2009年11月07日

色の話いろいろ(居酒屋のサッカー談議)

――先輩と後輩の会話を記録した居酒屋のサッカー談議。いつもは馬鹿話ばかりですが、今日は久しぶりにサッカーが話題に上っているようです。ちょっと聞いてやってください。

「先輩!ちょっと教えて欲しいことがあります」
「どうしたの?急に改まって」
「今さら何を、って言われそうで…」
「なになに?」
「日本代表のユニフォームなんですが…」
「ほう」
「どうして青色なんですか?」
「えっ、どうして青かって?」
「そうです」
「うーん」
「先輩、知らないんですか?」
「いやいや、でも、また、どうしてそんなことを?」
「私が代表戦を観るようになったときはもう青色でした。何か理由があるのかと…」
「で、ブルーで何か問題がある?それともブルーが嫌いなの?」
「日本で青という色は良いイメージを連想させないでしょ」
「たとえば?」
「そうですね、『あいつはまだ蒼い』といえば未熟だということでしょ」
「そう」
「恐怖で『顔面蒼白』とか、追い詰められて『青息吐息』とか、憂鬱で『ブルーな気分』になるとか」
「なるほど。日本代表はまだまだ未熟で、試合前に蒼くなって、負けてブルーな気分になる、っていうこと」
「連想ゲームじゃないけど、そんな雰囲気がしませんか?」
「ハハ、ワールドカップで『ベスト4』にでも成れば『青天の霹靂』か。でも『青雲の志』なんて言葉もあるじゃない」
「『青雲』?古いなぁ。俺はお線香しか思い浮かばない。やっぱりお陀仏」
「空も青いし、海も青い。『ブルー・チップ』なんて優良なイメージだし」
「そんなことは一般の人は知らないですよ。『サムライブルー』なんて言われても、だいたいサムライとブルーが結びつかない。どうして代表のユニフォームは青色なんですか、先輩!」
「うーん、東京オリンピック(1964年)のときは白だったよね」
「はぁ」
「戦前のベルリン大会(1936年)でスウェーデンを破ったとき、『ベルリンの奇跡』では青だったような…」
「それで、どうして青なんですか、根拠があるんですか?」
「うーん、それがよく分からない」
「えーっ!」
「サッカー創成期に強豪の東京帝国大学(東大)が青いユニフォームを着ていたらしい」
「遡っていくとそこまで行っちゃうの?」
「まぁ、ハッキリとした理由は見つからない。でも青いユニフォームを着ている時代が一番長い」
「そうなんですか」
「で、青でなきゃ何色がいいと思うの?」
「そりゃ、赤と白のコンビネーションでしょう」
「赤と白」
「昔から紅白は縁起がいい。それに源平の時代から戦には紅白がつき物だし、日の丸だって白地に赤、青い実も成熟すると赤くなる。赤色には成熟した強さを感じますよ」
「でも、悪いイメージもある。赤字とか赤貧とか。スポンサーが降りて赤字になって、赤児の手をひねるような弱いチームになって、ワールドカップ出場は赤信号。それで頭の中は真っ白」
「いえいえ、燃え滾るのは赤い血潮。先輩は青色が気に入っているのですか?」
「まぁ、わたしゃ『ブルーカラー』ですから。そういえば日本にも赤いユニフォームの時代があったなぁ」
「へぇー」
「オフト監督の前の横山謙三監督の時代は赤いユニフォームだった」
「知らなかった」
「成績が芳しくなかったので、オフトの就任とともに青色のユニフォームに戻したのは、当時の強化委員長だった川淵三郎じゃなかったかなぁ」
「へぇー」
「ちなみに、当時の韓国のユニフォームは青だった」
「今と逆ですか。でもブルーが川淵三郎のお気に入りの色だったのなら、そろそろ変えてもいいのかも知れませんね」
「そろそろね。おっ、赤と白といえば今日はワインでも呑もうか?」
「結局呑む話になってしまう」
「大将!ワインあるよね。あればブルーチーズも一緒に」
「えっ、あくまでもブルーにこだわりますね。それなら俺は明太子に赤貝の刺身、それで最後に赤出汁」
「おっと、あんたも挑戦的ですね。でもこういう話は赤白、いや白黒つかない話ですから」
「先輩!」
「はい」
「赤面する洒落にレッドカード!」

