2009年12月26日

岡田監督は進化しているか

12月11日に岡田監督は早稲田大学で講演をしています。ワールドカップを半年後に控えた代表監督の話は是非とも聞いてみたい。その内容を知りたい。インターネットで検索してみると、有りました。記録が残っています。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0912/14/news010.html
http://www.youtube.com/watch?v=4nO1je2x29A

この講演は大きく二つに分かれています。前半は前回の代表監督時代から始まって、札幌時代、そしてマリノス時代を振り返っています。後半は今の代表チームで語っているサッカー哲学を披露しています。

「脅迫状や脅迫電話が止まらなかった。家には変な人が来るしね。僕の家は24時間パトカーが守っていて、『子どもは危険なので、学校の送り迎えをしてください』という状況で戦っていました」

「テレビで僕のことがボロカスに言われているのを子どもが見て泣いたり、家族も本当に大変な経験をしました。自分自身もそんな強い人間ではないので、のたうちまわっていましたね。自分の部屋でものを投げたりすることもありました」

「怪しいこともいろいろやりました。空手や古武術、気功とか、占星術師のところまで行っても分からなかった。自分が指導者としての殻を破るための『秘密の鍵』があるはずだ。それが何なのか見つけたいと思って勉強したのですが」

「僕は選手と一緒に酒を飲みません。酒を飲んでわいわいやって、翌日『君はクビ』とは言えない。仲人は絶対しません。仲人をやって奥さんやご両親知っていて『はい、君アウト』とは言えない」

「スタジアムに試合を見に行ったら、じーっとにらんでいる女の人がいるんですね。『身に覚えがないなあ』と思って聞いてみたら、僕がメンバーから外した選手の奥さんだった。それが嫌だったら日本代表監督なんてできません」

「ずっとレギュラーのミスターマリノスと言われていた選手を、僕が監督になってから一度も使わなかった。そこでいろんなチームからオファーが来て、『チームとかけあって移籍金を下げてやる』と言ったら、『もう1回チャレンジさせてください』ときた。そいつはガラっとプレースタイルを変えて、そいつのおかげで2年目に優勝できたんですよね」

代表監督の苦労話、内輪話は聴衆を引きつけます。講演に慣れているのか、話も上手い。前半を題すれば「代表監督はつらいよ」という処でしょうか。しかし、私はもう少し世界から見た日本のサッカーとか、サッカーというスポーツの本質に迫るような監督目線の話を聞きたい。

そして後半から代表の選手たちに話している岡田哲学を語り始めます。その哲学として、「エンジョイ」、「我々のチーム」、「ベストを尽くせ」、「コンセントレーション」、「インプルーブ」、「コミュニケーション」という6つの言葉を掲げています。

「代表になるような選手は子どものころ、『俺にボールよこせ』、『俺にボールよこせ』というお山の大将です。プロだろうが代表だろうがW杯だろうが、そのサッカーを始めた時の喜びやボールを触る楽しみを絶対忘れてはいけない」

「『キャプテンが何とかしてくれる』、『監督が何とかしてくれる』ではなく、『お前が何とかするんだ、このチームを』ということです」

「予定が変わるとマネージャーは大変ですが、変更するのは当たり前。『お前の仕事がやりやすいためにチームはあるんじゃない。チームが勝つことにこだわれ』ということです」

「動物は今を精一杯生きている。でも人間は、済んだことを悔やんで今できない。先のことを心配して今できない。俺はそういうのは大嫌いだ。今できることをやってくれ」

「守ろうとせず、常にチャレンジしてもらいたい。本気なら必ず壁を乗り越えられる。本気じゃなかったらあっさり壁に阻まれる」、

「お互いを知るということ、自分を認めてもらう努力をすること。」

ところで、岡田監督は札幌時代にJ2で優勝した直後に、自身の哲学を次のように語っています。

「『エンジョイ』は、監督に言われたことだけをロボットのように淡々とこなすのではなく、自分が好きでサッカーをやっている歓びを忘れないでほしいということ。『シンキング・オブ・フットボール』は、チームを勝たせるために何ができるかをまず自分から考えてみる気持ち。『アグレッシブ・プレー』は、いったんピッチに入ったら、とにかく攻撃的にプレーするんだ、と。その3つを実行するためには前提となるコミュニケーションが必要です(後略)」(佐山一郎著「こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた」より)

私には今と同じように聞こえますが、これは一貫した岡田監督のポリシーなのでしょう。別に進化していないわけではない。そのように考えたい。

「本当にエンジョイするには『頭で考えながらプレーするな』と言っています」

「向こうでは大したことがないブラジル人がバンバン点を取る。あいつら何も考えていない。来たボールをボンと蹴るだけ」

「新皮質で考えながら練習しても自転車には乗れない」

「練習では考えてやらないといけない。でも試合では頭を使ってやるな」

新皮質で考えても自転車に乗れるようにならないから考えるなとは飛躍しすぎです。もちろん練習では考えろと言っていますが、オシムはいつも次のように語っていました。

「勝つことだけを意識していては勝てない。どうすれば勝てるかということをよく考えながらプレーすることだ」

「走るだけなら陸上選手に任せる。重要なのは考えることだ」

「考えなくてはいけないことは、相手に足りないところをプレーで見せること。走ること。考えること。かしこくプレーすること」

この辺りが岡田とオシムのサッカーの違いでしょうか?日本のサッカーに欠けているのは考えることではないか。岡田監督も日本人プレーヤーがなぜ本能でゴールを決められないのか、もう少し考えてみてはどうか。

