2009年11月28日

オーストラリアの将来のスポーツ像

ロンドン・オリンピックがすこしずつ近づきつつある。


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オーストラリアでは待望久しいクロフォード・スポーツ報告書なるものが今月中旬に出されたが、それには、オーストラリアは、国際的にやりすぎる国になるのを阻止しなければならないとし、オリンピックで「現実的な」トップ10の国の結果で満足することを学ばなければならないとある。


実業家のデイビッド・クロフォード氏は、オーストラリア有数のBHPビリトン社とレンド・リース社の最高経営陣の一人である。彼は、連邦政府へのスポーツ提言で問題ある39の勧告を行ったが、クロフォード氏は「オリンピックで成功を勝ち取るにはカネがかかる。そして、オーストラリア精神を発揮する大型のプロスポーツなどに資金投下した方がより良い」と勧告している。


同報告書に対して、オーストラリア・オリンピック委員会ジョン・コーツ委員長は、クロフォード氏と報告書作成委員は、エリート・スポーツ、国際的なスポーツについて語る資格がないと即時に批判した。報告書は、最近のセンス育成資金援助減少傾向に歯止めをかけるために、1億ドルの即時投入を求めるオリンピックとパラリンピック・スポーツの嘆願を拒否している。


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報告書では、
● 例えばオーストラリア・フットボール、クリケット、ラグビーリーグ、ラグビー・ユニオン、サッカー、ネットボールなどより動員力のあるスポーツに、資金を使用することがよりよい。


● 委員会としては、オリンピックの成功というものについて、違った角度からとらえる教育が国民には必要だと強く信じる。


● このことは、国の想像力を捕えて、その精神と文化を代表するそれらのスポーツの優先性という概念の中でエリート・スポーツの成功とは何であるかをよりはっきりと定義することを意味する。これらは、国家レベルと世界レベルでの我々の競技が一国として成功感覚にとって重要なスポーツのことである。


● どのスポーツが国家の精神を具現するのかという議論がなければならない。水泳、テニス、クリケット、サイクリング、フットボールコード、ネットボール、ゴルフ、ホッケー、バスケットボール、サーフ・ライフ・セービングなどは、オーストラリアで最も人気があるスポーツの一つで、国家精神の一部になっている。


不思議なことだが、クロフォード氏は、ハーブ・エリオット、マージョリー・ジャクソン、ベティ・カスバート、キャシー・フリーマンとスティーヴ・フッカーを通して強きオリンピック国家の記憶として植えつけてきたトラック及びフィールドに言及していない。クロフォード氏は、カヌー、柔道、テコンドーとアーチェリーなどのようなスポーツへの資金援助を批判している。


● 報告書はまた、動員数、評価、スポンサーの後援と参加などに基づけば、クリケット、オーストラリアン・フットボール、ラグビーリーグはより多くの財政支援を受ける価値があるとしている。


しかし、コーツAOC委員長は、「同報告書は礼を欠いたものであり、ものを知らなさ過ぎると指摘する。大型のプロスポーツは、すでに優れたスポーツ基盤によって国庫の援助を受けており、入場収入や放送収入によって財政的な利益を得ている」として、次のように批判する。



buruta-126916.jpgクロフォード氏は、BHP社とLend Lease社が一番になることを期待してはならない、と言っているのか、そして、それらが閉鎖して、オーストラリア国内で国民から支持されている事業にだけ集中すべきだと言っているのだろうか?彼がわが国のスポーツ選手にいっているのは、そういうことでだろう。ディーン・ルーキン(ウェートリフティングのスーパー・ヘビーウェート級)とスティーブン・ブラッドベリーに、あなた達はもう英雄ではないと、話してみるがいい;彼らは侮辱されたと感じるだろう。彼らが我が国のためにやったことは大事ではなかったのか、と。14ヶ月かかってまとめたクロフォード報告は、汗を流してスポーツシステムを現在の成功に導いたあらゆる人に対して礼を欠くものである」と。