――お後がよろしいようで…

posted by 直木善久 |19:44 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2009年05月12日

先発、中継ぎ、抑えのエース

――あれ?今日もまた居酒屋へ、この二人、まぁ、よく話が尽きないものですね。

「先輩、いよいよキリンカップが2試合、ワールドカップ予選が3試合と続きますね」
「岡田監督は『この5試合はテストより強化』と、再びメンバー固定を口にした」
「先輩の話はミミダコで覚えてしまいました。『メンバーを固定すると敵は戦略が立てやすい』、『指定席を与えられた選手のモチベーションは下がる恐れがある』、『予選も終盤で厳しい試合が増えて、けが人も一人や二人で済まないケースも出てくる』、だからメンバーの固定は良くない」
「そうそう、で、万が一、この5試合で芳しい結果が得られなかったらどうする」
「えっ、ワールドカップに行けない?」
「もちろん試合はやってみないと分らないが、その可能性は低い」
「そうですよね」
「行くには行くけど、感心しない試合が続いたら…」
「岡田監督はワールドカップまで同じメンバーで行くと言ったわけじゃないから、少しはテコ入れするでしょう」
「なるほど、テコ入れする」
「はい」
「でも、そこでテコ入れすれば犯人探しになってしまう。力量は横並びなのに、メンバーから外された選手はどう思うだろう」
「うまく行かなかった原因は俺たちかと…」
「悪い結果でメンバーを入れ替えれば犯人探し、良ければ良いでメンバーは代えられない。どちらにしても行き詰まる」
「はぁ」
「メンバーを固定するなどと公言せず、絶えず風通しを良くしておく。外す選手には『Jで調子を上げて戻って来い』、新たに呼ぶ選手には『雰囲気に慣れておけ』、そうやって選手層が少しずつ厚くなっていく。ダメ出しされた選手も、メンバーが絶えず動いていれば目立たない。それは選手に対する配慮でしょ」
「うーん」
「だいたい代表メンバーの選考なんて非情な作業です。メンバーを固定すればその責任からはしばらく逃れられるが、道を閉ざされている選手に対する責任が消える分けじゃない」
「なるほど」
「まぁ、メンバー固定を公言しても得るものは何も無い。結果が良くても悪くても泥沼へ。これは岡田監督の戦術を云々する以前の問題です」
「先輩の言わんとすることは、なんとなく分かります」
「なんとなく?」
「いえいえ、そんなことはありません、よく分かります。はい」
「今年からアジア枠が増えて韓国人選手が活躍していることに対して『Jリーグが韓国代表の指導をしているみたいだね』と語ったらしい」
「はい、読みました」
「それは皮肉か、苦言か、世間話なのかよく分からないけど、今は『Jリーグが日本代表の指導をしているみたいだね』と言い返したい」
「ん」
「クラマーの時代から、選手は代表で学んだことを自分のチームに持って帰っていた。今は何か持って帰るものがあるか!」
「うっ」
「Jリーグのいいところをすくい取って、ハッパをかけているだけじゃないか」
「そこまで言いますか」
「持って帰るものが何も無いから、U-20の合宿では選手に『監督賞』ってお土産を渡した」
「そうだったの?あれは…」
「この前の磐田と大宮の試合のイ・グノの2点目を見た?」
「いいえ」
「まるでゴールライン上を走るようにゴールへ切り込み、ディフェンダーとキーパーをかわして決めた見事なゴール。ブラジル人選手だけでなく韓国人選手からも学べる」
「神戸と名古屋の試合で、バックパスのロングオウンゴールを放り込んだのも韓国人選手じゃなかったですか?」

(しばらく沈黙)