「一番上の目標をポンと変えると、オセロのように全部が変わります。『お前、そのパスフィードでベスト4へ行けるの?』、『夜、酒かっくらって、お前ベスト4へ行けるの?』、『そんなことでベスト4行けるの?』もうこれだけでいいんです」

まぁ、一番上の監督をポンと変えても、オセロのように全部変わると思いますが。講演を取材された記者の方々は、いつもの定番な話しか聞けなかったようです。お疲れさまでした。

posted by 直木 善久 |08:34 | 岡田監督と日本代表 | コメント(18) | トラックバック(0)
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2009年12月22日

蘭学事始(オランダに勝つ方法)

 南アフリカ大会の日本の対戦相手はカメルーン、オランダ、デンマーク。二勝すれば決勝トーナメントへ進む確率はかなり高くなる。トルシエはシード国のオランダ戦を捨てて、他の二試合に全力を尽くせと説く。オシムはカメルーンとデンマークに勝つのは夢ではない、即ちオランダに勝つのは難しいと予想する。もちろん岡田監督はオランダからも勝ち点を奪うと明言している。

 そのオランダとは二戦目で顔を合わすが、日本とオランダそれぞれの初戦の結果によって、その試合の重さは大きく変わる。それによって戦略も変わるが、多くの人たちが口にするようにオランダに勝つことは本当に難しいのか?ちょっとオランダ人気質を解剖してみました。

 オランダ人はスペースの活用に貪欲である。オランダは面積がほぼ九州に等しい小国であり、その一割は海を埋め立てて造られた土地です。

 オランダ人は危機管理意識が強い。海抜0メートル地帯に住んでいれば、治水は最大の関心事に違いない。温暖化で海面が上昇すれば小さな島国のように被害を受ける。

 オランダ人は直線的に考える。国内最大の交通手段が自転車という起伏のない平らな大地に住んでいれば当然かもしれない。

 ところが障害のない直線的思考はどこまでもまっすぐ進んで、時として行き過ぎた極端な判断を生む。売春やマリファナを合法化し、世界に先駆けて安楽死を認めた。これでは先進を好むのではなく、極端を好んでいるに違いない。あのグリーンピースの本部も今はアムステルダムにある。そもそもトータルフットボールがオランダで生まれたのも納得できる。

 「オランダの極端追求は昨日今日にはじまったことではない(中略)17世紀の黄金時代には、オランダはイングランド、スコットランド、フランスを併せたよりも多くの船を所有していた」(「世界の作家32人によるワールドカップ教室」より)

 モンドリアンの絵を思い出して欲しい。風景や樹木を描いても水平と垂直方向のベクトルに分解されて、抽象の世界に入っていく。現在のオランダの成功は、直線的思考が垂直に働いた上昇志向の結果です。しかし、飛躍を目指す集団には必ず浮き上がった手に負えない存在が現れ、そのような組織では必ず内紛が起こります。

 「オランダ人はトラブルが好きなんだよ。代表チームの周辺で何も問題が起きないと、逆にどこか悪いんじゃないかと心配するんだ(中略)ワールドカップやヨーロッパ選手権が行われるたびに、必ずトラブルが発生する」(「オレンジの呪縛」より)

 オランダと戦う場合はイライラさせるプレーをしてピッチ上で内紛を誘発する。例えば4-4-1-1のフォーメーション、ダブル4バックで相手に有効なスペースを与えない。守って、守って守り抜く。こちらが極端な戦略を選べば、相手も極端な攻撃を仕掛けてくるに違いない。
 これを鎖国システムと名付けてみよう。鎖国状態でゴールを守り、交渉は1トップの出島で行う。17世紀のオランダは世界中を股に掛けた大国、それでも日本は鎖国政策によって対等に付き合っていた。
 そのオランダも17世紀の後半にはイギリスとの戦争で国力を使い果たし、多くの船と植民地を失ってしまいました。それも内紛が原因だったのかもしれません。内紛を抱えるチームにはつけ込む隙がある。オランダ人気質を逆手に取ればチャンスはある。オランダがなんだ。FIFAランクがなんだ。

 ところで、オランダについて学ぼうと「蘭学事始」と題しましたが、杉田玄白の元祖「蘭学事始」はこんな言葉で始まっています。
 「志を高く持つ人は篤く学び、無識なる者はみだりに誇張する」
 ちょっと極端を極端に誇張しすぎたか。オランダ流オランダに勝つ方法でした。

posted by 直木 善久 |23:07 | 岡田監督と日本代表 | コメント(9) | トラックバック(0)
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2009年12月06日

