなピッチに立ちたいという思いは強い。海外組は帰国してからコンディションの問題がある。こっちは100パーセントのコンディションで、ピッチに立ったときにいいプレーをするだけ。あとは監督しだいだと思う」
試合を前に心情を吐露していた選手たち。誰も「応援よろしくお願いします」などと呑気な言葉は口にしない。戦いに挑んでいるなら当然です。自己と戦い、ライバルと戦い、敵と戦い、そのうえ結果を残しても採用しない監督と戦っている。
次の北朝鮮戦でも海外組を多用して、この2試合で築いたものを切り崩して戦う筈です。大久保のように選手はチャレンジしているのに、監督は海外組に頼り切っている。
シリア戦後にジーコは、
「目的を明確に持っていたからこそ、こういった内容のいい試合ができた」
と語っています。こんな自画自賛は「美味しいラーメンの店」という看板と同じ。美味いか不味いかは客が決める。そのうちジーコも言い出すかもしれない。
「応援よろしくお願いします」
posted by 直木 善久 |06:40 |
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2009年08月17日
岡田監督のインタビューを聞きながらこんなことを考えた。
岡田監督はいつも丁寧にインタビューに答えています。
NHKの「W杯ベスト4への挑戦」という番組でも、
インタビュアー山本浩の質問に真摯に対応していました。
「南アフリカで行われたコンフェデ杯の視察は、環境が変わって充電にもなった」
と語る岡田監督に、
「充電が必要なくらいの電気をどこで使ったのでしょう?」
と山本浩はちょっとひねって言葉を返す。
「どこでなんでしょう?もちろん予選を戦ってきた過程でしょうが…」
一貫して態度を崩さない。
「予選を戦うために、どれだけの移動時間が必要かご存知ですか?」
こんな傲慢な姿勢は微塵もない。
「正直な人やなぁ」これが私の正直な印象。
まじめで誠実な人。
でも私たちは結婚相手を探している訳じゃない。
「インナーゾーンへのパスが攻撃の合図になっている」
「ボールを取られても下がらずに一歩前へ出る」
その正直さゆえに敵へ情報を与えているのではないかと、
ヒヤヒヤするときもある。
岡田監督のインタビューを聞きながらこんなことも考えた。
アレックス・ファーガソンは正直か?
そしてまじめで誠実か?
ちょっと最近の発言を拾い出してみました。
「当然、我々の目標は4連覇だ」
自信を誇示している。
「ライバルになり得るチーム? 一つだけ名前を挙げるのは難しい」
質問をかわして、当たり障りのない受け答えもしている。
「アデバヨールがマンチェスター・シティに行く理由は一つしかない。チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドに行けなかったからだよ」
皮肉も言う。
「やつらはテベスをマンチェスター・ユナイテッドから奪ったのが手柄だと思っている。もっともテベスはずっと前にシティに行ってもよかった」
チームを去る者には手厳しい。
「シティはメンタリティーに欠けた弱小チームだ。彼らはユナイテッドのことだけを気にして、そこから抜け出すことができない」
ダービー相手を挑発する。
「我々はベンゼマが欲しかった。しかし、彼の金額は我々にとって度を越えたものだった」
時に正直な心境を吐露し、
「とてもおかしな夏だよ」
と怒っている(諦めている?)