「ワールドカップ出場を決めれば、岡田は勇退するのがいい」
「えっ!先輩、何を…」
「先発オシム、中継ぎ岡田、それで抑えのエースが登場する」
「ほっ、本気ですか?」
「中継ぎなら岡田は評価できる。緊急時に監督を引き受けて、ワールドカップ出場までつないだ。ここで勇退すれば岡田は拍手で送られる。でもワールドカップまで行けばどうか。一か八かの賭けになる」
「で、で、抑えのエースは誰なんですか」
「…」
「どうしたんですか?」
「…」
「先輩、エースは?」
「物語としてはオシムがいい」
「やっぱり」
「志半ばにして倒れたオシム、その無念さを思えば復帰を叶えてあげたい。それにオシム復帰は世界中のオシムファンだけでなく、多くのサッカーファンから歓迎されて注目される」
「はぁ」
「注目されればモチベーションも上がって、オシム復帰以上に日本は大きな力を得ることになる」
「はい」
「戦争という理不尽な理由でユーゴ代表監督から退いたオシムが、20年ぶりにワールドカップのピッチに戻ってくる。それを思うだけで胸が締め付けられる」
「そうですね」
「岡田もここで勇退して『次の4年間は一からチームを作りたい』と立候補すれば協会も放っておけない。ころがりこんだ代役ではなく、自ら進んで立候補して代表監督を務めたいと意思表示すれば、評価も人気もアップする。誰にとっても悪い話ではない。話題が欲しいメディアにとっても…」
「うーん」
「でもね、これは夢物語。私の夢想にすぎない。オシムの体調も心配だし…」
「夢ですか、夢、そうですよね」

――おや?今日はオチがない。先輩は真剣に思い込んでいるようです。「夢があるから強くなる」がスローガンの協会、夢先生を派遣して子供たちの夢を叶えるなら、ファンの夢も叶えて欲しい。

posted by 直木 善久 |06:18 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年05月08日

批判と悪口は違う

――おなじみの居酒屋、今日も先輩と後輩が呑み交わしております。

「先輩、お久ぶりです」
「よっ!後輩。大将、ビールを。大将もお久しぶり、はい、はい、元気です。ええ、仕事がちょっと…。えっ、ブログを拝見させていただいていますって、有難う、えっ、面白いって、エヘヘ、大将!トロ刺し、えっ、アワビもいいのが入っている?アワビでも、カニでも、フグでも、今日は大将にお任せ。おい、何を笑ってるの」
「いーえ、別に…」
「まぁ、とりあえず乾杯!」
「先輩!先輩のブログねぇ、最近ちょっと岡田批判がきつ過ぎませんか」
「きつい?」
「揚げ足取るのを、手ぐすね引いて待っているみたいですよ」
「『みたい』じゃないよ、手ぐすね引いて待っている」
「でもねぇ、良いところも書かないと、ほら、よく言っていたじゃないですか。長友を抜擢したのは評価できるって、選手を見る目があるって…」
「あのね」
「はい」
「ジーコジャパンがね」
「えっ」
「ワールドカップの一次予選の最初の試合、オマーンに苦戦した」
「はぁ、あのロスタイムに久保竜彦が決めてやっと勝った試合ですね」
「そうそう、次のシンガポール戦でも途中出場の藤田俊哉のゴールでやっと勝った」
「そうでした。覚えています」
「するとジーコ批判が高まって、解任要求のデモまで行われた」
「あのころのサポーターは元気でした」
「ところが、その後にEURO2004の優勝候補といわれていたチェコに勝って、イングランドには1点ビハインドの後半に追いついて引き分けた」
「はいはい」
「続くワールドカップ予選の第3戦のインドには大勝、キリンカップでスロバキアとセルビア・モンテネグロを破って優勝…」
「良く覚えていますね」
「そしてアジアカップでも見事な優勝を飾った」
「中国の重慶はブーイングの嵐でしたね」
「これでデモも尻すぼみ、ジーコ批判派も、ジーコ懐疑派も口を閉ざしてしまう」
「当然でしょう、結果を残せば」
「それでもずっと批判を続けていたのは、私の記憶ではセルジオ越後だけだった」
「いまでも辛口ですが…」
「批判の基準を持っているから、目先の勝利に振り回されずに批判が出来る。あのとき批判を続けた者だけが、ワールドカップの結果を批判出来る、と俺は思う」
「勝てば官軍、負ければ賊軍ではよくないと…」
「その通り!継続した批判こそがチームの停滞を防ぐ」
「でもねぇ先輩、よく『褒めて育てろ』って言うじゃないですか。やっぱり良いところも書かないと」
「褒めれば伸びる、しかし批判されてこそ強くなる」
「そうですかね」
「俺は悪口を書いているんじゃない。どうも日本人は批判と悪口の区別がつかないらしい」
「批判と悪口?どう違うんですか」
「そこから論陣を張り合って、互いを高めるきっかけを提供するのが批判、反論に対して無視するか同じことを繰り返すのが悪口」
「うーん、よく解りません」
「指摘したことを相手が受け入れたら『あんたも良くなる、私も良くなる』これが批判、相手が受け入れたら『相手は貶められ、私だけ良くなる』これが悪口」
「うーん、ますます解らん。先輩もブログを褒められたらうれしいでしょ」
「ああ、励みになる」
「褒めて伸ばす方が、互いに気持ちがいいじゃないですか」
「でも批判されると、ムラムラと闘争心が湧いてきてまた書ける」
「先輩も頑固ですねぇ。ほら、トロ刺しが来ました。うわー、でっかいカニも来た。ほら、ほら、アワビも」
「おおっ」
「先輩!大将もきっちり褒めて、売上を伸ばしている」

