2009年12月26日

岡田監督は進化しているか

12月11日に岡田監督は早稲田大学で講演をしています。ワールドカップを半年後に控えた代表監督の話は是非とも聞いてみたい。その内容を知りたい。インターネットで検索してみると、有りました。記録が残っています。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0912/14/news010.html
http://www.youtube.com/watch?v=4nO1je2x29A

この講演は大きく二つに分かれています。前半は前回の代表監督時代から始まって、札幌時代、そしてマリノス時代を振り返っています。後半は今の代表チームで語っているサッカー哲学を披露しています。

「脅迫状や脅迫電話が止まらなかった。家には変な人が来るしね。僕の家は24時間パトカーが守っていて、『子どもは危険なので、学校の送り迎えをしてください』という状況で戦っていました」

「テレビで僕のことがボロカスに言われているのを子どもが見て泣いたり、家族も本当に大変な経験をしました。自分自身もそんな強い人間ではないので、のたうちまわっていましたね。自分の部屋でものを投げたりすることもありました」

「怪しいこともいろいろやりました。空手や古武術、気功とか、占星術師のところまで行っても分からなかった。自分が指導者としての殻を破るための『秘密の鍵』があるはずだ。それが何なのか見つけたいと思って勉強したのですが」

「僕は選手と一緒に酒を飲みません。酒を飲んでわいわいやって、翌日『君はクビ』とは言えない。仲人は絶対しません。仲人をやって奥さんやご両親知っていて『はい、君アウト』とは言えない」

「スタジアムに試合を見に行ったら、じーっとにらんでいる女の人がいるんですね。『身に覚えがないなあ』と思って聞いてみたら、僕がメンバーから外した選手の奥さんだった。それが嫌だったら日本代表監督なんてできません」

「ずっとレギュラーのミスターマリノスと言われていた選手を、僕が監督になってから一度も使わなかった。そこでいろんなチームからオファーが来て、『チームとかけあって移籍金を下げてやる』と言ったら、『もう1回チャレンジさせてください』ときた。そいつはガラっとプレースタイルを変えて、そいつのおかげで2年目に優勝できたんですよね」

代表監督の苦労話、内輪話は聴衆を引きつけます。講演に慣れているのか、話も上手い。前半を題すれば「代表監督はつらいよ」という処でしょうか。しかし、私はもう少し世界から見た日本のサッカーとか、サッカーというスポーツの本質に迫るような監督目線の話を聞きたい。

そして後半から代表の選手たちに話している岡田哲学を語り始めます。その哲学として、「エンジョイ」、「我々のチーム」、「ベストを尽くせ」、「コンセントレーション」、「インプルーブ」、「コミュニケーション」という6つの言葉を掲げています。

「代表になるような選手は子どものころ、『俺にボールよこせ』、『俺にボールよこせ』というお山の大将です。プロだろうが代表だろうがW杯だろうが、そのサッカーを始めた時の喜びやボールを触る楽しみを絶対忘れてはいけない」

「『キャプテンが何とかしてくれる』、『監督が何とかしてくれる』ではなく、『お前が何とかするんだ、このチームを』ということです」

「予定が変わるとマネージャーは大変ですが、変更するのは当たり前。『お前の仕事がやりやすいためにチームはあるんじゃない。チームが勝つことにこだわれ』ということです」

「動物は今を精一杯生きている。でも人間は、済んだことを悔やんで今できない。先のことを心配して今できない。俺はそういうのは大嫌いだ。今できることをやってくれ」

「守ろうとせず、常にチャレンジしてもらいたい。本気なら必ず壁を乗り越えられる。本気じゃなかったらあっさり壁に阻まれる」、

「お互いを知るということ、自分を認めてもらう努力をすること。」

ところで、岡田監督は札幌時代にJ2で優勝した直後に、自身の哲学を次のように語っています。

「『エンジョイ』は、監督に言われたことだけをロボットのように淡々とこなすのではなく、自分が好きでサッカーをやっている歓びを忘れないでほしいということ。『シンキング・オブ・フットボール』は、チームを勝たせるために何ができるかをまず自分から考えてみる気持ち。『アグレッシブ・プレー』は、いったんピッチに入ったら、とにかく攻撃的にプレーするんだ、と。その3つを実行するためには前提となるコミュニケーションが必要です(後略)」(佐山一郎著「こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた」より)