「これで移籍市場での仕事は完了した」
これはちょっと煙に巻いているのかもしれないが、
実に多彩な受け答えをしている。
岡田監督の場合はどうか。
「目標はベスト4」
と言っても自信を誇示しているのではない。
皮肉も言わない。
挑発もしない。
怒りもしない。
退場処分を受けても…
どこまでも優しく、まじめで、誠意に溢れている。
しかし「誠意」の重要な要素が「約束を守ること」なら、
監督が示さなければいけない最大の誠意とは、
「勝つ」と言って「勝つ」ことではないか。
その点では、ファーガソンは実に誠実な人だ。
「ベスト4」と言えば「ベスト4」しかない。
岡田監督も私たちに誠意を見せてくれ。
岡田監督のインタビューを聞きながらこんなことを考えた。
posted by 直木 善久 |06:12 |
岡田監督と日本代表 |
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2009年08月14日
37. ○4―0 インド ワールドカップ一次予選(コルカタ) 2004/9/8
38. ○1―0 オマーン ワールドカップ一次予選(マスカット) 2004/10/13
39. ○1―0 シンガポール ワールドカップ一次予選(埼玉) 2004/11/17
40. ●0―3 ドイツ 国際親善試合(横浜国際) 2004/12/16
最終予選進出を決めたオマーン戦の翌日、サンケイスポーツ(関西版)の一面は、「岡田聞く耳もたん、佐藤コーチ捨てゼリフ」、退団する阪神タイガースの佐藤義則ピッチングコーチの談話がのっていた。オマーン戦が間に合わないにしても「これが一面か」(阪神ファンごめんなさい)と思いながら新聞を裏返すと「カズ&ゴン代表に」、目が点になった。
最終予選進出を決めてシンガポール戦が消化試合になったら、三浦知良と中山雅史を招集するとジーコが発言したらしい。消化試合なら控えの選手を起用するか、未知なる戦力を試すのが当たり前やと思うけど。
カズやゴンを呼ぶ理由は、彼らが「功労者だから」と説明している。功労者とは過去を評価した言葉、二人に失礼です。呼ぶなら「今でも充分通用するから」と言うべきでしょう。それに功労者なら他にもたくさんいる。いっそ川淵三郎を走らせてみたらどうか。これは相手チームに失礼ですが…
何の脈略もない選手起用。一緒に戦ってきた選手を軽んじる発言。ジーコの発案は視聴率やチケットの売り上げを心配する代理店的発想です。「海外組」と「国内組」の次は「功労者組」、これでは選手層は厚くならない。
それとも消化試合ならアジアカップの優勝と一次予選通過を祝って、カーニバルのように楽しく盛り上げようという趣向なのでしょうか。まだ最終予選が残っています。企画よりもゲームの内容そのもので、視聴率やチケット販売に貢献して下さい。ジーコも聞く耳もたんのか。
オマーン戦前日の会見でジーコは次のように語っていました。
「代表監督に就任すれば、いつかこういうときが来ると覚悟していた」
「いつかこういう時が来る」
こんな運命の分かれ道に立ったような発言は、やはり最終予選で発して欲しい。
すると試合後の会見で川淵三郎は…
「これまでいろんな監督を見てきたが、これだけ我慢強く選手たちを信頼する監督を私は知らない。私自身はジーコに対して不安を感じることもあったが、それは私の彼への信頼感が低かったということなのかな(笑)」、そして「今日は皆さんにおごりたいくらいだ(笑)」。
「不安を感じることもあった」すでに過去形。不安は一掃出来たのでしょうか。「おごる」のは最終予選が終わってからがいいかもしれません。きっと明日のスポーツ紙もお祭り騒ぎか。
結局カズ&ゴンの招集は見送られました。アジアカップ優勝、一次予選通過、こんな時期にジーコを批判しても、誰も耳を貸してくれません。私は難しいことを言っているとは思いません。難しく考えるつもりもありません。ごくごく一般的な考え方をしたい。
