2007年07月23日

アジア・カップ(10)おめでとう ! ブルー・侍 

前回、私の予想は、5.5対4.5で、ずばり日本有利と書いた。

その通りだった。準々決勝の山場をペナルティー・シュートアウトで決定という残酷な結末に終わった。


温度と湿度を考えれば、まさに死闘だった。


90分を終わって決着がつかない。柔道でいえば、技あり、優勢勝ちで日本に軍配があがるところだが、あくまで数字を出さなくてはならないノックアウト・ステージだ。15分ずつの2回の延長を経て、なおかつ決着しない。ヴィンス・グレラの退場は痛かった。

一人退場をくらったサッカールーズは10人で戦い続ける。日本は終始優勢だが、一人減った豪州を日本は破れなかった。両チーム決め手を欠いたままの体力消耗戦。二回の延長は終了。ミン・ディン競技場は騒然とした雰囲気に包まれた。


ここで、オシム監督は、ボトルの水を飲み干して、ゆっくりと一人で控え室へ。

結局最後は、ペナルティー・シュートアウトで下記のように4-3で決めた。
サッカールーズ     3-4 日 本
(1)ハリー・キューウェル ×-○ 中 村俊
(2)ルーカス・ニール   ×-○ 遠 藤
(3)ティム・ケーヒル   ○-○ 駒 野
(4)ニック・カール    ○-× 高 原
(5)デイヴィッド・カーニー○-○ 中 沢

サッカールーズは(1)のキュー・ウェルと(2)のルーカス・ニールの失敗が大きく響いた。逆を言えば、川口の見事なセーブだった。特にルーカス・ニールのボールを見事に右手ではじいたのは、彼の根性を表していたと言える。
日本の活躍を祈りたい。


豪州の準備は万端だったのか?

チームドクターは、最新のスポーツ科学を使い、シンガポールでのキャンプは10日間有れば、十分な準備が出来ると見込んでいた。10日間のシンガポールでのキャンプに100万豪ドル(1億600万円)をつぎ込んだという。実は、どうもそれは有効ではなかったのではないか。

ワールドカップ予選は、不快な気候と週日の夜という時間帯に設定されそうだ。ならば、オーストラリアは一層のこと悪条件に太刀打ちできる環境を整えなくてはならない。もう一つのオプションは、オシム監督が採用したように、ヨーロッパ選手の数を抑えて(もともと多くはないのだが)、Aリーグの選手を中心に構成する手だ。東南アジアでプレーするナショナル・チームを土台にするのだ。1985年に、ジョン・コスミナがキャプテンでワールド・カップの予選に出場した時は、全選手がオーストリア国内でプレーをしていた選手だった。20年後、マーク・ヴィドゥカがキャプテンでウルグアイと戦った時は、全選手が海外で活躍して選手だった。だが、時代は変わった。


ワールド・カップの予選は、少なくとも12試合を消化しなくてはならない。そして、会場は、例のベトナムからシリア、トルクメニスタンなどまで網羅される。今回のアジア・カップに集ったスコードは、それが如何に大変なものか分かったはずだ。ヨーロッパを戦場とする選手に全試合出場を問うのは、酷である。そのことに気づかなくてはならないのは、デシジョンメーカーとしての立場にいる人だ。




話をアジア・カップに戻そう。

むしろ、6月30日のシンガポールとの親善試合で負けてしまえばよかったのだ。妙に勝ってしまったので、順調に仕上がっているように見えてしまった。それが、最後まで勘違いしたまま出発進行してしまった。


下記写真【シドニー・モーニング・ヘラルドより】 
ペナルティ・シュートアウトでの敗北に目を覆うアーノルド監督
20070723-00.JPG


やはり監督は交代か

ついにサッカールーズは、アジア・カップデビューで準々決勝までは進んだが、志半ばにして完全失速した。対日本戦のみはとことんやったと言えるが、アーノルド監督には申し訳ないが、彼の作戦は失敗した。オマーン、イラク戦でみせたふがいない戦いの現状は、いかんともしがたいほど目を覆うものがあった。スピードで相手を突き崩していけないのだ。

アジア・カップ決勝進出以外は失敗という彼の発言によれば、準々決勝で敗退である。

もう、一つ、彼の物腰や発言は、彼の経験不足を露呈した。「ここにいてほしくない選手がいる」と言って、名指しに近い発言をした。所詮は、勝負の結果は自分がすべてを受け入れなくてはならない。総合的に考えて、アーノルド監督のナショナル・コーチとしての任務は終わったと言えるのではないか。


同情すべき点は多々ある。肝心のFFAからの十分の支援をうけていたかというと、これは疑問だ。プレシャーは相当あった。昨年8月シドニーで、オーストラリアがクウェートを破った時に、彼はAリーグ主体のチームをそのままアジア・カップまで引き継ぎたいと希望を出した。シーズン後の時間を練習にあてられる。だが、そういうリクエストは、聞き届けられなかった。


豪州スコードの選考は正しかったのか?

クレイグ・ムーアの身代わりとして選んだパトリック・キスノルボの選考は正
しかったのか?彼は、この大きなチャンスを生かせなかった。あの遅いペースについていけない選手だったが、それが彼の今のレベルを表している。ミスはするは。練習でみていて、監督は気づかなかったのか。

ブレット・ホルマンはどうだったのか。有効な動きが見られなかった。チャンスをふいにする動きがみられた。悪いけど、国際レベルに登場するなら、改善が必要だが、どうして選ばれたのか?


ハリー・キューウェル、ティム・ケーヒル、ジェイソン・カリーナ、ヴィンス・グレラ、ルーク・ウィルクシャーの低調振りは、何が原因だ。すべてが高温と湿度か? 監督との間になにもなかったのか?

下記写真【デイリー・テレグラフ紙より】
シュートアウトに失敗してうなだれるハリー・キューウェル
20070723-01.JPG



ルーカス・ニールの選考は当然妥当と思うが、最初の2ゲームの彼のプレーは、人に言わせると“ホラー・ショー”だった。レッドカードまでもらってしまった。いわゆるスター選手の中では、総合点でも一番パーフォマンスは悪かった。

マーク・ミリガン。オーストラリア先制点の後、日本を同点にさせる大ポカをやらかしたミリガンだが、オーストラリアの中では最高殊勲選手だった。次のワールドカップ予選には、セントラル・ディフェンスの第1候補でいける。
マイケル・ビーチャンプ。タイ戦のスコアはよかったが、まだまだ。高さもとれず、グランドも抜けられた。日本のプレーを見直してほしい。いい素質はもっている選手だが。


オーストラリアは貴重なる経験を積んだ。

種々の悪条件(高温多湿、あふれんばかりの観客、大騒ぎの観客、絶えない騒音)を如何に克服するかの課題を突きつけられた。いってみれば、それがアジアなのだ。如何に準備をするか。如何に順応力を得るか。如何に訓練するか、である。サッカーの技能は、なにも西欧や南米だけのものではない。アジアでも格段に向上がみられ、溝を埋めつつある現状だ。タイやベトナムの活躍を見ればわかるのである。サッカールーズ全員がそういう認識でいたのだろうか?