私には今と同じように聞こえますが、これは一貫した岡田監督のポリシーなのでしょう。別に進化していないわけではない。そのように考えたい。

「本当にエンジョイするには『頭で考えながらプレーするな』と言っています」

「向こうでは大したことがないブラジル人がバンバン点を取る。あいつら何も考えていない。来たボールをボンと蹴るだけ」

「新皮質で考えながら練習しても自転車には乗れない」

「練習では考えてやらないといけない。でも試合では頭を使ってやるな」

新皮質で考えても自転車に乗れるようにならないから考えるなとは飛躍しすぎです。もちろん練習では考えろと言っていますが、オシムはいつも次のように語っていました。

「勝つことだけを意識していては勝てない。どうすれば勝てるかということをよく考えながらプレーすることだ」

「走るだけなら陸上選手に任せる。重要なのは考えることだ」

「考えなくてはいけないことは、相手に足りないところをプレーで見せること。走ること。考えること。かしこくプレーすること」

この辺りが岡田とオシムのサッカーの違いでしょうか?日本のサッカーに欠けているのは考えることではないか。岡田監督も日本人プレーヤーがなぜ本能でゴールを決められないのか、もう少し考えてみてはどうか。

「一番上の目標をポンと変えると、オセロのように全部が変わります。『お前、そのパスフィードでベスト4へ行けるの?』、『夜、酒かっくらって、お前ベスト4へ行けるの?』、『そんなことでベスト4行けるの?』もうこれだけでいいんです」

まぁ、一番上の監督をポンと変えても、オセロのように全部変わると思いますが。講演を取材された記者の方々は、いつもの定番な話しか聞けなかったようです。お疲れさまでした。

posted by 直木 善久 |08:34 | 岡田監督と日本代表 | コメント(18) | トラックバック(0)
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岡田監督は進化しているか

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オシムの言う考えろというのは、頭で考えろというのとは違うんです。
ここは、ある程度スポーツをこなした人間でないとわからない部分ですけど、頭で考えていたら間に合わない。
そのことがわかるとオシムも岡田も、言っていることはあまり違わないと思います。
エントリーの内容を遡ってみましたが、同じような話の繰り返しですね。
岡田が進化しているかどうかの議論の前に、あなたは進化していますか。

posted by 類人猿 | 2009-12-26 09:19

岡田監督は進化しているか

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>「スタジアムに試合を見に行ったら、じーっとにらんでいる女の人がいるんですね。『身に覚えがないなあ』と思って聞いてみたら、僕がメンバーから外した選手の奥さんだった。それが嫌だったら日本代表監督なんてできません」

一人の女性を引き合いに出して、男じゃないですね、岡田監督。大衆を前に暴露している彼は気持ちいいでしょうが、この女性の気持ちを察すると腹立たしいです。サッカー選手を引き合いに出すのは構わないと思いますが、一般人の女性を出すのは彼の人間性を疑います。

主題からずれて細かい点になりますが、女性を大事にする男じゃないと思いました。

posted by 男なら | 2009-12-26 09:31

岡田監督は進化しているか

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試合の局面局面で考えてる暇なんて無いような・・・
考えてたら、それこそQBKになってしまいます。
単にそういう事を言ってるだけじゃないのでしょうかね、岡田監督は。