――お後がよろしいようで…

posted by 直木 善久 |05:50 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2009年04月17日

疑わしきは罰せず?

――今日も居酒屋に集う先輩と後輩、何やら真剣に話し込んでおります。ちょっと聞いてやって下さい。

「先輩、今日も呑みすぎですよ」
「何回も言いたくないけど…」
「はぁ」
「復帰した三都主の代表召集はあり得るかと問われて…」
「岡田監督ですね」
「可能性はすべての選手にある」
「その通り!」
「大迫勇也の招集を問われても『可能性はすべての選手にある』」
「いいじゃないですか」
「渡邉千真の招集を問われても『可能性はすべての選手にある』」
「何も間違ってはいない」
「私もそう思う。ところが、キリンカップまで約2ヶ月間代表が召集できないことを問われて『メンバーは固まっており、コンセプトは体に染みついている』と答えた」
「大丈夫だと言いたかったんでしょ」
「『メンバーは固まっている』それは可能性を膨らませている選手にとっても、代表生き残りをモチベーションにしている選手にとっても、プラスには働かない発言です」
「それはそうですね」
「今固まってどうするの?メンバーを固めるのはワールドカップの直前でいい」
「はい」
「少しずついろんな選手を試して、万が一けが人が出てもチームのコンセプトが揺るがない体制をつくるべきです」
「結果を追いかけながら、チーム作りもする」
「門戸は開かれているのか、閉じられているのか、まして次は予選じゃなくて『キリンカップ』」
「呼んで欲しい選手も多い」
「俺もこんなことばっかり言って、言葉尻を捕える『怒りんぼ』のクレーマーのように思われたくないけど、世界中を見回しても、この時期に選手が固まったなんて言う監督がいますか!そんなに日本は最強のチームに出来上がっているのか!」
「先輩、落ち着いてください」
「固まっているのは、固まっているのはあんたの頭や!」
「ひぇー、そんな大きな声で、ちょっと、言いすぎでしょ、ほら、向こうのお客さんが睨んでいますよ。私が固まってしまう」
「大将、ビールもう1本。えっ、大将は俺の言っていることが分かるって?全員が店長候補だと言いながら、もう店長が決まっているようなもの、そうそう、そういうこと。そのうち誰も相手をしなくなる」
「大将も気を遣ってるんですよ。すいません。うるさくて」
「ところでJリーグは観ている?」
「いやー、良かった」
「何が?」
「話題が変わって」
「いい試合が多いよね」
「年々面白くなっていますね」
「スピードも上がっているし、ワンタッチプレーも増えている」
「今年は審判がプレーを止めないように努めている感じがするけど…」
「疑わしきは罰せず」
「そうそう、疑わしきは止めず、だからプレーが続いて面白い。ルールに則って忠実に罰するよりも流すほうが難しい。審判も少しずつ技術が向上しているのかな…」
「3節のガンバと京都はちょっとまずかったけど…」
「岡田監督が就任した時ね」
「えっ、また戻るんですか?」
「監督の選考はオシムの意向を反映させると言っておきながら、それを反故にしてオシム路線を分断した協会はファウルを犯した」
「ファウル?」
「でも緊急時なんでアドバンテージをみてそのまま流した」
「はい」
「躓いたらそこで止めてファウルを取るところが、そのまま持ちこたえてアドバンテージも消えてしまった」
「なるほど、ファンの心情も『疑わしきは罰せず』なんでしょうね」
「でも俺はあそこでカードを出しておくべきだった、と今でも思う。出すべきところでは、はっきりカードを出す。カードを…」
「えっ、大将、違う、違う、まだ、お勘定じゃない。カード違い」