それにしても、こんなにバラバラのサッカールーズをこの数年見たことがない。一気に精神的に老けてしまった感じがする。そして、実質年齢を、2010年の南アの世界選手権で換算すると、ハリー・キューウェルは30歳、ルーカス・ニール、アーチー・トンプソン、ブレット・エマートン、マイル・ステリョフスキ、ティム・ケーヒル、ヴィンス・グレラ、マーク・ブレッシアーノは29歳になる。ゴールデン・エージは、シルバー・エイジに近づく。

だが、勝敗を度外視すれば、幾人かの選手は発掘された。ポカをやったが、マークミリガン、シドニーFCのデイヴィッド・カーニーは、悪いけど予想以上の拾い物だった。レフトバックでいける。

シュワルツァーも、サッカー現役最後の意地をかけることだろう。


すべてはワールド・カップの予選通過を最大の目標にしなくてはならない。先ずは早急に体制作りだ。


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2007年07月20日

ブルー侍殿 ご覚悟はよろしいか?(9)日豪対戦

 

なにわともあれ、サッカー・アジア・カップはノックアウト・ステージに入った。7月21日は、

1.ベトナム・ハノイで日本 対 オーストラリア戦 

2.タイ・バンコクで、イラク 対 ベトナム戦


7月22日には、

1.マレーシア・クアラルンプルで、イラン 対 韓国戦

2.インドネシア・ジャカルタで、サウジアラビア 対 ウズベキスタン戦

が、行われる。

 

ビッグガンと言われるイラン、韓国、サウジアラビアが準々決勝に進出した。

 

日豪の対決はどうなるのか?

ドイツでのワールド・カップでは、3-1でサッカールーズの勝利に終わった。本来なら、このアジア・カップでは、準決勝での対決を私は予想していた。では、今回はどうか? ずばり、現時点では、5.5-4.5の率でチャンピオン日本の優勢とみる。

 

しかし、この対決は、両チームともいろいろの意味合いを持っている。


1.オーストラリアがアジア・フットボール連盟に加盟したこともあって、勢力地図の書き換えが行われるかどうかである。アジアの覇権をめぐる新たな戦いでもある。

2.2010年の南アフリカでのワールド・カップへの出場資格をとるためにも、心理的に少しでも有利にしておきたいと言う点でも、この両国の思惑は一致する。ワールド・カップ予選は来年から始まるが、いつの時点かで、日豪対決が予想されるからだ。ブルー・侍は、サッカールーズの4回目のワールド・カップ出場を阻止する意気込みに燃えている事は確かだ。

 

両チームとも、ワールド・カップ出場を最優先課題にあげていることも共通している。今トーナメントの訓練も、「すべては2010年を目指して」である。


13ヶ月前、カイゼルスラウテルン競技場で、日本は1-3の敗北。

 

ドイツでの前半26分 駒野から受けたパスを中村が、DFをかわしながら左足でクロス。柳沢と高原がゴール前に飛び込んだが、GKシュワルツァーと交錯。GKはボールに触ることができず、中村のクロスがそのままゴールに飛び込む。日本が先制したこの瞬間は、シュワルツァーの嫌な思い出だ。クロスを取ろうとシュワルツァーが立ち上がった時に、柳沢と高原がシュワルツァーに触れた。ボールはアンタッチでネットに入った。

「あの後は、レフリーがやってきて、自分のミスだったと謝った。あれは、俺のミスだったと思っている人がまだいる。リベンジと言うが、日本はチームは変わった。日本はリタイアした選手もいる。新しい選手を入れている。われわれは同じだ。ここはアジア・カップであり、ワールドカップではない」という。

 

「同じ相手に2度負けることは出来ない。一度で十分。日本は良くなっている。ワールドカップ予選でも、オーストラリアに一層のプレッシャーをかけられる」と、GK川口はリベンジを誓う。

 

その後、日本はブラジルにも1-4で敗れる。一旦は代表チームからの引退を決意した中沢だったが、アジア・カップ、ワールド・カップのためにやれというイヴィカ・オシム監督の説得が入った。

 

しかし、日豪対決といっても、長い歴史があるわけではない。これまでの対決は15戦。オーストラリアの6勝5敗4分だ。全く拮抗している。だが、13ヶ月前の敗戦のお返しをする点で、日本代表チームは一丸になれる。川口は、ツケを返せる自信はあるという。

 

オシム監督とジーコ前監督の違いは、オーストラリアからみていると、オシム監督の方が、より国内選手に重点を置いている点だ。そして、チームを改造し、スタイルを変えた。海外組は中村俊輔(セルティック)と高原直泰(アイントラハト・フランクフルト)の二人だけ。稲本もサントスもいない。DF田中(浦和レッズ)は負傷ではずれた。

 

田中のロスは、ここにきて痛いかも知れない。マーク・ヴィドゥカとジョン・アロイシのコンビネーションに日本は晒されることもあると考える。逆を言えば、田中の強力なヘッディングにオーストラリアが晒されないで済む。

 

非公開練習と公開練習


ハノイの競技場は、ミン・ディン・スタジアム。裏に隣接した二つの練習場を日本とオーストラリアはあてがわれた。まさに隣同士。


アーノルド監督は、練習を非公開にする。アジア・フットボール連盟も昨夜妥協したという。アーノルド監督が神経質になっているような気がするが、やはり負けられない一戦なのだ。

 

一方、日本は公開練習をする。

日本とオーストラリアの練習場の距離は、その差わずか100メートルだ。

 

結果はどうなるのか?

 

オーストラリア・サッカールーズはどうか?


だが、この勝負は、後で言うがワールドカップに繋がっている。


アーノルド監督の心の中にあるもの:大試合は、大選手で最高の結果を出してきた・・・・。では、対日本戦はどうするか?である。

 

ハリー・キューウェル、ティム・ケーヒル、ルーカス・ニールのスター選手の扱いをどうするか。レッドカードで一試合出場できなかったルーカス・ニールが復帰する。そして、タイ戦で活躍したマーク・ミリガン、マイケル・ビーチャンプ、デイビッド・カーニーの3人の起用をどうするか? 監督アーノルドの悩みだ。



アーノルド監督は、仕事分担を考えると、ヴィドゥカとブレッシアーノのコンビを考えの中にいれるであろう。

 
ブレッシアーノは、「日本との衝突の準備は出来ている。確かにスタートは悪かったが、ノックアウト・ステージというゲームの性格は選手の決断を結晶させる。特にタイに勝利した後だけに、一層そういう気持ちなる。あの晩(月曜日の対タイ戦)は、われわれは決勝戦と思って戦った。結果を出さなくてはならなかった。チーム全体がいいプレーにつなげられた。あの時は、もう他のゲームに頼れないと分かったときだった。われわれの気性にあったのだ。ここからはい上がっていく」と、チームの心意気を話す。

 