オーストラリア・パラリンピック委員会のマイルス・マーフィー委員長は、「オーストラリアの現在・将来の選手、コーチ、役員の必要性が無視された」と述べた。


オリンピックの金メダリスト、キーレン・パーキンス選手は、「プロスポーツには資金が潤沢であり、マイナーなスポーツはより貧しい」と主張する。


クロフォード氏は、「オリンピックのような注目のスポーツ競技やオーストラリアン・マスターズへのタイガー・ウッズの出場が、具体的にスポーツ参加に影響しているという証拠を見つけることは出来ない。社交的でレクリエーションのスポーツ選手を登録することでスポーツ参加の機会を増やせるようスポーツを奨励したい」と主張する。


彼は、全国の研究所を巻き込んで、オーストラリア・スポーツ委員会とオーストラリア・スポーツ研究所のあたらな構成を勧告した。


クロフォード氏は、スポーツがより多くの放送権収益を受けることができるように、法規制の緩和も求めた。


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ケイト・エリス連邦スポーツ担当相は、彼女が新年にこの報告書に応えたいと述べた。



オーストラリア・オリンピック委員会のジョン・コーツ委員長は、オーストラリアがオリンピックでメダルを獲得できる数は劇的に減少すると警告し、あまり成功していないスポーツに予算支援カットをする連邦政府の計画を感知して、実は先制攻撃を開始していた。


連邦政府のクロフォード報告書は、最も多くのメダル獲得の可能性あるスポーツに集中させ、メダルを獲れないスポーツには予算を減らすなど、スポーツ支援予算の劇的な削減の勧告を予想したためだ。


今回出された報告書に対して、政府は、今年の末にまでには、何らかの態度を表明することになりそうだ。しかし、コーツ委員長は攻勢に打って出た。

「予算カットすれば、オーストラリアが世界のスポーツ・エリート国からの脱落を意味する。


スポーツを決めて予算をつける話は、危険をはらんでいる。我々が20~30個のメダル獲得予想していたモントリオール(1976年のオリンピック)・オリンピックの二の舞はしたくない。結果は、1つの銀と4つの銅メダルだった。メダル獲得数では、上から32番目の国だった。とても恥ずかしい思いをした。


エリス連邦スポーツ相は、若いのでモントリオール・オリンピックのことは覚えていないと思う。しかし、私は彼女が私たちがあの暗黒の日々に戻りたくないと思っていることは十分わかって頂ける博識の方と思う。


オーストラリアは、過去4つのオリンピックで26競技でメダルを獲得した。そして、それは幅広い予算を提供したことが成功の原因となっている」


例えば、ヨット競技は、2004年にメダルを獲得しなかったが、4年後には、金二つと銀一つと、オーストラリアで2番目に成功したスポーツとなった。オリンピックでの体操競技ではこれまでメダルを獲得出来ていないが、10月の世界選手権では、2つの銀メダルと1つの銅メダルを獲得した。


「物事にはサイクルがあるので、スポーツの枠を広げなければならない。体操は、複数メダルの獲得の種目になった。それは、あなたが我々のような国では、目標を定めた資金援助のモデルを採用できないことを示す。多くのスポーツには山もあれば谷もある」と、コーツ委員長は主張する。


コーツ委員長は、10月27日、オーストラリア・オリンピック委員会の年次調査を公表した。それによると、オリンピック大会が今年開催されたならば、オーストラリアのメダル獲得競争では、第6位(昨年北京で)から第7位に落ちたであろうと予測している。


オーストラリアの選手は、今年、世界選手権規模の競技会で、38個のメダル(内9つの金メダル)を獲得した。そして、ヨットと男子ホッケーの2種目でメダルの可能性を非常に強めた。


しかし、これは1997年以降の調査で、オーストラリアとしては最悪の成績だった37個に次ぐ不成績に終わっている。


オーストラリアのオリンピックのメダル獲得競争は、この10年漸減しており、シドニー大会の58個、2004年の49、2008年の北京オリンピックの46個と右肩下がりとなっている。


クロフォード報告書待ちで、個々のスポーツは将来の計画を描けない状態となっており、オリンピック・スポーツに対する政府資金援助は、北京から旋回状態となっている。


オーストラリア体操協会のジェーン・アレン専務理事は、最前線に立てたかもしれないすべてのスポーツは、不確実性を抱えて心配であると、次のように心のうちを語った。


「国家的にみれば基本的には現在動きがとれない。なぜなら、将来がどうなるか、私達にはわからないから。我々がまだオリンピック・メダルを獲得していないので、我々のスポーツは常に神経質になっている。もし報告書がメダルが取れるスポーツだけに予算支援を勧告するなら、我々のスポーツは危険にさらされると思う。そして、より小さなスポーツを支持しないならば、我々はもう一人のサイモン・フェアウェザー(オリンピックのアーチェリー金メダリスト)に会えるだろうか?