――お後がよろしいようで…

posted by 直木 善久 |06:12 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年04月11日

それでも呼ぶから面白い

――今日もまた居酒屋に集う先輩と後輩。おなじみの居酒屋風景、ちょっと聞いてやって下さい。

「先輩、今日は呑みすぎですよ」
「ヒディングってすごいね」
「チェルシーのヒディングですか?」
「いやー、ロシアの代表監督であり、チェルシーの監督」
「はい」
「だいたいプレミアリーグの監督と代表監督を兼任するという大胆な発想に驚く。実はドイツ大会の組み合わせの抽選で、日本がオーストラリアと同じ組になったときは喜んだよ」
「えっ!」
「そのときヒディングはオランダのPSVとオーストラリアの監督を兼任していた」
「そうそう」
「二兎を追う者は一兎も得ず、強いわけがないと…」
「なるほど」
「ところがPSVを優勝させて、オーストラリアをベスト16に導いた」
「一兎を追って、一兎も得ない人もいるのに」
「それ誰の事?」
「南アフリカでロシアと同じ組になったら因縁の対決ですね」
「それを言うのは早すぎる。まだ決まっていない」
「先輩、ところで森本発言、知ってます?」
「日本代表に呼ばれても行きたくない。カターニャでのプレーに集中したい」
「そうです」
「カターニャではゴールを奪うことだけ考えていればいい。日本代表では守備にも力を注がなければいけない。スタイルが違う。自分の持ち味が発揮出来ない代表へは行きたくない。非常に分かりやすい説明」
「その気があった岡田監督は振られてしまった」
「いや、私ならそれでも呼ぶ」
「えっ、振られた女性にストーカーするようなものでしょう」
「ストーカー?」
「行かないって意思表示しているじゃないですか」
「それでも呼ぶ!」
「何故?」
「代表に呼ぶのはその選手を評価していると周囲に示すことでしょ」
「はい」
「『森本は日本代表に選ばれるほどの選手だ』と発信すれば、もちろんカターニャのサポーターなら当然だと思うだろうけど、イタリア全土でもより注目される」
「はぁ」
「注目されるのは森本にとってプラスでしょ。代表を断ってまでカターニャで戦うならそれなりの結果を出さなければいけない。新たなモチベーションが生まれる」
「はい」
「それで結果を出せば森本はオファーを生かしたことになるし、結果を出せなかったら、呼ばなくてよかった、となる。もしも変心して招集に応じたら岡田は岡田のサッカーを要求すればいい」
「はぁ」
「森本発言は『俺を中心にしたチームを作る気があるの』っていう挑発にもとれる。『ベンチじゃ嫌だ』という裏の意味があるかも知れない。単に本音を言ってしまっただけかもしれない。一度正式にオファーを出せばそれが分かる。万が一、召集に応じたら岡田対森本という対立軸が生まれて停滞気味のチームが活性化されるし話題性も高くなる。岡田監督の腕の見せ所、観ている方だって興味津々で面白くなる」
「はい」
「これで招集しない手はない」
「そんなにうまく行きますかねぇ」
「カターニャでもっと活躍して、日本で森本コールが高まって、監督が森本を中心にチームを作ることに可能性を感じてからでもいいのかも知れないけど…」
「個性が強そうですからね」
「日本では珍しい我を押し通すタイプ。今の代表のアンチテーゼのような存在。だから面白いし意味がある。スペシャリストを目指しても面白いけど、特定されたポジションで特定されたプレーしかしないのは時代に逆行している。森本だって前線に張り付いてゴールを狙うFWと、下がって守備も出来るFWの二兎を追えば、選手としての幅が広がることを知っているはず」
「そうですよね」
「中村俊輔はトルシエから違うポジションを要求されたときに、悩んだけど受け入れて良かったと、この前読んだ『察知力』に書いていた」
「まぁ、それは本人しだい」
「だいたい代表に呼ばれている選手は自分のチームと代表という二兎を追いかけているようなもの。サッカー界では二兎を追いかけて二兎を得たものがヒーローになる。選手が二兎を追いかけるなら、二兎を追う監督がいてもいい」
「なるほど」
「挑戦あるのみ」
「先輩、仕事もその勢いで…」