一喜一憂なら上出来だ(抽選会雑感)

 犬飼会長は南アフリカ大会の前に、2試合はシード国と強化試合を組むと発言している。もちろん大会前に多くの強豪国と相まみえ、選手やファンのモチベーションを高める筋書きは悪くない。でもどうしてシード国に拘るのか。
 前回の2006年、開催年に入ってから対戦したシード国はドイツだけ、2002年は一つもない。シード国でなくても出場国はほとんど日本よりも上位です。相手として不足は無いと思いますが…日頃から強豪国と戦っていれば、慌ててシード国とのマッチメイクに走り回ることもない。
 マッチメイクの情報が早めに流れてくるのは、協会に焦りがあるからでしょう。強豪国がいつも二軍や三軍と親善試合をしている国を、好んで強化試合の相手に選んでくれるとは考えにくい。「たとえ流れても努力はしました」、そんな言い訳が聞こえてきそうだ。

 日本の対戦相手について、抽選会前のメディアの論調は概ね次のようなものでした。
 ポット1は南アフリカがいい。何故なら、「先月の親善試合で引き分けており、アフリカ勢でも個の力はそれほど強くない」
 ポット3はウルグアイがいい。何故なら「南米予選を順調に勝ち抜いたチリやパラグアイよりも、プレーオフに回ったウルグアイがやや安定感に欠けている」
 ポット4は、スロバキアかスロベニアがいいらしい。「初出場のスロバキアと2度目の出場のスロベニアは国際的な実績と経験が少ない」
 強化試合は強豪と戦いたいが、大会ではなるべく弱いチームと戦いたいらしい。弱そうなチームを詮索しておいて、そのチームに負けるのが一番惨めだ。そして一番あり得る。シード国との強化試合が実現しない場合を考えて、私は本大会で強豪と戦える死の組を希望していたが、結果はオランダ、カメルーン、デンマーク。相手に申し分は無い。

 来日したオシムは「ベスト4を強く信じろ」という。そして就任当初にドイツ大会を振り返って放った「期待が大きすぎると失望が大きくなる」という言葉を繰り返えした。
 しかしこれは矛盾していないか。期待を膨らませるから信じることができる。強く信じるから期待が大きくなる。人間、寄る年波には勝てない。年寄りは一度大病を患うと弱気になる。下手すると呆けてくる。
 「私が抽選会でお手伝いできることは何もない。神様がどう考えるかによって決まる」
 無神論者のオシムが神を語っている。もうオシムは昔のオシムとは違うのかも知れない。
 「トランポリンで跳ねるように準備していないと大ジャンプはできない」
 昔ほどの皮肉もない。怒りもない。捻りもない。嘆きもない。切れ味もない。単に日本の活躍を期待する好々爺ではないか。語録とは程遠い。

 でもこれはきっと私の杞憂でしょう。オシムは最後まで任務を遂行できなかった前監督としての責任を背負っている。語りにくそうだ。まだ毒舌を奮えない自身の立場をわきまえている。この時期に来日すれば刺激を受ける人たちがいることも理解している。それに抽選会の解説だけで来日するような人ではない。彼はいくつかの目論見を携えているはずだ。

 オシム「抽選結果を見て勝ったも同然とか負けに等しいとか、一喜一憂しないこと」
 一喜一憂は本大会で。でも一喜一憂一分けの微妙な成績になりそうだが…

 岡田監督「われわれより上のチームばかりだが、何とか対処できるグループだ」
  「対処できる」、この発言を対戦国はどのように聞くだろう。「ベスト4」のための強化試合と共に、「ベスト4」のための情報戦にも注目したい。

posted by 直木 善久 |09:07 | 岡田監督と日本代表 | コメント(11) | トラックバック(0)
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2009年11月19日

完全アウェイは不完全ホームの裏返し

55.△0―0 南アフリカ 国際親善試合(ポートエリザベス) 2009/11/14
56.○4―0 香港 アジアカップ最終予選(香港)       2009/11/18

 怪我で放出まで噂されたヤンキースの松井秀喜が、ワールドシリーズという大舞台でMVPを獲得した。打席から伝わる鬼迫、力強いスイング、大きな当たりがファウルになっても途切れない集中力、ホームランを打っても緩まない表情。勝利を掴み取るまで一貫した姿勢を崩さなかった。
 この素晴らしい結果は、精神的にも、肉体的にもベストなコンディションでシリーズに臨めたから残せたのでしょう。晴れ舞台とベストコンディションの幸運な出会い。ここまで実力を発揮できなかった歯がゆい思い、その憂さを晴らしたMVPに大きな拍手を送りたい。
 日本代表も全員が松井のようにベストコンディションで南アフリカ大会を迎えられれば好成績が残るはず、決勝トーナメントにも進出できる。松井の活躍はそんな期待を抱かせる出来事でした。残り8か月、照準を南アフリカに向けて、モチベーションが徐々に盛り上がるマッチメイクをして欲しい。