私にとっては、すべてのスポーツ選手にオリンピック出場選考のために努力する機会とオリンピック・メダルのために努力する機会を与えないなら、それはオーストラリア人はない」


どんなスポーツも、2012年にロンドン大会の準備にはまだ2年半もあるので、今年中に財政支援の後押しを受けることはありそうにもない。


同時に、イギリス、フランス、ドイツを含むオーストラリア・オリンピック委員会の直接の競争相手国は、すでに財政支援を始めている。それら各国とも、次期オリンピック大会に、スポーツに少なくとも10億ドルを投入する予定であり、オーストラリアの現スポーツ予算のほぼ2倍に当たる。


コーツ委員長はこう話す。

「スポーツ選手に予算を投じている国々は、我々より先行しているか、または我々に肉薄している状況だ。


私は、我々傘下のスポーツ団体全体がこの報告書の発表に時間がかかっていることに失望していると思う。各スポーツ団体とも、選手を支援し、コーチを抱えるために、資金を必要としているからだ。時間は浪費されている。


各スポーツ団体が右肩下がりを右肩あがりにしようと思えば、オリンピック・スポーツは年間さらに1億ドルを必要とすると見通す。「選手育成の費用が早く投下されれば、右肩下がりに対処できる。そうなれば、我々はまだロンドン大会で上位5位で終わることができる」


オーストラリア・パラリンピック委員会ジェイソン・ヘルウィッグ広報担当は、「オーストラリア代表チームは1992以来初めて、ロンドン大会で上位5位から脱落する”真の危険性”を今抱えている」と、危惧を表明した。



さて、直近の動きだが、オーストラリア・オリンピック委員会(AOC)は、先週提出されたクロフォード報告書作成に関与した会社に対して法的措置をとることを検討していることも分かった。


AOCは、レポートが準備される間、スポーツ市場とコンサルティンググループであるゲンバが不正確な財政支援の詳細を提供したと主張している。


報告書は連邦政府によって委任され、方法資金提供のチェックがオリンピック競技と非オリンピック競技で分けられている財政援助をの方法の見直しを提案している。


しかし、報告書は、1億ドルの財政援助をすれば、オーストラリアが確実にオリンピックのメダル獲得数の「上位5」にとどまれるというAOCの主張を認めず、それは実技の適当な判断基準ではないとした。


独立スポーツ報告書の作成に当たり、デイビッド・クロフォード氏は、メダル獲得数で国際スポーツ界におけるオーストラリアの成功を測定するのは最高の方法でないと言っている。


これに対して、AOCのコーツ会長は、報告書は侮辱的であり、勧告によって「うんざりさせられた」と言った。



AOCは報告書を批判する一方、AFL、NRLとボート協会などはそれぞれのスポーツの参加人数に焦点を当てたことを含めて、勧告を歓迎している。


スポーツ各団体は、周りの動きを注視しながら、静観している様子だ。


とりあえずは、報告書を受けた政府の態度表明待ちであると言える。


クロフォード氏の言うように、スポーツ国家の尺度がメダル獲得数にあるのはおかしい。しかし、メダルが獲れないスポーツへの資金援助を減額したり、廃止したるするのは、いびつなスポーツ観である。それこそ、メダル獲得数に動かされているに等しい。


メジャーなスポーツはそれこそ黙っていてもある程度の資金は集められる。マイナーなスポーツの選手をいかに育成するか、それにどのように費用をかけるか、伸び盛りのスポーツをどうやって育成していくか、スポーツl国家の裾野をいかに広げるか、いずれも欠かせない視点ではないだろうか。それがまた、国民的関心事といえる。特に、この国は、スポーツが出来ないと社会でもなかなか認められない国であるだけに、どこに合意点を見出すのか、興味がある。


posted by buruta |07:16 | gensan | コメント(0) | トラックバック(0)
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