――お粗末でした。

posted by 直木 善久 |07:18 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年04月05日

「たら」を言わなかったら

――おなじみの居酒屋風景でございます。サッカー談議に花を咲かせておりますが、花も実もある話になりますやら…

「先輩、今日は呑みすぎですよ」
「後半にもう一点決めていたらね」
「はい」
「あれがクロスバーに当たってなかったら…」
「はぁ」
「やっぱり決定力のあるフォワードさえいたら…」
「先輩!そんな『たら』ばっかり言ってはダメですよ。いまさら結果が変わる分けでもなし、良くなる分けでもなし、先輩ともあろう人が済んだことに未練がましくこだわるのは女々しいですよ」
「おい!」
「はぃ」
「俺たちは理想のサッカー像を持っているか?」
「えっ、てっきり怒るのかと…」
「ヨーロッパや南米のファンなら誰でも理想のサッカーを持っている」
「なんですか、急にまじめに」
「理想のサッカーという設計図を、現実に組み立てるのが監督の仕事。それで設計図に見合った部品を大枚はたいて買ってくることも出来る」
「はい、でもそれと『たら』とどういう関係があるんですか?」
「でも日本じゃいくら理想のサッカーという立派な設計図を作っても、それに見合った部品が集まらない」
「部品って選手に失礼でしょ」
「だから部品、いや、選手に合わせて設計図を作ることになる」
「はぁ」
「ここにこの部品を使ったら、いや、この選手とこの選手を組み合わせたらって『たら』の積み重ねで設計図を作るしかないんだよ」
「大将、お酒もう一本」
「聞いてるの?『たら』って言うのは悪いことではない」
「でも、宝くじが当たったらって考えても、何の役にも立たない。そんな話を聞かされたって馬鹿馬鹿しいだけ。先輩ももう少しいい男だったらとか、もう少し背が高かったらとか考えても無駄でしょ」
「おい!」
「はい」
「宝くじが当たったらって考えてもいいじゃないか。俺がもっともてたらって考えてもいいでしょ。それは想像力。想像力は働かしたほうがいい」
「今日は怒らない?」
「まだ俺たちは、理想の設計図を描けないんだよ。だから試行錯誤が方法論になる。それが現場主義、それが経験主義、それしかない。それなのに、そのうえ想像力が無くてどうする」
「ふーん、そうかなぁ」
「スポーツでは、やたら『たら』や『れば』が悪いことのように言われる風潮が気に入らない」
「それ、洒落ですか?」
「物知り顔にそれは『たら』でしょって批判されたら、みんな悪いことでも言ったかのように黙ってしまう。だいたい『たら』はダメだって言う評論家だって、『たら』とは言わないだけで、言っていることは終わってからの後追い理屈でしょ。発明もこうしておいたら、次はこうしたらの積み重ね、『たら』を言わなかったら進歩がない」
「でも『監督がオシムだったら』とか言う人が今でもいますよ」
「『たら』で終わらないこと、『たら』から始めること。すべての『たら』や『れば』が悪いわけじゃないってこと。意味ある『たら』と『れば』を見つけること。タラタラ言わすんじゃない!」
「なるほど、『たら』を積み重ねるから経験が生きる」
「その通り、もうちょい呑むぞ。大将!お酒お代わり、それと、鱈のタルタルソース」
「それじゃ生レバーもいただきましょう」
「鱈もレバーも料理人の腕しだい」
「よっ!」