 南アフリカ戦のキャッチフレーズは「完全アウェイ」。この「完全」ってなんだ?いつもはカネにものを言わせて「ちょっと来い」と日本まで呼びつけ、長旅の疲れを抱えた二軍メンバーと戦う「不完全ホーム」が続いただけに、今回はその汚名を返上する試合ということでしょうか。
 でも「完全アウェイ」って負けた時の言い訳にもなる。盛り上げているのか、言い訳の準備をしているのか。その南アフリカ戦の結果はドロー。「完全アウェイ」で「完全勝利」とはいかなかった。
 監督に復帰して初戦のパレイラは負けなければいいと考えた。日本もアウェイで負けなければ勝利に等しいと考える。試合が進むに連れて、徐々に両者の思惑が一致しはじめるとこの試合の醍醐味が失われてしまった。
 まぁ、次の親善試合は格下との「安全ホーム」ではなく、格上の一軍メンバーと戦う「完全ホーム」をキャッチフレーズにして欲しい。

 イタリアとのマッチメイクがアジアカップ予選と重なって流れたときに、予選免除のベスト3を逃した前回のアジアカップを「負の遺産」と評されているのを見かけた。しかし先月のスコットランド戦やトーゴ戦のような試合しか組めないのなら、格下と真剣勝負をしている方がまだましだ(イタリア戦も観たかったけど…)
 その香港戦。格下との対戦では圧倒的な強さを示してこそ自信になるが、危ない場面も目についた。格下に隙を見せているようではまだまだ。岡田監督には「ベスト4」が見えているらしいが、私には一向に見えてこない。
 「ベスト4は理屈ではなく、見えるんです」(早大でのトークショー)
 監督に見えるものが私には見えない。私に現実を見る目が無いのか、監督が幻覚でも見ているのか、どちらかに違いない。
 ドイツでは代表のゴールキーパーが自殺した。うつ病だったらしい。健全な肉体に健全な精神が宿るとは言い切れないが、運動する者、体を動かす者、身体性を絶えず意識している者は精神を病むことが少ないはずです。しかし世界中で話題になる代表選手ともなれば、個人の身体性が政治や経済に振り回され、何よりも絶えず注目されることが精神的な重圧になるのでしょう。ご冥福を祈ります。

 もしも期待という他者の夢が重圧になるのなら、注目される監督が「ベスト4」という幻覚を見ても何ら不思議な話ではない。

posted by 直木 善久 |23:25 | 岡田監督と日本代表 | コメント(14) | トラックバック(0)
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2009年10月31日

カズを外した本当の理由

 あなたは聞いたことがありますか?岡田監督がフランス大会直前にカズを外した理由を…
 監督は11年前から千回以上話してきたと発言していますが、私は聞いたことがありません。多くのファンも聞いたことがないから、「スパサカ」(10月4日放送)は「岡田監督に聞きたくても聞けなかったこと」という企画で取り上げたのでしょう。岡田監督はその「スパサカ」で次ぎのように答えています。
 「散々、言ってきているけど、俺は日本代表が勝つためにどうするべきかを考えているだけ。もう千回以上も言ってきた」
 勝つためにどうすべきかを考えるのが監督の仕事です。これだけでは理由の説明にはなっていません。対戦相手を分析した上で、戦力として必要ないと判断した経緯が知りたい。
 「予選3試合を想定した中で、使う場面がなかった」
 想定した内容――シミュレーションした戦略を同時に語らなければ、誰を外すにもこの説明で済んでしまうことになる。
 「代表から外れても彼のサッカー人生が終わったわけではない」
 きちっとフォローしていますが、これも理由には成っていません。
 「墓場まで持って行く」
 これなら千回以上説明したのではなく、千回以上話さなかっただけ。千回どころか実は1回も話していない。どうして墓場まで持って行くのでしょう。沈黙を守るなら、良からぬ憶測をされても仕方がない。
 戦略的な理由ではなく、感情的な確執から外したのでしょうか?間違いだったと後悔しているのでしょうか?公人の沈黙は危うい立場から逃れる保身と相場は決まっている。

 監督の哲学や戦略は言葉でも伝えられますが、それが見える形となって表れるのがフォーメーションと選手の配置です。
 「人の意見に左右されずにメンバーを選ぶのが監督の仕事だと考えている」
 その通りですが、ファンの理解を得ることも監督の大事な仕事ではないでしょうか。たとえその時は腑に落ちない人選でも、後から「なるほど、そうだったのか」と理解できることもあります。
 繰り返しますが、トルシエは今でも問われれば中村俊輔を外した理由を説明しています。
 「当時と今の俊輔では比較にならない。同じポストに中田英寿がいたし、俊輔以上に成熟した選手がたくさんいた。森島寛晃、小野伸二、名波浩。もちろん、ポテンシャルを買ってメンバーに選ぶこともあり得た。しかし彼は足首を故障していてワールドカップ直前のスペイン合宿では、一度もみんなと同じ練習メニューができなかった」