アロイシとヴィドゥカのコンビは、この対日本戦でどうなるのか? この二人は、これまで、代表選手として79試合をやってきた。だが、一緒にコンビを組んだことは滅多にない。1997年のワールドカップ予選の時も、ヴィドゥカはプレーしたが、アロイシはベンチが多かった。

 

このアジアカップでも、ヴィドゥカはかなりの仕事をこなしている。アロイシの出番がくると、彼はかなり消耗している。「二人でスタートすれば、仕事をわけあえるし、おそらくそれがヴィドゥカをフレッシュに保てると思う」

 

アロイシは、オーストラリアのダミアン・モリのもつ同点スコアの記録にあと一つと迫る。対日本戦は、アロイシにとってその記録にならぶ大きなチャンスだ。昨年の対日本戦での彼のゴールは貴重な得点だった。

 

「アップ・ダウンのあったシーズンだったが、極めて体調はいい。出来れば、対日本戦でまたスコアをあげられれば・・と思う。ワールド・カップで日本と戦った時は、これが決勝戦だと思ってやった。こんどもわれわれの決勝戦だ。良い試合を展開できると思う。戦いが厳しいとなると、オージーは常に上昇志向になる。わかるでしょ、これがオージーだと。多分、われわれが自信を取り戻したなとわかってもらえる。最後のタイ戦では、ディフェンスも固かった。われわれは、曲がり角を曲がったんだ」



確かに、タイ戦では、それまでの夕方5時20分のキックオフより3時間遅く、気温も低めだった。だが、対日本戦は、夕方5時20分(現地時間)早めのキックオフ。

 

ブレッシアーノは言う。

「シンガポール戦も含めて、3ゲームやってきた。体調のレベルはあがっている。尻上がりによくなっている。時間と共に、良いプレーがでている」と。

 

ワールド・カップ予選の組み合わせ抽選にあたりシードポイントの獲得を考えると、両チームとも準決勝進出は重要だ。つまり、日豪戦で負けた方は、南アフリカへは厳しい道のりになるということだ。

 

賭からみた日豪対決

結果だけの賭

日本勝利=2.6ドル 豪州勝利=2.45ドル 引き分け=3.30ドル

 

スコアは?

日本1-0  7.50ドル

日本2-1  8.50ドル

オーストラリア1-0  7.00ドル

オーストラリア2-1  7.00ドル

オーストラリア2-0  8.50ドル



最初のゴール

マーク・ヴィドゥカ  5.00ドル

高原直泰   5.00ドル

中村俊輔   6.50ドル

ジョン・アロイシ  7.00ドル

ティム・ケーヒル  7.00ドル

 

といったところだ。

 

笑い話を一つ

タイの万能MFダッサコーン・トンラオ選手。大事なオーストラリアとの一戦を控えた日曜日の練習を欠席。理由は、前日に堂々の結婚式をあげた。普通はこういう日に結婚式はやらないものだと思うが。チャンウィット・ポンチョウィン監督にも、直前の木曜日まで一切報告無しだったとか。当の本人は、監督にもチーム・メートにももっと早く報告すべきだったと平謝り。「結婚式をあげれば私のプレーに影響を与えると仲間が心配すると思っていた」と。

なかなか、度胸ありますな。

 

これには、まだ続きがあって、ベトナムのMFファン・ヴァン・タイ・エムも結婚式で、対イラク戦を欠場する。アルフレッド・リードゥル監督は頭を痛めている、いなお冠である。多分、西洋人のメンタリティでは理解できないだろう。私も東洋人だが理解できない。

 

問題はどうして、この日を選んだのか? チームが勝ち上がることは絶対ないと思っていたのか? 本人か嫁さんのどちらかが1週間も待てなかったのか?

多分想像するに、ベトナム人のことだから、占い師の言うことを絶対に信頼したのではないか?「この日に挙げれば、将来はバラ色」等と言われて。

 

46年のアジア・カップの歴史の中で、ベトナム・サッカーは、今回日本の後塵を拝したもののBグループで第2位。ベトナム史上初めての快挙である。この準々決勝の佳き日に、結婚欠場だ。レッドカードをくらって退場するより責任は重いのではないか。

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2007年07月18日

アジア・カップ(7)首をつなげたサッカールーズ

病んだサッカールーズが、持ち直した。

テレビは「まだ生きているサッカールーズ」といい、「アドヴァンス・オーストラリア」とタイトルをつける新聞もある。

 
「まあ、いいか」と、結果オーライなら他人も自分も許してしまい、反省も全くしないのが典型的なオーストラリア人と私は拝しているが、7月16日の対タイ戦4-0は、まさに反省無しで通り過ぎるのではないか、と危惧するほどの得点だった。「おれらはやはり実力はあるんだ」  これが怖いのだ。

 

まあ、しかし、昨年のワールド・カップの優勝チームイタリアの例もあり、まさか、まさかの連続で優勝をとげたことを考えると、これをきっかけに上昇機運に乗れるのなら、やきもきしてきたファンも許してしまうだろう。人生「坂には三つある」という。「下り坂」に「上り坂」、そして「まさか」である。

 

あれほど危惧していたチーム状態を、4-0からは日本のサッカー・ファンには推測できないだろうが、実は対タイ戦もひどかった。実力を発揮できない選手をハリー・キューウェルを落とすことによって、奮発を求めて、ベンチに残した。キューウェル、ルーカス・ニール(出場停止)、ブレット・ホルマンがスタートからはずれた。そして、マイケル・ビーチャンプ、マーク・ミリガン、ジョン・アロイシ、それにデイビッド・カーニーが先発メンバーに入れた。

 

そして、攻撃力を増すために、アーノルド監督は、3-5-2のフォーメーションを敷いた。タイは、神童とよばれるティーラテップ・ウィノタイを投入。 キックオフ直前には、ヴドゥカは円陣を組んだ、滅多に見られないことだった。異体同心を計った。

 

ミリガンは、バックの3人をリードした。これが彼の国際試合出場4試合目だった。みごとな動きをみせた。

 

シドニーFCのウィンガー、カーニーの動きは重なるところがあり、危険な場面もあったが、動きの広さを見せた点、起用は無駄ではなかった。何よりもセンスのいい動きとを見せた。一方、アロイシ自身には良いところは見せられなかったが、ヴィドゥカとの連携によく奔走し、チーム・プレーに徹した。

 

それが、スキッパー、マーク・ヴィドゥカの2ゴールを含めてセカンド・ハーフの3ゴールで、まさかの準々決勝入りを果たし、宿敵?日本との対戦を実現させるまでに持っていってしまった。

 

ご承知のとおり、4回目の優勝を狙う日本は、16日、ハノイで、手堅く4-1でベトナムを破った。


 
最初のゴールは、21分、ルーク・ウィルクシャーはフリー・キックをピンポイントのハイボールでDFのマイケル・ビーチャンプに落とし、ビーチャンプがタイ・ディフェンスより高く飛んでヘディングを決めた。アジア・カップで初のリードを奪ったが、薄氷を踏む思いの1点。虎の子の1点。その後の2分は、オーストラリアもタイのレベルに救われた。スリー・スカのクロスでヒヤッとするなど、サッカールーズディフェンスはよれよれだった。ハーフタイム直前も、ステー・スクソムキットのフリー・キックがポストをかすめた。