で、オシムの「考える」てのは、試合の状況や相手の意図・癖なんかを読み取り、どう攻めるか、どう守るかを、ピッチにいる選手で考えろ、という事じゃないのかな?
何の意図も感じられない攻めとか、オシムは嫌いそう。
それに、ピッチ内にいる選手にしか分からないこともあるだろうし、その辺の判断をしっかり考えろ、ということではないですかね。

posted by あいうえお | 2009-12-26 09:47

岡田監督は進化しているか

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結局岡田さんの難点はサッカーへの造詣の浅さ、ディティールの無さで、大枠はでっかいのは示すんだけどそれを実現する方法論は持ち合わせていない(ベスト4ぶちあげたことを言ってるのではない)部分にあって、オシムとの最大の違いはそこですね。

教育者としてはいろいろ考えてる人なのかなとは思う。
でも、理解の浅いものを他人に教えても意味は無い。

posted by yocc | 2009-12-26 11:21

岡田監督は進化しているか

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ここでコメントしているほとんどの人よりは苦労もしてて様々な深い経験をしている。 実際に良い事も言っている。
進化しているか否かなんてマスコミを通しての情報しか知らない我々にはわかるはずもない。 

大迫は進化しているか? 宇佐美は進化しているか?というのはプレーだけみてれば自分なりの答えはでるし、監督は戦術や選手交代の手法などで進化しているかは何となく判断できるかもしれないけど、講演を持ち上げて進化がどうこうってのもなぁ・・

posted by 少なくとも | 2009-12-26 11:51

岡田監督は進化しているか

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試合で考えないと云うのは試合で考えなくてもいいように練習をしっかり考えてやるということでは?
試合でそこまで考えながら質の高いプレーができる選手なんて世界に何人居るんでしょうねぇ…ウイイレみたいにピッチを上から眺められたらいいのかも知れませんね(笑)


yoccさんの様な偉そうな物言いをされている方はさぞサッカーにお詳しいのでしょうなぁ。岡田監督よりお詳しいのでしょう?
是非次の日本代表監督になって選手たちを率いて下さいよ。
その前にあなたのサッカー論も聞いてみたい気もしますけどね。

posted by マネー | 2009-12-26 12:01

岡田監督は進化しているか

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経験値としてはもちろん上がってるのでしょうけど。
マリノス時代は尊敬さえしていたな。
でも今の岡田監督を見ていると退化してるように見える。
秘密の鍵を見つからないまま代表監督を引き受け,今それらしきものを見つけたと言っていたけど,そのようには思えません。
指導者として模索中の時にオファーが来た。これが事実で,まさにそれが今の代表に表れていると思います。

posted by 秘密の鍵 | 2009-12-26 12:36

岡田監督は進化しているか

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試合で頭を使うな、とかブラジル人が何も考えてないとか岡田監督が言ってるのは、明らかに間違いですよね。
ブラジル人はキーパーの位置や重心を見て即座に、即興的に判断してシュートするからバンバン点を取れるわけですから、むりろ頭を瞬間的にフル回転させてるんだと思いますよ。
マニュアル通りなら頭を使わなくていいんでしょうが、即興性は常に頭を使ってないと持つことができないですよ。
オシムのいう「考える」って、そういう即座の判断も含むんだと思います。

posted by しろうと | 2009-12-26 13:38

岡田監督は進化しているか

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自身の進化のためにW杯を犠牲にしないでね、岡ちゃん。

posted by とんでもない | 2009-12-26 13:41

岡田監督は進化しているか

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岡田監督は「即座の判断」を「考えない」って言葉で表現してるんでしょ。

それを踏まえれば、「ブラジル人は考えてない」って言ったとしても別に間違いじゃない。

posted by VIVI | 2009-12-26 13:55

岡田監督は進化しているか

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文脈から考えると、自転車乗る時に何も考えないで乗るのと同じように、何も考えないで点を取るって岡田さんは考えてるように思ったんですが。
でも、自転車乗ること自体に(信号見るとかは別として)即座の判断なんて必要ないですよね。
一方、点を取るのは即座の判断が必要です。
両者の違いを無視してませんか?
それに「頭を使うな」とも言っています。これって普通「即座の判断」も頭を使うことの中に含まれませんか?