 サッカー人気が下降していると報道されていますが、多くの国民が監督のように代表メンバーについて語ることはサッカー人気につながります。代表ファンを増やそうとテレビ番組に出演するなら、ファンの疑問には答えたほうがいい。人の意見に左右されずに独自の考え方を押し通すからこそ、説明を付け加える必要があるのでしょう。

 問題になった今回の「スパサカ」で、精神的な支柱として三浦知良を呼んでみてはどうかというファンの意見もありました。かつてトルシエは日韓大会で中山雅史と秋田豊をメンバーに加えましたが、
 「俺は一緒にやってきたから、ゴンやカズの素晴らしさはよく知っている。しかし南アフリカ大会には厳しい」
 今回は丁重に断っています。

 「おい、今日は白状する気になったのか」
 「今まで散々、言ってきたじゃないですか。俺は足がつかないように完璧に仕事をこなすことしか考えてこなかった、千回以上も話したじゃないですか」
 「それじゃ調書が書けないんだよ」
 「何回もうるせえなぁ」
 「動機はなんだ!」
 「それは墓場まで持って行かぁ」

 11年前の一件はいまだに藪の中、そのうち時効になるのでしょうか。 

posted by 直木 善久 |20:24 | 岡田監督と日本代表 | コメント(39) | トラックバック(0)
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2009年10月24日

インタビュー拒否の本当の理由

 岡田監督がトーゴ戦直後のインタビューを拒否したのは、「スパサカ」での不快な質問が原因だと報道されています。「岡田監督が激怒した」という記事もありますが、激怒はしてなかったような…そこで、もう一度その問題シーンをビデオで観てみました。
 「ファンが岡田監督に聞きたくても聞けなかったこと」と題された企画は、「南アフリカ大会で『ベスト4』に行けるか」、「代表に呼んでほしい選手」、「98年のフランス大会で三浦知良を外した理由は」という三つの質問で成り立っています。

 「スパサカ」の翌日に放送された4日の「やべっちFC」(どちらが先に収録されたかは分かりませんが)で、監督と対談した名波浩が「ベスト4」に触れると、
 「雨が降ってもね、水たまりを見て嫌だなぁと思うより、空を見上げて虹を探した方がいいでしょ。『ベスト4』ってそういうこと」
 「監督はそういう話が好きですね。昔からスッと言うんですよ」
 と名波が切り返しても、
 「昔から?そうかな。そうやって誤魔化しているのかな」
 と、和やかに対談は進んでいるので、「ベスト4」が不愉快な質問ではないのでしょう。
 「人がどう思おうと関係ない。おれたちは『ベスト4』に行けると信じてやっている」
 確かに「スパサカ」での語気は強いが、それだけ真剣さが伝わってくる。

 次の「代表に呼んでほしい選手」で森本貴幸や石川直宏の名前が上がっても、
 「ファンの希望に左右されずにメンバーを選ぶのが監督の仕事」ときっぱり言い切り、
 「石川選手には流れを変えたり、得点に絡んでもらいたい。チャレンジして欲しいので今回は呼びました」と丁寧に答えています。

 そして11年前にカズを外した真相を問われると、
 「散々言ってきたけど、俺はいつも日本代表が勝つためにどうするべきかを考えているだけ。もう千回以上も言ってきた」
 決して真相を問うたことに対して反論しているのではなく、同じことを何度も聞かないでくれと話しています。千回以上も話してきたことを、もう一回話すくらいは簡単なことです。わざわざ怒るほどの原因にはなりません。

 スコットランド戦は「やべっちFC」のテレビ朝日で、トーゴ戦は「スパサカ」のTBSで放映されるので、どちらも番宣としての出演なのでしょう。注目を集めるための企画であり、質問の内容は事前に知らされている筈です。「この番組、二度と出ねぇ」という発言も、冗談か予定通りのパフォーマンスのように見受けられます。

 インタビュー拒否と「スパサカ」は関係ない。監督にはインタビューを拒否する理由が他にあったと考える方が自然ではないでしょうか。もしもインタビューでトーゴの不甲斐ない戦いぶりを口にすれば、協会のマッチメイクを批判したことになります。
 この三連戦で予定通りの成果が得られなかったと発言しても、マッチメイクが問題になるでしょう。協会批判は避けたい。そこで逆にそれなりの成果が得られたと発言しても、「こんな試合で何を寝ぼけたことを言っているのか」と批判されることになります。

 ミスマッチメイクの試合では、岡田監督は口を噤むしかなかった。これが真相でしょう。TBSは監督から要請があれば謝罪すると発表しましたが、要請する分けがありません。
 「インタビューを拒否して申し訳ない」
 「『スパサカ』が原因になってしまって申し訳ない」
 と謝るのは監督の方です。まぁ、本当に謝罪しなければいけないのは協会なんですが…