 

ラジャマンガラ競技場には、タイ国首相を含めて、6万という観衆。しかも、タイの最初の二試合の入りとは大違いだった。そういう中で、時として追加点を取れない焦りから、ナーバスなプレーが続いた。追加点を取るまでには時間がかかった。ディフェンスの甘さが、サッカールーズに苦戦を強いた。タイ選手も、オーストラリアの有名選手から一矢をむくいようと必死だった。

 
やっと安心できたのは、スキッパー、マーク・ヴィドゥカのセカンド・ハーフ残り10分からの見事なヘディング・シュート。ヴィドゥカの連続ゴールと、だめ押しのハリー・キューウェルのゴールで、ようやく溜飲をさげたのである。


ここから、サッカールーズの動きはようやく本来のものとなった。

 
気温は28度とサッカールーズの登場した日では一番涼しかったが、ラジャマンガラ競技場は、雨季の到来で雨の降りつける試合になった。湿度89%がそれを物語っている。

 

とにかく、サッカールーズにとって、3連続のバンコク災難は回避された。マイケル・ビーチャンプのヘッディング・シュート、マーク・ヴィドゥカのキャプテン・マジック、試合を綺麗に締めくくったハリー・キューウェルのおかげだった。

 

以前、このコラムでも書いたが、早くからのマイケル・ビーチャンプの起用がほしかった。

 

特に、キャプテン、ヴィドゥカ自らがゴールにボールを運んで、ノックアウト・ステージへの道を開いたことは大きな収穫だった。皆が悩んでいた。誰もが、技術じゃない、頭だ、インテリジェンスだ、心だと言っていた。


残り時間10分のところで、ティム・ケーヒルからのクロスを見事にコントールし、カットしようとしたタイDFのディフレクションを利用してネットへ。

 

マーク・ミリガンの活躍は特筆に値する。バックでタイに包囲された時も果敢な動きを見せて、Aリーグの心意気を示すことができたのではないか。

 
彼のポジショニングは大変に労苦の多いものだったが、タックリングのタイミングはみごとで、54分のスライディングは、間違いなくタイのゴールを阻止したほどの価値のあるものだった。

 

マーク・シュワルツァーは、前回の汚名を完全に晴らした。より高くゴールに聳えていた。

 

タイのスリー・スカの活躍が目立った。サッカールーズを一番悩ました選手は、彼だった。

 

4回目の優勝を狙うオシム日本の実力は、タイの比ではない。タイ戦にもあったミスは、対日本戦には「絶対」許されない。日本チームはタフである。高原も調子がいい。経験巧者も多い。アジア・カップの事情にも通じている。そして、何より、ワールド・カップの時の復讐に燃えているだろう。現時点で言えば、アーノルド監督よりは、選手を把握していると言える。

 

今後の問題は、やはり、ディフェンスに尽きる。

ディフェンス陣の穴をどう塞ぐか、この問題は最後まで残る。日本を破って勝ち上がることを考えると、攻撃力も大事だが、接戦になったときのディフェンス陣から、絶望的な失点が出ないと言う保証はない。

 

タイ戦であげた4点が、サッカールーズに精神的効力を及ぼすことを期待したい。対日本戦は、ハノイで今週土曜日だ。(了)

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2007年07月14日

13日の金曜日 サッカールーズ自滅(7)

1-3の敗北。


前半が始まったところで、スコアはともかくサッカールーズの相当の苦戦が予想できた。否、ラインナップをみた途端に、それは容易に想像できた。



「このメンバーでスタートしたものの・・・」 【フォックステレビ2より】


気温32度。湿度59%。オマーン戦より気温は低い。前半のボール・ポゼッションは、サッカールーズ56%。イラク44%。しかし、スコアは0-1。

 

「イラクの1点目」 【フォックステレビ2より】



セカンド・ハーフで、キャプテン、マーク・ヴィドゥカのいきなりのヘディング・シュートが決まって逆転も可能かと思わせたが、見所はそれだけ。

 

スタンドには、キックオフ時5000のオージーファンが歓声を。終わりには半分もいなかった。ファンを惹きつけるゲームではなかったのだ。気象条件は言い訳にはならない。

 
キャプテン、マーク・ヴィドゥカは、オーストラリア過去最悪の敗北と呼んだ。

 

昨日の試合後の夕食は、真っ暗。笑い声もなく、声を出して話す人もなく、沈んだ雰囲気の中で、飯を食ったという。

 

試合終了後のインタビューで、アーノルド監督の気持ちが爆発した。

「このチームには非常にがっかりした。ここにいてほしくない選手が何人かいる。」そして、DFのルーカス・ニールを非難した。「ゲームを通じて、ルーカスはお粗末だった。フラストレーションをみせた」と、ルーカス非難を口に出した。
 

ストッページ・タイム。あと、1分も我慢すれば通り過ぎるものを、2回目のイエロー・カードで、退場をくらった。なぜ、そこまでする必要があるのか?

あるいは、俺はもう出なくてもいいと、体当たりを敢行したのか。比較的冷静なルーカスにどれほどストレスがたまっていたのか。 


いよいよ、徳俵まで押されて、寄り切られそうな所まできた。もう後ろはない。タイとの一戦を残して、見事なうっちゃりをみせるのか、そのままなすすべもなく押し倒されるのか。問題は技術ではない、心だ。

 

このパーフォーマンスでは、監督が当座やはり選手に非難が集中するのも止む得ない。

キューウェルは認めた。

「イラク戦はお粗末プレーだった。グループ戦を乗り切るには、奇跡しかない。選手全員が発憤しないといけない。自分とて例外ではない。自分自身のプレーを見ても、お粗末だ。審判を責めることはできない。監督を責めることも出来ない。誰かといったら、11人の選手が責められるべきだ。われわれは、監督に2度も期待に反してしまった。奇跡が起きて、タイに大勝すれば、監督の信頼は戻せると思う」と。

 

キャプテン・ヴィドゥカは言う。

「監督の言う“%color(maroon){ここにいてほしくない選手がいる”という考えには反対だ。しかしプレーヤーのパーフォマンスに疑問があるのは疑いがない。全く努力していないとは思わない。イラクは確かにいいチームだった。しかし、そうはいっても、われわれはもっとゴールが出来たはずだ}」

 

「選手のやった3つのミスが命取りだった。われわれは、必死の思いで1-1の振り出しに戻した。その後のミステークで自滅した」と、アーノルド監督。

 
ディフェンス力は、ひどいなんてものではない。ざるよりもひどい。前々回かも危惧としてかいているが、ディフェンスの穴は事前に読めていた。相手を過小評価するとかそういう問題ではなかった。自らのディフェンスのレベルの問題である。


