2008年08月19日

オーストラリアの水泳


フェルプスの8冠達成、世界新7は圧巻だった。北島の100と200平泳ぎの連覇も素晴らしかった。豪州の各紙も讃える。


オーストラリア水泳チームは、水泳で最大の金メダル獲得国ならず・・して、北京を去ることになる。特に、男子水泳では、優勝者なしは、1976年のモントリオール以来の不振ではある。


総合成績では、アメリカに次ぐ第2位で、金メダル6個、銀メダル6個、銅メダル8個という成績で、なおオーストラリア最大のメダルの稼ぎ頭になった。

水泳チームのトンプソン総監督は、潜在力を出せない面はあったと認めながらも、おおむねは満足とした。「すべてのリレーでメダルを獲りたかったが、これは達成した。以前取ったメダル並には取りたかったが、これもほぼ達成した。一部の選手に大砲の不発があったが、アテネ大会に一つ少なく、メルボルン大会に二つ少なく、・・・でも、でも、でも・・シドニー大会より一つ多く・・・」だそうだ。


オーストラリアでは、新人ステファニー・ライスがひときわ目立った。
五輪前のスファニーには、疑問符を付ける人が多かった。蓋を開けてみれば、彼女はすべての疑問に答えを出した。金メダル3個、世界新3つ。一躍オーストラリアのプールの女王にのし上がった。 お見事!



ヘイデン・ストーケル。

先週の初め、ヘイデン・・誰・・・という巷の話だった。197センチの長身だが、名が売れていない。8月10日に24歳になったばかり。だが、こちらも蓋をあければ、24歳の誕生日の翌日、100メートル背泳ぎで銅、8月16日の男子100メートルメドレー・リレーで銀をとってしまった。


圧巻は、女子の200メートル自由形リレーだった。上記のライス、カイリー・パーマー、リンダ・マッケンジー、ブロンテ・バラットの4人が世界記録を破って金メダルだ。やったぜ。


女子100メートル・メドレー・リレーでは、エミリー・シーボーン、ジェス・シッパーとリビー・トリケットが世界新で金メダルを獲得。


リーゼル・ジョーンズは、3回目のオリンピック出場になるが、100メートル平泳ぎで、金メダル獲得。


オーストラリア国民は、ハケットの3大会連続の1500メートル自由形の優勝に期待をつないだ。
しかし、3大会連続金メダル獲得が如何に困難かを味わった。チュニジアのエースウサマ・メルーリにやられてしまった。昨年の世界選手権ではウサマ・メルーリ選手が800m自由形で優勝した。このメルーリはその後ドーピング検査で引っかかり、1年半の出場停止処分を受けた。アメリカでの大学の試験中に飲んだ薬がひかかったらしい。が、復帰後の大事な大会に、ハケットを制し、名誉挽回を成し遂げた。


ハケットは28歳と、選手生活の終わりに近づいているとはいえ、自己ベストに近づいていただけに、敗北は国民に大きなショックを与えた。だが、よくやった。14分台は凄い。しかも、メルーリに1秒の差がなかった。14:40.84、でハケットは14:41:53である。


「いろんな気持ちがまざっています。ほっとした気持ち。ちょっとがっかりした気持ち。そして、やることはやったという幸せ感」とハケットは語っていた。


私は、彼を大いに賞賛したい。彼は偉大なる選手だと思う。
オリンピック、世界の主要大会で、他の如何なるオーストラリアの水泳選手よりもメダルを獲った。32個のメダルであり、それは、この数日で35個のメダルまで伸ばしたアメリカのフェルプスにつぐものである。


水泳界の頂点に12年間立った男だった。2006年11月に引退して、ハケットよりも2歳若いイアン・ソープよりも選手生活を長く続けているのだ。


続けるのか、止めるのか・・・幸せな道をさがしてほしい。素晴らしい逸材だから。(了)

posted by buruta |09:38 | gensan | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年08月14日

傷心の子ども

一つの世界」「一つの夢」を掲げた北京五輪開会式。

表題のようなタイトルで、昨日(13日)のシドニー・モーニング・ヘラルドは、北京オリンピック開会式の少女の話を載せている。

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(シドニー・モーニング・ヘラルド紙より)

 

ことの起こりは、こうだ。

 

中国の国家体育場(愛称・鳥の巣)での開会式で、可愛らしい9歳の少女林妙可さんが革命歌曲「祖国を歌う」をソロで歌い、無数の観客の心を掴んだ場面は、実際は別の7歳の少女が歌った曲のアテレコだった。何回も、口と音楽の歌詞が合わないところをみてしまった。最初は、共鳴でずれているのか、と思った。


中国メディアの報道では、開会式の音楽総監督の陳其鋼氏は10日、中国国内のラジオ放送局のインタビューで、開会式の歌声は林妙可ちゃんのものではなく、北京市在住の7歳の少女の声であると明かした。