 「ベスト4の裏付けは?」という質問に、
 「裏付けって何なの?ドイツが『ベスト4』に行く裏付けって何なの?ブラジルが『ベスト4』に行く裏付けって…。過去の実績だったら、日本はあり得ない。しかし、チャレンジするのに裏付けなんてない」と語っています。
 私も裏付けはありませんが、ちょっとチャレンジして書いてみました。しかし下の写真の笑顔と、炎に包まれた「もう二度と出ねぇこの番組」という文字に、この番組の企画の意図が表れていると思います。
 本当に批判すべきことは何か。インタビュー拒否で目を逸らされないようにしたい。

この番組二度と出ねぇ


posted by 直木 善久 |06:14 | 岡田監督と日本代表 | コメント(8) | トラックバック(0)
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2009年10月19日

こっちがボイコットしたい

54.○5―0 トーゴ 国際親善試合(宮城) 2009/10/14

 「かつて、こんなFWいなかった」
 トーゴ戦翌日の「日刊スポーツ」は、代表2戦目で初ゴールを決めた森本貴幸をその一面で取り上げていました。「セリエAで研ぎ澄まされた若き才能が、8ヶ月後に迫ったW杯の貴重な戦力として存在感を示した」
 見開きの左側には2試合連続でハットトリックを記録した岡崎慎司を「決定力不足と呼ばれ続けた日本に、驚異的な点取り屋が生まれた」、右側には2試合連続で得点した本田圭佑を「5発のトリはやはり『オレ様』」と称賛の記事が書かれている。

 一方「スポーツ報知」の一面は、「トーゴ、あわやボイコット」
 「FWアデバヨールら主力の大量来日キャンセルでわずか14人のメンバー」
 「10日のカメルーン戦から2度の機内泊となる合計40時間のフライト」
 「試合の前夜午前0時に現地入り」
 「昇給を求めたGKオビラレが一時ボイコットを主張し、会場入りが開始1時間前」と、この試合がいかに異常な状況下で行われたかが紹介されています。

 協会の意向を汲み取って、日本のサッカーを盛り上げようとするスポーツ紙があってもいいし、協会に対して批判的な姿勢でサッカーを考えるスポーツ紙があってもいい。しかし今回のトーゴ戦に関して、選手を称賛するだけの記事で終わらすなら、この日の「日刊スポーツ」には節操がないといえる。
 何でもかんでも褒めることは、何でもかんでも貶すことと等しい。相手がどのようなチームかを問わずに褒めたたえるのは、評価の手間を省いているにすぎない。記者の目を疑う。

 そして岡田監督は試合後のインタビューをキャンセルしたらしい。こんな状況で勝っても意味がない、語ることさえ恥ずかしいのかと思いきや、
 「TBSと遺恨…怒りのインタビュー拒否」
 確かにTBSの「スパサカ」で、1998年のフランス大会直前に三浦知良を代表から外したことを質問されて、「こんな番組、二度と出ねぇ!」と怒っていました。でも怒る原因がよく分かりません。
 トルシエは日韓大会の直前に中村俊輔を外した理由を問われたら、今でも繰り返し丁寧に説明しています。もちろん現在の俊輔を褒めることも忘れていません。岡田監督がこの件に関して触れてほしくない理由を知りたい。
 チームの評価を巡って監督とメディアの間に確執が生じるのはよくあること、マラドーナも監督交代を煽ったメディアに怒っています(ちょっと下品な言葉でしたが…)。でも何が岡田監督の気に障ったのでしょう?試合後のインタビューを拒否するほどの理由なら、はっきり口にしてみてはどうでしょう。こんなことでTBSは引き下がらずに、次回も同じ質問を繰り返しぶつけて欲しい。

 トーゴはボイコットを回避したものの、岡田監督がインタビューをボイコット、でも内容はこっちが観戦をボイコットしたくなるような試合でした。「日刊スポーツ」は監督のインタビュー拒否にも触れていません。
 「かつて、こんな親善試合見たことない」
 これが一面ではないでしょうか?

posted by 直木善久 |23:40 | 岡田監督と日本代表 | コメント(14) | トラックバック(0)
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2009年10月13日

俊輔不要論に拍車がかかる?

52.○6―0 香港 アジアカップ最終予選(日本平) 2009/10/8
53.○2―0 スコットランド 国際親善試合(横浜)  2009/10/10

 ここまで岡田ジャパンを支えてきたメンバーに新戦力が加わり、考えられる海外組も全員が揃う豪華な招集になりました。
 アジアカップ予選は今までのメンバーで勝ちに行き、中一日で行われるスコットランド戦では新しい選手を試し、二つの試合を鑑みてトーゴ戦でベストメンバーを組んで戦う。岡田監督の構想も分かりやすく、新たに招集された戦力の選考理由もよく理解できます。

 カターニャで3得点の森本貴幸は満を持しての招集、「招集されても代表へは行かない」と発言したことがある森本をどのように使うのか、監督の手腕と共に代表への注目度も高まります。結果を残せばその効果も大きい。
 石川直宏はMFでありながら、Jリーグの得点ランキングの上位にいます。使い方次第では、ゴールから離れた位置からでも得点を奪える可能性が広がる。貴重な得点源になるでしょう。
 徳永悠平の招集は岡田監督の大きな声が聞こえてきそうです。「お前はもっと出来る選手だ」、「もっと上を目指せ」、徳永を奮い立たせる招集、飛躍を期待する招集のように感じました。
 