posted by ↑ | 2009-12-26 15:05

岡田監督は進化しているか

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言葉の端端を自分の都合がよい様に解釈して
コメントしていますね。
岡田批判をしたい人も、擁護したい人も同じです。
ただし擁護の様に感じるコメントの方が
理解しようと言うニュアンスが取れて、
批判したい人は、とにかく揚げ足取り。
どちらもどっちですね。

進化しているかどうか、と言うのはどうでも良いんじゃないですかね。
進化と言う言葉の学問的に本来の意味を知らない人ほど
進化って言葉を使いたがりますけどね。

岡田監督が経験値を増やしている事だけは間違いない。
それは監督業に重要な事です。
でもサッカーを知っているとも限らない一般人に対する講演なんて
なんの参考にもなりません。
ブログ主の揚げ足取り的意図を感じますね。

>日本のサッカーに欠けているのは考えることではないか

日本のサッカーの欠点は考え過ぎと言うことです。
岡田監督はそこを指摘しているらしい。
「考える」と言う言葉、
「頭を使う」という言葉は
人によって受け取り方が違うので、
聞く側の良い様に解釈されてしまいますね。

posted by DIV | 2009-12-26 17:38

岡田監督は進化しているか

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管理人さんの大好きなトルシエも過去に日本のサッカーの欠点は考え過ぎることと指摘していたような・・・。

posted by 確か・・・ | 2009-12-26 18:46

岡田監督は進化しているか

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引用部分しか見るに、おそらく岡田さんは自転車に乗ることとサッカーすることは新皮質を使わないくてもできる点で似ているっていいたんでしょう?
でも私は随分違うと思うといってるんです。
サッカーすることのほうがはるかに複雑で様々な判断を必要とするし、即座の判断だって新皮質使ってするものでしょ。
一般人向けの講演だからってインチキなこといっちゃだめですよ。

posted by DIVさんへ | 2009-12-26 19:36

岡田監督は進化しているか

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管理人さんの記事もいつもの定番な話にしか見えませんよ。

posted by OON | 2009-12-26 20:14

追記します

コメント投稿者ID :

皆様
コメント有難うございます

PKやFKなどのセットプレーでは、
どのコースに、どのようなボールを蹴るかを考えます。
相手の動きを観察して、考えなければいけません。
そして考える時間もあります。

しかし流れるプレーでは、
考えて判断が遅れれば、
それより速く次のプレーを読む相手には勝てません。
本能で判断できるのは天才です。
天才で無ければ考えなければいけません。

より速く次の状況を判断するには、
同じような状況を何回も経験すること、
練習を繰り返すこと、
そして考え続けることが必要です。

「瞬時に判断しろ」と
「考えるな」とは違います。
表現の違いだとしても「考えるな」とは指導者が言ってはいけない。
練習でも考えろ。
試合でも考えろ。
日常でも考えろ。
そうして瞬時に判断できるようになれ。
こうでないと強くなりません。

------------

定番が悪いわけではありません。
定食と新しいメニューがあればもっといい。

posted by 直木善久 | 2009-12-27 09:02

岡田監督は進化しているか

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時に「考えるな」が功を奏することもある。胸倉掴んで叱咤してみたら選手が伸びたこともある。選手が「うん?」と首を傾げるようなアプローチをしてみるのもよいでしょう。「考えるな」を選手が考えればよいだけなのでは・・・。

posted by KEN | 2009-12-27 23:53

岡田監督は進化しているか

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「食べる」事と、「食べ過ぎる」事では、結果が違いますね。
「考える」事と、「考え過ぎる」事も、結果が大きく違うんです。

岡田監督が講義で言っている意味は、「考える」事は良いが、
「考えすぎてはいけない」と言ってるだけでしょう。
 
岡田監督もオシムも、試合ではこれまでやってきた事を信じて、「考えすぎずにプレーしなさい」と、言いたいのが解らないかな? 
人間は神ではありません。直木さんの仰ってるような、完璧な人間なんて全世界に一人も存在しないと思いますね。

posted by Sho | 2009-12-28 15:16

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