売り上げを伸ばす企業もあれば、失敗する企業もあります。成功する企業は、経営者が指導力を発揮し、状況の変化に合わせて柔軟な戦略の修正を行い、絶えず新しい人材を育て現場に投入する。そして目先の利益を追い求める株主にも振り回されない。それはどんな業界、どんな組織でも同じではないでしょうか。失敗するにも、成功するにも原因がある。私は聞く耳を持っていますから、誰かジーコのコンセプトと戦略を説明してください。
「自由」というのは厄介な言葉です。「自由」が厄介なのではなく「自由を尊重する」と発言する人を批判する作業が厄介になる。何故なら「自由」そのものを批判しているように聞こえるからです。
単に「自由」といってもいろいろある。商業主義が醸し出す幻想のような「自由」もある。だから「自由」と言う言葉は必ず、「権力からの自由」、「差別からの自由」、または「報道の自由」、「表現の自由」というように、自由を妨げているものや目的を示さないと、非常に曖昧な言葉になってしまう。
ジーコが選手に与えた「自由」は、どのような「自由」なのでしょうか。「自由な練習」、「自由闊達な動き」、「発想の自由」、「自由を与えて責任感を意識させる」しかし、残念ながらそこに具体的に触れたジーコの言葉には出会えません。
「私の指導はここまで、あとは選手の自由に任せる」、それならどこに線が引かれているのかハッキリ示すべきでしょう。
「自由」がいいのか悪いのか、そのように問うから厄介になる。自由であっても、規律を重んじても、それが監督のスタイルなら尊重すればいい。「規律」を重んじる監督から指示に従わないと外された選手と、「自由」を標榜する監督から「自由」を理解していないと外される選手を比べて、どちらが正当かを問うても意味がありません。
リーグでは監督と対立してもチームを替えることが可能ですが、代表では出来ません。代表を諦めるしかない。それなら代表選手は日本で一番不自由な選手です。その一番不自由な選手にジーコは「自由」を与えている。
「自由」云々ではなく、監督としての仕事、情報収集、相手チームの分析、コーチと選手の掌握、選手への的確な指示、それらが出来ているかを問題にすべきでしょう。ジーコはいつも「隠し事をしないこと」、「選手を信頼していること」を強調していますが、もしも「自由」や「正直」や「信頼」を掲げる人が批判されにくいと知って語っているなら、ジーコはかなり「政治家」です。
posted by 直木 善久 |06:17 |
今さらジーコ |
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2009年08月08日
30. ○1―0 オマーン アジアカップ予選リーグ(重慶) 2004/7/20
31. ○4―1 タイ アジアカップ予選リーグ(重慶) 2004/7/24
32. △0―0 イラン アジアカップ予選リーグ(重慶) 2004/7/28
33. ○1―1(PK4―3)ヨルダン アジアカップ準々決勝(重慶) 2004/7/31
34. ○4―3 バーレーン アジアカップ準決勝(済南) 2004/8/3
35. ○3―1 中国 アジアカップ決勝(北京) 2004/8/7
36. ●1―2 アルゼンチン 国際親善試合(静岡) 2004/8/18
アジアカップの緒戦、中継が始まるとスタジアムが騒がしい。君が代が流れても収まらない。一部の観客が騒いでいるのかと思ったら、スタジアム全体にブーイングが鳴り響いていた。開催国に歓迎されないどころか、挨拶代わりに2、3発張り倒されたような気分になる。
かつて日本が無差別爆撃をした重慶なら、ブーイングが起こるのも当然かも知れません。しかし、「民主化運動」という政府へのブーイングが弾圧される国で、市民自らが発するブーイングが聞けるわけがありません。反日のために動員された人たちが煽っているに違いない。試合はブーイングの嵐の中で始まった。
ところが、選手の動きを見て喜んだ。ブーイングがいつもの「立ち上がりぬるま湯サッカー」をさせていない。このブーイングの中でブザマな負け方は出来ないと、試合開始直後から選手たちは強い意志を全身にみなぎらせている。これなら勝てる。ブーイング、もっとブーイングを!