 さて8日のアジアカップ予選、格下との予選は実力を見せつけて確実に勝つことが重要。6対0の勝利は評価できますが、相手ディフェンスを崩してゴールを決めたというより、香港のディフェンスそのものが甘かった。そのうえミスが多い。このレベルのチームが相手なら、アジアカップには一歩近づきましたが、ワールドカップをうんぬん出来る試合ではありません。

 そして10日のスコットランド戦、初めて代表戦に登場する選手にはワクワクします。先発の本田圭佑にも注目です。新たな選手の組み合わせは、それぞれの持ち味が相乗効果となって意外な可能性が生まれることもあります。しかしこれだけメンバーが変われば、ジーコの総替えとあまり変わらないような?望ましいのはレギュラーの中に新戦力を織り込んでいくことでしょう。
 腑に落ちないのが中村憲剛のポジション。出来ればトップ下で使って今まで戦ってきたスタイルを継続して欲しかった。岡田ジャパンに初登場の石川と、代表での立ち位置を模索中の本田がトップ下と右サイドに並立すれば、二人がそれぞれの持ち味を出して機能するには少し時間がかかります。ちょっとやりにくそう。岡田監督もその辺りが分かっていて、途中でポジションの変更を指示したはずです。
 攻撃に関しては石川と本田の位置関係がネックになっていた。例えば憲剛をトップ下で使って、前半は石川、後半は本田をテストしても良かったのではないでしょうか。意地悪な見方ですが、それでどちらも良い結果が残れば、俊輔不要論に拍車がかかる。あえて二人を同時に先発させたのではと勘繰りたくなる。

 それにしても予選から中一日の試合で主力が出られないと分かっていたのに、スコットランドはよく日本まで来てくれました。「二軍が来た」、「若手が来た」という批判もありますが、私は感謝したい気分です。オウンゴールまでプレゼントしてもらったし…
 まぁ、トーゴ戦のメンバーに注目しましょう。

posted by 直木善久 |05:39 | 岡田監督と日本代表 | コメント(14) | トラックバック(0)
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2009年09月20日

会長にこそプレッシャーを

日本サッカー協会はワールドカップの成績に関して目標を掲げたことが無い。
ということは、
掲げた目標が達成できるように責任を持って努力した人がいない。
ということは、
達成できずに責任をとって辞めた人がいない。
ということは、
達成して高い評価を受けた人もいない。
という認識でいいのでしょうか。

監督の人選が終われば、あとはゼネコンの丸投げのようなもの。
チケットの売り上げを計算するだけ。
目標を示さない協会に対して、
岡田監督は自ら「ベスト4」というノルマを課したのか。
後を追うように犬飼会長は次のような発言をしている。
「ベスト4が非常に厳しい目標であることは承知している。日本のサッカーを見せて世界を驚かせたい」
これは協会も目標として「ベスト4」を掲げた。
と、理解していいのでしょうか。

日本代表は南アフリカで「ベスト4」を達成しなければいけない。
ということは、
岡田監督はベスト4を達成することが出来る監督だと評価した。
ということは、
協会はその実現のために責任を持って最善のバックアップをする。
ということは、
実現出来なかったら会長は責任をとる。
ということでは無さそうだ。
「世界を驚かせたい」という発言ではファンと何らかわらない。
責任を明確にして、
達成出来なければ会長職から去って、私たちを驚かせて欲しい。

岡田監督の「ベスト4」発言も、
「俺と心中する気があるのか」
「あんたは本気なのか」
と、会長の首に匕首を付きつけるほどの迫力はない。
オシムは(ベスト4に関して)「監督だけでなく、選手もそう思うことが大事」
と話していましたが、
「会長も目標に掲げることが大事」と言いなおして欲しい。
そして責任を持って発言しなさいと。

日本サッカー協会はワールドカップの成績に関して目標を掲げたことが無い。
ということは、
真剣に強化を考えている人がいない。
ということは、
いつまでたっても日本は弱いまま。
ということは、
南アフリカで「ベスト4」は無理。
という認識でいいのでしょうか。

posted by 直木善久 |09:53 | 岡田監督と日本代表 | コメント(15) | トラックバック(0)
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2009年09月11日