シュワルツァーは、キャリアの中でこれまで何千というフリー・キックを裁いてきた。前半22分にナシャット・アクラムが放ったキックも、その何千分の一のものだ。


「イラクの名コンビ」 【フォックステレビ2より】


イラクの優れものナシャット・アクラムがほぼ中央からのフリー・キック。キスノルボがカットできたはずだが、サリー・サディルのフェイントをかけられたような走りにシュワルツァーが一瞬躊躇。ヴィンス・グレラのフォローもなく、6ヤード・ボックスの中のシュワルツァーは見事に狂わされ、ボールは人のいないネットへ。機敏な行動、俊敏な動作はフットボールの生命である。

 

最後は、ハワールが見事なパスを放って終了。1-3。

「イラク3点目」 【フォックステレビ2より】


 

7月9日の日曜日の救世主マーク・シュワルツァーの見る影もなかった。イラクのサリー・サディル選手の走りによって、さすがのシュワルツァーもラインの読みを狂わされた。が、まだまだレギュラーのポジションに耐える力はあると、私は思う。

 
イラクの選手を見ていて感じたのは、皆が伸び伸びとしている。テクニックとスキルは優れていた。監督の采配はおおきい。大きなリーグ戦がある国でもない。まして国は戦場だ。大きなリーグ戦がないからといって、いい選手がいないのとは全く無関係だ。最初のゴールを奪った長身のMFナシャット・アクラムは、イングリッシュ・プレミア・リーグへ道を開くかも知れない。

 

16日の月曜日。先ずサッカールーズがタイをしっかりと破ること。そして、オマーンがイラクと引き分けないこと。これが条件である。サッカールーズが勝ち上がるには、自力と他力が混在しているが、絶対絶命の所に来ていることは間違いない。日本も3-1で勝った。このままでいけば、日本との対戦はないかも知れない。

 
仮にタイに勝って、準々決勝に進み、運良く準決勝まで出たとしても、サッカールーズとグラハム・アーノルド監督の将来に暗雲が立ちこめたことは確かだ。

身近な一戦に勝てない戦力では。(了)

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2007年07月12日

サッカー アジア・カップ(6)

アジア・カップは、ショックが続いている。

オーストラリアの引き分け。

優勝を狙う日本の引き分け。

Dグループ、バーレーンを破ったインドネシアの勝利。

そして、昨日11日。


ジャカルタで行われたDグループ、韓国対サウジアラビア戦は、1点リードした韓国が、フリーキックでサウジに追いつかれた。韓国も主力を欠いて大苦戦だ。そしてなんと、まさにアジアの出来事。競技場の照明が消える珍事が発生。結局数十分後に再開されたが、1-1のままドローで終了。アジア・カップショックは続く。
 

予想は混沌として、ポイントはどんぐりの背比べ状態になってきた。

どこが抜け出すのか。さらなる波乱があるのか?



さあ、オーストラリアは、明日いよいよイラクとの一戦だ。戦場のバクダッドと違って、泥沼は避けたいところだ。
そのために、サッカールーズは、対オマーン戦よりはメンバーを入れ替えるだろう。チームには新しい“脚”が必要だ。

サッカールーズのトレーニング・セッションで、全員がほぼ3キロ以上体重を落とした(GKシュワルツァー談)。


最低3人の起用は、必要だろう。

一人は、間違いなく、スターティング・メンバーにティム・ケーヒルが入るだろう。地獄からの脱出カードを切ってくれたケーヒルを買いたい。次に、当然第1戦で出てくると思ったメルボルン・ヴィクトリーのストライカー、アーチー・トンプソン。Aリーグの優勝決定戦の5連続ゴールの再現を期待したい。そして、イラクの厚いディフェンスを崩すためには、Aリーグの最優秀選手ニック・カールのドリブル技術を買ってみたい。


もし、5人規模の入れ替えになると、マイケル・ビーチャンプやマイケル・スウェートあたりまでが登場することになると考える。

第1戦をみて感じたのは、ムーアが抜けた分だけ、バックからのルーカス・ニールの動きにプレッシャーがかかっている。ニールは、適正なスピードでボールをキープしながら、MFを助け、守備範囲の広いDFを助けているのだが、時としてDFがヴィンス・グレラやジェイソン・カリーナとの連携が取れない欠点をさらけ出した。MFがバックスからゴールまでつながなくてはならないときに、頭脳プレーを見せるチームに往々にして見られる欠点である。
 

さらに、赤ちゃん誕生のためチッパーフィールドの欠場も痛い。天性の左利きがいなくなってしまった。

ウィルクシャーとブレシアーノのレフトサイドにも、問題がある。ウィルクシャーは、全選手のカバーを必要とし、さらにブレシアーノのディフェンスをさらに要求することになるだけに、イラク戦のラインアップで、このコンビに変更があれば、アーノルド監督が欠点を認めたということになろう。


個々に言えば、質の高いチャンスをつくれるブレシアーノを生かすには、彼のエネルギー消費を抑えるためにも、彼の背後に固いディフェンスが必要である。マイル・ステリョフスキと違って、ブレシアーノがいつもどんな場合にも必要なポジションに戻ることはあり得ないから、必然的にウィルクシャーにも負担がかかる。


ウルグアイ戦でもまたシンガポール戦でも、レフトバックに、なぜカーニーを起用しなかったか?
この一戦には、ぜひ、起用して、彼のメンタリティとテクニックを実戦で確かめてみる価値があると思う。


デンマーク戦、対中国戦のセカンド・ハーフしかり、シンガポール戦でもそうだが、ディフェンスがお粗末だ。例え相手が弱いチームであっても、お粗末さを露呈している。


サッカールーズにとって、何と言っても、こんどの一戦は必勝が至上命題だ。
願わくば、第1戦よりは、速さと高さがとれるか?


勝てば・・・・官軍だ。準々決勝が容易に見えてくる。
負ければ・・・・地獄だ。「はい、さよなら」は間違いなし。
引き分ければ・・・チャンスはあるが、ホスト国タイをぼろくそに破らなければならなくなる。


ルーカス・ニールも言う。
「勝てば、次のラウンドに行ける良いポジションにつける。負ければ、はなはだ厳しくなり、他力本願になる。われわれの運命を他人の手に委ねたくない」

「われわれはもっと戦える。バックの選手ももっと働ける。チームとしては、全員がもっと実力を発揮できる。防御はフロントから始まって、後ろへ持っていく」ルーカス・ニールはこう語る。


前記で、ケーヒルが、地獄の脱獄カードを切ったと書いたが、マーク・ヴィドゥカは、ドローはそれほど悪い結果ではないと言う。目覚まし的作用がはたらくなら、そうかもしれない。
「われわれにとっては、非常に悪い出来だったが、とにかく結果を出した。その上に築いていけばいい。最後に引き分けて、ラッキーだったことは間違いないが」と、ヴィドゥカは話している。


この引き分けで、グループとしても最後の最後まで分からなくなったが、ケーヒルの活躍で大きな成果を勝ち取ったとも言える。


ケーヒルはこういう風に言う。

「相手を甘く見たことは一度もなかった。軽く見たのは、マスコミではなかったか。われわれの双肩には、重みを感じている。自分にとっても、大きなプレッシャーだ。他の選手にも大きなプレッシャーだ。まして、監督にもプレッシャーはある」