――いつになく先輩も後輩も盛り上がっております。それでは後がよろしいようで…

posted by 直木 善久 |07:26 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年03月23日

大阪人の挨拶

――今日も先輩と後輩が、サッカー談議に華を咲かせております。どこにでもある居酒屋風景、まぁちょっと聞いてやってください。

「先輩、お久しぶり」
「先週も一緒に飲みました」
「ハハッ、酔っ払って忘れてた」
「ところで、インタビューの受け答えが上手い選手って少ないよね」
「そうですか、まぁまぁ、乾杯!」
「なんか、みんな当たり障りの無いことしか言わない」
「それはメディアがすぐに揚げ足を取るからですよ。ちょっと生意気なことを言うとビッグマウスとか」
「ふーん」
「聞き手も『今日の試合の感想は?』『ファンに一言』『次の試合へ向けて抱負を』って、それじゃ同じような答えになってしまいますよ」
「ふーん、昔の話だけど高校生の福原愛が、逆転勝ちして『これで自信がつきましたね』と問われても、インタビュアーの誘いに乗らず『そんなきれい事じゃないと思います』と答えて驚いた。それ以来、福原ファンになった」
「なるほど」
「今注目するのは石川遼と錦織圭、言葉が気になるベストイレブンを選ぶなら、若手の2トップって感じかな。ちょっと優等生過ぎるのが気になるけど」
「まだ十代ですから」
「トップ下にはやっぱりベテランのイチロー。『折れかけた心をぎりぎりでこらえた』『これで初めて日本のユニホームを着た気分』」
「WBCですね、サッカー選手では…」
「引退した中田英寿は『ブラジルを小バカにするようなプレーをしたい』とか、自分の言葉で語ろうとしていた」
「それじゃぁヒデは右サイド、それなら左は中村俊輔ですか」
「頭が痒いなら、インタビューの後に掻いてほしい」
「ハハッ、確かに。女性陣を加えるなら…」
「やっぱり福原愛」
「それなら錦織との2トップでしょ」
「うまい!たまに面白いことを言うね」
「でもね。やっぱりインタビューに答えるのは難しいですよ」
「それも練習」
「練習?」
「練習で出来なかったことがゲームで出来るはずがない。人生も同じ。日々の生活が重要なときに出てしまうもの」
「先輩もたまにいいことを言いますね」
「オシムが言ってた」
「またオシム真理教徒って呼ばれますよ」
「まず、リップサービスをする。そしてインタビュアーの誘導に乗らない、乗せられない。手の内を明かさない。それでいて自分の考えや感想をハッキリ言う。これでいい」
「それが難しい」
「大阪人の挨拶の要領なら大丈夫」
「大阪人の?」
「『儲かりまっか』と問われても、『ぼちぼちでんなぁ』と相手の口車には乗らない」
「はぁ」
「『どこへお出かけですか』と聞かれても、『ちょっとそこまで』と手の内を明かさない」
「なるほど」
「それでいて『そんなアホなことしたらあきまへんでぇ』ときっちり意見する」
「はいはい」
「ヨイショはうまいし、これでボケとツッコミ覚えたら」
「吉本へ行ける!」
「オシムから学んだ選手は多いけど、インタビューの受け答えを学んだ選手や監督がいないのは残念」
「あれはちょっとやそっとでは真似できない」
「考え抜かれた言葉、縦横に行き届いた配慮、ユーモアも交えて…」
「そうですね。大将、お酒。えっ、今日は話ばっかりして注文が少ない?縦横に配慮が行き届いていない?」
「ハハッ、さすが大阪人、ツッコミがうまい」

――お後がよろしいようで…

posted by 直木 善久 |06:56 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年03月14日