生意気な本田と太っ腹の俊輔

51.○4―3 ガーナ 国際親善試合(ユトレヒト) 2009/9/9

 残り15分を切って1対3。失点が多い苦手な時間帯をむかえて、日本の勝利はもう無いと確信してしまった。申し訳ない。
 長友佑都のアシストに玉田圭司が蹴り込み、稲本潤一のパスを岡崎慎司がヘディングで決めて、なんと2分間で同点に追いついた。今までとは全く逆の展開、日本が魅せる終盤の怒涛の攻撃。それでもまだ、終了間際に突き放されて肩を落とす選手たちの姿を想像してしまいました。重ね重ね申し訳ない。
 後半38分、左サイドから長友が中央にパスを流すと、稲本が右足でミドルシュートを決めて大逆転。私は謝罪会見を開いて、深々と頭を下げたい気分になってしまった。
 「オランダ戦と同じストーリー、同じ結果になると発言いたしましたが、私の安易な判断でございました。ここに皆様へお詫びを申し上げます」
 結果は4得点3失点、オランダ戦の3失点を含めて、この時期に修正すべき問題がハッキリ見えたことは次につながる。しかし、何やら良からぬ問題も浮き彫りになってきた。それは中村俊輔と本田圭佑の関係です。揉め事が大好きなメディアが誇張しているのかもしれないが、「いよいよ俊輔時代の終焉か?」、「本田の評価はガタ落ち」と、メディアも俊輔派と本田派に分かれて論じ始めている。

 最近の俊輔は進んで代表チームの精神面やピッチ上でリーダーシップを執ろうとしている。海外での実績、代表での経験を考えると当然かもしれない。
 「俺について来い」
 そこまで強いリーダーシップを発揮できない俊輔は、ピッチでパスを出すように周囲の選手を活かしてこそリーダーシップを発揮することが出来るはず。リーダーシップを執るには一段高い視点が必要なのに、本田をライバル視するだけでなく、その存在を恐れているようにも見える。
 かつて本田は「中村俊輔とポジションを争う」と明言している。これは後から代表に上がってきた選手なら当然のことでしょう。
 「何を小癪な、そう簡単に奪えないよ」と構えておけばよいものを、昨シーズンから今シーズンにかけての本田の活躍に、俊輔はビビってしまったのではないか。フリーキックもリーダーとして状況を判断して、本田に打たせてみるくらいの太っ腹が必要だ。
 オランダ戦の後に俊輔は次のように語っている。
 「後から入ってきた人も含めて、全員が連動していかないと。新しく入ってきた人は体力があるわけだから。それなのにズレてズレてとなっていたから、簡単に後ろの方まで行かれていたのが多かった」
 まぁ、後半からピッチに立った本田を遠まわしに批判しているのかもしれない。それに対して本田は、
 「言いたいことがあるなら、直接言ってくればいい。その方が代表は強くなる」
 こちらの方が筋は通っているし、正々堂々としている。
 「ここは日本代表。オシムさんだったら、自分だけのプレーをしている選手はクラブへ返されたかもしれない」
 俊輔はオシムの名を引用した。
 「うちのパパは強いんだぞ!」 
 権威に頼る子どもの喧嘩の様相だ。ガーナ戦後には、
 「岡ちゃんもすごい良かったし、前ちゃんも、まず連動して走るということができて、それから個性というものがね。ポストプレーもできるし、気の利いたプレーもできるし。おれも体を入れてやっていたし、ヤットもやっていたし、そういうところは意識することでできると思う」
 どんな業界でも、ちゃん付けや愛称で呼んで仲間だよねと強調する微妙な立場の浮いた人がいるものだ。大丈夫か、俊輔。
 一方の本田は、
 「今日は相手に脅威を与えることができなかった」
 「今日は何もしてないけど、チームが勝って良かった」
 「自分が成長するために、もっと問題点を指摘してほしい」
 と、大口どころか謙虚で常識的な対応をしている。
 私はちょっと生意気な本田と太っ腹の俊輔を見たいのに、両者とも逆の道を歩んでいる。橋本英郎は本田に関して、
 「ガンバにも守備はしないけど、点を獲るというスタイルの外国人がいる。そう考えるとチームに落とし込む方法はある。いい面を引き出してあげたい」
 これが俊輔の言葉ならリーダー合格だ。

 選手はピッチ上のプレーで評価されるべきです。ピッチの外で何を話そうが私の評価は変わりません。俊輔はエスパニョールで活躍して欲しい。しかしエスパニュールではチームメイトを活かし、そして自身が活かされるというスタイルで戦うはずです。セルティックでもそうだった。代表でも同じスタイルで臨んで欲しい。

 ガーナ戦の後半24分、1対3と2点を追う局面で岡田監督は俊輔を本田に替えた。俊輔は右足首を捻挫しており、俊輔がボールを奪われてピンチを招く場面も何回かあった。結果的に俊輔が下がってから逆転したことになるが、これだけで俊輔と本田を比較して評価しない方がいい。
 ただ交代後は全員が、俊輔に頼ることなく、俊輔を探すことなく、状況に合った最善で最短のパスコースを探して攻め上がれたことは勝因の一つかもしれない。
 俊輔が怪我をおして強行出場したのは、岡田の指示か、俊輔の意地か。まぁ、それはともかく、私は生意気な本田が見たい。太っ腹の俊輔が見たい。そんな二人が共存している代表が見たい。

posted by 直木善久 |16:40 | 岡田監督と日本代表 | コメント(26) | トラックバック(0)
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