2007年03月28日

山田奨治先生の『弓と禅』の解説に納得

ドイツ人のオイゲン・ヘリゲルが記した『弓と禅』という書物をご存じでしょうか?
弓道のことを禅(世界・宇宙)とのかかわりで神秘的に著した書物です。
26、27日に筑波大学で開催された「日本スポーツ方法学会大会」の特別講演のなかで、
講演者の山田奨治先生が、この書物のことについて触れました。

ヘリゲルの師である阿波研造氏は、彼に“弓は腕力で引いてはならない、心で引くのだ”ということを教えるために、薄暗がりの道場で弓を射ってみせます。
的に中(あた)った甲矢(1本目の矢)の矢尻に、乙矢(2本目の矢)が中るという出来事が起こり、
そのときヘリゲルは、“わたしが射るのではなく自我を超えた「それ」が射る”のだということを学んだそうです。

山田先生によると、実はヘリゲルは日本語がほとんどできず、
このときには通訳がいなかったそうです。
そのため、よい射をほめるときによく言う“それです”という言葉の“それ”を、
ドイツ語の「エス」ととらえて、誤って解釈したのだというのです。

実は大学時代に弓道を嗜んだことがあり、『弓と禅』を読んだことがあります。
弓道は武道ですから精神性を重んじますが、書物に記されたヘリゲルの師・阿波研三氏のような指導を受けたことがありませんし、書物に対して当時は“なんだかわからないなぁ”という印象をもっただけでした。
山田先生の話を聞いて、そういうことだったのかと妙に納得してしまいました。

『弓と禅』はヘリゲルがドイツ帰国後に出版し、ヨーロッパで大反響を呼んでそうです。
海外では、この書物を読んで弓道を始めたという方が少なくないそうですし、
日本の精神文化を世界に伝える名著だと評価されています。
心理や哲学の分野、最近では精神世界の世界でもよく引用されています。

本当のところは、日本語のできないヘリゲルによって弓道が誤って(?)伝承されたのです。
日常のスポーツ指導でも、そんなことが起こっているかもしれません。
山田先生は、そのほかの例も挙げながら、身体技法の伝承と創造性について語られました。
コーチングにもつながる内容です。詳細は、6月号に掲載します。

posted by コーチング・クリニック編集長 |13:49 | コメント(2) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加