「あの日の晩に起きたことは、自分にとってはそれほど特別なこととは思えない。引き分けは、大きな結果だ。われわれは、もう前(イラク戦)を向いている。後ろは振り向かない。負ければ、われわれが苦しむだけだ。大いなる闘争精神をみせる。オージー魂はまだ元気だ」

イラクのスキッパーでストライカーのヨウニス・マフムードは対タイ戦で負傷したが、負傷は癒えたという情報だ。対タイ戦で、目に付いた選手の一人だ。他に上げれば、レフト・バックのバッシム・アッバス。広く動けるMFのハワル・モハメド。そして、要注意はMFの名シャット・アクラムとみた。イングリッシュ・プレミアリーグからも声がかかっていると聞いている。


監督は、アジア・中東を知り尽くしたジョーヴァン・ヴィエラ。54歳。ブラジルでもプレーの経験をもつ。

「オーストラリアは、初戦のタイとは違う。しかし、フットボールはフットボール。対サッカールーズ戦で3ポイント稼ぐことは重要だ。私にとって、最高の結果は、勝利することだ」と。

これに対して、ニールも断言する。「最初の結果をきちんと出し。3ポイントを確実にするチャンスだ」と、


何言うたはりまんねんな。当たり前でんな。


闘志溌剌(はつらつ) 起つや今  
熱血既に 敵を衝(つ)く
獣王の意気 高らかに

大事なんは、この阪神タイガースの歌の精神やで。
この気概やで。

負けたら、死んでまうでぇ。(了)

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2007年07月11日

サッカー・アジア・カップ(5)

アジア・カップ・ベトナム点描


開催国の一つベトナムで。 開催の日、グループBのベトナムは地元でアラブ首長国連邦と対戦。2-0で勝利した。


国際的認知がほしいベトナム・サッカー。この勝利に興奮したハノイ市民は、勝利後道路に繰り出した。サッカーには熱が入りやすく、異常に興奮する国だ。私は住んでいたから、よく分かる。当局の目につかないところで、相当の賭も行われていたはずだ。“貧乏国”というレッテルを貼られているが、そういうカネは捻出するのだ。


日曜日、道路にバイクで繰り出した市民は、熱狂、興奮の渦に。そうでなくても暑い日々。興奮したバイクの運転手が信号機に衝突して死亡。後ろにのっていた人も重体になったとか。


そもそも、ファンが命をかけて興奮するほどのスポーツではないが、こういう時に、社会的に発散する気持ちもわからないではないが。


もし、これからベトナムに行こうという人は気を付けてほしい。バイク連中の異常な盛り上がりについては、在越日本大使館からも旅行注意が発せられている。スリも、ホーチミン市からハノイに出稼ぎに来ているらしい。

 

日本は どうした!


当地、オーストラリアの新聞も、日本のことを報道している。


オーストラリアも苦戦だが、日本もすっきりとしないスタートだ。オーストラリアは監督のせい? 日本は選手のせいか?などと言う人もいる。


同点に追いついた豪州。リードを同点にされた日本。いずれも心に傷を受けた。

その傷はどちらが大きいのか? 

 

当地オーストラリアの10日付けの新聞は、月曜日の夜の日本対カタール戦を短く報道している。ウルグアイ生まれのセバスチャン・クインタナは、押し詰まった後半、劇的同点シュートを決め、アジア・カップ3連勝の日本と引き分けに持ち込んだ。

61分、高原のストライクは日本にとって価値あるものだった。ところが、彼の価値ある先行ストライクは、阿部有樹の話にならないファウルで帳消しになった。88分、25メートルからのフリー・キックはゴールのトップ・コーナーに見事にきまった。

 

そして、今日11日付け新聞

ハノイで、オシム監督は、「選手はアマチュアだ」と言って涙をみせた。1-1のドロー・ショックが尾をひいている。と。

 

日豪の遺恨試合はいつ?

そして、もう1紙。フリー・ペーパー。

結果はショックというタイトルで、日本ドローでアジアカップ混沌と書く。

アジア・カップのショックが続くなか、以前はあり得ないかった準々決勝での日豪対決が現実味を帯びてきた。グループBで日本がカタールと引き分けに持ち込まれたことで、サッカールーズの賭も混沌としてきた。


グループAのオーストラリアは、対オマーン戦で、ほとんど負け試合を幸運にも1-1のドローに持ち込んだ。これまでは、Aグループで豪が、Bグループで日本がトップに立てば少なくとも準決勝までは、日豪対決はないと見られていた。

しかし、オーストラリアは、グループから抜け出すためにはオマーン戦の後、タイ、イラクとの対戦で、両面作戦ならぬ四面作戦を戦わなくてはならない。


日本は、地味ながらカタールに勝ったベトナム戦を控えて、現在2位についている。


この金曜日に、オーストラリアはイラク戦を控えている。

 

湿度とか、気温とか言ってられない。

勝たにゃあ、なるまい。日本もオーストラリアも。

 

明日の記事も読んでね。

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posted by buruta |16:59 | gensan | コメント(3) | トラックバック(0)
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2007年07月09日

やれやれ オーストラリア1-1オマーン

サッカールーズの勝利は期待された。

その前の開幕戦タイーイラク戦が1-1のドローだけに、ここで一気に差を付けられる、と皆が思った。

敗戦など想像も出来ないし、ドローすらも予想外だった。

ところが、である。

ひどい試合だった。

20070709-00.JPG

試合開始前の両チーム、キャプテン  「*フォックステレビから」


7月8日の開幕試合は、カネを使ってタイのラジャマンガラ競技場までやってきた豪州ファンにとって紛れもない大災害だった。

 
グリーン&ゴールドのユニフォームを着て、欧州で活躍するビッグネームがピッチの上を走る。大きな名前にお粗末なプレー。得点が入らない。パスが通らない。


正直、オマーンはよくやった。シンガポールでの4チーム競技の勝ち抜きで勝ってきての豪州との対戦だ。ボールに食いついていった。ピタッとサッカールーズをマークした。連続のお粗末プレーをみせるサッカールーズの態勢からいえば、前半の1-0は当然のことである。

一切輝くものがなかった。わずかに、ゴールキーパーのシュワルツァーのプレーとティム・ケーヒルのゴールに救われただけ。


セカンド・ハーフ35分からの猛烈なにわか雨が、これから先の苦戦を物語っているようにみえた。雨季の始まりだった。それは、東南アジアの気候でもあり、サッカールーズにとって、雨季の始まりにみえた。


