2007年04月02日

“荒ぶる魂”のコーチング

日本ラグビー界に多大な影響を与えた故・大西鐵之祐氏(1916-95年)の資料展示が、
早稲田大学の西早稲田キャンパスにて行われています。
コーチングに役立つ情報があると、ラグビー・マガジン編集部の成見さんに
教えていただいて、先週末の31日(土)に行ってきました。

大西鐵之祐氏は、早稲田大学ラグビー部を監督として3期にわたって指導し、
ラグビー日本代表監督(1966-71年)も務めた、日本ラグビー界屈指の指導者です。
理論家そして独創的な戦術家として知られ、日本ラグビー界に現在にも続く
貴重なラグビー理論をつくり出しましたが、ラグビー以外のスポーツにも通じる、
素晴らしい指導哲学を残しています。

会場には、数々の写真とともに、
方眼紙に書かれた「昭和廿五年度 春季練習計画」(1950年4月15日~5月31日分)、
1953年ケンブリッジ大来日時に出合った書物『DANIE CRAVEN ON RUGBY』の複写版、
53年に行われたケンブリッジ大と慶大及び明大戦の分析ノートなど、
指導者・大西鐵之祐の貴重な資料が多数展示されています。

『DANIE CRAVEN ON RUGBY』は、大西氏が革新的なラグビー理論と戦法に
深い感銘を受けたという書物です。
展示されているのは、ケンブリッジ大の副主将がもっていた書物を借りて、
文章をタイピングさせ、図版は手書きで写したという、手作りの複写版(実物)です。
複写機がない時代のことです。稀代の勝負師と呼ばれる大西氏は、魔術師でもなんでもなく
指導者として情熱をもち、積年の努力を続けてきた人物だったことが理解できます。

また、上記の分析ノートには、「運動量の研究」と題する研究結果が、
数種類の計算式とともに残されています。
“理論は自分でつくり出すもの”という言葉を残した大西氏の姿が、
実物大で見えてきます。

展示室の出口近くには、「昭和53年度コーチ養成講習会のレジュメ」が掲示され、
以下のような文章が記されています(以下は抜粋)。

指導理念 ラグビー指導の哲学を持て、自信と信念を持って指導せよ
       ラグビーは知性的行動としてのスポーツである。ラグビーは肉体的行動ではない。
       知性と行動との一致。
Coaching 愛情と信頼と対決である
Individual Skill 技術(パス)は多くのさまざまな方法があるが、
           目標達成(トライ)のための最良の方法を選べばよいのである。
           すなわち目標(勝利)達成の手段としての技術でなければならない。
コーチはラグビーに理論に精通すること。練習でいかに打ち出すか。場に応じた適切な指導。理論は自分でつくり出すこと(創造)
コーチはゲーム・練習の組織者である。
練習ゲーム 監督、コーチは充分に留意すべし
        自チームより若干弱いチームを選ぶこと
        (相手チームの力の判定を誤るな)
        監督の指導通りに動かすこと
        部員が多い場合、時期を考えて、ゲームを相当数こなしておき、2軍、3軍の養成を心がけよ
具体的指導 1.ラグビーへの導入  遊びから
       2.ルール以前のもの フアプレイの強調  フェア:人間性の判定
       3.ゲームには斗争(闘争)の倫理を
       4.指導・練習は情熱の坩堝から
       5.戦法はゲームの目的達成の方策
       6.技術は戦法達成の手段
       7.練習は理論の行動的実験である
         自主的意欲を起こさせるような配慮
       8.チームワークとキャプテンシー
       9.フォロアーの問題(選手に選ばれなかった者)セレクションの方法
       ex.1軍を厳しく叱り、2、3軍を誉めるのも一方法だろう

大西鐵之祐の指導哲学の一端を、この展示から知ることができます。
展示は4月21日まで開催されています。

早稲田大学 大学史資料センター春季展
「『荒ぶる魂』大西鐵之祐と早稲田ラグビー」
期間:~4月21日(土)
会場:早稲田大学西早稲田キャンパス2号館1階企画展示室
時間:10時~17時
休館:日曜日
入場料:無料

↓期間中の14時~15時30分には、大西鐵之祐氏の最終講義がビデオ上映されている

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posted by コーチング・クリニック編集長 |16:01 | トラックバック(0)
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