頼って信じる信頼感

――どこにでもある居酒屋風景です。先輩と後輩が酒を酌み交わしながら、サッカー談議に華を咲かせております。ちょっとお付き合いください。

「先輩、今日は呑みすぎですよ」
「開幕戦は観た?」
「テレビで見ましたよ、鹿島対浦和、いい試合でしたよね」
「いやー、すごかった。Jリーグが年々進化しているって実感できた試合。切り替えの早さ、攻撃のスピード、どこを取ってもプレミア級の試合だった」
「一点目が素晴らしい」
「フリーキックをキャッチした曽ヶ端が素早く前線のマルキーニョスへ、マルキーニョスがそのまま右サイドを駆け上がってためらわずに速いクロス、野沢が足で巧みに角度を変えてあっという間のゴール」
「はい」
「力強いサッカーだった。でも、翌日のスポーツ紙は当然のようにWBCの韓国戦が一面、『サムライニッポン!韓国に歴史的大勝利!』だ」
「それは当然でしょう。韓国相手にコールドゲームですから」
「裏面をひっくり返しても開幕戦じゃぁない!」
「まぁ、大阪ですから」
「めくっていったら、なんと、すべての開幕戦が1ページにこじんまりと収まっていた。たった1ページ、すべての試合が、開幕戦なのに、あんないい試合をしたのに、涙が出そうだった」
「WBCはワールドカップと同じじゃないですか」
「せめて裏と中に見開きで2ページは使って欲しかった」
「まぁまぁ、巡り合わせが悪かった。大将、お酒もう一本」
「WBCたって、アジアと中南米の限られた国だけでしょ、当のアメリカだって真剣にメンバーを集めてない!それでワールド・ベースボールなんておかしい!」
「野球ファンのお客さんもいるから、もう少し小さな声で、ねっ、小さな、耳元でそんな大きな声を出さなくても聞こえますから、ほらみんなこっちを見てますよ。Jリーグは国内リーグ、ねっ、すみません、酔っ払いですから、はい、この前みたいに、阪神の悪口だけはやめてくださいよ」
「それでACLの鹿島戦をチェックしたら、同じチームとは思えない試合をしていた」
「はい」
「パスミス、パスミス、パスミス。正確性を欠いたら勝てるわけがない。曽ヶ端までがミスキックでフライを上げてた。野球じゃないよ」
「2点目の失点はひどかったですね」
「そうそう、前半のロスタイムにスウォン(水原)陣地深く攻め込んでいたのに簡単にボールを奪われて、大きく蹴りだされても、もう笛が鳴るだろうとみんな気を抜いていた。笛が鳴る前にエドゥに決められ、終わってみれば4失点」」
「先発メンバーはまったく同じなのに、ほんと別のチームみたいですよね」
「これは戦略的な問題じゃない。浦和戦で手ごたえを感じた、今年はいけるって。お互いの信頼感も増した。そこで中2日のアウェイ戦。『ちょっと俺がゆるんでいても、誰かが何とかしてくれる』みんながそう思ってしまった感じ。頼って信じる信頼感」
「まぁ、結果的にそうかもしれないですね」
「これでは鹿島名産のレンコンだ、穴だらけ」
「(無視)」
「俺が編集長なら浦和戦の翌日は『プレミア級弩迫力』って見出しをつけて、『今の鹿島なら日本代表にでも勝てる』『今の鹿島ならプレミアリーグでも戦える』って書いたかもしれないなぁ、一面に」
「先輩のような片寄った人は編集長なんかできません。まぁ鹿島は今年一番の好ゲームと最悪のゲームを二つ続けて見せてくれたのかもしれません」
「うまいこと言うね。俺が編集長なら記事採用」
「まぁ、次のJとホームのACLに注目しましょう」
「大将、お酒。えっ、プレミア、プレミアって焼酎の話かって?ハハッ面白い。えっ、プレミア焼酎がある?」
「それじゃプレミア焼酎でも呑みましょう。先輩と私も信頼感で結ばれています。今日のお勘定も頼って信じる信頼感」

――お後がよろしいようで…

posted by 直木 善久 |10:09 | 居酒屋のサッカー談義 | コメント(3) | トラックバック(0)
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