グループ・ステージで勝利することは、かなり不確実の要素になってきた。8強に残ることはあっても、アジアカップを制覇することは、これでは全く夢の夢になった。

オーストラリアがグループ・ステージでトップに立てる実力がないなら、ノック・アウトステージで日本を阻止することは不可能である。


8日の試合を見る限り、攻撃陣を殺して、チームの再編を計ったがこれは、失敗だった。ヴィンス・グレラが先日、「俺は防御に明るくないんだ」と言っていた。

実際、防御にも弱い、攻撃はもっと弱かった。昨日のゲームをみれば、野球で言う外野がいないようなものだった。オマーンのボールはすいすい通るが、サッカールーズはボールは通らないは、ボールはすぐ取られる、シュートした所に選手はいないは、である。光った選手がいなかったのである。シュワルツァーのセカンド・ハーフにおけるセーブがなかったなら、どのくらい点をやっていたかわからない。


オマーンの1ゴールは、4DFのうちの3人のケアレスミスから生じたものだ。そこは、重くうけとめなくてならない。


ルーカス・ニール、ブレット・エマートン、パトリック・キスノルボの連携が全くなっていなかった。結果は、やらずもがなのゴールであった。この一つをとっても、グループ・ステージすら抜け出すことが危惧される。オマーンは親善試合で勝たなかったが、引き分けにはなったが、本番の試合で勝っていた。


最初の30分、まるで練習試合かと思わせる気迫のなさ。何かが起こるのを待っているようなかったるいゲームの流れをみせた。

そうじゃない、何かを作るのは、君たちなのだ。


この半年、選手は、耳にたこができるほど、めまいを起こすような湿度と温度のこと聞かされていた。たしかに、気温34度。湿度52%。高曇り。ワールドカップの時のドイツに比べてもそれほどひどくはない気象条件。しかし、見事なピッチ。そして、ピッチは日陰だ。プレーには鋭さも俊敏さも影を潜め、目的意識も感じられない。リズムもない。


パスも狙い所に行かない。不正確なパスの軌道。それら常にオマーンの態勢建て直しの時間を与える。あるいは、カウンターアタックの態勢にさせてしますう。


なんという体たらくだ。この緩慢なプレーが、オマーンのるつぼにはまってしまった。シャツは汗で濡れていたが、体力消耗を避けようという気持ちも強かったろう。それが、終始オマーン・ペースになった理由だ。サッカールーズが緩慢なプレーを続けているうちに、オマーンが、これはいけると自信をつけはじめた。


オマーンのカルデロン監督は、2度ワールドカップでアルゼンチン選手として戦っている。カウンターアタックを知り尽くしている。4-1-4-1のフォーメーションを立てたとき、キーポイントは、MFのアル・マハイジリから、彼と一緒にはしる選手にどうつなぐかであったろう。昨日も、アル・ハスニが見事なターゲットを作り出していた。サポート・プレーヤーが到着するまで、彼がボールを見事にキープした。そして、アーメド・アル・マハイジリ、イスマイル、フルバックのハッサン・アル・ゲイラニのコンビがインターパッシングで豪州をいじめ抜いた。このコンビにサッカールーズは手が出なかった。サッカールーズは、見事に罠にはまっていた。


DFも深いところからスタートするものだから、肝心な時と肝心なところにサッカールーズの選手がいない。いつも肝心な時と肝心なポジションにいるのは、オマーンだった。その最大の理由は、緩慢のスキッパー、マーク・ヴィドゥカにあった。チームに機動性が作り出せないのだ。


サッカールーズご自慢のハリー・キューウェル-マーク・ヴドゥカのコンビの動きもちぐはぐで、全く不発に終わった。マイル・ステリョフスキと、マーク・ブレシアーノも全く普段と違う動きだった。つまり、個人がすべてばらばらに動いていて、チームとしての機動性は全く感じられなかった。


オーストラリアの攻撃は、なまくら以外の何物でもなかった。オマーンの方が、遙かにプレーに鋭さがあった。試合巧者のアル・マイマニのプレーは賞賛に値する。彼の知的なボールさばきは、90分を魅了した。


アーノルド監督は、欠点はシンガポールで修復したつもりだと語った。事実は、悪くなっていた。お粗末きわまりないマーキング、ウィルクシャーを初め選手のお粗末な判断、GKシュワルツァーのグラブに入るボールの回数がこれほど多いとあっては、なんたるだらしなさと声を荒げざるを得ない。

 

でも、なんとか、ケーヒルが形をつけた。

13ヶ月前のワールドカップの時と同じように。セカンド・ハーフ。

20070709-02.JPG

同点に喜ぶサッカールーズファン  「*フォックステレビから」


救世主がベンチを飛び出した。残り3分の幕切れ寸前の劇的な同点キック。値千金の右足からのシュートだった。地獄の底からはい上がったシュートと言うべきものだった。ペナルティ・エリアでの混戦で、オマーンのGKアリ・アル・ハブシがショットを中途半端にそらした。そこを待ってましたとばかりに、26歳のシドニー・ボーイが冷静にゴール右上にキック。この時とこのポジションをおいて、他にないチャンスを生かした。アーノルド監督がマーク・ヴィドゥカ、ハリー・キューウェル、マーク・ブレッシアーノの強烈攻撃陣を前線に配した布陣も火を噴かなかった。

20070709-03.JPG

同点にしてコーナーに向かうケーヒル  「*フォックステレビから」
 


ネバー、マインド。ノープロブレム。

タイ語の「マイペンライ」と同じだ。


この世界からぬけだそうぜ。とても、カネをとって見せるゲームではない。

次回を見るのが怖い。もっとしっかりせにゃ、あかんでぇ。

サッカールーズよ。


20070709-04.JPG

試合終了後。シャツを脱いでファンに応えるティム・ケーヒル  「*フォックステレビから」


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posted by buruta |21:28 | gensan | コメント(2) | トラックバック(0)
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2007年07月02日

それゆけ、サッカー アジア杯デビューだ

シンガポールとの親善試合は、3-0で勝利した。

1ヶ月半前まで国際試合からの引退の決意をしていたキャプテンのヴィドゥカがヘディングシュートを含めて2ゴール、ほぼ1年にわたって故障のため遠ざかっていたハリー・キュウェルが、ゴール前のわずかな隙をついてみごとな蹴りで2点目をあげて、とりあえず快勝した。FIFA世界ランク131位のシンガポールは、前半いい動きをした。オーストラリアは、セカンドハーフで火を噴いた。


ハリー・キューウエルには、不思議な力がある。髭を伸ばしたハリーは、1年近く試合を離れていた。その間リバプールのシューズを履いたのも、ほんのわずかな回数だった。だが、キューウェルは復帰戦をみごとなゴールで飾った。この9月で29歳になるハリー。実は、ワールドカップ以降、5回も手術を受けている。それ自体、考えられないことだ。


体調十分なマーク・ヴィドゥカ、キューウェルの復調は、サッカールーズに大きなストライク・パワーを与えたと言える。


ニュー・カースル・ユナイテッドに移籍したばかりのストライカー、マーク・ビドゥカは、シンガポールで皆より一足遅れてキャンプに参加した。アーノルド監督にしてみれば、ほっと一安心だろう。そして、アジア杯のキャプテンは、またヴィドゥカにご指名がいくと思う。「誰が、キャンプテンをやっても、名誉あるものだ」と、ヴィドゥカは言うが。