陳音楽総監督の話によると、多くの観客を魅了した歌声の持ち主は北京市在住の楊沛宜(7歳)さんである。楊さんが落選した理由は容姿で、国家の面子に関わるからだと説明した。「この林妙可さんから楊沛宜さんへのスイッチは、中央政治局幹部の直接介入で起きたという。シンガポールの新聞では、「not attractive enough」という表現だった。

 

これは、どういう表現をとろうとも、「かわいくないから」という意味だろう。中国の子どもなら傷つかないとでも言えるのだろうか。もう一人の林さんは「お前、あの時歌っていなかったろう」って、中国ではいわれないのだろうか。

 

シドニー・モーニング・ヘラルドの記事を引用しよう。陳音楽監督が最初に決めたのは10歳の子だった、という。金曜日のリハーサル中は、10歳の少女で押していった。しかし、張芸謀監督の「ちょっと年が行きすぎている」という一声で、10歳の子は降ろされた。と、陳総監督は説明した。

 

更に楊さんや林さんを含めて若い少女たちのグループが最終選考された。レコーディングの後、陳音楽総監督は、楊さんの美声を完璧とし、歌を歌わせることにした。しかし、最終リハの段階で、9人政治局員が楊さんに不満足を表明した。

 

リハの時に、特定できないが、最高幹部の命令で、土壇場の変更があったと噂されていた。

 

陳総監督の説明だ。「何回か、点検を受けてきた。非常に厳格な物だった。現場でリハを行ったときに、各部署からの観客がいた。特に政治局の一人が注文をつけ、変更を求めた。理由は、国益のためだった。カメラに写る子のイメージ、心の中の感情、表現は、完璧でなくてはならない。これらの点では、林さんはすぐれており、声の点では楊さんがすぐれているというのが、我々チーム一人ひとりの見方だったburuta-42761.jpg
(左:林さん 右:楊さん  シドニー・モーニング・ヘラルド紙より)

 

開会式後、楊は中央テレビのインタビューを受け、オリンピックの舞台に上がれなかったことが残念ではないかとの質問に対して、「開会式に自分の声があるだけで十分」と答えた。



一方、あの美少女林妙可さんは、会場で流されていた曲は、自分の歌ではないことさえ気づかなかったかもしれない。米CNNの報道によると、林妙可のお父さんが開幕式後、テレビの取材に、娘の歌声がいつものと違うようで、音声設備の関係だと考えていると話した。

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(自宅で練習する林さん  シドニー・モーニング・ヘラルド紙)



ここで、シドニー・モーニング・ヘラルドの記事から離れよう。

 

開会式後、林妙可は「ニューヨーク・タイムズ」の一面も飾ったほどの人気を得ている。ネットユーザの間も「妙族」と称するファンが続出し、多くのマスコミが林の自宅に押し掛けた。


林妙可さんは数千人の応募者の中から選ばれ、開会式の総監督・中国の著名映画監督張芸謀氏によって最終決定されたという。


張監督が開幕式後の記者会見で、「歌唱祖国」の歌はすべての出演の中のもっとも感動させる演目だと林妙可さんの披露を褒めた。

 

同ニュースが中国各大メディアのウェブサイトで報道され、ネットユーサーらから当局に多くの批判が出ている。12日夜Googleで検索されたこの話題の関連報道は、すでに削除された。



あるネチズンは、「男の子であれ、女の子であれ、皆神のお導きでこの世に生を受けた。醜い子なんていない」といった。写真2を見る限り、楊さんも舞台に立てば十分見栄えする容貌だと思う。残念なのは、声と顔が一致しなかったことだ。



今回の開幕式では、この他に、多くの偽物を登場させた。開幕式でテレビ観客に呈した29発の北京上空の花火大作は、最後の一発を除き、その他の28発は全部本物ではなく、パソコンで製作したことが報道された。 担当者によると、映像は55秒間で足形は計29個あったが、「鳥の巣」上空で最後に打ち上げられた花火を除き、残りは事前に用意した特殊映像だった。

 

中国では、デジタル撮影の写真をプリントに出すと、例えばほくろなどをphotoshopというソフトを使って、断りもせず勝手にとってしまうのだ。

 

最近では、ナショナル・ジオグラフィック誌に、チベットで、バックに青蔵鉄道をバックに写したカモシカの写真が賞をとった。しかし、用心深いカモシカがそういうところにいるわけがないというクレームに、撮影したカメラマンが、あっさりと認めたのである。合成にギルティを感じない国民といえるのか。

 

オリンピックの開会式は、そういう意味でのフィクションであっていいのか。あくまでも、本物で押していくべきではないのか。シドニーと北京とは体制も地理上の位置も違うが、空中遊泳といい、演出といい、シドニー五輪の方に軍配をあげたい。どってりとした脂っこい中華料理を食わされているようだった。

 

それは、人類共通の「一つの世界」「一つの夢」というより、飽くまでも中国人にとっての「一つの世界」「一つの夢」を押し出してきたからだった。開会式は、総監督張芸謀氏が作った中国史だった。ならば、長征や文化大革命、毛沢東、毛沢東語録が出てきてもよかったのではないか。(了)


posted by buruta |07:53 | gensan | コメント(0) | トラックバック(0)
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