一次予選でてこずったオマーンを相手に、前半33分の中村俊輔のゴールを守り切って初戦をものにした。試合後に日本大使館員の車が襲われたが、こんな中国へ観光旅行に出掛ける日本人が減れば、中国政府も少しは考えるでしょう。
続くタイ戦は前半12分に失点するが、21分に中村のフリーキックで追い付いた。後半12分に三都主の左コーナーキックのこぼれ玉を中澤佑二が決めて逆転、24分に右コーナーキックをショートして福西崇史がヘディングで決め、43分にも左コーナーキックをショートして中澤がヘディングで決めた。終わってみれば4対1の完勝。
そして次のイラン戦を引き分けて、2勝1分けで決勝トーナメントに進んだ。しかし中国側はブーイングが逆効果だと気づかない。柔軟な対応が出来ない国らしい。
圧巻は準々決勝のヨルダン戦。画面から気迫が飛び出して来そうな素晴らしいゲームを見せた。両者とも早い時間に得た1点を守りきって延長戦に突入。延長戦も日本が攻め続けたが得点できず、勝負はPK戦に持ち込まれた。
そのPK戦で1人目の俊輔と2人目の三都主が外してしまう。PK地点の緩んだ芝の状態を見極めて、冷静にサイドチェンジを要求する宮本恒靖。
サイドチェンジ後にラテブが決めて0対2、続いて福西と中田浩二が決めると、川口能活がヨルダンの4人目シュボウルのボールを左手一本でセーブした。これで2対3。死の淵に立ち続ける川口。次の鈴木隆行が決め、ファイサルが外して3対3。しかし続く6人目の中澤が外してしまう。窮地に追い詰められた川口は、アナスの右上を狙ったシュートを横っ飛びで止めた。これぞ技術と精神力の一致。
そして宮本が決めて4対3とリードし、バシャルの蹴ったボールがポストに弾かれて決着がついた。これでベスト4に進出。選手たちは最初から最後まで、体中にアドレナリンを充満させていた。
ジーコジャパンここまでで最高の試合。裏返せば危うい試合に違いないが、追い詰められた逆境を跳ね返して勝った底力を褒め称えたい。ジーコには申し訳ないが、トルシエを思い出してしまった。トルシエの罵声は大観衆のブーイングと同じ威力を発していたのかもしれない。
済南に移動して準決勝のバーレーン戦。前半6分にA・フルバルのゴールで先制を許してしまい、そのうえ40分に遠藤保仁が一発退場になった。しかし後半早々の3分に俊輔の左コーナーキックを中田浩二がヘディングで決めて追いつき、10分に中田浩二のパスを玉田圭司が決めて逆転。
しかし26分に再びA・フルバルのゴールで同点に、そして残り5分にナゼルのシュートが決まって土壇場で逆転されてしまう。いつもならここで嫌なムードが漂うが、張り詰めた糸が一段と強く張り詰められても集中力は途切れない。背後にはまだ冷静さが漂っている。
ロスタイムに中澤佑二のヘッドで追いつく。チームの一体感が手に取るように伝わってくる。数的不利を跳ね返す戦いに鳥肌が立ち続ける。
延長戦前半3分にカウンターから玉田が突破してキーパーと1対1になり、落ち着いてゴールネットを揺らしてバーレーンを突き放した。そのまま4対3で試合終了。日本ってこんなに粘り強いチームでしたっけ。強いから勝つのではなくて、勝つから強くなる。頼もしい選手たち。ブーイング部隊も十二分に楽しめたことでしょう。
アジアカップの海外組は俊輔と川口の二人だけ。ジーコは「オリンピック代表やケガで招集出来なかった選手が8人いた」と発言しましたが、彼らが戻って来ても、今回のメンバーを簡単に入れ替えることのないようにお願いします。今回得た自信と財産をしばらく見守って欲しい。
そして北京へ移動して、開催国の中国と完全アウェイの決勝戦。しかし今大会で一番安定した強さを見せつけ、福西、中田浩二、玉田の得点で3対1と打ち負かした。堂々とした戦いぶり。今日のブーイングは、ふがいない自国チームに向けられたものでしょうか?
