2008年07月08日
正しい創傷治療と「消毒」
現在発売中の8月号に「正しい創傷治療」を紹介しています。 早く、キレイ、痛みなく治すポインとして、 「傷は絶対に消毒しない」「傷に直接ガーゼを当てない」…などを紹介していますが、 この記事をお読みになった指導者の方から、 「医薬品として指定されているまでに、厳しく審査されて、認可されているので、消毒が無意味だとは思えません。昔は、破傷風が重大で、まず消毒といわれてきましたので、必要であったのではないのでしょうか?」 という、問い合わせをいただきました。 この件について、筆者の末武信宏先生から、次のようなお答えをいただきました。 ●消毒に関して 消毒は手術前や処置前には必要です。全て消毒薬不要とは言っておりません。 傷への直接の消毒は、原則として不要と言っています。 また、医薬品と指定されているから大丈夫、という考えは危険です。 フィブリン製剤や人工硬膜は厳しい審査を通った薬剤ですが、ウイルス混入で社会的大問題になっています、 医学は日々進歩しており、過去の薬剤の使用法が間違っていると評価されることもあります。 そもそも消毒は、感染を起こす可能性がある菌の量を減らすことが目的です。 そうであれば、抗生剤を内服したほうがはるかに効果的であり、組織障害性もありません。 もちろん抗生剤の使用は医師に委ねるべきです。 壊死組織が広範囲にある場合など、特殊な医療現場を除いて 一般的なスポーツ現場では、擦り傷や切り傷に対しては、 消毒で菌の量を減らすメリットより、消毒で組織を傷害するデメリットのほうが多いのです。 悪性腫瘍患者、免疫異常患者など特殊な病態にある場合は、消毒も選択肢の1つです。 また、開放性骨折の汚染創には、消毒のメリットを考えて消毒する医師もいるようです。 ただし、今回紹介したケースは、あくまでも健康人の傷の応急処置としての消毒の考え方です。 消毒薬の組織障害性を上回るメリットは、ほとんどないのです。 それに消毒薬によって菌を減らす効果は1-2時間。 本当に無菌を目指すのなら、1日に数十回も消毒しなければなりません。 私が伝えたいのは、スポーツ現場ではなんでもかんでも消毒するという認識が、 明らかに現在の創傷治療の考え方とは異なる、ということです。 組織障害性を上回って、しっかり消毒するメリットがあるようなケースが存在したり、 組織傷害性がない消毒薬が開発されたりしたら別ですが、現段階ではありません。 スポーツ現場で自信もって消毒すべきケースが存在するという方がいれば、 理論も合わせてぜひ、ご紹介していただきたいと思います。 少なくことも消毒を行わない傷への処置で、これまで私のスポーツ現場での創傷治療で、 感染が発生したケースは皆無です。 今回の掲載記事を通して、論議が交わされることが望みであり問題提起です。 ご参考になりましたら幸いです。 以上、ご意見・ご感想をお待ちしています。
posted by コーチング・クリニック編集長 |16:58 |
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