ゴール左にシュートを決めたハリーの談話だ。


「ボクは、好調だ。たくさんの人がボクのことを心配してくれている。もう、それは過ぎ去ったこと。すべての怪我は、もう過去のことだ。ボクは万全だ。うれしい。ボクはうずうずしている。いまは、次の試合をまっているだけ」という。


アーノルド監督は、「彼は、自分が完全だと言うことを見せたがっていた。試合の日の朝も、燃えるような暑さとスタミナを消耗する湿度の中を、90分自分のメニューで練習をこなしてきた」と、彼の復帰劇を明かした。

 

カンド・ハーフの後半で、アーノルド監督は、ヴィドゥカをベンチに引き上げた。そして、ヴィドゥカがしていたキャプテンのアームバンドを、ハリーに渡すように指示したのだ。これは大事なことだった。キューウェルへの信頼を示した監督の行動だった。

 

「ハリーの復帰はうれしい。最後の数分だったが、キャプテンのアームバンドを彼(ハリー)にあげた。よくぞここまで耐えてきたといいう思いだ。それに対するご褒美だ。私はずっと言い続けてきた。“彼には中心的な役割を果たしてほしい、それもヴィゥカと連携して”と。それが、彼にあっていると思う。それは、彼が天性のゴールスコアラーだから」


「今朝も、彼は90分、トレーニングした。それは、彼が体調十分になってもらう必要があるからだった。それがプロとしての彼のタイプだ。暑さの中にでて1時間走った。そして、20分ほどボールを使った。シュートをし、仕上げた。それから、試合に出て、90分やったのだ」


「わが方の攻撃態勢は大変に素晴らしかった。ヴィドゥカとキューウェルが突出していた。だから、二人とも名をあげ、高額プレーヤーになったのだ。有能選手だ」

 

再びハリーの話だ。


「監督は、ボクのトレーニングの方法をずっとみてきた。ボクが一生懸命働かなくてはならないのを監督は知っている。なにせ1年も試合に出ていないから。感謝している。11ヶ月の空白の後、歩いてチームの中に入ることは許されない。他の選手と同じにならなくてはならない。誰しも、自分のポジションを取るには、必死でやらなくてはだめでしょう。だから、自分もそうする。もし、監督が居残りの練習をやれといえば、それもやる」


 
「ボクのプレーは、チームプレーが基本だ。チーム無しにいいプレーが出来るなんて思わない。辛い仕事だ。湿度は信じられない。チームメートから汗がほとばしり出る。それも、自分たちがやろうとしている何かだ。この大会の一部であり、われわれが背負っていかなくてはならない荷物なのだ」



「誰もが言う、サッカールーズは楽勝だろう、と。でも、いつも楽勝というわけにはいかない。素晴らしいチームがある。だが、素晴らしいチームなくして、素晴らしい競争はあり得ない。われわれはこの大きな試合全体の中の一部だが、できれば大きな一部になりたいよ」

 

後半残り数分のところで、ヴィドゥカと交代したのが、ネイサン・バーンズだった。アデレード・ユナイテッドの選手だ。ブレイニーというニュー・サウス・ウェールズの小さな町の出身だ。サッカルーズという代表チームの選手としてのデビュー戦だった。オーストラリア期待の星3人のうちの一人だ。キャプテンのアームバンドが、ヴィドゥカからバーンズに手渡された。選手仲間からは、「腕に着けちゃえ、着けちゃえ」と、この若手選手に声が飛んだ。もちろん、彼はそのままハリーにあげた。昨年Aリーグに入ったばかりの19歳。「いい経験だった。2回目も選んでもらえるように努力したい」彼は、国際戦デビューを果たして、今週帰国して、プレ・シーズンの準備に入る。「良い経験になった。楽しかった」

 

だが、3-0で勝ってほっとしている場合ではない。


土曜日のゲームで、やはりディフェンスの弱点が見えてきた。これは、はっきりいって、サッカールーズの大きな弱点である。それを埋めるのが、マイケル・ビーチャンプだ。FCニュールンベルクのディフェンダーである。それにマイケル・スウェイトらの活躍が必要だ。スタン・ラザリディス、トニー・ポポヴィッチ、ダニー・ティアットらの引退選手、そして、クレイグ・ムーア、ベテランのスコット・チッパーフィールドらの穴を埋めるのは容易ではない。水も漏らさない確たるディフェンス陣を築かなくてはならない。かつてのフランク・ファリーナ監督もこれで監督生命を落としたとも言える。


やらずもがなのボールをとられるお粗末なカジュアル・プレーが随所に見られた。あってはならないことだ。絶対に。

 

監督は、ハーフタイムで叱りつけたらしい。「意識の欠如だ。しっかりと足でかせがなくてはならないのだ。それが、出来ていれば、10-4で勝てたはずだ。ディフェンスも気に入らなかった。今週の課題だ。きちんと仕上げなくてはならない。」と監督は言う。

 

土曜日の試合で言えることは、ビーチャンプの入閣は決定ということだ。「ベンチにすわっているだけなら、ここに来ない方がいい。ポジション争いは、いいものだ。毎日、気楽なゾーンから抜け出す必要がある。毎日挑戦し、試し、自分のポジションを取る・・・それがすべてだよ」というのは、当のビーチャンプ。

 

「最初のゲーム(オマーン戦)から出場するのは大事なことだ。グループ・ステージはわずか3ゲームしかない。チームがしっかりと勝っていけば、おのずとトーナメントに進めるのだ。ボクにとっては、大変な週だ。一生懸命練習し、自分のポジションをつかみ取りたい」

 

サッカールーズ・スター選手ヴィンス・グレラは、イタリア、セリエのトリノと3年契約を結んだ。気分は爽快なはずである。一時は、ティム・ケーヒルのいる、イングリッシュ・プレミア・リーグのエヴァートンにも移籍を考えた。

 

彼は、高温多湿のアジア杯の戦地でも、体力を必要とする戦い方を変えようとは思っていない。サッカールーズの中でも、最も疲れを知らないMFは、来るべきアジア杯で、暑さと湿度がかなりの敵になることは認めた。が、それでも自分のこれまでの体力をつかう姿勢に変化はない。


「自分のプレーを変えるつもりは全くない。これでずっとやってきたから。そういう戦い方をする奴ということで自分を売ってきた。だから、ここにきても変えるつもりはない」

 

確かに彼は、1999年当時、マレーシアでのワールド・ユース・カップの時の気象条件を思い出している。そして、もう一つ1999年のナイジェリアでの20歳以下のトーナメントも同じだった。同じ条件だった。「気象条件は確かに問題だ。だから最初の数ゲームはきついだろう。でも、やがて一定レベルのプレーは維持できるものだ。でも10日間十分もらえば、最初の試合には結構体調は良好になると思う」と。



これらの選手が、きちんと役目をこなした時に、勝利はころがりこんでくる。対オマーン戦も舐めてかかっては、自らの首を絞めることになる。



さあ、7月8日、思い切ってやってほしい。(了)

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posted by buruta |12:25 | gensan | コメント(1) | トラックバック(0)
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