優勝出来ないという私の予想なんか外れて万々歳。ジーコは「選手の闘志に感謝したい」と語ったが、何よりもまず中国の盛大なるブーイングに感謝しなければなりません。
そして、アジアカップの優勝から2週間も経っていないアルゼンチン戦を見たら、なんと元の「ぬるま湯サッカー」に戻っとるやないか!シュート16本のアルゼンチンに対して日本は3本。「日本にブーイングするツアー」を企画して、大量の中国人をワールドカップ予選に送り込みましょう。
(アジアカップの優勝、それがジーコの放任主義の結果なら何よりも選手たちを褒めてあげたい。後から知ったのですが、このアルゼンチン戦はマッチメイクをめぐってジーコと協会が初めて対立した試合だったんですね)
posted by 直木 善久 |06:58 |
今さらジーコ |
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2009年08月03日
NHKの「新BSディベート」が、日本代表を取り上げていました。
テーマは「W杯サッカー、日本はどう戦うのか」、論者は加茂周、山本浩、杉山茂樹、後藤健生、そしてモロッコからテレビ電話でトルシエが参加しています。
予想通り最初の議題は、岡田監督が目標に掲げた「ベスト4」。最初の発言者に指名された加茂周は「組み合わせを見ないと分からない」と、単に予想を問われたかのような回答で口火を切った。
岡田監督やオシム前監督、そしてユ・サンチョルや森島晃寛らのインタビューなども交えながら進行します。岡田ジャパンの素晴らしさを伝道する山本浩。監督時代を振り返って、「ゾーンディフェンスは間違えていなかった」と自信無げに語る加茂周。得意の布陣で松田直樹をセンターバックに、本田圭佑をワントップに推して盛り上げる杉山茂樹。そんな奇を狙う杉山を諭しながら、冷静な視点を崩さない後藤健生。で、トルシエはというと…
「日韓大会で韓国が成し遂げたベスト4を、日本が実現出来ない理由はない」
「ベスト4という目標が選手の意識を高めている」
「日本の選手は海外でも通用する素晴らしい技術を持っている。足らないのはアウェイで強豪と戦う経験」
「皆さんは攻撃のことばかり語られますが、ワールドカップでは日本は守備を強いられるでしょう」
「敗戦から学ぶことは大きい」
と、きっちりポイントを押さえていた。しかし「徹底討論」が謳い文句の番組も、短い時間では参加者の意見陳述だけで終わってしまったような印象です。「日本に足らないのは何か」、「日本はどう戦うのか」続編を期待します。
突然話が変わりますガ、エスパニョールに合流した中村俊輔。空港には熱烈なサポーターが出迎え、入団式には7000人のファンがスタジアムに詰め掛けました。歓迎ムード一色。練習試合の一挙手一投足まで報道されているようです。
でも私には「これだけ歓迎しているのに、活躍しなければ承知しませんよ」というサポーターの声が聞こえてくる。歓迎という名のプレッシャー。中村自身もインタビューに答えて、
「プレッシャーというか、ハードルが高くなりました。僕はビッグプレーヤーではないのに。新聞にもたくさん記事が載って、報道が先走っています。ちょっと不安になってしまいました」
日本では勝っても負けても「よくやった」と言うのが応援、プレッシャーをかけるファンは少ない。プレッシャーは脅迫に近いとでも考えているのでしょうか、それとも日本人選手はプレッシャーに弱いから遠慮しているのでしょうか。プレッシャーがプレッシャーに強い選手を育てる。
日本代表には「ベスト4」を狙う監督がいて、その目標を達成しようとする選手もいる。不足しているのは「ベスト4でないと許さない」という熱心なファンです。評論家のように、「ベスト4」が可能か不可能かを論じることは出来ても、肝心のプレッシャーを掛けることを忘れている。
いつから日本の代表ファンは冷めてしまったのか。私が今ブログで連載している「今さらジーコ」を宣伝しておきたい気がする。冷めたファンに対して、監督自らがプレッシャーを作り出したのなら、「ベスト4」は評価できる。
posted by 直木 善久 |06:36 |
岡田監督と日本代表 |
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